暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part5♪

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513:凪海:2016/05/08(日) 23:07 ID:ySs

>>505

茅野に案内されたところは、体育館倉庫だった。
床には青色のビーズがところどころに散乱していた。

渚「あっちゃー、派手にぶちまけちゃったね」
茅「片付けてたら手が滑って。川の表現に使ったビーズなんだけど、小道具会社からの借り物で」
渚「いいよ、2人で拾おう」
茅「ありがとー」
殺「席をはずしたのはそういうわけですか。せんせーも手伝ってあげましょう」
茅「あはは。じゃあ頼っちゃおうかなぁ」

僕らはビーズ拾いを始めた。

茅「色んな学校行事やったよね」
渚「うん、でもこれ片付けたら全部終わりだ」

これからは暗殺に専念できるけど、修学旅行も体育祭も文化祭も、普通の学校以上に充実してた。
僕らはこの1年間の、色々なことを振り返りながら作業に励んだ。

茅(イトナくんのときは焦ったなー。先に殺られちゃいそうだったから。いつも殺せんせーは、私たちのために、危険を冒してでも助けてくれて。渚も、見ててハラハラするときもあったけど、私の隣で、いつも真剣に殺気を放っていて……。私もこの教室で、色んなことやれたなぁ……)

よし、こっちは片付いた。
次はっと。
そう思いながら、なんとなく視線を後ろに向けた……。

茅(気づかなかったね、最期まで)

茅野の、首……。
あれって!?
ウソ、なんで……。なんで、茅野に……。
突然、爆発するような音が響いた。
茅野の首にある、触手が、体育館倉庫の床を破壊したのだ!!

殺「え……!?」
茅「大好きだよ、殺せんせー。死んで」

☆(茅野side)

ずっと見てきた、いろんな殺し屋が挑んでは失敗していくのを。その中での最大の成功例は、単純な落とし穴。私の触手は、「死神」よりも上手に殺れる!!
殺せんせーは必死になって地上に登ろうとしているけれど、残念。上手でしょ? せんせーの動きのパターン、特等席で1年たっぷり予習したから!!
あと、一撃!!
私は触手を振り下ろそうとした。

茅「!? まずいっ!!」

殺せんせーがエネルギー砲を撃とうとしている。私は急いで攻撃から防御に切り替えた。

☆(渚side)

磯「渚、大丈夫か!?」

体育館倉庫から抜け出すと、みんながいた。

渚「だい、じょうぶ……」

近くの地面がボコボコと盛り上がり、そこから殺せんせーが飛び出してきた。

殺「はぁ、はぁ、はぁ……」

次に、体育館倉庫の天井が破られ、そこから……。

茅「壁を壊して地中から脱出か。しくったー。殺せんせーが生徒を殺すわけないのにね」
奥「か……」
神「茅野さん?」
片「何、その触手……」


凪海:2016/05/08(日) 23:44 ID:ySs [返信]


殺「茅野さん、君はいったい……」
茅「ごめんね、茅野カエデは本名じゃないの……!?」

突然、だった。
茅野の首から生えていた触手が、吹っ飛んだのは。
横から、対せんせー弾が発射されたのだ。

海「やっと、正体を表したね。茅野カエデ。いや、雪村あかり!!」

海が首からさげて持っていたのは、どこにでもあるような、音楽プレイヤーだった。その、本来ならイヤフォンをさす部分から、発射されたのだ。

渚「う、み……」

海はウェストバッグを地面に落とした。そこから20センチくらいの棒を取り出す。
あれは、日本刀!?
そうだ、間違いない。海がその棒にあるボタンを押すと、そこから刀がでてきた。

海「たぁっ!!」

海が思い切り跳躍し、茅野の触手に向かって刀を振りかざした。

渚「海っ!!」
茅「くっ」

海の突然の攻撃に動揺したのか、茅野はうまく反応できず、必死に避けていた。

岡「どう、なってんだ。茅野に触手……」
前「その上、海はずっと茅野に触手が生えてるのを知ってた素振りだったぞ」

僕らの間に、動揺が広がった。
そして、そのとき。僕の頭の中には、あの日の海とカイの言葉が蘇った。

夏休み

海「君には、あの教室の真実が見えていない」

体育祭

海「海はいつか、クラスメイトの誰かを殺す」

もし、もしもそれが、他の誰でもない。茅野のことだとしたら?
もし、今。海が茅野を殺そうとしているのだとしたら?
そんな、こと……。
だって、海はいつも茅野と仲良くしていたじゃないか。スイーツ店に行ったとか、このお菓子が好きなんだとか、いつも。楽しそうに会話をしていたじゃないか! それ、なのに……。

海「そのとき、お前は海の助けになってほしい。海が、誰も殺さないで済む方法を。海が、幸せになれる方法を。それが俺の、俺たちの願い。お前への約束だ」

渚「助け、なきゃ」
カ「え? な、渚くん!?」

みんなが僕に声をかけたけど、そんなの、気にしていられない。だって、あんな茅野。あんな海を、もう見たくない! 見て、いられない!!
気付いたら、僕は、2人の間に割って入っていた。

海「!?」

海が、驚いた顔をして僕を見た。けれど、振り下ろされる刀と、その向こうで同じく驚いた顔をしているのは、触手を振り下ろしている茅野だった。
頭に、強い衝撃が走った!!

海「な、渚ぁっ!!」

海が青ざめた顔をして、僕に手を伸ばしてくる。僕は、その手をつかもうと、手を、伸ばした。けれどそこで意識は途絶えた。
意識が途絶える寸前、僕はいつの日かの海との会話を思い出していた。

海「なぎ、さ……。良かった、ホントに、良かった……」

涙を流すジャンヌの顔を、僕はほうけて見ていた。
ジャンヌはいつも通りの白い、無地の着物を着ていた。その、白い布に、まるで花を咲かせたように、赤い斑点が、いくつもついていた……。


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