白痴な記録

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2:更互無◆WM:2020/12/31(木) 23:03

題 : ココロリサーチ
1-1 : 存在理由




たまに「自分は生きていて意味があったのだろうか?」と思う時がある。
オレは醜く、未来なき人間だ。そしてこの不平等の生みの親、世界そのものに中指をおっ立てる一人でもある。もしも、この世界に創造主” クラフター ”がいるのなら、ソイツにはこう言いたい。クソッタレ!


「……ノウくん?
おーーーい、ノウくん!聞いてます?」


ゴォォォォォォォ–––!!
騒音に入り混じる、聞きなれた高い声。
人と話している時、こうしてボーッとしてしまうのは悪癖だ。
真横の少女がまじまじと顔を近づけてきたことで、こちらの体は、少女から距離を取るよう自然と壁へと傾いた。少女のただでさえ大きな目を強調する、白くて、上向いたゲジゲジまつ毛が、自分の頬に触れまいかと、なんだかドキドキしてしまう至近距離だ。


「 え、あ 」

ゴォォォォォォォ–––!!
時速、数十キロもの速度で進む地下鉄列車。
割れた窓からは、暗黒の残像が通り過ぎ、電車のヒビ入り扉はガタガタ揺れる。こうした騒音演奏会に耳を塞ぎたくなる中、真横の少女は、丁寧に、耳元まで自身の口元を近づけた。そして文句を言うのだ。

「まったく、なんです?その間の抜けた態度は。しっかりしてください。アナタは学年の中でも、非っじょーに!成績が!いいんですよ。ワタシ、アナタの未来を楽しみにしているんですから」

「そうなのか」

「素っ気ない返事です。もっと自分の将来だとか、自分の目標に目を向けてください。もっと、自分に関心を持ってください。ワタシ、アナタがとても心配です。最近アナタ、学校ずっと休んでいましたし」

「それはごめん、もっと自分に関心持つ」

「また素っ気なくてもう!って感じです。アナタの抱える問題には、時間が必要のようです。
…そうです!ノウくんは何か、したいことはありませんか?」


したいこと?
この少女は、オレのことを何も知らないからこんなこと言えるんだ。それに、さっきからずっと、オレの将来だとか目標だとか言っているが、オレには文字通り、未来がない。これは比喩なんかじゃなくて真面目な意味で。
このことについて、オレの数少ない友達の一人であるオマエにだけ、教えよう。


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