暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part5♪

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830:凪海◆L6 (ノ ゜Д゜)ノdice4:2016/05/28(土) 21:50 ID:ySs

>>818

 お互いに無言状態が1分くらい続いた。ちゃんと電話は通じているだろうかと不安になって、何か言わなきゃと思うたびに何を言えばいいのか。顔が火照って、熱でもあるんじゃないかってくらいに……。

「速水?」

 沈黙を破ったのは千葉だった。

「な、に……?」
「……声、しなかったからてっきりもういないもんだと思ってた」
「いたよ、ずっと……」

 ただ、恥ずかしくて声がだせなかっただけで。

「俺も女子と付き合ったことなんてなかったし、そもそも人付き合いがあまり得意じゃないほうだから。速水に迷惑かけることもいっぱいあると思う」
「そ、そんなことない!」

 思わず声をあげていた。

「わ、私の方が迷惑かけてばっかりで……。いっつも、千葉に、その、迷惑かけてばかりで申し訳ないし……」

 耳をすますと、電話の向こうでクスクス笑う声が聞こえた。

「千葉?」
「あ、ごめん。なんか互いに思ってることは一緒なんだなぁって思ってさ」
「あ……」

 私もなんとなく気づいて、笑ってしまった。

「……なぁ、速水」
「うん?」

 ひとしきり笑ったあとで、千葉がちょっと真剣そうな声をだした。私は笑いの余韻に浸りながら返事をした。

「な、名前で呼んでもいいか?」
「へっ⁉」

 な、何をいきなりっ!

「そ、そんな。え、ちょっと待って。というか、え、今⁉」

 動揺しすぎだ、私……。
 いや、でも普通。異性に「名前で呼んでもいい?」と言われたら、誰でも動揺するか……。

「今」

 千葉の声が緊張で堅くなっている。

「え……、えっと……。あの、その……」

 今、なんだろうか。
 もしもこれが学校でだったら、間違いなくカルマ、中村あたりにからかわれているだろう。あ、海もからかってきそう……。

「は、恥ずかしいよ……」

 私はまた顔が火照った。

「残念だな」
「え?」
「いや、今。きっと速水は顔が真っ赤になってるだろうから、それを見られなくて残念だって思って」

 ?

「きっと、かわいいだろうなって」

 ⁉
 私はやかんが沸騰したかのように、顔が思い切り火照った。
 そして、その隙を撃つかのように、千葉は。

「凛香」

 と、ささやくように私の名前を呼んだのだった。

〜END〜


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