デジタルな価値観、リアルの価値観。

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23:越後:2016/12/06(火) 21:02

【プロローグ6-3 プロローグ最終話です。長かった...(】
...水上先生が壁から顔だけ出してこちらを覗いていた。
うっわ、忘れてたよすっかり忘れてたようっわ...こっわ...。何もそんな変な風にこっち見なくても良いじゃないですか先生...。
というかこれって真面目にヤバい気がする。さっきのと合わせてこれで勘違いされてしまったと断定出来るくらいだ。
まぁ、明日もあるしその時に誤解を解こう...大丈夫だよな。あの先生がこういうこと吹聴したりしないよな。
まず、ここを一刻も早く脱出せねば。
「あぁ...はいはい、分かった分かった。いつでも良いんじゃねぇの...」
「...何か適当ね...」
「気のせいだ気のせい」
「そ、じゃあ今度こそ勝つから待ってなさい」
待ちたくないです二度と来ないでください。言いたいけど言っちゃまずいよな...やめとこう。
まぁどちらにせよ、どうせ日にちが経てば互いに今日の事など忘れ去り、いつか記憶の片隅にも置かれなくなるんだろう。だから、そんな言葉なんか無くても、結果が変わることはない。
そう、こんな事など、今日で最後だろう、そう思っていた。
しかし、その考えは、去り際の一言によって瓦解することになる。

「それじゃあ、また明日ね、七ッ木光介君」

「...は?」

何故こいつが俺の名前を知っている?
今、何故、何をもってまた明日、などと言ったのか?
そんな疑問を抱いた時には、もう彼女は歩き始めていた。後ろに纏められて腰まで伸びた髪をなびかせながら。
「...は、ははは...」
乾いた笑いが出る。
「こりゃあ...想像以上に長引きそうだな...」

8月4日。下らない惨めな青春を謳歌していた俺は、この日を境に、本当の意味での「青春」に、出会う事となるのだった。

              デジタルな価値観、リアルの価値観。prologue -end-


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