初回投下
【プロローグ】
叫ぶ。ただ、叫ぶ。もう戻ってはこない「貴方」を探して。
＿覚えていてね.............になるけど、この......の......は、............だよ。またね＿
最後に、甘く、優しく、霧と化すように言った言葉が、頭から離れない。不意に体のバランスを崩し、目の前の石に頭をぶつけそうになる。体をひねり、石への衝突を避ける。だが、完全に避けることはできず、うつぶせに倒れこんでしまう。重い体を無理やり動かし、ぶつかりそうになった石に背中を預ける。それと同時に強烈な眠気が襲って来る。このままではいけないと感じ、さっと立ち上がる。フラフラと歩いていると、今度は先ほどの石よりも一回りほど小さい石につまづいてしまう。瞬発的に地面に手をつこうとするがそこに地面はなく、深く底が見えない穴であった。
＿...は..............、.............んだね。そこに、いるんでしょ？今、.............行くよ＿
目を開くと、草花にまみれた「天井」が、どんどん遠ざかって行くのがわかった。そこでやっと自分がどうなっているのかがわかった。「死」を悟りゆっくり目を閉じ、優しく微笑む。そうしたすぐ後に、強い衝撃が背中を襲う。その衝撃で、意識は火が消えるように消える。だが不幸中の幸いというものか、彼女が命を落とすことはなかった。だが、今ここで命を落とせばよかったと思うことが、彼女には多々あるだろう。「地上」ではありえない物語が、彼女を待っていたのだから。
ここまでが一応プロローグです。次はお花さんが出るまで書くつもりです。