暑さ寒さは彼岸まで、

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11:きの仔◆sw:2016/11/02(水) 22:19

⁂第2話「隠れ家・三月荘A」

町の外れにあるこの廃ビルは、元は「ハイツ・元命(もとなが)」という名前だったらしいのだが、数年前に元の大家が手放して以来、買い手は無かった。
その後も誰も寄り付かず、区画整備された街の方よりもそれなりに高台に面したことも拍車をかけ、人の手の届かない荒れ果てたものとなっていた。

そのため、元は綺麗な白だったであろう壁には黒いシミが目立ち、駐車場には廃棄されたゴミが投げ出され、どこかから運ばれてきた種子が強く根を張り、ビルの3階まで蔦(つた)を張っている。
建物自体は全部で3階まであり、更に屋上を持っているが、屋上と言っても貯水タンクと申し訳程度に作られた粗末な柵があるだけである。
また、建物内――屋根の下ともいう――にある階段とは別に、ビルの横には非常階段として設置されていたが、鉄製の折返し階段になっているそれは、所々錆(さ)び禿(は)げ、酷いところは段が抜けていた。

これが、近頃数人の若い男女が住み着いた、彼らの生活スペースである。


「やーよーいーっ! ねぇーねぇー」

嘉月は3階にある、全員の共有スペースである1室で、リーダーである弥生を捕らえていた。
しかし、先月の出費の書かれたレシートと家計簿で睨めっこをしていた弥生は、はいはいと答えるものの、どう考えても生返事。
ちょうど側にいた椿(つばき)が、気を使ってか嘉月にお茶を淹れる。

ビルは元はハイツだったというだけあって、全9部屋、内一つが一階のテナント部分であるが、それを抜かせばあとは全部屋1LDKの割と広い、普通の家のようになっていた。
7人は1人1室ずつ利用し、余った3階の1室は全員の共有スペースとして使われている。
話し合いなどで使われるのは専(もっぱ)らここだ。


きの仔◆sw:2016/11/03(木) 18:06 [返信]

おおっと、ミス発見!
話数が第1話なのが正解です。第1話は果てしてマル何まで続くのか……。


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