貴女に沈丁花を

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13:水色瞳◆hJgorQc:2020/05/20(水) 19:39

それからというもの、勇者たちは1ヶ月に一回は島、に来るようになった。
スミレは、少しずつ今の世界について理解していき、それと比例して勇者パーティーの面々は歴戦の戦士らしくなっていく。無論、勇者エインを除いて。
ある時のことだった。勇者たちが一週間滞在する、ということでやや古くなった木の家を掃除するスミレの元に、手紙が風にのって届いた。

[スミレへ]
元気?私だよ、ネアだよー。
うれしいお知らせが三つあるんだけど、どっちから聞きたいー?

「何でしょうか」思わず反応してしまうスミレ。

まず一つ目ー。なんとー!あの人がー!(焦らすよー)リリーがね、エインに告白、成功して、付き合い始めたのー!わーぱちぱち!!

「本当ですか」

二つ目ー。なんとー!あの人がー!(何かごめんねー)エインが、魔王を倒したのー!わーぱちぱち!だけど私、久々に死にかけたよー!

「ネアさん······会いたくなってきちゃいました···」

三つ目ー。なんとー!そっちの島に、転移魔法がつながったのー!「わーぱちぱち!」
「え?」

スミレが振り向くと、なんとそこにネアがいた。わずかに顔が赤い。
「えへー、大成功!」
スミレとしてはそれどころではない、みるみる顔を赤くして、「···いつから、居たんですか」となんとか絞り出す。
「んー、······何でしょうか、の辺りから」
「······うぅ、ネアさんのいじわるぅ」顔を赤くして、ぽろぽろと涙を流しながら、ネアに抱きつく。
「わっ······あ、えっと、ごめん、怒った?」不安になるネア。
その腕の中のスミレは、精一杯の笑みで言う。「···いいえ。怒ってませんよ。······無事で、よかったです」


その後、時は流れて。
勇者エインはリリーと結ばれ。その仲間のブロウ、ネア、アルスト、そして大切な友達、スミレも皆、幸せな暮らしを送りました────






とは、ならなかった。


水色瞳◆hJgorQc さっさと授業戻れや:2020/05/21(木) 08:09 [返信]

読点間違えました→[島、に]


水色瞳◆hJgorQc:2020/05/21(木) 15:31 [返信]

物語で語られる、『勇者の冒険譚』から、四年。あらゆる者が憧れる勇者とその仲間は、今。

「相変わらず素晴らしいな、この島は」
「スミレさんと出会ったのも、ここでしたよね」
「あの頃の俺らが団結できたのも、あいつのおかげだな······」
「なにブロウー。惚れた?」
「···(それはネアじゃないか)?」
「アルスト何か言ったー?」

ここは、とある海に浮かぶ島。そこには、常に色とりどりの花が咲いている。
その景色を見て、僧侶リリーの服を掴んでいる、まだ幼い子供が息を呑む。

「···ママ、ここ、凄く綺麗」
「でしょ?連れてきた甲斐があったよ」
「そういえば······アヤメはここに連れてきたのは初めてだったな」
「誰か住んでるの?」
「うん。本にも載ってないけどねー、私たちの、大切な友達が居るの」

その時だった。
アヤメを除く──つまり、勇者たち──その腕に、鳥肌が立った。

「──あなた、これ」
「······信じたくは無いな。うぅん、──全員、周囲を警戒しろ。アヤメ、この中に入りなさい」
「おいおい、何が起こったんだ、一体?」
「······え。おかしい、この気配。──そんなはず」
「──スキル発動、『守護神』。まさか、だが」

勇者エインの顔が、瞬時に鋭くなる。
それを見たアヤメは、訳は分からなかったが、咄嗟にそこにあった木の蓋を開け、その中に入り、



────直後。

「──フ。まさかそっちから来るとはな。さて。雪辱を果たさせてもらう」

「「「「魔王、カースモルグ···!」」」」
「何で?居るの!?」

死闘が始まる。


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