見えなくても、一緒だから

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3:美音◆.wmpFy.Zyhxio:2016/11/01(火) 18:16

小説

ジャリ、ジャリ。

僕の道を歩く音が響く。 

いかにも、『手抜き』という道。

まあここは、それぐらいで充分だろう。

だって、『墓地』だから。

なんで僕が墓地の道を歩いているかって?

そんなの簡単さ。

今日は鈴の月命日だからだよ。

そう思って、″なんか″笑った。

鈴がいなくなったのは、5ヶ月前。

まだ、僕たちは14歳だった。

もう僕は、15歳になろうとしている。

まだまだ肌寒い季節だけど。

鈴と一緒に、15歳になりたかった。

中学を一緒に卒業したかった。

じゃあ今から、鈴がいなくなった理由を話そうか。


〜5ヶ月前〜

その日、僕らは散歩がてらに公園に行っていた。

世間で言う、デートってヤツだ。

事件が起こったのは、その帰り道。

僕たちは、好きな曲について話していた。

そうそう、言ってなかったね。

僕らには、好きな曲があるのだ。

「あの曲の良いところは、主人公の過去だよね。」

鈴はそう言って、後れ毛を払った。

僕はびっくりした。

だって僕の好きな部分とは違ったから。

まあ違うのは問題ないけど。

だけど僕は、主人公の過去は嫌いだった。

あの部分は好きではない。

「そうかな。僕は全部だけど。主人公の過去も、未来も。」

そうなのだ。

全部好き。

鈴はムキになっていたのか、滅多に出さない大声を出した。

「なにそれ。そういうのって、本当の好きって意味と違うじゃん。そこがあるから、
いいんでしょ、普通。」

その言葉に僕は、ムッとした。

そうだった、僕は人と関わるのが好きではないのだ。

話し合いなどやっている場合ではない。

まあ僕は、鈴のことが好きだが。

「そう?全部好きって言うのじゃないと、その曲が好きってことじゃないと思うけど。」

僕は言った。

鈴は予想外の反応をした。

「煩い!いいでしょ、別に。もう行くから。」

鈴は走っていって、横断歩道を渡ろうとした。

しかし、見てしまったのだ、僕は。

右から、トラックが来ているのを。

「鈴、危ない!行っちゃだめだ!」

鈴は僕の言うことを聞かなかった。

遠くで鈴のポニーテールが揺れた瞬間。

キキーッと凄まじいブレーキの音。

鈴は倒れていた。

僕は遅かった。


鈴は即死だった。

それ以来僕は、楽しくない毎日を過ごしていた。


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