安価で小説

葉っぱ天国 > 匿名 > スレ一覧
2:匿名:2018/06/03(日) 18:37

何気ない幸せを噛み締める学生の話


匿名:2018/06/03(日) 18:56 [返信]

>>2 何気ない幸せを噛み締める学生の話


昔から成績が良くて、天才と言われていたあたし。
周りから「優等生」っていうレッテルを貼り付けられて、避けられてきた。
「唯ちゃんって勉強ばっかりだから、友達になるなんて図々しいよね」
「相原さん、近寄りがたくない? 話しかけても態度悪そう」
みたいな事をたくさん言われてきたけど、違う。
本当は友達が欲しかった。一人は嫌だった。
そう思っていたけれど、年齢を重ねるにつれ、あたしの周りからはどんどん人が離れていく。
……だけど、それは小学生までの話だった。

中学校に入学した。
入学式のとき、あたしは「どうせ友達なんて出来ないんだろうな」と思っていた。全てを諦めていたのだ。
「はじめまして、私は中島陽菜! よろしくね!」
だけど、話しかけてくれた子がいた。
しかし、当時のあたしは「どうせあたしの事知ったら離れていくんだろうな」って思っていた。今までもそうだったから。
でも、彼女……陽菜ちゃんは違った。

ある日、入学式の次の日に受けた実力テストが返ってきた。
勿論……なんて自分で言うのもアレだけど、全部100点だった。
その時は「これ、誰かに見られたら避けられるだろうな」って勝手に思っていた。
だから隠したけれど、陽菜ちゃんは強引だった。
「唯ちゃん、見せて!」
あたしの手からテストの結果用紙を強引にひったくり、その中身をまじまじと見る。
もうその時は「あーあ」って言葉しか出なかったね。先の事に何となく勘づいてて。
「…………!」
陽菜ちゃんは、あたしのテストの結果を見て、目を見開いた。
―――――ああ、陽菜ちゃんはもあたしから離れて……
「凄いね!」
「……え?」
陽菜ちゃんの言葉にびっくりして、その時は間抜けな返事しか返せなかった。
でも……陽菜ちゃんはただ純粋にあたしのことを褒めてくれただけだった。
この後あたしの過去を少し話したけれど、彼女はあっさりと受け入れてくれた。
それが、とても嬉しかった。

この日から、あたしは「仲間がいる」っていう何気ない幸せを知った。
今は理解してくれる人は陽菜ちゃんしかいないけど、後ろ向きな考え方はもう終わりにしようと思う。
あたしは今、幸せだ。

―――END


全部 次100> キーワード
名前 メモ