暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part5♪

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633:凪海◆L6 ホィ(ノ゚∀゚)ノ ⌒dice6:2016/05/15(日) 13:56 ID:ySs

>>629

 海はフッと微笑んだ。

海「何を根拠に?」
渚「……雨の日、元気がないときとか。実は、プールも本当は泳げないんじゃ……。それに」
海「甘い物が好きなところ、とか?」

 僕は海の言葉にうなずいた。

海「半分当たって、半分違うかなぁ……」

 海は病院を出てからの続きを語った。


(海side)

 まずは渚を誘拐したあの殺し屋たちに、誰に雇われたのか聞くのが先決だ。
 そのとき、視界に黒いワゴン車が入った! 渚をさらったときにいた車で間違いない!

?「察しが良いな」
海「⁉」

 声がした。私は身構えた。

海「てめぇだな? 渚をさらうように殺し屋を雇ったのは」
?「ああ、そうだ」
海「んな回りくどいことせずに、正面から向かって来いよ」
?「だから、ここに来たんだ」
海「はぁ? ……⁉」

 後ろから、思い切り殴られた。
 くっ……、後ろにいたのか……。
 私は必死になって、刀に手をのばそうとしたけれど手が、届かなかった……。



 僕らは驚いた。

海「言ったでしょ。全ては巧妙に仕組まれた罠だったって。あいつらは、私を初めから目的としていた。きっと、あいつらにとって、私はちょうどいいモルモットだったってわけ」

 自嘲気味に笑う海。

速「モルモットって?」
海「愛美なら、わかるんじゃない?」

 海が奥田さんを見た。僕らも彼女を見た。彼女は、海の顔を見て青ざめていた。

奥「まさか……」

 奥田さんはどうやらわかったみたいだった。僕はじれったくなった。

渚「何、何なの⁉」
奥「よく、あるじゃないですか……。理科の実験で、使われる。ねずみとか、モルモットとか。つまりモルモットっていうのは……」

 ⁉

原「実験、動物……」
奥「そうです……」
渚「誰が、海をさらったの……?」
海「……柳沢誇太郎」
茅「⁉」
殺「⁉」

 茅野と殺せんせーが反応した。

カ「誰そいつ」
茅「シロ」

 え?

茅「柳沢誇太郎は、シロの本名なの……」



柳「本郷海。あの殺し屋がE組にいるという情報は得ていたが、彼女が私を見たときの顔は、まったくもって傑作だったね。心底怯えている様子で。メンテはほぼ完ぺきだったからあまり苦しむことはないと思われていたが、予想以上に拒絶反応が強すぎたみたいだね。きっとアレルギー反応みたいなものなのだろうと推測できるが」


凪海◆L6 ( -.-)ノ ・゚゚・。dice1:2016/05/15(日) 20:07 ID:ySs [返信]


海「律」
律「はい」

 海が不意に律の名を呼んだ。

海「私に初めて話しかけたとき、君言ってたよね? 私から微弱な電波を感じるってさ」
律「はい」

 どういうことだろう。たしかあのときの話は、海が朝に食べたシリアスの中に誤ってICチップが入っていてそれを飲みこんだっていう結末だったはず。どうして今になってその話に?

海「あれの本当の意味、教えてあげるよ……」

 本当の意味⁉
 海は僕らに背を向けて、肩あたりまである髪をまとめて持ちあげた。
 そこに、あったのは……。

渚「何、それ……」

 半径3センチほどの小さな円盤が、海の首にはまっていた。よく見ると、液体が入っている。

海「0.001ミリリットル」
奥「?」

 海は円盤の正体が何かを言わず、謎の数字を言った。

海「……この中にある液体はね、触手細胞」
殺「⁉」
海「これが1日0.001ミリリットル、脊髄を通して流れ込む……。私の体はね、いわば半分触手持ちで半分人間ってとこかな」

 僕らは信じられない思いで海を見つめた。

海「ねぇ、律。これでしょ? 微弱な電波の正体って」
律「はい。間違いありません」

 律の単調な言葉に、僕らは衝撃を受けた。

海「これの本来の役割はね、発信機なんだ。……柳沢が、私に対してした、とんでもない贈り物……。あいつ、私が逃げたときにすぐに居場所がわかるようにしたんだ!」
渚「逃げたとき、って?」

 僕の声は、きっと震えていた。自分では、どうして震えていたのかよくわからない。12月の寒さのせいか、それとも。信じられない真実を明かされたためか。
 海はやはり、自嘲的な微笑みを浮かべる。

海「これが、私が話す、最後の真実……。私の、さいごの物語……」

☆(海side)

 ここ、どこだ? 時計もないから正確な時間もわからない。頭を殴られたときの衝撃がまだ残っているから、そんなに時間は経っていないはず。
 私はゆっくりと起きあがった。
 部屋を見渡すと、そこは畳・10畳ぶんくらいの部屋。狭い……。
 そこへ、ドアが開く電子音がした。

海「誰?」

 私は腰にまだウェストバッグがあることにほっとしながら、そこのファスナーに手をかけた。

?「あれ、もしかしてまだ小学生?」

 入ってきたのは、私をさらった男とも、または殺し屋らしい雰囲気も持ち合わせていない。女の人だった。

海「誰だ、あんた」
?「えーっと、雪村あぐりっていいます。あなたの監視を任されているのだけれど……、まぁ監視らしい監視はしないのだけどね。あなたのお名前は?」

 曖昧な発言に首をかしげながら、私もとりあえず名乗った。

海「本郷海」
あぐ「良い名前だね」
海「………」

 雪村あぐりはにこりと微笑んだ。警戒する必要のない微笑み方だった。どうやら、本当に殺し屋ではないらしい。
 気になるのは、1つ。

海「そのシャツ、気持ち悪い……」
あぐ「え、いきなり⁉」

 雪村あぐりはショックを受けたような顔をした。


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