「タブルンは、魔法が使えて戦える女の子に変身するためのアイテム!あなたなら、きっと使えるわ!」
「は、はあ……」
魔法使いになれ……私は今、とんでもない話をされてるのかもしれない。
信じる信じないの話は、今起きてることを見れば吹き飛んでしまう。問題はそこじゃない。
「私が、魔法少女……」
テレビアニメでは、かわいい女の子が魔法の力で強くなるのをよく見ていたけれど、
それが私となると、どうも実感がわかない、というか、私でいいのかな?
「友達を助けたいっていう、優しくて強い思い!ピッタリよ!」
「星川さんを、助けたい……」
――さっきも思ったじゃないか。そうして、あの男の人に立ち向かおうとして……
魔法少女になったら、今度こそ……!
「なるならなるで早くしろ!定時で上がりたいんだよ!」
サラリーマンの男の人が、大声で口をはさんでくる。
定時で帰るって、ほんとに働いてる人みたい。
…さっきから一言もセリフがない!
「言ったわね?後悔しないでよ!」
妖精さんは、えらく強気だった。
「ふう……」
そして私は、魔法少女になることを決めた……ん?
いざ手に取ってみたけどタブルンの操作って、どうしたらいいの?
こういうものは、自然と頭の中に入ってくるものと思っていたけど……
「……」
何も浮かんでこない。ここまできてどうしよう。
「ど、どうしたの!?」
様子がおかしいのを心配したのか、妖精さんが話しかけてきた。
「変身の仕方……わかんないよ」
「あっ」
うっかりしてたみたいな顔をした妖精さんは、気を取り直すように咳をして話しだした。
「魔法少女らしく、言葉が必要よ。その言葉は―――」
「……わかった!」
もう一度、私はタブルンを掲げて、言葉を叫ぶ……!
「マジカル・チェンジ!」