天使の館

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
14:伯方さん イラスト:友人K:2021/12/01(水) 22:07

画像
https://i.imgur.com/2Rp4ewh.png

はっと目を覚ますと目の前には冷めたコーヒーがあった。
「ん…ぁあ…れ…?眠ってました…?」
残しちゃダメだ。苦く不味く冷たくなったコーヒーを一気に飲み干した。
「ノンカフェインのコーヒーだからね。もう君の世界では夕方ごろだ。帰りなさい。大丈夫だから」
「大丈夫って…」
虐待を受けているというのに帰りたくない。
そんな私の心情を察したのか、男性(?)は優しく微笑む。

「大丈夫だから。」

この一言が奇妙なほど安心した。
天使に囁かれているように甘い毒が私を蝕んでいく。そんな感覚。
安心はするが、ひどくゾッとする。
矛盾しているのはわかる。でも他に形容するものなんてない。
扉が開かれ帰るように促される。
私は寝起きのせいかフラフラと歩きながら外へ出た。
「そこに大きい木があるでしょう。その木に一礼二拍手二礼。そしたら目を瞑って木に触れてください。戻れますから」
「あの…えっと、ありがとうございます…ローザさんにも伝えておいてください」
ぺこりと頭を下げ、一際大きな木に一礼二拍手二礼。目を瞑り木に触れると_
あの喫茶店の路地裏にいた。


全部 <前100 次100> キーワード 画像一覧
名前 メモ