貴女に沈丁花を

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
10:水色瞳◆hJgorQc:2020/05/19(火) 12:49

>>8
次に勇者たちが島に来たのは、あれからおおよそ9ヶ月後だった。
時間感覚が長すぎる生のせいで破綻している少女にとっては、「もう来たんだ」という感想しか無かった。
だが、さすがの少女も彼らの顔つきの変化を感じ、認識を改めることにした。
勇者エイン以外、顔に傷が増えている。

少女が僧侶たるリリーに質問してみたところ、「あの人の戦闘センスは、天才です。」という。
だかその後盗賊のブロウに質問したら、「リリーのおかげさ。惚れてやんの」という答えが返ってきた。
それでいいのか、と思った少女だったが、勇者パーティーの士気は常に高いようだ。つまり、心配いらず見守れば良いだけだ。

勇者たちが去るとき、少女はまた花を贈った。
するとその返礼というべきか、魔法使いのネアが、
「実はねー、この近くにダンジョンが見つかったのー。だから、多分次からはもっと来れると思う!」と少女に話した。
「······だんじょん、?」
「あれ、知らないー?···うーん、じゃあ、今度いろいろ教えてあげるー」

お前勝手に、という視線がネアに集中するが、少女にとっては願ったり叶ったりだった。少し、この世界に興味を持ち始めていたのだ。
少女の瞳が輝きだすと、誰も何も言えなかった。
無論、ネアは片目を閉じた。

「じゃあ、またねー」
「······はい。また」

少女は勇者たちが去った後、鼻歌を歌い始めた。


全部 <前100 次100> キーワード
名前 メモ