暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part5♪

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533:凪海:2016/05/10(火) 00:17 ID:ySs

>>523

茅野side

ただ迎えに行っただけだった。積もる話をする約束で。昼間は教師をやっているお姉ちゃんが、夜に手伝っているという、研究所まで。
役者業は事務所の意向で長期休業中。町で私に気づく人もいなくなった。

あかり「今の方が気楽だなぁ、フツーに就職目指そっかな……」

正面から、人が走ってきた。避けようとしたけれど、その子と肩がぶつかってしまった。

あか「ごめんなさい!」

慌てて謝ったけど、その子はすでに走り去ってしまった。

あか「あれ?」

不思議に思って首を傾げていると……、

ドゴーーーーーーーーーーン

突然の、大爆発。
警備の人は右往左往。じっとしていられず、私は急いでお姉ちゃんのもとへ向かって走った。
やがてたどり着き、そこで目に入ってきた光景は!

あか「あ……」

息絶えた姉と、触手の怪物!
怪物が去っていくと、私は急いでお姉ちゃんのもとへ寄った。

あか「おねえ、ちゃん?」

声をかけても、返事はなかった。
どうし、て?
私はお姉ちゃんを揺さぶった。何度も、何度も。「お姉ちゃん」と連呼しまくった。
それなのに。
涙が頬を伝って、こぼれ落ちた。
視線を別に向けると、そこには書き置きがしてあった。

「私は逃げるが、椚ヶ丘3-Eの担任なら引き受けてもいい。後日、交渉に向かう」

と、あった……。
そこからの私の行動は早かった。
傍にあった触手の種を持ち帰り、自らを「茅野カエデ」と名乗り、椚ヶ丘に転入。理事長の私物を故意に破壊してE組行きを仕向け、触手を移植後、何食わぬ顔であのクラスに溶け込んだのだ……。
たとえ、自分が死んでもいい。仇さえ討てるのなら!



海「雪村あぐり」
渚「え?」

僕らの間に、再び動揺が広がった。
どうして海が、E組の前・担任の名前を知っているんだ?

海「茅野カエデの、雪村あかりの姉の名前……。『茅野カエデを殺す』というのは、あぐりさんに頼まれたことだったの……」


実の姉が、妹を殺す依頼、だって?

海「でも、その目的は……所詮は第2の目的でしかなかった」
神「第1の目的って?」
海「……それは、まだ言えない」


凪海:2016/05/10(火) 23:34 ID:ySs [返信]


渚「で、でも! 海はあんなに茅野と仲良くしていたじゃないかっ⁉ それも全て、ウソだったって言うの⁉ どうして殺すなんて!」

僕は切羽詰まって、勢いのまま口走った。海は僕のその勢いに、しばらくぽかんとしていたけれど、やがて納得したように頷いた。

海「あ、そういうことね。勘違いしているみたいだからあえて言うけど、あぐりさんからは、正確には『あかりを助けて』と言われたんだ。それは要するに、茅野カエデとなった原因の1つである触手を破壊すること。彼女の触手を破壊した時点で、彼女は茅野カエデではなく、雪村あかりに戻るんだ……」

あ……、そういうことか。
僕は一気に力が抜けた……。

カ「そういうことねー」

カルマくんの声に僕らはそっちを向いた。彼は何故か、出席簿を開いていた。

カ「ずっと不思議に思ってたんだ。どうして海は、前原の前に名前を呼ばれるのかって」

そう言われて、僕も思い出した。
殺せんせーが出席を確認するとき、必ずと言っていいほど、不破さんのあとに海の名前が呼ばれるのだ。そのあとに、前原くんの名前が……。

カ「要するに海は初めから、この学校の生徒だったんじゃないのぉ? だから、雪村先生の名前も知っていた。そうじゃない?」


海が、初めからこの学校の生徒⁉
僕らは驚いて海を見た。彼女は、青ざめた顔をして黙りこんでいた。

渚「海?」
海「うっ……、ゲホッ、ゲホッ……!」

いきなり、口を押さえて激しく咳き込み始めた!
僕らがあっけにとられている間に、海はよろよろと立ち上がると、自分の席に近づいてバッグから薬を取り出した。
全部で、錠剤が6粒……。

渚「海、君はいったい……?」

そのとき、着信音が教室の空気を破った。
殺せんせーが携帯を取り出す。
メールが、入っていた。



茅「来たね。じゃ、終わらそ!」

すすきが揺らめく公園にて、茅野が、ターゲットを。姉の敵である殺せんせーを、にらみすえていた。

茅「殺せんせーの名付け親は私だよ? ママが『滅ッ!』してあげる……」
殺「茅野さん、その状態で触手を扱うのは危険です。このままでは命に関わる」

茅野は、なんでもないような顔をしていた……。

渚「茅野……。全部、演技だったの? 楽しいこと、みんなでしたのも。苦しいこと、みんなで乗り越えたのも……」

茅野は、にっこりと微笑んだ。

茅「演技だよ。これでも私、役者だったんだよ」

ウソ、偽りのない。そういう顔をしていた……。

海「カエデ……、人を恨むことで戦う強さには、限界があるんだ……。だから、それ以上……」

海が、弱々しくも強い瞳で訴えていた。
茅野は、唇を噛む動作をしたあと、

皆「⁉」
茅「うるさい、部外者たちは黙ってて!」

茅野の触手に火がついた!

茅「どんな弱点も欠点も、磨き上げれば武器になる。そう教えてくれたのは殺せんせーだよ? 体が熱くて仕方ないなら、もっともっと熱くして、全部、触手に集めればいい!」
殺「ダメだ! それ以上はっ‼」
茅「サイッコーのコンディションだよ。全身が敏感になってるの。今なら、どんな隙でも見逃さないっ!」

茅野の触手が、殺せんせーに襲いかかるっっ!

茅「死んで、死んで、死んで……!!」


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