あの日の君を今でも憶えている。

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26:理空◆LJ2:2017/01/06(金) 23:45

「……そっか。やっぱり、美月ちゃんには触れられないんだね」
分かってはいたことだけれど、そうなんだろうと思っていたことだけれど。それでも、ものすごいショックを受けている自分がいる。
もしかしたら、温かな彼女の肌に触れることができるんじゃないかと、微かに期待していたのかもしれない。彼女は生きていると、期待していたのかもしれない。いや、していたんだ。だって彼女は、あまりにも鮮やかなんだ。なのに。
「ほんとに、死んじゃってるんだね……」
言葉を絞り出すと、美月ちゃんが目じりに涙を残して笑った。
「今さら何言ってるの。陽鶴ちゃんったら、あたしのお葬式にだって来てたくせに、おかしい」
「ごめ……。だってあまりにも、美月ちゃんは美月ちゃんで、私の前にいるから……」
美月ちゃんが、私に指を伸ばした。頬に触れるか触れないかのところで、止まる。
「やだなあ。泣かないでよ、陽鶴ちゃん」
私の目からは、気づかない間に涙が流れていた。
「だ、って……」
声が詰まる。視界が滲む。
だって、死んでなんて欲しくなかった。
世界中の奇跡を掻き集めてでも、私は彼女に生きていて欲しかった。だから、こんなの、認めたくない。嫌なんだ。
「泣かないで。陽鶴ちゃん、疲れるとまた倒れちゃうかもしれないから、ね?」
「だ、ってぇ……」
「陽鶴ちゃんが泣いたら、あたしだって、また泣いちゃうから……」
美月ちゃんの目に、涙があふれる。私の拭えない涙が。
「ごめん……、美月ちゃ……」
私たち二人は、触れあうことのできないまま、向かい合ってただ泣いた。


それが、私と美月ちゃんの、夏の始まりだった。


理空◆LJ2:2017/01/06(金) 23:46 [返信]


12,七月二十日水曜日[続きD]

また、タイトル付け忘れです。すみません。


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