カゴノナカ

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12:梅っ子:2016/12/15(木) 23:07

>>11

【あ、間違って>>9ってしていた…!正しくは、>>10です(・_・;】


(( _ _ ))..zzzZZ


「シアーナ!起きて!大変なの!」
「…ん。リーファ?どうしたの?」
「ご主人様が…右の手首を自ら切って自殺を図ったようなの!ど、どうしよう。」
他の奴隷はこそこそと耳打ちをしていた。私は五感すべてが優れていて、体の丈夫で強い一族に生まれた。耳打ちの内容は丸聞こえだった。
「…今なら抜け出せるよ…ね?」
「…ご主人様…情けない…から抜け出せるに決まってる。」
とりあえずカゴの中から出たい一心の奴隷が多くいた。カゴの中から出たら、もしご主人様が助かったときに私たちは即死刑だ。大事なご主人様の情報を売っているかもしれないから。
「ねえ、シアーナ?聞いてる?今は、私なんかより優秀なエルフが手当てに当たっているの。でもいつまで魔力が持つか…、多分ご主人様、助からない。私たちせっかく仲良くこんな奴隷でもなれたのに…また奴隷商人が来て、また売りさばかれて…また大事な人と、引き裂かれるの?そんなの…ひどいよっ。」
リーファは泣き始めた。まるで売り買いされる自分よりも、売り買いによって引き裂かれる仲の方が悲しいらしい。私は涙を拭うリーファの両手をとった。
「リーファ。私たちはね、カゴノナカ。ずっと出られない。そう教わってきたよね?」
そう、ずっと教わってきた。
「でも…。」
「リーファ、カゴノナカがさ…もしも地球だったら、もしも宇宙って意味なら…私たちはね自由なんだよ。」
「カゴノナカが宇宙…?」
「宇宙がカゴって事…!その宇宙から出られなくてもいい。でも、こんな小さな世界では息が詰まりそう。ねえ、みんなも聞いてよ!」
ざわついていた奴隷たちが口を閉じる。
「私はシアーナ!よく拷問部屋に行っていたバカ!でも今だけこのバカの言葉を聞いて!カゴノナカからでられないって、私たちずっと言い聞かせられてた!でもそのカゴノナカってどのカゴなんだろう!?私は宇宙がカゴだと思うわ。私は宇宙から出る事はできないと思うし、何よりもこんな息が詰まるところで一生を過ごすなんて…出来ないよ!」
涙が今にも溢れそうだ。でもまだ。まだ早い。もう少しだけ。泣くな。
「シアーナ、十分よ。」
リーファが私の前に立った。
「リーファ…?」
「みんな!シアーナの言うとおりよ!私もカゴはこんなところではないと思うの!きっとみんなもそう思っているはずよ!ご主人様は自殺を図るほど追い詰められていた。私たちも一緒よ!ご主人様の最後を見届けてから出発しましょう。自由な世界へ。」
リーファの言葉を聞いてみんながまたざわつき始めた。悪い意味ではなく、いい意味で。すごく顔が生き生きしていたのだ。みんなの顔が。生きる事。死ぬ事。それは案外近くにあって気づいていないだけなのかもしれない。


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