【東方】「夜想譚」

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1:語り手◆3.:2020/12/12(土) 03:52

幾つの夜を乗り越えたとしても凄惨な過去から逃れることは出来ない。
背後の闇は未来を進む者さえ呑み込もうと迫るもの……
これは紅魔の館に仕えるメイド……"十六夜咲夜"の物語

>>1 世界観と注意
>>2 異変キャラ

2:語り手◆3.:2020/12/12(土) 03:55

【世界観】

物語の舞台となる幻想郷は丁度、紅霧異変が終わり、妖々夢本編開始までの間の時系列となっています!オリジナル要素が強めになると思いますので、東方projectについて知らない方でも参加しやすくなっていると思います!


【注意】

1.本編キャラでの顔文字の使用禁止
2.本体同士の会話は【】などで囲って下さい
3.チートレベル(紫や霊夢以上の強さ)のオリキャラは一部異変キャラを除いて禁止
4.ロルは二行以上お願いします
5.アンカーを付けて下さい
6.管理できるなら何役でも使用可
7.死ネタあり

3:語り手◆3.:2020/12/12(土) 04:10

【異変キャラ】


名前/終月零夜
読み/ついらぎ れいや

二つ名/『時空を操る復讐者』
性別/男

性格/冷酷冷徹な性格をしているものの、姉の咲夜に対して激しい憎悪を抱いており時折、氷のように冷たい仮面の下に隠された激情を表に出すこともある。だが、その根底にあるのは自分達を見捨てた(と思っている)姉に対する怒りと悲しみの念であるものの、復讐心に支配された彼にとってはその自分の本当の気持ちにさえ気付けなくなっている。

能力/「時間を操る程度の能力」
姉の咲夜が使うものとほぼ同質の能力であり、時間操作だけでなく空間操作も可能であり、その気になればほぼ無限に時を止めている事も出来るものの、同じ血と力を持つ咲夜であればその時間操作を解除する事が出来る。

容姿/画像参照
https://i.imgur.com/acAhlOP.jpg

備考/咲夜の双子の弟。
清められた聖銀の短剣を得物としており、青炎を放ち、短剣や長剣を手元に召喚して振るう事で時止めを行わなくとも高い戦闘能力を有している。
かつて月の秘術を求めた悪魔達の襲撃によって両親を目の前で殺害された際に咲夜が自分達を見捨てて逃げたと思い込んでおり、辛うじて生き残ってからも地獄のような日々を暮らし、死に物狂いで人妖問わず戦い続け、元々の優しい性格が己の本心さえ気付けなくなるほど歪んでしまう程の地獄を味わう。
その一方で、幻想郷には自分達の事を忘れて幸せに暮らしている姉が居ると知り、その憎悪と復讐の矛先を向け、姉と姉の大切にしているモノの全てを滅ぼそうとする……

4:参加希望◆gI:2020/12/12(土) 19:37

【早速来ました!咲夜さんで参加希望です!】

5:語り手◆3.:2020/12/12(土) 23:09

【ありがとうございます!!
ちなみに咲夜さん以外で使用されるキャラも記載して頂けると幸いです!
m(__)m】

6:参加希望◆gI:2020/12/13(日) 10:15

【書き忘れていましたW おぜう様とフランちゃん役もやります!】

7:語り手◆3.:2020/12/13(日) 14:53

【ありがとうございます!!
では、私は追加で美鈴とパチュリーをやりますね!】

8:華人小娘◆3.:2020/12/13(日) 15:00

【紅魔館 】


美鈴
「いやぁ〜すみません、咲夜さん。」

紅霧異変の首謀者であるレミリアが博麗の巫女と黒白の魔法使いによって敗れた事で異変が解決し、その後に妹のフランドールもまた、幻想郷の守護者達に敗れ、異変は終わりを迎えた。

紅霧異変からそう時が経っていない館内には、破損した建物を修理するために大量の角材と鋼材を抱えた紅魔館の住人の一人である美鈴が人間であるにも関わらず、重い資材を一緒に持って館の修理を手伝ってくれている咲夜に対して感謝の言葉を口にする。

>>咲夜

9:十六夜咲夜◆gI:2020/12/14(月) 05:51

気にすることないわよ、仕える主の為にやっていることだもの、あなただってそうでしょう?

(着々と館の修復作業を進める中で、すみませんと口にする美鈴に、咲夜は気にすることはないと、これは自分の意思で、もっと言えば仕える主の為にやっていることだからだと言う・・・・・

しかし、咲夜もやはり人間だからか、体にかかる負担は美鈴と比べれば大きいが、そんなことも言ってられずに、着々と作業を進めてゆく・・・・・)

>>美鈴

10:華人小娘◆3.:2020/12/14(月) 19:23

美鈴
「勿論です!お嬢様は私に居場所を与えてくださった恩人です。その恩を少しでも返せるように日々考えています!」

明らかに200kg以上ある鋼材を片手で軽々と持って運んでいる美鈴は満面の笑みで主への恩を少しでも返せるかもしれないと思い、嬉々として話す。



美鈴
「では、後の力仕事は私がやっておくので、お嬢様にあと三時間程で修理が完了できると言うことを伝えておいてもらえますか?」

当時はまだホブゴブリンも居らず、妖精メイド達では力仕事は任せられない、となると主のレミリアとフランドールに次ぐ肉体強度と腕力を持った美鈴が力仕事をこなす事になる。
塗装や整備等であれば時を止めて作業が出来る相手が適任であるものの、かなりの重量を誇る鋼材を用いた力仕事は自分が適任であることから先に主のレミリアに修理完了時間について伝えて欲しいと言う。

11:十六夜咲夜◆gI:2020/12/15(火) 05:31

わかったわ、それじゃあ後は任せたわよ?くれぐれも作業中に居眠りとかしないようにね?

(あと三時間ほどで修理が完了するという美鈴に対して、それじゃあ後は任せたと言うものの、同時にくれぐれも作業中に居眠りはしないようにと一応念を押す・・・・・

そして、そのままその場を後にする・・・・・)

咲夜「お嬢様、妹様、美鈴曰く、あと三時間ほどで館の修繕が終わるようです」

レミリア「意外と早かったわね、とりあえずは一安心ね・・・・・」

フランドール「早く直らないかなー・・・・・」

(咲夜から館の修繕があと三時間ほどで完了するという報告を受け、レミリアは思っていたよりも早く修繕作業が済みそうで安心し、フランドールは待ちきれないのか、早く直らないかなーと言葉を漏らす・・・・・)

12:知識と日陰の少女◆3.:2020/12/15(火) 12:21

パチュリー
「……まったく、あの巫女と半人前の魔法使いもそうだけれど、貴方達は暴れ過ぎよ。」

パチュリーは喘息持ちであり、体力が無いことから肉体労働が苦手であり、修理を手伝えない代わりにこの館の建築構造や設計を把握し、それを元に修理計画図を描く事で修理箇所や修理方法を伝える事で手伝っている。

パチュリーはレミリアとフランの近くにある椅子に座り、普段読んでいる魔導書ではなく、建築書を読んでおり、視線を本から逸らさないものの、吸血鬼としての圧倒的な力を持ったレミリアとフランの二人が本気で戦った結果、こうなってしまったのだとため息交じりに言う。

13:スカーレット姉妹◆gI:2020/12/16(水) 04:58

レミリア「ま、まぁ、確かに私達もちょっと暴れ過ぎた感は否めないわね・・・・・」

フランドール「私はもう少し暴れたかったけどなぁ・・・・・」

レミリア「・・・・・」

(レミリアがさすがに暴れ過ぎたと思う中、フランドールはもう少し暴れたかったと言葉を漏らせば、レミリアは咄嗟に無表情でおいマジかと言わんばかりの視線をフランドールに向ける・・・・・

館を修復しなければならないほどにまでなったのだから、もう少しオブラートに包むとかしないのだろうかとも思っていて)

14:知識と日陰の少女◆3.:2020/12/16(水) 17:53

パチュリー
「はぁ……今回は部分的な倒壊だけで済んだのだけれど、貴方達が本気で暴れればこの館は簡単に壊れてしまうのよ?」

右手を本から自分の額に当てて深いため息をつき、まだ暴れ足りない様子のフランの言葉を聞いて呆れたような様子で二人に話す。

紅魔館の資産の一角である里で高価で売れる貴金属や物質の錬成(建築用の資材は純金や純銀とは違い基礎的なものが多いため、かえって錬成する事が出来ない)を行っている事から、今回の修理によって必要な調達費用や、それを調達するために必要な金を得るための手間を考えてしまっている。

15:スカーレット姉妹◆gI:2020/12/17(木) 00:07

フランドール「あ、じゃあ館以外の場所で暴れればいい?」

レミリア「・・・・・」

(レミリアは再びフランドールに視線を向けた後「ねぇ、パチェ・・・・・この子の破壊衝動を抑えられる薬とか作れない・・・・・?」と、何とか妹を抑え込もうと考え始める・・・・・

多分このままでは、紅魔館半壊だけでは留まらず、取り返しのつかないことになると思ったのだろう・・・・・)

16:知識と日陰の少女◆3.:2020/12/17(木) 20:09

パチュリー
「……わかったわ、何か案を考えておくわ。」

この幻想郷に訪れ、巫女と魔法使いに倒されて、これまでは地下に閉じ籠っていた彼女が外の世界に興味を抱くようになったものの、それに呼応するように彼女の中に眠っていた破壊衝動が増大してしまっている。

"あの男"はもうこの世にはいない……
だが、その影響は未だに残っており、これが新たなる災厄を呼び寄せる事になるのではないかと言う不吉な予感が脳裏を過る……

17:レミリア◆gI:2020/12/18(金) 06:04

・・・・・なんか深刻そうな表情ね・・・・・

(パチュリーがどこか深刻そうな表情をしていることに気づけば、レミリアも何か嫌な予感がしたのか、パチュリーに上記を述べる・・・・・

これからもしかしたら、何かとんでもないことが起きるのであれば、その時に備えておきたいと思っている・・・・・)

18:知識と日陰の少女◆3.:2020/12/18(金) 14:25

パチュリー
「……ええ、仕方がないわ。
館の修理のために必要な金額を計算していたのだから。」

もうあの男はこの世にはいない、あの男と繋がりのあった"悪の根(ヴァイスリゾーム)"について気になるものの、現状では答えが出る事はないため、気にするだけ無駄であると思い、敢えて館の修理のために必要な金額について考えていたのだと皮肉交じりに言う。

19:レミリア◆gI:2020/12/18(金) 23:36

・・・・・あぁ、そういうことね・・・・・

(レミリアはパチュリーの言葉を聞けば納得する・・・・・ような発言をするが、これは表向きであり、内心はパチュリーが本当は別のことを考えていることは見破っていた・・・・・

長い付き合いだからこそ身についてしまった、親しい人物が本心を隠して別のことを言っているのがわかってしまうのが何とも複雑だが、パチュリーが敢えて別の言葉を用いたことから、あまり踏み入らない方がいいだろうと考えて)

20:知識と日陰の少女◆3.:2020/12/19(土) 04:44

パチュリー
「そう言えばレミィ。貴方は最近、例の紅白の巫女の神社に通っているようだけど……巫女の傍にはあの白黒の魔法使いもいた?」

不穏な予感や不吉な予想が脳裏を過るものの、再び本に目を戻し、目で文字を追いながら、異変解決後から度々博麗神社に遊びに行くことが多くなった親友のレミィに、巫女と共にこの館へ乗り込んで来た白黒の魔法使い……魔理沙も居るのかと聞いてみる。

21:忍び寄る者◆3.:2020/12/19(土) 04:56

【紅魔館 門近くの庭園】


美鈴
「さて……と、これで運ぶのは最後になるかな……
………………!?」

レミリア、フラン、パチュリー、そして咲夜の四人がレミリアの私室に居る頃、里で購入して門の近くに積み重なっていた建築資材の山を館内へ運んでいた美鈴の背後に、何の前触れも予兆もなく、突如として強い魔力と殺意が感じられるようになり、慌てて後ろを振り返ると……



???
「やあ、そこのお姉さん。俺に似た顔立ちの女は此処にいるのかな?」

美鈴の前に咲夜と似た顔立ちや髪をした一人の青年が立っていた。
その姿から、一瞬咲夜本人と見間違えそうになるものの、その放たれた強烈な殺意と魔力から直ぐに咲夜ではないどころか、この館に対して明確に害を成す存在であり、下手をすると一瞬で潰されると判断し、言葉を返す事よりも先に右拳にありったけの気を込めて青年に向けて振るおうとした次の瞬間



《ザシュッ》
美鈴
「……………え……?」

美鈴の全身がズタズタに切り裂かれ、美鈴の後ろには、先程までは目の前にいた筈の青年が不敵に微笑んだまま立っており、何が起こったのかがまるでわからない。
超スピードで切り裂いた訳じゃない……
まるで"時を止めて斬った"かのような感じであった事から困惑しながらも意識を失い、地面に倒れ伏す……



???
「さて……門番が使えないのなら仕方がない、直接自分の目と耳で探すか。」

地面に倒れ、無数に付けられた傷口からは止めどなく血が流れており、血溜まりに沈むようにして意識を失っている美鈴には一瞥もくれないまま、ゆっくりと館内に向かって謎の青年が歩き始める。

22:レミリア◆gI:2020/12/19(土) 21:47

えぇ、いたけど・・・・・それがどうかしたの?

(パチュリーが博麗神社には霊夢と一緒に魔理沙もいたのかと聞いてくれば、いたけど、それがどうかしたのと返す・・・・・

パチュリーの言い方からして、魔理沙との間に何かしらがあったのだろうかとは考えられるものの、それが何なのかは考えても特に思い浮かばずに・・・・・)

ゾワッ・・・・・

フランドール「・・・・・」

(レミリアとパチュリーが話す横で、フランドールは顔に影がかかり、暗闇の中で不気味に何かが光るように目を見開き、何か嫌な予感を感じ取る・・・・・

まるで全身を寒気が包み込むような、言葉にし難い何かが迫ってきているのを感知する・・・・・)

咲夜「・・・・・?どうかしましたか?」

(フランドールの様子を見れば、咲夜は心配して声をかける・・・・・

咲夜自身は紅魔館に自身の身内が厄災と化して迫っていることには気づいてはいないものの、気づいていない分、後から再会する二人の絡みに絡まった関係に自然と拍車をかけてゆく・・・・・)

23:知識と日陰の少女◆3.:2020/12/20(日) 03:44

パチュリー
「……そう、それなら今度会った時にでも伝えておいて頂戴、勝手に本を持っていくな……って。」

パチュリーはほんの数秒の間、紅魔館の門付近に向ける……それは丁度今、美鈴が謎の青年によって倒された瞬間の間であり、パチュリー自身も何か異変が起こっている事を察知し、何気無い言葉に交えてレミリアの方へ視線を移動させて"気付いたか"とアイコンタクトを取ろうとする。

更に、咲夜自身も、それほど大きなものではないものの、ほんの一瞬だけ体が動かし辛くなると言う違和感が感じられる……それは"同じ時"を使う血の繋がった者同士だからか、それとも………

24:レミリア◆gI:2020/12/20(日) 05:43

・・・・・えぇ、わかったわ・・・・・なるべく早く対応しないとね・・・・・

(レミリアは、パチュリーの魔理沙が勝手に本を持っていくので勝手に持っていくなと注意するように伝えておいてという言葉に、わかった、なるべく早く対応すると返す・・・・・

一見魔理沙の勝手に本を持ち出すことに対する返したが、これは表向きであり、実際は敵の接近がわかった、なるべく早く対応するという意味合いをオブラートに包んで込めている・・・・・

そして同時に、言葉に合わせて頷き、パチュリーのアイコンタクトにわかったという言葉を返す代わりにわかったことを示唆する・・・・・)

・・・・・

《気のせい、かしら・・・・・?今一瞬、体が動かしづらかったような・・・・・》

(妙な違和感を感じるものの、自分以外に時系の能力者が迫っていることなど夢にも思っていないからか、事の重大さに未だ気づいていない・・・・・

しかもその迫っているのが、血の繋がった実の弟などとは、到底思わないだろう・・・・・)

25:邂逅◆3.:2020/12/20(日) 06:12

パチュリー
「ありがとう。それじゃあ、私はそろそろ大図書館に……」

???
「見付けたよ、姉さん。」

レミリアにアイコンタクトで敵の接近についての認識を確認すると、迎撃用の術式を発動させるために図書館へ一旦退くべく本を閉じ、椅子から立ち上がった次の瞬間、自らの体にかかった微かな違和感を感じ取った咲夜の前、部屋の出入口となる扉がいつの間にか開いており、咲夜と似た顔立ち、同じ髪色をした青年が冷たい笑みを浮かべて佇んでいる……

26:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/20(日) 09:32

レミリア「なっ・・・・・!?」

フランドール「・・・・・」

(迫り来る敵がどんな相手かはまだ把握していないものの、対応する為の準備をする程度の時間くらいはあるだろうと思っていた矢先・・・・・それも、一瞬後と言えるほどの早さで現れた敵と思われる青年にレミリアは理解が追いつかずに驚愕し、フランドールは警戒しながら睨みつけている・・・・・)

・・・・・え・・・・・?

(咲夜自身も主であるレミリア同様に、何が起きたのかは理解が追いつかないものの、決定的な違いがあった・・・・・

それは、今目の前にいる人物が何者なのか、咲夜にはわかってしまった、ということ・・・・・

紅魔館へ来て、レミリアに仕えるようになってからも、一日たりとも忘れたことなどはなかった・・・・・

自分に似た顔立ち、同じ銀髪、雰囲気に至るまで、成長していても咲夜にはわかった・・・・・

そして、青年の「姉さん」という言葉が決定的な証拠だった・・・・・

様々な感情が入り乱れる・・・・・今までどこで何をしていたのか、どんな言葉をかければいいのか、どうすればいいのかわからない・・・・・)

27:邂逅◆3.:2020/12/20(日) 13:25

???
「今は"十六夜咲夜"と言う名前になっているんだっけ?
……それなら俺は"終月零夜"とでも名乗ろう。」

周囲にいるレミリアやフラン、パチュリーの事がまるで最初から視界に無いかのように、自らを"全ての夜を終わらせて零にする"零夜と名乗る彼……いや、生き別れた双子の弟はゆっくりと咲夜に向かって歩き出す。

冷静に落ち着いている言動を取ってはいるものの、その内心は激しい憎悪が渦巻いており、咲夜が能力発動時に瞳が青から赤へ変わるのだが、零夜の場合は最初から赤色に変化している……

28:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/20(日) 16:28

咲夜「・・・・・」

(咲夜は零夜の言葉は一応聞こえてはいるものの、内容は入ってこない・・・・・

生き別れてから今の今まで、もうずっと何年も死んだものと思っていたからか、実に数年の時を経て、零夜とは違い恨みを抱いたり憎悪を募らせたりなどがない分、純粋にただもう一度会いたいという念願の夢が突然叶った、しかも生死に関わる問題で生きているとは思っていなかった分その衝撃は大きいのだから、咲夜は頭の中が真っ白な状態であり、正に零夜の復讐を達成させるには十分過ぎるほどに条件が揃っている・・・・・)

レミリア「咲夜・・・・・!!!!!」

(身内が復讐の鬼となっていることを未だ理解出来ていない分現状がどんなに危険かをわかっていない咲夜とは違い、レミリア、フランドール、パチュリーは零夜が姿を現す前、迫ってきている段階でもう既にその言葉にし難い危険性に勘づいていたことから、零夜の狙いが咲夜であり、咲夜が放心状態であるということは咲夜は瞬時に対応できない状態で命が危ないということがわかった為、咄嗟に主であるレミリアが咲夜の名前を呼んで危険であることを気づかせようとする・・・・・

が、この一連の流れは同時に咲夜と紅魔館の住人達との絆の深さも表していることから、今まで地獄のような時間を生きてきた零夜の憎悪に更に拍車をかけてしまう・・・・・)

29:邂逅◆3.:2020/12/20(日) 17:23

零夜
「………先ずは少し黙らせようか。」
《カチッ》

零夜は内に秘めた煮えたぎる憎悪のマグマがあるにも関わらず、内心に反してゆったりとした動作で燕尾服の懐から銀色に輝く懐中時計を取り出して時計の竜頭部を押す……するとその次の瞬間、咲夜の居場所がレミリアの私室から一階の玄関ホールにまで飛ばされてしまう……時間操作に加えて空間操作を行うことで咲夜を飛ばすのだが、その際にも咲夜の体はまるで金縛りにあったかのように意識を保ちながらも動けなくなり、違和感がより明白に感じられるようになる。

30:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/21(月) 06:16

レミリア「なっ・・・・・!?」

(咲夜が突然消えたとしか思えない出来事に、理解がとても追いつかなくなるものの、少ししてからあの青年が咲夜に対して姉さんと言っていたこと、容姿が酷似していたことから恐らくは咲夜の実の弟・・・・・

そしていきなり目の前から咲夜が消えたことを照らし合わせると、弟も咲夜のように時間系の能力を持っていることがわかる・・・・・

しかし、空間系能力については把握出来ておらず、レミリアは「フランドール!パチェ!咲夜を探すわよ!!!!!」と、焦りを見せ始める・・・・・)

《・・・・・っ!?・・・・・この感覚は・・・・・》

(先程は一瞬だったものの、今はとハッキリわかる・・・・・

これは時間を止められている感覚、単なる金縛りなどの能力ではない・・・・・

しかも空間までも移動したことを理解すれば、相手は自分よりも幾分か有利であり、そしてさっきのは相手が時間を止めたことで感じた違和感であることも理解する・・・・・

一つわからないことがあるとすれば、さっきは何の為に時間を止めたのか、ということ・・・・・)

31:邂逅◆3.:2020/12/21(月) 20:59

零夜
「探しには行けないよ、お前達は吸血鬼と魔女だろう?お前達には俺の復讐のための贄になってもらう。」

零夜は右手に持った懐中時計の竜頭を更に押してを時間を停止させるとレミリア、フラン、パチュリーの三人を連れて館の屋上へ移動すると、二人の体を吸血鬼の弱点の一つである純銀で出来た輪1つ1つが拳大のサイズもある巨大な鎖を召喚し、同じく召喚した十字架によって拘束し、パチュリーの右肩には封魔の力が込められたナイフで突き刺したところで時間が再び動き出す……

加えて、時間を停止させている間に館の出入口の扉を開いて咲夜が外へ出ることも逃げることも出来ないように扉にも封印魔法陣を展開する事で自力で屋上まで駆け上がらなければならない状況を作り出していく。

この時間停止の間、咲夜は意識を保ったまま、先程までと同じように金縛りにあったかのような状況になっているものの、先程よりも体が幾分が動けるようになっている。

32:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/22(火) 19:58

レミリア、フランドール「・・・っ!?!?!?」

(相手の使ってきた武器が、自分たち吸血鬼からすれば弱点のものであり、そこへ加えて咲夜と同じく時間停止能力を持っている以上、なす術はないとすぐに理解する・・・・・

咲夜は時間停止能力を悪事に利用したりなどはしないからこそ、同じ能力を持つ者に対する対処法などは考えてなかったことも災いする形となった・・・・・)

咲夜《・・・・・さっきよりかは少し動ける・・・・・でも、これだけじゃあ・・・・・》

(ほんの少し動けたところで、まともに戦えないのであれば意味は無い・・・・・

それどころか、空間移動能力も持っているとなると、苦戦を強いられることは間違いない・・・・・

レミリア達同様に、咲夜も自分と同じ能力を持つ者と戦うことなど今まで無かったことから、対処法なんてまるでわからない・・・・・)

33:◆3.:2020/12/22(火) 21:00

パチュリー
「………く……ぅ……!この……ナイフ……魔力が……使えな……」

パチュリーは右肩に突き刺さったナイフを引き抜こうと左手をナイフの柄に当てるものの、そのナイフに触れた瞬間的にパチュリーの体から魔力がナイフへと流れ、レミリアとフランの二人と違ってある程度動くことは出来るものの、実質的に無力化されてしまっている……



零夜
「なるほど"アイツ"の言うことは正解だったみたいだ……
抵抗は無駄だよ。この時のために下準備を整えておいたからね?
さあ、それじゃあ君達も見るといい。姉さんが……いや、十六夜咲夜が無惨に喰われる姿を……」

零夜は指を軽く鳴らしてレミリア、フラン、パチュリーの三人も見えるように自身の魔力を薄いスクリーン状に伸ばして結晶化させ、そこに玄関ホールの様子を投影して見せる……

スクリーンに映った咲夜の目の前には青黒い光を放つ巨大な魔法陣を床に展開し、その魔法陣の中からは咲夜を処刑するために用意していたのか、四つの頭を持ち、全身が返り血に染まっているかのように赤黒い体色をし、肌が焼けつくような強烈な殺気と魔力を放つ魔獣を召喚する。

34:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/23(水) 06:15

レミリア「パチェ!無理しちゃダメ!じっとしてなさい・・・・・!」

(友人の身を案じ、レミリアはじっとしたまま動かないようにと忠告する・・・・・

そして「ちょっとあなた!!!!!こんなことしてタダで済むと思っていたら大間違いよ!!!!!何が目的!?お金!?」と、少しでも時間を稼いで何とかしようと零夜に怒号を浴びせる・・・・・)

35:◆3.:2020/12/23(水) 18:07

パチュリー
「………わかった……わ………」

腕力が弱く、魔法も使えない今、下手に特攻を仕掛けようとしたところで、時間停止が使える零夜にはどう足掻いても勝てないだろう……魔力が封じられても戦えるような仕掛けを図書館に複数用意していたのだが、時間停止をして奇襲して来るなど想定外だった。
転移魔法も召喚魔法も使えない今、大人しく様子を伺い、このナイフを取る方法と、レミィと妹様の二人を救出するための策を考えていた方が良いだろう。
幸いにも魔法を封じられれば何ら障害にならないと思われているようで、自分は特に拘束はされていない。右肩には深くナイフが突き刺さってはいるものの、出血による気絶をするまでにはもう少しだけ猶予がある……



零夜
「金?そんなものは必要ない。俺が欲しいのは咲夜の命だけ。
それが叶うのなら、後は野となれ山となれ……だ。」

零夜は巨大な異界の獣と玄関ホールにて対峙する咲夜を夜空に浮かぶようにして展開されたスクリーンを通して見ながら、金も脅しも通じない、自分が欲しているのは咲夜の命だけであり、それを奪えるのなら後は殺害されても構わないとまで言う。

多くの場合、野心と保身の二つを天秤にかけた時、どれだけ強い欲望を持っていたところで、保身を取るように出来ている。いかに優れたモノを手に入れたところで、自分が生きていて、自由でなければ意味がないからだ。

だが、零夜にはその保身と言うものがまったく存在しておらず、復讐を成せるのならば、その後には例え自分が殺害されようと構わないというように、にわかには信じがたい常軌を逸した憎悪を抱いている事が伝わる……

36:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/24(木) 05:53

・・・・・アンタ、さっきの発言とその容姿からして、咲夜の実の弟よね・・・・・?どうして実の姉の命を狙うの・・・・・?

(パチュリーが大人しくし始めたのを見て少し安心すれば、零夜に対して何故実の姉の命を狙うのかと聞く・・・・・

咲夜の反応を見る限り、しばらくは会っていなかったか、もしくは会えるはずがない人物と会った時の反応だったことから、咲夜と零夜の間に何かしらがあったのは伺えるが、命を狙う程となるとよほどのことなのだろうか・・・・・)

37:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/24(木) 20:20

零夜
「…………………。」

レミリアの何故実の姉の命を狙うのかと言う問いに対して零夜は何も応えず、その代わりとばかりに零夜は自分の手元の空間を歪めてレミリアとフランの二人を拘束する銀の鎖を引き寄せ、それを思い切り引っ張り、二人を拘束する力を強める。

銀の鎖は吸血鬼である二人にとって、肌を焼き、肉を焼く凶器となり、純粋に力や動きを封じる他に、強い苦痛を与えるものとなっている……



【紅魔館 玄関ホール】


異界の猟犬
『ガアァァァァァァァァァッ!!!』
《グオッ》

レミリアが零夜に対して問いかける傍らで、咲夜の眼前に召喚された巨大な四つ首の魔犬がその巨大な腕を振り下ろして咲夜を瞬時に叩き潰そうとする。

38:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/25(金) 06:13

レミリア「・・・っぐ・・・・・!?」

フランドール「・・・・・」

(レミリアは鎖によるじわじわと苦痛を与える攻撃方法によって表情を歪めるものの、フランドールは少し汗が出ては来るものの、ずっと零夜をにらみ続けながら威嚇を続ける・・・・・

威嚇ではどうにもならないというのはフランドール自身もわかってはいるが・・・・・)

咲夜「っ・・・・・!!!!!」

ヒュッ・・・・・!

(今まで少ししか動けなかったものの、このままじゃ確実にやられると思ったその時、腕をなんとか動かすことに成功し、ナイフを取り出して猟犬へと投げつける・・・・・)

39:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/25(金) 21:57

異界の猟犬
『ゴアァァァァァッ!!!!』

咲夜が最初の一撃を避け、反撃として投げられたナイフが魔犬の振り下ろされた右前足に突き刺さるものの、その分厚い筋肉の鎧と、ホールの天井近くまであるその巨体にとっては致命傷にはならず、寧ろ怒りを滾らせる結果となり、激情のままに咲夜を見た魔犬は四つある頭の一つが口を大きく開けて吸息をすると、今度は口内から強烈な炎を吐き、ホールの一角もろとも咲夜を焼こうとする。

40:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/26(土) 10:20

咲夜「なっ・・・・・!?」

ズッ・・・・・!

(止まった時の中でも動けるようになり始めてはいるものの、まだ完全というわけではなく、炎が咲夜の服と髪をかすめてホールの一角を焼く・・・・・)

咲夜「あっつつつつ!!!!!」

(咲夜は手で叩きながら何とか火を消す・・・・・幸い命に別状はなかったものの、魔犬との体格差や咲夜がようやく今になってやっと動け始めるようになったことから、形勢逆転はまだ見込めない・・・・・

しかし、咲夜もこのままやられるほどヤワじゃない・・・・・)

41:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/26(土) 21:03

【紅魔館 屋上】

零夜
「ははははは!
見ろ、ナイフごときであの巨体を倒そうとしているぞ……?」

零夜は巨大な四つ首の魔犬相手に小さなナイフだけで対抗しようとしているのを見て、その咲夜に似て整った顔を少し悪意に歪め、楽しそうに両腕を広げながらスクリーンからレミリア達の方へと振り返る。



零夜
「アレは地獄に巣くい、地獄の炎を吸い、煮えたぎる溶岩を飲み、亡者は愚か獄卒すら喰らう猟犬だ。少し武術や戦闘の心得があるだけでは到底太刀打ちできないだろう。」

零夜は左手を下げ、右手を自分の顔の近くにまで近付けて人差し指を立てながら四つ首の魔犬は地獄の猟犬であり、この世に存在するモノでは到底太刀打ちできないと告げる……



零夜
「しっかりとその目に焼き付けておくといい。
自分の従者が猟犬に生きながらにして喰われてゆく様を……!」

右手の人差し指を立てたまま、復讐のあまり狂気に呑み込まれた零夜の双眼がレミリア、フラン、パチュリーを見据えており、パチュリーは何も解決策が思い浮かばない事に、苛立ちさえ抱いている。

零夜が背にしたスクリーンでは、咲夜に向かって魔犬がその巨大な右前足を振るい、咲夜を壁へ殴り飛ばそうとしている……

42:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/27(日) 07:25

・・・・・あまいわね、咲夜はあんたがどんな化け物をよこしたとしても簡単にやられるようなメイドじゃないわよ・・・・・?

(零夜の話し方は、まるでこのまま簡単に猟犬が咲夜を葬り去ってくれると考えているようだが、咲夜にも零夜同様に時間停止能力がある・・・・・

零夜がこのことを知っていたとしてもそうでなくても、咲夜はこんな猟犬に負けるはずがないと信じている・・・・・)

くっ・・・・・!

スッ・・・・・

ほら!こっちよ化け物!!!!!

(零夜がスクリーンを見ていたその時、咲夜がいつの間にか・・・・・いや、確かにそこにいたはずなのに猟犬が右前足を振るった先には咲夜はいなく、床に巨大なクレーターができる・・・・・

体格差はあり過ぎるものの、能力の有利な点で言えばまだこちらの方が上だと思っている・・・・・)

43:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/27(日) 21:06

零夜
「………なに……?」

零夜からはスクリーンの先が見えていないものの、レミリアの言葉を聞くと同時に、咲夜が零夜の時止めをしている間に身動きが取れなくなっていたのと同じように、咲夜が時を止めた瞬間、一時的にとは言え、零夜も体が動かせなくなり、再び体を動かせるようになると背後のスクリーンへと直ぐ様視線を戻す。



異界の猟犬
『ゴルルル!!ゴルルルルアアアッ!!!』

時止めを感知できない魔犬は目の前から突然咲夜の姿が消えたことに驚き、咲夜の声が聞こえた方向へ振り向いたび大きく息を吸い込み、再び口内から強烈な炎を吐いて咲夜を焼こうとする。

44:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/28(月) 08:00

カチッ・・・・・

パッ・・・・・

ほらほらどうしたの!?こっちよこっち!!!!!

(咲夜は攻撃するよりもまずは魔犬の猛攻を回避しながら策を練った方がいいだろうと考えて再び時を止めて魔犬の炎を避ける・・・・・

しかし、策を練るにしても、これほどの巨体を何とかできるような武器がどこにもないのもまた事実・・・・・)

レミリア「・・・っ・・・言ったでしょう・・・・・?簡単にやられるようなメイドじゃないって・・・・・」

(零夜の反応を見れば、レミリアは純銀によってダメージを受けながら表情を苦痛に歪めながらも、得意気な感じで話す・・・・・

戦闘力は魔犬の方が上だが、時止めという能力は正しく強大な敵の攻撃を回避する際に力を発揮する能力と言っても過言はないのかもしれない・・・・・)

45:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/28(月) 12:33

零夜
「………だが、どうせ直ぐに潰れる。
アイツにはあの獣を打ち倒せるような術は無い筈だ……!
体力が尽きた時が終わりの時だ。」

度々体の動きが止まる事があるのだが、力と動きを封じられているレミリアとフラン、魔力が枯渇しているだろうパチュリーが何らかの拘束魔法や能力を使えるとは思えない……

微かな違和感を感じつつも、スクリーンの向こうで対抗策を考えながら魔犬の猛攻を避け続けている咲夜を見て歯痒そうに睨み、咲夜の体力が尽きた時が最期だと口にする。

46:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/29(火) 06:54

体力が尽きる以前に、あの化け物に咲夜は倒せないわよ・・・・・?アンタと同じく凶暴性を露にするだけのお馬鹿さんのようだしね・・・・・

(レミリアはこの拘束されている状態で、零夜を挑発するような言葉を放つ・・・・・

レミリアからすれば、スクリーンに映し出されている巨体の化け物も、今ここにいる零夜も、そう大差のない同じ愚か者であるということなのだろう・・・・・)

47:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/29(火) 07:59

零夜
「……へえ?随分とアイツを過大評価しているじゃないか。
だが、ナイフごときではあの巨体には通じない、ホールから出るための扉は全て時を止めている間に施錠術式を仕掛けておいたから逃走も撤退も不可能……これは最早チェックメイトと言っても過言ではないだろう。」

零夜は激高しながらも、感情のコントロール能力が上手いのか、現状の状況を冷静に分析し、レミリアの挑発に対しても感情的にはならず、分析した状況を元に勝ち目は無いと断言してみせる……

そんな中、魔犬は咲夜に向けて二つの頭から同時に炎を吐き、時を止めても炎の熱はそのままである事を活かして左右から挟み込むようにして逃げ場を奪いながら彼女を焼き尽くそうとする。

48:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/29(火) 23:47

カチッ・・・・・

《お嬢様達がどこに拘束されているかもわからない・・・・・もしかしたら紅魔館の外かもしれないし、館内のこの近くかもしれない・・・・・どうすれば・・・・・》

(まずはこの魔犬を倒さなければどうにもこうにもこの事態は先には進まない・・・・・

だが、主達がどこに隔離されているかもわからない現状、下手に動けば巻き込んでしまう可能性だってある・・・・・

攻撃を回避して主達を巻き込んでしまう可能性だってある以上、咲夜はどうすればいいのかわからないまま追い込まれてゆく・・・・・

再び、魔犬の背後に回れば時が動き出した・・・・・)

49:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/30(水) 02:01

異界の猟犬
『グルルル………』

眼前から突如として姿が消えた咲夜の姿を探すべく、炎を吐くのをやめて四つある頭の全てを使って周囲を見渡し始める。
だが、体の構造上、真後ろにいる咲夜の姿を見つけ出すには少し時間がかかるようで反撃するための隙が生じる。

50:惨劇の幕開け◆gI:2020/12/31(木) 18:49

《反撃するなら・・・・・今っ・・・・・》

カチッ・・・・・

体格差では有利に立てても、その体格差が仇になったみたいね・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は時を止めて魔犬の目へめがけてナイフを投げる・・・・・

体格差という相手の長所が短所になったこの瞬間こそ反撃のチャンスである為、僅かな希望に賭けるしかないものの、正直この攻撃でどれほどのダメージを与えられるかはわからない、そもそも相手は得体の知れない異形、すぐに傷が再生する可能性だってある・・・・・)

51:惨劇の復讐者◆3.:2020/12/31(木) 20:23

異界の猟犬
『……!!?グギャオォォォォォォッ!!!』

後ろへ振り返ったところに、咲夜の投げたナイフが四つある首の内の一つの右目に突き刺さると、目を突き刺された頭が館中の窓が破裂するような強烈な咆哮をあげ、四つの頭が同時に口内に魔炎を集束させ始める。

窓が割れてはいるものの、その窓にも全て正面扉と同じように障壁魔法が展開されているため、即座に逃げ出すことは厳しく、かと言ってこのまま立ち止まっていても、魔犬が吐くであろう炎はこの玄関ホール内を埋め尽くすほどのものになってしまうだろう……

52:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/01(金) 11:03

《ヤバイっ・・・・・!》

カチッ・・・・・!

時間停止能力を持っていなかったらと思うとゾッとするわ・・・・・

(咲夜は魔犬が口から炎を一斉に吐き出そうとしていることに気づくと、再び時を止める・・・・・

流石に魔犬の攻撃を完全に止めて魔犬を完全に消滅させることは咲夜単独では不可能、咲夜は時を止めて玄関ホールから館内の他の場所へ移動すると、再び時止めを解除し、レミリア達を探し始める・・・・・)

53:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/01(金) 16:21

【静止した時の中】

咲夜がホールから逃れようと扉に手をかけるものの、出入り口の扉はおろか、全ての扉に魔術施錠が施されている。

パチュリーやアリスレベルの種族"魔法使い"であれば片手間に解除できる程度の代物ではあるものの、ある程度は魔術を使えるとはいえ、魔術に特化した訳ではない咲夜一人だけでは解除する事に相応の時間が必要になってしまうだろう……

かと言って時を再び動かしてしまえばホールを埋め尽くす業火によって骨すら残らず焼き尽くされてしまうだろう。

54:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/02(土) 11:19

なんでっ・・・・・!なんで開かないのよっ・・・・・!?

(咲夜は扉がびくともしないことに焦りを見せ始める・・・・・

このままじゃ化け物に殺されるが、自分の力では時を止めて攻撃するのがやっとであり、倒すには至らないのは自分が一番わかっている・・・・・

が、咲夜は一か八か、火事場の馬鹿力ならぬ、火事場の閃き力とも言えるような、後には引けないこの状況を打破できるかもしれない解決策を思いつき、成功することを祈り時を動かす・・・・・)

カチッ・・・・・

化け物ー!こっちよこっちー!そんなウスノロな動きで私を倒せるとでも思ってるのー!?炎で焼き尽くして骨まで焼くぐらいにしないと私が怖いのかしらー!?図体はでかいクセして度胸は小さい小物なのねー!悔しかったら物理攻撃で仕掛けてきなさいよぉー!

(咲夜は時を始動させると、魔犬へ向かって完全に焼き尽くさないといけないほどに自分が怖いのかと、悔しさを感じるなら物理攻撃で仕掛けてくるがいいと挑発をする・・・・・

咲夜の表情はさっきとは打って変わって、魔犬なんぞ怖くはないとでも言いたげな、魔犬からすれば屈辱的な表情で)

55:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/02(土) 17:21

異界の猟犬
『ゴアァァァァァァァァッ!!!』

魔犬は唸り声や雄叫びをあげる程度で、人言を理解できないのか、言葉を話す素振りすら無く、咲夜の挑発もまるで受けること無く口内からホール全体を炎の海に変える業火を吐き、急速に広まって行く……

咲夜の能力は時間の停止だけには留まらない。
その事を踏まえると、現状においてもっとも有利になりうる力は……!

56:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/03(日) 15:55

【他にどんなのありましたっけ・・・・・こういう状況において有利になりそうな咲夜さんの力・・・・・】

57:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/04(月) 10:41

カチッ・・・・・

(咲夜は時間操作を行い、時間を巻き戻して魔犬が炎を吐く前まで戻して停止させる・・・・・)

さて、これほどの巨体を倒せるかどうかはわからないけれど、とりあえずこの状況において動かしづらい場所を狙おうかしらね・・・・・

ゴガッ・・・・・!

ズッ・・・・・

(咲夜は魔犬の左前足に蹴りを入れると、そのままナイフを投げる・・・・・

そして、魔犬の動きをある程度鈍らせる為に再び目の方にナイフを3本ほど投付ける・・・・・

仕上げに魔犬の背後に周り魔犬の視界から消えることで時を動かし始めても不意打ちがしやすいようにする・・・・・)

カチッ・・・・・

(時間操作に体術にナイフ投げ、これほどの攻撃を仕掛けたのだからさっきよりかは効いていてくれともはや神頼みとも言えるように願いながら時を動かす・・・・・)

58:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/04(月) 12:18

零夜
「………やはり……この違和感は……まさかとは思うが同じ時間を使っているとでも言うのか……?忌まわしい……!何処までもこの俺を馬鹿にするつもりか……!!」

咲夜が時を遡らせ、魔犬のブレスを抑え込み、前肢を蹴って体勢を崩したところへ魔犬の顔にナイフが突き刺さり、その内の一つが魔法
犬の目を更にまた一つ潰す中、一度ならずも何度も感じられた違和感の正体について零夜は気付き始めているようで、スクリーンに映る咲夜を見ながらゆっくりと右手を翳す。



零夜
「ジワジワといたぶるつもりだったが、予定変更だ。時間と空間の支配権はこの俺一人の手中にあればそれでいい……!!」
【局所爆裂魔法「エクスプロード」】
《パチンッ》

零夜は咲夜の始末を決定付けると、指を鳴らす……すると、異界の猟犬の身体中に無数の魔法陣が浮かび上がり、異界の猟犬が持つ全魔力と生命力を爆発エネルギーへと返還して閉鎖された玄関ホール全体に及ぶ強力な大爆発を巻き起こそうとする。

召喚する前からこの自爆魔法は仕込んであった。爆発の発動は此方の手にあり、推測通りに同じ時を操れるのだとして、時を遡らせられたとしても再度爆発させる事が出来る。時を操らなければ当然そのまま爆発に巻き込まれて死亡する事になる。

事前に"エニグマ"の連中から聞いていた情報では強力な魔法障壁の使用は出来なかった筈だ。時間を操作すると言う莫大な力の消費を強いられる姉(咲夜)と異なり、此方は爆発魔法を発動させる……それだけで良いことから、巻き戻しと爆発のタイミング争いとなっても此方の優位性は揺るがない……そう零夜は考えている。

59:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/04(月) 12:33

《・・・っ・・・・・!やばいっ・・・・・!》

カチッ・・・・・

(咲夜は時間を魔法陣が浮かぶ前まで遡らせ、停止する・・・・・

咲夜も弟が自分へ対して今現在実の姉という感情ではなく、復讐の標的という憎悪を抱いていることはこの魔犬をよこした時点で把握した、だからこそ今の魔法陣も恐らくは魔犬の技ではなく弟が発動したものだろうと推測する・・・・・

つまり、こうもタイミングよく魔法陣を発動できるということはどこかからこの戦いの様子を見ている、ということ・・・・・

しかも相手も自分と同じ能力を有しているとなれば、魔犬を倒す以前の問題なのは確かだ・・・・・

咲夜は知恵を振り絞ろうとするが、停止する時間が名がければ長いほど、零夜に自分も同じ能力があることがバレる・・・・・

咲夜は、時間とも戦っていた・・・・・)

60:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/04(月) 13:54

零夜
「……つッ……!やはり……か……ッ!!」

まさに今、爆発によってホールそのものを消し飛ばそうとした瞬間、再び身体中の動きが止まり、強い違和感を感じ、このタイミングからして、姉が能力を発動させた事は明白だ。

……だが、何度も時間操作をしている中で自身も止まった時の中で意思を保つだけでなく、動くことが可能になっており、ゆっくりと右手をスクリーンに向けて翳すと、零夜は自身の時間操作によって停止した時間を再開させようと時間干渉を行い始める。

61:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/05(火) 02:08

・・・・・何・・・・・?

(咲夜は、今までに感じたことのない違和感を本能的に感じる・・・・・

本来、止まった時の中で動けるのは時を止めた本人のみのはずなのだが、今感じた違和感は、簡単に言うならば、止まった時の中を扉を閉め切った部屋と例えるなら、その閉め切った扉を無理やりこじ開けられるような、そんな感覚だった・・・・・)

62:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/05(火) 18:12

《時間操作 強制解除》
《カチッ》
《ゴオォォォォォォォォォォォォォォッ》
咲夜もまた、零夜による時間干渉による違和感を感じ取った次の瞬間、咲夜による時間停止が強制的に解除され、それに合わせたように異界の猟犬に仕込んだ自爆魔法を発動させ、ホールごと咲夜を消し飛ばそうするが……



《対爆発&対物理防御球壁》
パチュリーが失われつつある魔力を振り絞って展開した球状の防御壁が咲夜を爆発から守る。……が、殆ど無い魔力を使ってようやく展開したものであったためか、一度爆発を防ぐとそのまま無数の亀裂が生じて崩壊してしまう……

63:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/06(水) 05:32

・・・っ・・・・・!?これはっ・・・・・!?

(突如として展開された球状防御璧によって守られたことに驚く・・・・・

恐らく今のはどこかに囚われているパチュリーの魔法によるものであろうということは察することが出来るが、パチュリーほどの魔法使いが展開する防御璧にしては、簡単に崩壊していることがわかる・・・・・

もしかして今もどこかに囚われているレミリア、フランドール、パチュリーは言葉にし難いほどの拷問を受けているのではないかという恐ろしい想像が脳裏を過ぎる・・・・・

が、同時に思ったのは・・・・・)

・・・・・美鈴・・・・・

(一気に三人を捕らえて今もどこかで拘束するほどの相手が、館の修復作業という目に付きやすいことをしていたはずの美鈴を見逃すはずがない・・・・・

が、零夜は美鈴については述べずにいきなり三人を拘束した・・・・・

美鈴はどうなってしまったのだろうかと、不安が咲夜の心に募ってゆく・・・・・)

64:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/06(水) 08:05

【紅魔館 屋上】


零夜
「……ッ!?邪魔を……するなッ!!」
《ドスッ》

パチュリー
「………ぐ……ぅ……!」

今の爆発はおそらく相手にとっての最大にして唯一の回避&防御手段である時間の停止を無理矢理解除して喰らわせたものであったため、確実に咲夜を仕留められたと考えていた矢先、咲夜を守るようにして

咲夜自身があの爆発を防げるほどの防御壁を展開できると言うような情報は無く、別の者によるものだとわかり、それを出来るのは強い魔力を持ったパチュリーだけであり、激昂しながら今度はパチュリーの腹部へ封魔の力が込められたナイフを突き刺す……


玄関ホールの正面入口の扉は特に強固な封鎖魔法がかけられているためか、破壊出来ていないものの、ホールの随所にある扉とそこにかけられていた障壁が丸ごと先程の魔犬による自爆魔法によって破壊され、通行可能になっている。

65:惨劇の幕開け◆gI:2021/01/07(木) 06:21

レミリア「・・・っ!!!!!貴様ぁぁああああっ!!!!!」

(レミリアは親友が腹部へナイフを突き刺されるのを目の当たりにした途端、普段からは考えられないほどに言葉遣いに変化が現れる・・・・・)

咲夜「っ・・・・・!」

ダッ・・・・・!

(咲夜は通行可能になっていることに気づけば、咲夜は急いでホールから出て館のあちこちを探し始める・・・・・

この広い紅魔館の中から探し当てるのもかなり難しいが、零夜は待ってはくれない・・・・・)

66:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/07(木) 12:27

【紅魔館 屋上】

零夜
「俺が憎いだろ?消してやりたいだろう?
それでいい……それでこそ俺の復讐は叶う……」

目の前で親友のパチュリーを傷付けられた事で激怒するレミリアを見て、零夜は自分の復讐を成すためにはレミリア達の怒りや憎しみも必要であるのだと語る……



【紅魔館 一階/長通路】

《ヴォンッ》

レミリア達を探すべく、館内を奔走している咲夜の前に開けた長い通路が見え、基本的な構造は零夜による空間操作の影響をあまり受けていないようにも見える……だが、その通路へ足を踏み入れた瞬間、通路の天井や床、壁と至るところに無数の青白い小型の魔法陣が展開され、そこから無数の青い光弾が弾幕となって咲夜に向かって襲い掛かる。

だが、紅霧異変の時に戦った霊夢の放つ弾幕に比べると速度も密度も、殺意を優先するあまりかえって薄れており、今の咲夜であれば見切る事が可能なレベルになっている。

67:死闘の序曲◆gI:2021/01/08(金) 06:20

ダダダダダッ・・・・・!

スッ・・・・・!スッ・・・・・!

遅いわね・・・・・殺意に囚われていない人間の方が、まだ早かった・・・・・

(咲夜は零夜の殺意に満ちた猛攻を、いとも簡単に、時を止めることすらなく避けていく・・・・・

霊夢が放っていた弾幕を思い出しながら、殺意に囚われていない人間の方が攻撃はちゃんとしていることがわかる・・・・・)

68:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/08(金) 12:30

《「高等魔光魔法 レイン」》
《ギュオォォォォォォォォォォォッ》

迫り来る凶弾嵐の中でも霊夢達との戦いを経験した咲夜の前では
通路の奥にある扉に扉を覆うようにして浮かび上がった巨大な魔法陣が現れ、広い通路の半分を埋めるような規模の巨大な破壊光線が放たれる……

この光線に当たればまず間違いなく即死は免れないだろう。
だが、この光線も弾幕のルールにのっとりながらも、改良を重ねた魔理沙のマスタースパークに比べると威力だけに特化し過ぎたあまり、その速度は魔理沙の放つものよりも少し遅くなっている。

69:死闘の序曲◆gI:2021/01/08(金) 15:34

《やっぱりね・・・・・あの巫女や魔女の攻撃と比べると、威力に特化しているだけでスピードはさほど脅威じゃない・・・・・》

ダダダダッ・・・・・!

(零夜の更なる猛攻も、霊夢や魔理沙との一戦の中で経験したものと比べれば、やはり遅く感じる・・・・・

本来ならばスピードもかなりの脅威であるのはまず間違いないことではあるのだが、霊夢達の攻撃スピードを経験した今の咲夜からすれば、零夜の攻撃を避けられるほどに体が慣れ始めている・・・・・)

70:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/08(金) 21:26

零夜
「(なんだ……なんなんだ……これは……!?
何故光弾や光線をこれだけ簡単に避けられるとは……
予想以上の力だ……)」

無数に飛び交う光弾や、それらを避けた先も考慮して仕込んでおいた光線さえも避ける咲夜を見て、事前に得ていた情報よりも更に強くなっている事に驚き、スクリーンを見上げながら硬直する。

光弾の嵐でさえ五体満足で通り抜けられるとは思わず、あくまでも保険としてあったためか、光線は一度発射し負えるとその込められていた魔力が尽き、咲夜の前には観音開きの扉がある。

だが、その扉の向こうからは荒々しく邪悪な魔力が感じられる。

71:死闘の序曲◆gI:2021/01/09(土) 06:18

《この言葉にし難いおぞましい力・・・・・この先に・・・・・》

(零夜がスクリーンを見ながら唖然としている中、猛攻を簡単に全て掻い潜り、咲夜は扉を見つける・・・・・

とてつもなくおぞましい力が感じられるが、今の咲夜は主達を救うことのみを考えているからか、何の迷いもなく扉へと向かい、勢いよく扉を開ける・・・・・)

72:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/09(土) 19:41

【紅魔館 広間】


《オォォォォォォォォ……》

扉を開けたその先に待ち受けていたのは広間を埋め尽くさんばかりに枝根を広げ、悪意に満ちた醜悪な笑みを浮かべた不気味な紫色の巨大な樹木……
"ダークトレント"と呼ばれる魔物であり、先程の異界の猟犬よりも更にぶ厚く強固な体を持ち、メイン武器であるナイフが通用せず、体術さえ通用しづらい圧倒的な巨体の化物であり、咲夜の姿を見つけた瞬間、その巨大な枝を振るい、弾き飛ばそうとする。

73:死闘の序曲◆gI:2021/01/11(月) 08:37

カチッ・・・・・

まさかさっきの犬っコロよりもやばい奴が待ち受けているとはね・・・・・

(咲夜は時を止めてダークトレントの背後へ周り、策を考え始める・・・・・

しかし、ナイフも通用しないほど強固な体、そして圧倒的な巨体・・・・・

ナイフも通用しないとなれば体術も通用しないのは明白・・・・・)

74:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/11(月) 15:17

ダークトレント
『ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!』

ダークトレントの背後に回り込んだ咲夜であったものの、ダークトレントの背中から巨大な頭が現れ、更に背面の壁に張り巡らされ、この奥の扉を守る枝根からも無数の顔が現れ、悪意に満ちた笑い声をあげ、無数の枝根を伸ばして咲夜の体を貫こうとする。

75:死闘の序曲◆gI:2021/01/13(水) 04:05

カチッ・・・・・

こういう時こそ冷静に・・・・・慌てちゃダメ、冷静に・・・・・

(再び時を止めて、枝根による攻撃を回避し、更には無数にある顔の一つに、ナイフを投げつける・・・・・

もしかしたら、万が一に顔になら攻撃として効くかもしれない可能性もゼロではない為、試してみるしかない・・・・・というか、できる限りの攻撃を試さないと倒せないほどの敵と戦っているという証拠でもある・・・・・)

76:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/13(水) 16:00

零夜
「あの魔樹は先程の魔犬よりも更に硬い体を持ち、痛覚すら持たない。ナイフや体術だけではどうにもならないだろう。……今度は自爆には使わない、多少時間がかかろうと今度は確実に潰す……!!」

咲夜の様子を見ていた零夜はナイフや体術では物理的にダークトレントを倒すことが不可能である上に、得意の時間操作もある程度此方から解除する事が出来ると言うことは先程もわかった……ナイフと体術、時間操作しか戦闘に使えないのであれば此方の勝利が揺らぐことはない。

ダークトレントの無数にある顔の一つに咲夜が放ったナイフが突き刺さるものの、痛覚を持たぬダークトレントは異界の猟犬と異なり、痛みやダメージで激怒したり、怯む事はなく、ただただ不気味な笑みを浮かべながら無数の枝根を執拗に伸ばして咲夜を捕らえようとする。

77:死闘の序曲◆gI:2021/01/14(木) 06:14

とんでもなく厄介な奴ね・・・・・!!!!

ダッ・・・・・!

(咲夜は段々とダークレントの動きを見切れるようになってきたのか、スピードも追いついてゆく・・・・・

倒すには至らない以上、本当に攻撃が避けられそうにない時と策が浮かんだ時に時間停止能力を使った方がいいと判断したのか、咲夜はダークレントの攻撃を避ければ、頭をフル回転させ始める・・・・・)

78:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/14(木) 21:59

零夜
「必死になって足掻いているようだが、それも時間の問題だ。
お前も己の無力を知り、失うことへの絶望と恐怖に苛まれたまま逝けばいい……」

レミリアとフランの二人に背を向け、スクリーンに映るダークトレントの猛攻を避けている咲夜を見て、怨念とも憎悪とも悲しみとも取れない声で、姉も自分と同じ絶望と恐怖に苛まれればいいと呟く。

最早自分には復讐しか残っていない。
姉が新しい家族を得て幸せに暮らしている中、自分は外の世界で血と腐臭に満ちた闇の世界で暗殺と虐殺を繰り返して来た。自分達を見捨てて逃げた姉に復讐する。それだけを心の支えとしてきた零夜の狂気が言葉となって現れ始める。

79:死闘の序曲◆gI:2021/01/15(金) 06:20

事情は知らないけれど、哀れね・・・・・復讐心しか残っていない上に、実の姉の命を狙うなんて・・・・・

(どんな事情があれ、復讐心しか残っていなく、実の姉という親族の命を狙うという愚行は、レミリアからすればあまりにも哀れなことに思える・・・・・

事情をしらないレミリアは、咲夜側に何か問題があったのだろうかと思っても普段一番接しているからか、とても咲夜が実の弟をここまでにするようなことをしたとは思えない・・・・・)

80:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/15(金) 17:46

零夜
「……そう言えば、お前達も父が暴君であったのだろう?
なら……わかるだろ?見捨てられ、命を脅かされ、苦痛と恐怖の中を生きる絶望を……!そしてそれを引き起こした者達への復讐と憎悪が!!」

少し首を傾けて目線だけをレミリアに移動させると、自分と同じように支配され、絶望と恐怖の中を生きることや、それを強いる者への憎悪と復讐を理解できる筈だと投げ掛ける。

81:死闘の序曲◆gI:2021/01/16(土) 06:23

っ・・・・・!アンタ・・・・・どこでそれを知ったの・・・・・?お父様・・・・・いや、あの男はとっくの昔に地獄に落ちたはず・・・・・

(接した限りでは、咲夜に対する復讐心しか持ち合わせていないように思っていたからか、いきなりヴァルターについての話題が零夜の口から出たことに驚きを隠せない・・・・・

零夜がヴァルターのことを知っている何者かと繋がりがある、ということなのだろうか・・・・・)

82:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/17(日) 01:38

零夜
「ほう、この情報は正しかったようだな……
誰が教えたのかについて知る必要は無いだろう?
何せ……今日を持ってお前達も、アイツも……全員まとめて死に絶えるのだからな?」

零夜は咲夜との時間の相互干渉や、パチュリーの補助等、度重なるイレギュラーの中で懐疑的になっていたものの、レミリアの反応からしてこの情報は正しかったのだと判断すると、零夜は銀の懐中時計をスーツの内ポケットから取り出し、現在の時間帯を見せる。

零夜が開いた懐中時計は午後三時を指している。
それが示しているのは……日の出まで残り三時間しか無いと言うこと……
これはつまり、あと三時間経ってもレミリアとフランの二人が救出されなかった場合、二人とも日光に照らされて消滅してしまうことを意味している……

83:死闘の序曲◆gI:2021/01/17(日) 11:34

本当に卑怯ね、アンタ・・・・・どんな人生を送ってきたかは知らないけれど、どうせ一方的な逆恨みなんでしょ・・・・・?言うことやること全部がただの逆恨みの小物・・・・・

(零夜のあまりの冷酷さに、レミリアは零夜の今までの人生を知らないが故も含めて零夜が一番傷つくような一言を放つ・・・・・

新しい家族と居場所を見つけた咲夜とは対照的に、文字通り生き地獄を経験して今まで生きてきた零夜の過酷な人生を知らないこと、咲夜が零夜がここまでなるほどのようなことをする人物ではないということを信じているため容赦なく言える・・・・・)

84:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/17(日) 23:44

零夜
「なんとでも言え、これが俺達人間の強さなのだからな。」

(二人に見せていた懐中時計を閉じ、再びスーツの中に戻しながら、この狡猾さや卑劣さこそが人間の強さであり、人外の存在に対抗する方法なのだと応える……零夜にとって人間は悪意の強い者だけが勝ち残れる、他者を平気で蹴落とせる者こそが幸せに近付ける……そんな歪んだ価値観の下の発言だ)



零夜
「逆恨み?ふん、そうか……ならお前がお前の父に抱いていた感情も逆恨みだと言えるな?」

(零夜はレミリアの言葉を聞くと冷笑し、自分達を見捨てて一人幸せを掴んだ咲夜と、ヴァルターを同じく自分達に災いと苦痛をもたらした張本人であると言う考えの下で同一視し、姉を恨んでいる自分と父を恨んでいたレミリアとフランの二人に対して「逆恨み」と言う言葉をそのまま返す……

咲夜は刻一刻と根を張り広間を埋め尽くさんとばかりに広がる人面樹によるあらゆる方向からの刺突攻撃や薙ぎ払い攻撃を向けられ続けている。

零夜としても、このまま後は放っておくだけで咲夜は体力が尽きて攻撃が避けられなくなれば死亡し、三時間後には日光によってレミリアとフランも消滅する。出血によって意志が既に失われつつあるパチュリーもこのまま手当てをしなければそうは長く生きられない……まさに絶体絶命の状況に追い込まれてしまっている)

85:死闘の序曲◆gI:2021/01/18(月) 06:21

っ・・・・・!そ、それはっ・・・・・

(恨む側が零夜と自分達姉妹であるなら、同じ立ち位置にいるのは咲夜とヴァルター・・・・・

だが咲夜はヴァルターとは違う、ヴァルターのように誰がを故意に殺めたり、悲しませたりはしない・・・・・

だが、レミリアは上手く返答することも出来ずに、黙り込んでしまう・・・・・)

86:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/18(月) 22:47

零夜
「……口でならば何とでも言える。
俺もお前達とヴァルターの関係についてそこまで詳しくは知らない。
だが……俺にとってアイツはお前達にとってのヴァルターに等しい、許すことの出来ない悪……この身を擲ってでも滅ぼしたい存在だと知れ。」

零夜は視線をレミリア達から咲夜とダークトレントが戦うスクリーンへ戻し、自分にとってはレミリア達にとってのヴァルターに等しい敵なのだと断言する……

スクリーンの中では、徐々にその体積を増して咲夜の逃げ場を奪っていくダークトレントの姿と、それでも必死に回避を続ける咲夜の姿が移っている。

87:死闘の序曲◆gI:2021/01/19(火) 06:22

・・・・・咲夜がアンタに何をしたって言うのよ・・・・・咲夜が実の弟にここまで恨まれるようなことをする人間じゃないっていうのは、主人の私が一番知っているのよ・・・・・?

(レミリアは咲夜が実の弟にここまでされるほど恨まれるようなことをする人間ではないことを弟の零夜よりもよく知っている・・・・・

だからこそ、より一層零夜の気持ちが理解出来ない・・・・・)

88:惨劇と海藻◆3.:2021/01/19(火) 19:55

零夜
「……いいだろう、言ったところで何が変わるわけでも無い。冥土への土産として話そう。」

どの道、残り三時間で全員塵となって消える運命にある。
ならばそれまでに少しの雑談をする程度の事、何ら障害にはならないだろう。



零夜
「俺とアイツはのどかな街の中で生まれ育ち、貧しいながらも優しい両親の下で充実した毎日を暮らしていた……その頃の俺もこんなささやかだが平和な毎日が続くと信じていたんだ……だが……この幸せは長くは続かなかった。」

零夜
「覆面の集団によって俺達の家が襲われ、父さんと母さんが殺され……
俺自身も殺されかけた……アイツは……俺達が襲われている時、俺達を見捨てて一人で家から逃げた……姉さんは小さい頃から時間を操る事が出来ていたから助けようと思えば何時だって俺達を助けられた筈なんだ……なのに……アイツは俺達を見捨てて……逃げた。」

零夜はここまで話終えると、自分のスーツとシャツの胸元を開ける。
すると、無駄無く鍛えぬかれたその体には無数の傷跡が付けられており、特に鳩尾の辺りには一際大きい刺し傷の跡がくっきりと残っている……
体に付けられた無数の傷は様々な拷問や、能力が開花して人拐い達から逃れた先で生き延びるためにもがいた証であり、鳩尾の傷跡は家族を襲撃された時に付けられたものだ。



零夜
「辛うじて生かされた俺は人拐いに捕えられ、地獄としか言い様の無い世界を生きて来た……自分で命を絶とうとした事など十や二十じゃない。だが……俺はアイツへの憎しみだけを糧に生き延びて来た……」

89:死闘の序曲◆gI:2021/01/21(木) 21:13

・・・・・咲夜は、助けを呼ぼうとしたんじゃないの・・・・・?いくら時を止められるからって、子供が家族全員襲われた際に出来ることなんでたかが知れている・・・・・

(いくら時を止める能力を子供の頃から持っていたとしても、子供ならパニックになるのは当たり前・・・・・

咲夜は家族を置いて逃げようとしたのではなく、他の大人の助けを呼ぼうとしたのではないかと指摘をする・・・・・

この言葉が零夜に響くとは思えないが・・・・・)

90:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/21(木) 23:38

零夜
「……それが真実であったとしてももう遅い。
ここまで来た、来てしまった以上、俺はもう止まることは出来ない。
復讐の成功か……死か……そのどちらかの二つ以外に俺に道は無い。」


零夜はレミリアの言葉を聞くと、零夜自身もその考えがあったからなのか、少しの沈黙の後、先程までとは打って変わって冷静な口調でそう応える……

例え咲夜が助けを求めるために出たのだとしても、復讐のために此処までしてしまった以上後戻りなど出来ない。咲夜を仕留めて復讐を成すか……それとも敗れ去り消えるか……その二つしか自分にはもう道など存在しないのだと応える。

皮肉な事に、自分にとって大切な、肝心な場所では時間の操作が及ばない……最も変えたい場所、戻りたい場所には遡ることが出来ない……それが後天的に能力に目覚めた零夜の最大にして取り返しの付かない欠点……

復讐だけが自分の生き甲斐であり、これまでの自分を支えてきた……
それを否定すると言うことはこれまでの自分の全てを否定するようなもの。例え自分の考えや行いが過ちであったとしても、自分自身の手では終わらせられない。

終わりを迎えることが出来るとすればそれは咲夜によってこの命が絶えられたその時だけなのかもしれない……

91:死闘の序曲◆gI:2021/01/22(金) 06:18

・・・・・家族を失ったことでどんどん歪みに歪んで、挙句の果てには唯一血の繋がりがある姉を消して目標を達成しようだなんで、本当に哀れね・・・・・お互い生きている今の内に、話ぐらいしたらどう・・・・・?

(少しでも零夜の殺意と復讐心のレールをを咲夜との和解へと切り替えようとし始める・・・・・

ここまで歪んでしまった感情を元に戻すことは難しいが、少しでも咲夜に対する今の殺意が和らいで、和解する気持ちへと変わればとダメ元で言ってみる・・・・・)

92:紅龍推参◆5w:2021/01/23(土) 13:11

【紅魔館 階段前】


ダークトレント
『ゲヒャヒャヒャヒャ!!!』

レミリアが零夜に対する説得を進めている中、咲夜と交戦していたダークトレントは遂に広間の五分の四以上をその巨大な根を張り巡らせる事で覆っており、着実に咲夜の逃げ場を奪っていた……そして、移動可能なスペースの大半を奪ったダークトレントはほぼ全方向から同時に黒い根を伸ばし、咲夜の体を貫こうとした次の瞬間。



《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》

美鈴
「遅れてしまいすみません!!」

辺り一帯に鳴り響く程の凄まじい爆音と共に、封鎖魔法によって脱出不可能となっていた広間の扉が勢いよく吹き飛び、ダークトレントの無数にある顔の一つに深々と突き刺さる……そして吹き飛ばされた扉の先には両手に赤い鱗が生えた美鈴が立っており、咲夜の姿を見付けると館の危機であったにも関わらず駆け付けるのが遅れてしまった事への謝罪をする。

93:死闘の序曲◆gI:2021/01/24(日) 08:42

・・・め、美鈴・・・・・

(攻撃も通用しない相手から何とか攻撃を受けないように避け続けるのが精一杯な中、もはや絶体絶命とも言える状況に追い詰められたその時、突然ダークレントの顔にいきなり吹き飛んできた扉が突き刺さるのを見て、驚きを隠せないでいる中、扉が飛んできた方向を見ると、美鈴が助けに来てくれたことにさらに驚く・・・・・)

・・・・・やられたんじゃないかと思って心配したわよ・・・・・

(レミリア達は零夜に拘束されているのはわかっているが、美鈴に関してはどうなったのかがわからなかった為、一安心する・・・・・)

94:紅龍推参◆5w:2021/01/24(日) 16:28

美鈴
「あはは、ご心配させてしまってすみません。ちょっと不意を突かれてしまいましたが、もう大丈夫です。」

右手を自分の頭の後ろに回しながら不意を突かれて戦闘不能になっていたものの、今はもう大丈夫だと言うと、蠢くダークトレントへ向き直り、両手の拳を強く握り締め、足を開いて腰を落とし、構えを取る。



美鈴
「さあ……一気にお嬢様のところまで行きましょう……!!」
《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》
美鈴は此方にも向けて無数の枝根を伸ばし来るダークトレントを見ると、構えを取った状態で正拳突きを放ち、空気を殴り付けて衝撃波を巻き起こし、迫り来るダークトレントの枝根を薙ぎ倒し、更にはそのままダークトレントが守る扉もろともバラバラに消し飛ばし、階段への道が見えるようになる。

だが、その階段の向こうには幾つもの妖精メイド達の骸と、妖精メイド達を倒したと思われる無数の甲冑達が待ち構えており、巨大な盾や剣を持って警戒している。

95:死闘の序曲◆gI:2021/01/25(月) 06:17

・・・・・酷い・・・・・メイド達まで・・・・・

(咲夜はあれだけの強敵であったダークトレントをあっという間に美鈴が倒したことに驚きつつも、今は一刻も早くレミリア達が囚われている場所へ向かわなければと思うと、階段の方へと向かう・・・・・

すると、階段の向こうにメイド達の骸があるのを見て、咲夜は精神的にショックを受ける・・・・・

今回の騒動は自分の弟が引き起こしたこと、咲夜は責任を感じていた・・・・・)

96:紅龍進撃◆5w:2021/01/25(月) 23:07

美鈴
「……大丈夫です。妖精メイド達は少し時間がかかってしまうかもしれませんがまた復活できます。」

ショックを受けている咲夜を見て、メイド達は妖精であるため"一回休み"の状態にはなってしまっているものの、その根底にある自然現象そのものが消えた訳ではないため、また生き返る事が出来ると伝えて少しでも支えようとする。

だが、レミリア達は妖精では無く、一度滅ぼされてしまえば二度とは蘇ることは出来ない……だからこそ、今は足を止めている暇は無い……

97:死闘の序曲◆gI:2021/01/26(火) 06:21

・・・・・そうね・・・・・急ぎましょう・・・・・

(妖精達はまた生き返るとしても、何の罪もないのに死の経験までさせてしまったことは本当に申し訳なく思っており、弟と、零夜と戦わなければいけないという試練を前にもう精神的にもやられ始めている・・・・・

どうしてこんなことになってしまったのだろうかと、後悔の念に押し潰されそうになる・・・・・)

98:紅龍進撃◆5w:2021/01/26(火) 18:20

美鈴
「雑魚は私に任せて下さい。」
【虹符「烈虹真拳」】

美鈴は一刻も早い救出と、精神的な負い目を感じている相手を前に進ませる事で少しでもその感情を紛らわそうと考え、全身に紅色のオーラを纏い、連続して拳を放ち、迫り来る甲冑の軍隊に向かって色とりどりの無数の光弾を放ち、館の屋上の階段への道を作る。



美鈴
「さあ、今のうちに先へ進んで下さい!!」

だが、打ち倒した甲冑の中には誰も入っておらず、砕かれた甲冑がみるみる再生しており、悠長に戦っていれば日の出になるまでの時間を稼がれてしまうだろう。

99:死闘の序曲◆gI:2021/01/27(水) 05:52

わかったわ・・・・・

ダッ・・・・・!

(この階段の向こう・・・・・この向こうに、零夜がいる・・・・・

主達を救うのを最優先としているが、同時に咲夜の心に芽生えるのは、仲が良かった弟に恨まれてしまうのも仕方ないということと、できればこんな形で再会はしたくなかったという感情・・・・・

ガッ・・・・・!

咲夜は、屋上に出る扉を勢い良く開けた・・・・・)

100:忌まわしき過去との対決◆5w:2021/01/27(水) 12:25

【紅魔館 屋上】


零夜
「……来たか……どうやら余興はこれまでのようだな……」

美鈴は咲夜が階段を駆け上がると、屋上に辿り着き、両手を後ろで組み、展開していたスクリーンを消して佇んでいた零夜がゆっくりと咲夜の方へ振り返り、余興はこれで終わりのようだと呟く。

101:死闘の序曲◆gI:2021/01/28(木) 06:15

お嬢様達を開放しなさい・・・・・

(咲夜は零夜を睨みつけながら、レミリア達を開放するようにと忠告する・・・・・

しかし、零夜が咲夜に殺意を抱くのとは裏腹に、咲夜は零夜とは和解したい気持ちもある・・・・・

咲夜は戦いを目前に、どうすればいいのかわからなくなっていた・・・・・)

102:忌まわしき過去との対決◆5w:2021/01/28(木) 08:03

零夜
「いいだろう……ただし、この俺を倒せたら……の話だがな。」
【「静止する時()」】

先程のやり取りの中でレミリアに語ったように、零夜の中にはまだ迷いや躊躇いが残っていた。でなければわざわざ館の空間を操って咲夜を飛ばさずに最初の段階で彼女の首を斬っていればそれで終わっていただろう。

だが、その迷いや躊躇いがある反面、憎しみや復讐心だけを支えに零夜は生きてきた。もはや、どちらかが命を落とすまで止まることは出来ない。

零夜は手にした銀の懐中時計のスイッチを押し、周囲の時の流れを完全に静止させる灰色の波動を放ち、更に左手の掌に銀製の短剣を召喚してそれを咲夜に向けて投擲する事で仕留めようとする。

103:死闘の序曲◆gI:2021/01/29(金) 06:20

あら、気が合うじゃない・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は投げられた短剣を回避すると、ナイフを6本取り出し零夜へ向けて投げる・・・・・

零夜同様、咲夜にとってもこの戦いは後戻りできない戦いであり、同時に過去の過ちに対する回答と終止符を打つ戦いでもある・・・・・)

104:◆5w:2021/01/29(金) 12:51

零夜
「なるほど、時間停止はやはり効かない……か。」

停止した時の中でも此方の投擲した短剣を避け、咲夜がナイフを投げるのを見て、やはり同じ時間操作能力者同士だと互いに相殺し合うのだと言うことを理解すると、今度は右手に十字架を連想させる銀の長剣を召喚して投げられたナイフを全て弾き飛ばしながら、此方からも距離を詰めるべく駆け出す。

駆け出すとそのまま手にした長剣を勢いよく前へ突き出し、そのリーチを活かした高速の突きによって咲夜の体を刺し貫こうとする。

105:戻ることのない時間◆gI:2021/01/29(金) 14:03

・・・っぐ・・・・・!

ガッ・・・・・!

(零夜は咲夜への復讐心から来る純粋な殺意によって容赦のない一撃、対する咲夜は主達を救う為とはいえ、零夜のように敵対者に殺意があるわけではないからか、やはり少し動きに躊躇いがある・・・・・

咲夜は攻撃を瞬時に回避しようとするが、右腹部辺りの服の生地を裂かれ、皮膚をかする・・・・・

かすったところはわずかながらに切り傷になり、血が出る・・・・・

咲夜は片足を振り上げ零夜に反撃をする・・・・・)

106:時の復讐者◆5w:2021/01/29(金) 16:11

零夜
「……ふん、今回は逃げないんだな?」

零夜は突きを避けられ、反撃として繰り出された蹴りに対して自分の左手を盾のようにして相手の脚にぶつける事でその威力の軽減を行いながら、「今回は逃げ出さないんだな」と皮肉を呟く。

そして、更なる追撃として突き出した右腕を横へ払う事で手にした長剣による薙ぎ払いをする。先程の咲夜の蹴りを敢えて受けたのはこの斬撃を当てるためであり、これこそが本命の攻撃となっている。

107:戻ることのない時間◆gI:2021/01/30(土) 06:02

ザッ・・・・・!

ぅぐ・・・・・!

(零夜の斬撃を回避しようとするが、反応が遅れて腕に長剣が突き刺さる・・・・・

そして、今回は逃げないんだなという零夜の問いに対して「えぇ・・・・・そうね・・・・・今の私は逃げない人間になったの・・・・・」と返す・・・・・)

108:時の復讐者◆5w:2021/01/30(土) 12:33

零夜
「……そんなにあの妖怪共が大切なのか?」

零夜の振横薙ぎに振るった長剣が左腕に深々と斬り込み、骨にまで到達すると、ここまで身を挺してまで妖怪…つまりはレミリア達が大切なのかと問い、刺さった長剣を勢いよく引き抜く事で 咲夜の左腕を切断しようとする。

109:戻ることのない時間◆gI:2021/01/31(日) 10:57

グッ・・・・・!

当たり前でしょ・・・・・私の大切な家族よ・・・・・

(咲夜は長剣の刃の部分を握り、ググッと力を込めて切断は免れようとする・・・・・

そして、零夜のあの妖怪共が大切なのかという問いに対して、咲夜は大切な家族であると返す・・・・・

咲夜からすれば、レミリア達はかけがえのない存在であることがわかる・・・・・)

110:時の復讐者◆5w:2021/01/31(日) 13:55

零夜
「戯言を……ぬかすなッ!!!」
《シャッ》
零夜は長剣の刃を掴んで引き抜くのを阻止した事に対して驚くものの、直ぐにそれを遥かに上回る"憎悪"が零夜の心を支配していく……
自分よりも先に時間操作能力を開花させていたにも関わらず、自分や家族を見捨てて一人逃げ出した姉が……あろうことか妖怪を守るためにその身を挺しているのだと言う事が零夜の心を復讐へと駆り立てる。

咲夜の顔を蹴り飛ばして剣を引き抜こうと、床を蹴って少し飛び上がり、そのまま体を捻って遠心力を込めた回し蹴りを放ち、相手を蹴り飛ばそうとする。

111:戻ることのない時間◆gI:2021/01/31(日) 17:52

遅いっ・・・・・!!!!!

(咲夜は零夜の蹴りを避けると、そのまま自力で長剣の刃を引き抜いて零夜へと無数のナイフを投げつける・・・・・

今の家族を馬鹿にされている以上、咲夜も黙ってはいられない・・・・・

咲夜も徐々に攻撃することへの躊躇は消え始めている・・・・・)

112:時の復讐者◆5w:2021/01/31(日) 19:16

零夜
「俺はお前を消すために生きてきた……そのために俺は復讐以外の全てを捨てて来た……何も失っていないお前とは覚悟が違う!!」

意思の強さは戦う強さへと変わる……
零夜の場合は姉への復讐、その一念のために人間らしい心も、友も、仲間も、復讐を成すための力以外の全てを捨てて来た……それが零夜が自分では止めることが出来ない理由になっている。

自分とは対称的に新しい居場所や家族、仲間を得た咲夜に劣る理由がないと言い、ほぼ至近距離であった事からナイフを取り出そうとする咲夜に対して、回し蹴りが空振りしたものの、その勢いを利用して空中で更に一回転して咲夜の手を蹴り飛ばしてナイフを叩き落とそうとする。

113:戻ることのない時間◆gI:2021/02/01(月) 06:18

笑わせるんじゃないわよっ・・・・・!!!!!

(咲夜は零夜の蹴りを受けながらも、更に瞬時に別のナイフを取り出して至近距離で投げつける・・・・・

咲夜だって今の今までレミリア達とただただ幸せな毎日を送っていたわけではない・・・・・

それこそ、レミリアに拾われるまでは地獄のような日々も生きてきた、拾われる前も後も、時間停止能力を持ちながらも家族を救えなかったことをずっと心の闇として秘めながら生きてきた・・・・・

なんなら、救えたはずなのに救えなかった咲夜からすれば、零夜よりも心の闇は深いのかもしれない・・・・・)

114:時の復讐者◆5w:2021/02/01(月) 15:32

零夜
「それは俺の台詞……だ!!」

ナイフを投げられるものの、蹴りや欧打が当たる程の至近距離では投擲による優位性は殆ど無く、咲夜の手を蹴ってナイフを弾き飛ばすと、地面に着地した瞬間にそのまま地面近くにまで姿勢を落とす事でナイフを避けると同時に、彼女に対して足払いを仕掛けて転倒させようとする。

一度転倒してしまえば、再度起き上がるにせよ、床を転がって避けようとするにせよ、零夜の持つ長剣による斬撃を回避する事が困難になってしまうだろう。

115:戻ることのない時間◆gI:2021/02/01(月) 21:30

なっ・・・・・!?

(零夜の思惑通り、咲夜は足払いを仕掛けられて転倒する・・・・・

咲夜は家族を囚われているということから零夜に対する怒りの感情は抱いているものの、零夜が咲夜に対して抱く恨みの感情はそれをもはるかに凌駕するということの証明にもなっている・・・・・)

116:時の復讐者◆5w:2021/02/01(月) 22:24

零夜
「俺がどんな思いでこれまで生きてきたのか……どんな人生を歩まされて来たのか……お前には想像する事さえ出来ないだろうな!!」
《ヒュオッ》

足払いが成功し、転倒した咲夜に対して零夜はこれまでの生について口にする……
奴隷として生きてきた人生……能力を開花させて奴隷でなくなってからも安息の地など無く、闇の狩人として様々な苦痛や恐怖、絶望を味わって来たのか等、咲夜には想像する事すら出来ないだろうと言うと、右手に握った長剣を振り下ろし、倒れた咲夜の体を両断しようとする。

117:動かない大図書館◆5w:2021/02/02(火) 00:08

パチュリー
「…………ッ!これは………?」

咲夜と零夜が戦いを繰り広げている中、パチュリーは自分の体に刺さり、魔力を封じている魔封効果が込められた銀のナイフの柄を掴み、激痛に耐えながらもゆっくりと引き抜く。すると、そのナイフから違和感が感じられ、その違和感の正体が何なのかと勘繰り始める。

既にナイフは抜けたものの、まだ魔力は回復しておらず、完全に回復しきるまでには到底日の出には間に合わないため、フランを閉じ込めた時のように雨を降らせたり、空を雨雲で覆うことは出来ない。

二人の戦いに自分は介入することは出来ない……
時間操作が出来ない自分が零夜へ反撃しようとしてもかえって足手まといになってしまう事が目に見えているからだ。

118:戻ることのない時間◆gI:2021/02/03(水) 06:10

ガッ・・・・・!

ぐっ・・・・・!

(咲夜はナイフを取り出し、刃の部分で長剣の刃をなんとか食い止めるが、ナイフの刃と長剣の刃では圧倒的な差があるが、何が何でも負けられない咲夜は必死に抵抗する・・・・・

そして、
パチュリーがナイフを引き抜いたのを見ると「パチュリー様!ナイフをこっちへ・・・・・!」と叫ぶ・・・・・)

119:時の復讐者◆5w:2021/02/03(水) 08:03

零夜
「剣にナイフが勝てると思っているのか?」

零夜はナイフの柄
だが、幾ら振るいやすさを重視して軽量化されているとは言え、ナイフと長剣とではその単純な質量に差がありすぎる上に、床に倒れた状態で腕力しかまともに使えない状態の咲夜と長剣を振り下ろしている事で単純な腕力に加えて剣の質量や体重も攻撃に乗せることが出来る零夜とでは力を込められる姿勢や態勢にも大きく差を付けられてしまっている。

パチュリーも咲夜の呼び掛けに応えて魔封じのナイフを投げ渡そうとするが、この状況を打破し、零夜の注意を逸らす事が出来なければ容易く避けられてしまうだろう。

120:戻ることのない時間◆gI:2021/02/03(水) 14:23

・・・っ・・・・・私・・・・・は・・・・・負けられな・・・・・

ズブッ・・・・・

ぁ゛・・・・・

(咲夜の体に、長剣の刃が深々と突き刺さる・・・・・

どんなに負けるわけにはいかないという強い意志があったとしても、長年に渡って募った復讐心を前にしては、力が一歩及ばないということの証明なのかもしれない・・・・・)

121:時の復讐者◆5w:2021/02/03(水) 17:30

零夜
「………終わりだな。」

零夜は復讐を成し遂げられるという事への喜びも嬉しさも何も宿っていない、どこまでも冷たい無感情な顔をしたまま、咲夜のナイフの柄を貫いた長剣を更に押し込んで彼女の体を貫こうとしていく……
どれだけ時間を操れると言う規格外の能力を持っていようとも、人間である事に変わりはない……傷や怪我をすれば簡単には治らず、失った手足が戻る事もない……一つの傷や怪我が致命傷となりうる人間だ。



パチュリー
「………ッ!(防御魔法を……!いえ、それでは間に合わない……回復魔法をしようにも剣が刺さってしまっては意味を成さない……それ以前に今の私に魔力は残されていないし、このナイフを投げたところであの時使いに阻まれるのは確実……打つ手が……無い………)」

パチュリーは脳内に様々な打開策や救出方法を模索するものの、いずれにしても今の状況を打破しうるようなものは見付からない……

122:戻ることのない時間◆gI:2021/02/04(木) 06:16

・・・・・

(咲夜の手は力なく崩れ、長剣の刃が容赦なく体を貫く・・・・・

咲夜はもう抵抗もしない・・・・・いや、できない・・・・・

長剣が刺さった場所からは、血が流れ続けている・・・・・)

123:時の復讐者◆5w:2021/02/04(木) 12:34

零夜
「………残りは1時間20分か。
ここまでに相当の魔力を消耗したが……これでもう俺の時間操作に対抗できる奴もいない。このまま館内にいる奴らも殲滅しておくか……」

咲夜の体を貫いた長剣をそのまま床に刺して串刺しの状態にすると、懐から銀の懐中時計を取り出して日の出までに残された時間を確認し、咲夜の名を叫ぼうとしたものの、ナイフによって受けた傷によって大声が出せなくなっており、呻くような声をあげるパチュリーと、銀の鎖によって十字架に磔にされたレミリアとフランの三者の様子を見る。

そして、三者をまとめて始末しようと三人の頭上に召喚魔法を展開し、そこから銀の大剣を呼び寄せ、それを落とす事で三人をまとめて貫こうとする……

124:???◆5w:2021/02/04(木) 23:24

???
「………ッ!!
今の私だけでは……この結界を壊せない……」

零夜が幾重にも渡って張り巡らせた巨大にして強固な結界。
紅魔館の正面門の前では幾度も激突した後があるものの、結界が破壊できるまでには及ばず、己の無力さにうちひしがれている者が一人いた……
自分一人だけではこの壁を壊して助けに向かうことは出来ない……
だが、博麗の巫女ならばこの結界を解除して助けに向かうことが出来るようになるかもしれない。



???
「レミリア……フラン……待っていて………」

脳裏にはレミリアとフラン、そして館の住人達の事が次々と過り、歯を強く食い縛り、巫女の元へと向かって飛び去って行く……
かつてヴァルターの暴力や支配から二人を守ることが出来なかった……その過ちを再び繰り返す訳にはいかない。

125:戻ることのない時間◆gI:2021/02/05(金) 06:09

レミリア「・・・・・アンタは、必ず地獄に堕ちる・・・・・」

フランドール「・・・・・消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ」

(レミリアとフランドールの二人は咲夜を長剣で突き刺した零夜を睨みつけながら、抵抗も何もせずにただただ罵声を浴びせる・・・・・

今この時、自分達を救うべく動いている者がいるということも知らずに・・・・・)

126:時の復讐者◆5w:2021/02/05(金) 12:11

零夜
「地獄……か。ならば死した妖は何処へ行くのだろうな?」
《バチンッ》
レミリアとフランの二人の言葉を聞き、ならば完全に死亡した妖怪は何処へ行くのだろうと呟くと、零夜は指を鳴らす。
するとそろを合図として三人の頭上に召喚した大剣が三人の心臓目掛けて落ち始め、咲夜と同じように串刺しにしようとする。

127:戻ることのない時間◆gI:2021/02/06(土) 00:24

カチッ・・・・・

(突然、レミリア、フランドール、パチュリーの三人を亡き者にするために召喚した大剣が三人に直撃する寸前でその動きを止める・・・・・

零夜ならば・・・・・いや、零夜だからこそすぐにわかるような、この謎の現象の正体は・・・・・)

128:時の復讐者◆5w:2021/02/06(土) 07:57

零夜
「…………!!」

日の出を待つこと無くとも、決着は既についた。
体を貫かれ、絶命したであろう咲夜ではもう何も出来ず、咲夜以外で時間を操れる自分に対抗できる者はいない。

そう考えていた最中、突如として自分以外の者による時間停止が発動される……咲夜も人間だ。体を貫かれて尚、生きている事など出来ず、どれだけ強い能力を持っていようとも死してしまえば無力となる。

その筈であったにも関わらず、時間停止が成されている事に驚愕し、停止した時の中で左手に長剣を握ったまま何が起こったのかと咲夜の方へ振り返る。

129:時の守護者◆gI:2021/02/06(土) 20:54

ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・

はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・!

(零夜が振り返ると、咲夜は自分の体へ突き刺さっていた長剣を抜き取り、刺さっていた場所を左手で押さえながら右手で長剣を構える・・・・・

零夜の原動力が咲夜に対する復讐心ならば、咲夜の原動力はレミリア達に対する愛だろうか・・・・・)

130:時の復讐者◆5w:2021/02/06(土) 21:27

零夜
「馬鹿な……確かに体を貫いた筈だぞ?お前……まさか人間を辞めているのか?」

人間の生命力や再生力では体を貫かれた状態で立ち上がることなど、まして能力を使うことなど到底出来ない……だとしたら考えられる可能性は一つ。咲夜は既に人間を辞めて吸血鬼にでもなっているのだろうか?

……ならば此方も相応の戦法を取るまで。
零夜は軽く一回転し、その遠心力を乗せて右手に持った長剣を振るい、魔力を具現化させた横薙ぎの巨大な斬撃を放つ。

131:時の守護者◆gI:2021/02/07(日) 09:08

ガッ・・・・・!!!!!

(咲夜は手負いの状態でありながらも、素早い動きで零夜の斬撃を避け、そして背後に回り込みさっきまで自分の体に刺さっていた長剣を振るう・・・・・

そして「私は人間をやめちゃあいないわよ・・・・・昔も、そして今も、失うことが怖いただの人間よ・・・・・」と、今は今この時、レミリア達を失うかもしれないことだろうが、昔というのは家族を助けられなかった時のようにも聞こえる・・・・・)

132:時の復讐者◆5w:2021/02/07(日) 16:58

零夜
「なら……あの状態からどうやって助かったんだ?確実にお前の体を刺し貫いていた筈だ。」

背後に回り込んだ咲夜を見て右手に持っていた長剣を振り向き際に振るい、咲夜が振るった剣と激突させて相殺しつつ、右足を咲夜の左横腹目掛けて蹴り出して鍔迫り合いにもさせずに一気に斬り伏せようとする。

133:時の守護者◆gI:2021/02/07(日) 17:31

さぁ・・・・・ね・・・・・私にだって・・・・・わからないわ・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は零夜の攻撃を再び避けると、ナイフを零夜へ向けて投げつける・・・・・

零夜の頬をナイフがかすり、鮮血が一滴滴る・・・・・

自分でもここまで手負いの状態で何故戦えているのかがわからないが、まだ戦えるのであれば、何としてでもこの戦いに終止符を打ちたい・・・・・)

134:時の復讐者◆5w:2021/02/07(日) 19:10

零夜
「……そうか……お前は人間を捨てたか。」

零夜の繰り出した蹴りは咲夜を前に空振りに終わり、同時に距離を取って咲夜が投げたナイフを零夜は回避したは良いものの、自身の頬に掠り、傷口から血が垂れると、それを左手の袖で拭う。



零夜
「ならば………俺も人間である事を捨て去り、完全なる殺戮と破壊の化身と化そう!!」

姉の咲夜は人間である事を捨てたのだと判断すると、零夜は左手の掌の上に召喚魔法陣を展開し、そこから黒い血液が入った小さな注射器を取り出す。
その黒い血液から感じられるおぞましく、禍々しい闇の魔力から、レミリアとフランにとって最悪の象徴とも言えるあの"ヴァルター"の血液である事が即座にわかるだろう……

135:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 06:18

・・・っ・・・・・!?

(零夜が掌に召喚したものが予想外過ぎるものだったため、咲夜は言葉を失う・・・・・

もしあれを注射してしまえば、零夜を本当の意味で救い出すことはできなくなってしまう・・・・・

どんなに敵同士だとしても、やはり血の繋がった実の弟・・・・・死なせたくはない・・・・・)

136:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 12:25

パチュリー
「させる訳がないでしょ……!」
【「ウィンターエレメント」】

零夜がヴァルターの血を取り込んでしまえば殆ど壊滅状態にある現在の紅魔館のメンバーでは対抗する手段がないと判断したパチュリーは自分の傷や怪我を回復する事よりも零夜の妨害を選び、床に右手を付けて水柱を立ち上げる事で零夜の左腕へ攻撃を加えて彼が持つヴァルターの血が入った注射器を吹き飛ばす。



零夜
「………ちッ!まだ生きていた……!!」
《シャッ》
零夜は吹き飛ばされた注射器の代わりに手元に短剣を生成してそのままパチュリーの眉間目掛けて正確に投げ、咲夜の代わりにパチュリーから先に仕留めようとする。

137:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 14:00

カチッ・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は時を止め、パチュリーに向けて投げられたナイフを停止させると、そのままそのナイフを握りしめ零夜の腕へめがけて思い切り投げる・・・・・

時が止まっていようとなかろうと、零夜と咲夜には関係ない、ここからは両者共に手加減なしの死闘である・・・・・)

138:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 16:02

零夜
「どこまでも邪魔をするつもりか……!!」

咲夜が時を止めようとも零夜はその影響を受けず、咲夜もまた零夜による時間停止の効果を受けないようになっており、静止した時間の中で投げ返されたナイフを避けて柄を掴むとそのまま咲夜目掛けて投げ返す。

そしてパチュリーの展開した水柱によって吹き飛ばされた注射器の方を確認するとそれを目指して飛翔する。ただでさえ現時点でも苦戦が免れない零夜が吸血鬼となってしまった場合、その戦闘力がどれだけ跳ね上がるのかは想像に難しくは無い……

139:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 16:27

させないわよっ・・・・・!!!!!

グォッ・・・・・!

(咲夜は飛んできたナイフによる攻撃は受けずに掴むと、そのままナイフを忍ばせて走り始める・・・・・

そして、零夜に追いつくとそのまま腹部へと拳による強烈な一撃を入れる・・・・・

この注射器を打ってしまったが最後、もう取り返しのつかないことになるのは明白である以上、どんな手段を使ってでも阻止しなければならない・・・・・)

140:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 17:15

零夜
「………ぐッ!」

注射器さえ手に入れてしまえば即座に殲滅する事が出来ると言う事や、先程までまともにダメージを受けていなかったと言うと例えば慢心から高速で追い付き、拳を繰り出した咲夜の一撃に対する反応が遅れて咲夜のボディーブローが直撃し、追撃のチャンスが生まれる。

141:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 17:29

アンタの好き勝手にさせないわよ・・・・・!!!!!

ズブッ!!!!!

(咲夜はボディブローに続いて、零夜の右肩へ向けて先ほど零夜が投げてきたものの、簡単に掴み取り忍ばせたナイフを深々と突き刺す・・・・・

追撃のチャンスが生まれた以上、なるべく深手を負わせることで動きを鈍らせた方がこちら側が少しでも有利になりうる・・・・・)

142:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 18:24

零夜
「…………!!!」

咲夜が取り出したナイフが零夜の右肩に突き刺さり、右手に持っていた長剣を落とし、消失し、確固たるダメージを与える事に成功するものの、零夜は左腕で接近して来た咲夜に対して体内からダメージを与えようと掌底を打ち込もうとする。

143:時の守護者◆gI:2021/02/09(火) 06:18

ドゴッ・・・!!!!!

諦めなさい・・・・・アンタは絶対負けられないんでしょうけど、それ以上に私は絶対に負けられないのよ・・・・・

(咲夜は零夜の掌底打ちを避けると、再び零夜の腹部へとボディブローを入れる・・・・・

零夜へ初めてダメージと呼べるようなダメージを与えられた今、この戦いを終わらせるなら今しかない・・・・・

最初は弟に対して攻撃することを心のどこかで躊躇いがあったものの、今はもう容赦なんて必要ないと判断し、手加減無しで攻撃を仕掛ける・・・・・)

144:時の復讐者◆5w:2021/02/09(火) 07:49

零夜
「ぐッ……!!
図に……乗るな!!!」

掌底零夜は咲夜による追撃を受け、更にダメージを受けると反撃として魔術式を展開し、自分を中心とした周辺に青い爆炎を解き放ち、接近した咲夜をそのまま焼き尽くそうとする。

145:時の守護者◆gI:2021/02/09(火) 19:51

カチッ・・・・・

ズゥッ・・・・・!

ちょっとダメージを受けた程度で、随分と取り乱すのね・・・・・

(咲夜は先ほどのように時間操作で炎が放たれる前まで戻すと、零夜の左足へとナイフを投げ、深々と刺さる・・・・・

守るモノがある咲夜からすれば、ちょっとやそっとのダメージは跳ね除けてしまうぐらいに信念があるものの、守るモノもなければただただ復讐の鬼と化した零夜は、ダメージを受ければ受けるほど復讐計画に揺らぎが生じて今この時のように攻撃を受けやすくなっている・・・・・)

146:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/09(火) 20:57

零夜
「不意を突かれて動揺していただけだ。だが、奇跡はもう二度と起こらないぞ?」

零夜にはまだ自分の肉体の時間すら操るだけの力がまだ残っているのか、右肩に突き刺さったナイフを抜き取って投げ捨てると傷口に手を当てながら咲夜の投げたナイフを避け、自身の肉体の時間を遡ることで無傷の状態にまで自己回復していく。



零夜
「……どうやら俺はお前を些か過小評価していたようだ。もう油断も慢心もしない。お前に確実な死をもたらすまで手を緩めもしない。……本気で行こう。」
《ゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》

その宣言の通り、零夜の眼から優位性を確保していた事から来る油断や慢心が消え、純然たる殺意の炎だけが渦巻き始め、ヴァルターの血を取り込む事すら脳裏から排除し、眼前にいる咲夜を仕留める事だけに専念し始め、零夜の放つ魔力の質がより充実し、彼が青く揺らめく炎のようなオーラを纏う。

零夜は両手に長剣を召喚し、更に召喚した長剣に燃え盛る青炎を纏わせ、剣に切り裂かれた際のダメージを跳ね上げ、傷口や断面を焼くことで一撃ごとに致死のダメージを負わせやすくしている。

戦闘に専念するようになった零夜の戦闘力は先程までとは比較にすらならないだろう……ここからが二人にとっての正念場であり、互いの生死を決定づける事になる。咲夜も、零夜も、先に致命傷を負った方が敗北し、命すらも失う事を意味している……

夜明けまで残り一時間……
因縁と宿命、因果の果てに退治する二人にとっての本当の死闘が幕を開ける……

147:時の守護者◆gI:2021/02/10(水) 06:19

そう・・・・・わかったわ、お互い本気でやりましょう・・・・・

(そう言うと、咲夜も目が今までとは違い、零夜に対する殺意が混じり始める・・・・・

だが、咲夜は心のどこかではまだ、零夜と和解してまた一緒に過ごしたいという気持ちもあるのか、表情は少し複雑そうにも見える・・・・・)

148:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/10(水) 07:53

零夜
「………………。」

沈黙したまま零夜の赤い瞳のある左目に青白い魔法陣が現れ、先制攻撃として咲夜の足元から巨大な青い炎の柱を立てる事で防御や回避に回らせる事で先ずは咲夜の動きを制限して体勢を崩させようとする。

149:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/10(水) 13:25

仮にも血の繋がった姉弟よ?ナメないでもらいたいわね・・・・・?

(咲夜は零夜の攻撃を先読みしたものの、それでも間一髪で炎の柱を避けるとそのままナイフを投げる・・・・・

零夜と咲夜、元は同じ時を刻んでいたはずの二つの秒針は、再び止まった時の中で動き出す・・・・・

それこそ、本当の意味で時が止まるまで、止まることは無い・・・・・)

150:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/10(水) 17:32

零夜
「……血の繋がった姉弟、か。
今となっては忌むべき宿命にしか聞こえないな!!」

零夜は立ち上げた炎の柱を回避した上でナイフを投げて反撃してきた咲夜を見て、姉弟と言う関係さえも今となっては憎悪を駆り立てるだけのものとなってしまっていると応え、向かってくるナイフを手にした青炎を纏った長剣で弾く。
すると、停止した時間の中でも燃焼する効力を持っているのか、弾かれたナイフが青炎に包まれ、溶けて消えていく……

更に零夜は双剣の利点を最大限に活用すべく、近接戦闘へと持ち込むべく距離を詰めようと飛翔し、両手に持った長剣を交差させるようにして振り下ろす。

151:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 06:51

ジッ・・・・・

ぐっ・・・・・っ・・・・・!

ズザッ・・・・・!

(零夜と比べれば、武器も攻撃手段も幾分か劣る上にかなりの痛手を負っているからか、咲夜は息を切らしながら零夜の攻撃への反応が遅れ、長剣が咲夜の服をかすり、わずかだが服を焼く・・・・・

炎が移った部分は破って何とかするものの、体力の面に関しては、これはどうにもできない・・・・・)

152:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/11(木) 14:02

零夜
「避けているだけでは何も変わらないぞ?」

零夜は今度は咲夜に向けて右手に持った長剣を横薙ぎに振るって一撃を放ち、続けて左手の長剣を振り下ろして二撃目を放ち、二つの斬撃を繰り出して猛攻を仕掛けようとする。
零夜が振るった剣は青炎を纏っているため、剣が振るわれた箇所には数秒間、青炎が残存し、ジワジワと逃げ場さえ奪っていく…

153:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 14:22

くっ・・・・・!次から次へとっ・・・・・!

(咲夜は息を切らしながら攻撃を避け続けるものの、確かに零夜の言う通り、避けているだけでは現状は何も変わることは無い・・・・・

だが、それは咲夜自身も一番わかっていることであり、零夜がヴァルターの血を取り込むことは何とか阻止できてはいるが、それ以外は追い詰められているという状況が続く・・・・・)

154:失われた過去と奪われた未来◆5w:2021/02/11(木) 15:14

零夜
「どうした、俺を倒すんじゃなかったのか?」

零夜は両手に持った長剣を振るい続け、息もつかせぬような苛烈な攻撃を繰り出し、双剣と言う手数と長剣のリーチ、数秒間は青炎が斬撃の軌道上に残ると言う圧倒的な戦力によって咲夜を追い詰める中、失われた過去が回想となって蘇る……



幼少期の零夜
「姉さんは強いですね!
僕も姉さんみたいに強くなって皆を守れるようになります!!」

咲夜の記憶の中にあった零夜は自分も姉のように強くなって皆を守りたい、全てを守れるぐらい強くなりたいと願っていた……いや、信じていた。
彼もあの襲撃さえ無ければ哀れな復讐者にならず、自分の信じるもの、大切なモノを守る守護者になれていたかもしれない。

零夜は全てを失い、レミリア達と出会うことが出来ずに絶望と苦痛の闇をさ迷い続けたもう"一人の咲夜"であるとも言えるだろう……



零夜
「お前が守ろうとしているモノも……お前の帰るべき場所も……全て奪い尽くしてやる……!!」

だが、あの襲撃を境に彼の身にどれだけの不幸が降りかかったのか……
その地獄のような日々は彼の思想や性格を冷酷な復讐者へねじ曲げてしまっているようで、今の彼の中には憎悪と復讐しか残ってはおらず、かつての彼の面影は最早残っていない……

零夜は決着を付けようと右手に持った青炎を纏い青い光を放つ長剣を勢い良く突き出して咲夜の心臓を貫こうとする。

155:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 16:22

幼少期の咲夜「私だってまだまだだよ!もっともっと強くならなくっちゃ!」

(過去の記憶も、血の繋がりも、今は全てが零夜の復讐心と憎悪の源となっている・・・・・

かつて強くなってみんなを守れるような人間になりたいという目標を持っていたあの頃・・・・・よりにもよって一番守りたい家族を襲撃されながら、恐怖のあまりに能力を有効活用することすらできずに逃げ出したあの日・・・・・

あの日から自分は、姉ではなく、零夜の性格を捻じ曲げることになった原因の一つでしかなくなったのだと、お互いの秒針は動かなくなったのだと、今更ながらに気づいた・・・・・)

ズブッ・・・・・

___・・・・・

(時が止まったかのように、その瞬間、音が消える・・・・・

いや、正確には、音が消えたかのような錯覚をするほどに、目の前の動きがスローに見える、と言った方が正しいだろうか・・・・・

咲夜の体を貫いた長剣は、青い光を放ちながら、今一度、咲夜の時を奪おうとする・・・・・)

156:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/11(木) 17:50

零夜
「俺にはもう守るモノも帰る場所もない……お前も……お前も同じ苦痛を味わえ!!!」

零夜の顔は激しい憎悪と殺意に満ちている……だが、その顔には何処か深い悲しみが潜んでおり、彼の放つ言葉には戻ることの無い過去、失われた過去への後悔と絶望が秘められており、咲夜の体を貫いた長剣に宿る青炎の火力を上げて内部から跡形もなく焼き尽くそうとする……

悪意と醜い欲望によって引き裂かれ、歪められた二つの運命が一つになる時……それは絶望に満ちた破滅となるのだろうか……

157:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 01:30

スッ・・・・・

・・・・・ごめ・・・・・ん・・・・・

(咲夜がとった行動は、意外なものだった・・・・・

剣で貫かれた状態で、もがき苦しむわけでも、必死に抵抗して引き抜くわけでもなく、零夜を抱き締め、震えた声で途切れ途切れにごめんと、吐血しながらかすれた声で言うと、そのまま地面に倒れると同時に青い炎が所々、僅かな範囲で咲夜の服や皮膚を燃やし始める・・・・・)

158:復讐果てにあるモノ◆5w:2021/02/12(金) 01:49

零夜
「!!?」

例え咲夜から反撃が来ようとも左手にはまだ長剣を持っており、ナイフを投げる前にその腕を切断することも出来るし、そうで無くとも致命傷にならなければ時を遡らせることで回復も出来る。何処にも死角は無く、あらゆる状況や状態を想定していたものの、咲夜の取った自分を抱き締めると言う行動までは予想することが出来なかった。



零夜
「なんだ……今さら……何もかももう遅い……遅すぎる!!」

頭の中では憎悪と殺意の他にこれまでに感じた事の無い程強い困惑と驚愕が渦巻くようになり、それが戸惑いを生じさせており、咲夜の体から長剣を引き抜き、倒れた咲夜を見て、精神の乱れによって青炎が維持できなくなり消えている事にも気付かずに困惑したまま両手に持った長剣を大きく振り上げてトドメを刺そうとする……

159:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 06:16

・・・・・

(倒れた咲夜の虚ろな目に映るのは、変わり果ててしまった弟の姿・・・・・

だが、零夜が今のような人格になってしまった原因は、一番は自分だとも言える・・・・・

咲夜は、自身の死を悟るも、最後の最後まで、また姉と弟として過ごすことが出来なかったことに、後悔の涙を流し始める・・・・・)

160:復讐果てにあるモノ◆5w:2021/02/12(金) 07:42

《ドオォォォォォォォォォォォッ》
零夜
「…………!?」

最早後には退けない、振り下ろした零夜の双刃が咲夜の体をバラバラに切り裂こうとした次の瞬間、術者である咲夜が倒れた影響で時間停止が解け、それに呼応するように紅魔館内から激しい轟音と衝撃が生じ、まるで地震が起こったかのような振動によって零夜は体勢を崩して床に片膝を付く。

161:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 13:52

レミリア、フランドール「・・・っ・・・・・!?」

(時間停止が解けたことで、レミリアとフランドールも地震のように揺れる紅魔館に気づく・・・・・

停止した時間の中で咲夜と戦っていた零夜ですら、突然起きた出来事に驚くぐらいなのだから、突然と気が動き出すと同時に揺れているという状況を知ることになったレミリアとフランドールからすれば、もっと理解が追いつかないだろう・・・・・)

162:目覚めた龍◆5w:2021/02/12(金) 17:27

パチュリー
「この気は……眠れる龍が目覚めた……とでも言うのかしら?」

《バゴッ》
パチュリーは東洋の魔術を研究しており、そのため"気"についての理解や知識もあるため、紅魔館内から鳴り響くモノの正体をいち早く見抜くと、これまで苦痛や苦悶に満ちた表情をしていたパチュリーの顔に余裕と落ち着きが戻り始める。

パチュリーか轟音の主に気付いたのとほぼ同時に零夜の足元から天を貫くかのように巨大でありながら、夜明けの光明の如く美しい虹色の光の柱が立ち上がり、零夜を弾き飛ばす。更にその光柱の中には再生が不可能なまでのダメージと損傷を受けたリビングアーマーの残骸が含まれている。

零夜を弾き飛ばした光柱が徐々に薄れて消えるとそこには瀕死の咲夜を抱き抱えた美鈴が浮かんでいるものの、普段の彼女からは想像も出来ないほど強大な妖力と、本来ならば妖怪が使うことが出来ない筈の神力を身に纏っている。

普段彼女が被っていた緑の帽子は無く、その代わりに二本で一対の雄々しい龍の角が生え、背中から二枚の龍の翼、手や顔の左半分には赤き龍の鱗が生えたまさに人の形をした龍のような姿となっており、腰まで伸びた綺麗な赤い長髪が風に靡いて零夜と対峙する。

163:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/13(土) 06:22

レミリア「あ、あれは・・・・・」

(パチュリーは大体のことは把握出来ているようだが、レミリアは突然の出来事が連続で起きているからか、未だに理解が追いつかない・・・・・

ただ一つ言えるとすれば、希望の光が見えた、ということだろうか・・・・・)

164:目覚めた龍◆5w:2021/02/13(土) 12:33

美鈴
「遅くなってしまい申し訳ありません。」

美鈴は抱き抱えた咲夜に自身の気を操る能力を用いて彼女の生命力と再生力を上げて回復を施しつつ、地へ降り立つと、ゆっくりと咲夜を寝かせるようにして置く。



零夜
「まさか……あの忌まわしき竜族が居たとはな……それも、俺が倒した筈の奴が竜だったとは………」

弾き飛ばされた零夜だったものの、空中で一回転し、足から着地したため、直ぐに体勢を整えることが出来たため、美鈴の姿を見て憎悪の言葉を口にし、両手に持った長剣に再び青炎を纏わせ始める。

165:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/13(土) 17:05

レミリア「美鈴、気をつけなさい・・・・・そいつ、時を止める能力者よ・・・・・咲夜の弟というだけはあるわ・・・・・」

(再び戦闘を始めようと準備を整え始める零夜を見て、レミリアは美鈴に、零夜は咲夜同様に時を止めることが出来る能力者だから、気をつけるように忠告する・・・・・

零夜も人間であることに変わりはないが、その憎悪と復讐心、咲夜への執着心は異常とも言えるからだ・・・・・)

166:目覚めた龍◆5w:2021/02/13(土) 21:53

美鈴
「はい、身に染みています……」

一度零夜の時止めによって動きが封じられていた事もあり、全身を切り裂かれて倒された事があるため、レミリアの助言を聞いて、身に染みて知っていると応えると、パチュリーの気を操ることで咲夜と同じく回復させ始めると、床に寝かせた咲夜の方を見て優しく微笑む。


零夜
「……ふん、一度俺が倒した奴だ。
手負いの竜を一匹片付けることなど容易い事だ。
この竜を潰したら……次はそこの魔女、そしてその次が吸血鬼のお前らだ。」
《ダンッ》
零夜は一度倒した事のあると言うことから美鈴も容易く倒せると考えており、時間停止をすること無く、両手に青炎を纏わせた長剣を持ったまま、咲夜達を見ている美鈴の背後に回り込んでは飛び上がり、頭上から長剣を交差させるようにして振り下ろし、一撃で美鈴を倒そうとした次の瞬間。



《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォッ》
零夜の振り下ろした凶刃が背を向けた美鈴の体に直撃するとなったその直後、振り下ろされた長剣が美鈴の体に当たるよりも先に美鈴の放った裏拳が零夜の手にし、交差する双剣を二本をまとめて打ち砕き、そのまま紅魔館の時計塔へ向けて零夜が軽々と吹き飛ばされ、爆発が起こる。



美鈴
「今の私は……"少し"怒っているので加減は出来なさそうですが……それで充分そうですね。」

今の美鈴の姿は、かつて、咲夜が来るまでメイド長を努めていた頃の強く、凛々しい美鈴の姿に戻っているが、それはつまり美鈴が心の底から激昂している事を意味している……
あまり美鈴と接した事の無かったフランの目からすれば、今の美鈴は普段隠していた"本性"をさらけ出したようにも映るだろう。

167:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/14(日) 07:15

フランドール「な・・・・・何あれ・・・・・あれは本当に、美鈴なの・・・・・?いつもと全然違う・・・・・」

(あまり接したことのないフランドールからしても、今の美鈴が見た目以外にも、いつもと根本的に何もかもが違っているということを本能的に直感する・・・・・

いや、寧ろ美鈴の種族を考えれば、いつもの方が本来とは違っていて、寧ろこっちの方が本来に近いのかもしれない・・・・・)

168:目覚めた龍◆5w:2021/02/14(日) 09:06

零夜
「どいつもこいつも……邪魔ばかりしやがって……!!」
《ダッ》
零夜は新たに長剣を両手に持って美鈴に向かって飛び掛かると、美鈴はその軌道を完全に見切っており、振るわれた長剣を次々とその刃を砕き、その度に零夜の魔力を削っていく。


既に館中に張り巡らせていた魔術式によって魔力を消耗し、咲夜との戦いでは体力を大きく消耗しており、時を止めて回避や防御が出来る零夜とは長期戦にはなるものの、美鈴が零夜を打ち倒すことは可能になるだろう。



パチュリー
「美鈴の力で体が動けるようにまで回復出来た……このまま行けば美鈴が彼を打ち倒すでしょうけれど……それだと」

地平線の彼方を見て、今ならまだ日の出には幾らかの猶予があると悟ると、自分の回復よりも咲夜の回復を優先して回復魔法をかける事で、美鈴の気の操作だけでは治癒しきれない外傷を治し始める。

169:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/14(日) 09:54

フランドール「・・・・・」

レミリア「咲夜がここまで追い込まれるとはね・・・・・でも、これでなんとか解決しそうね・・・・・」

(フランドールが唖然としたまま美鈴と零夜の戦いを見る中、レミリアは咲夜ほどの実力者がここまで追い込まれたことは意外だったものの、これで今回の件はなんとか解決しそうだと呟く・・・・・

本来、この戦いは咲夜が終止符を打たなければいけないのだろうが、今正に零夜を上回っているのであれば、このまま美鈴零夜をが倒せば戦いの方は解決、といったところだろうか・・・・・)

170:目覚めた龍◆5w:2021/02/14(日) 16:42

零夜
「…………ッ!こいつは面倒だな……ならば……!!」

零夜は美鈴に向けて振るう長剣、投擲する短剣が次々と砕かれ、魔力によって生成出来る量にも限界が見え始めると、美鈴の繰り出す殴打や蹴りを紙一重でかわしつつ、咲夜の頭上に短剣を生成、召喚して落とすことで仕留めようとする。

171:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/15(月) 06:15

咲夜「・・・・・」

カッ・・・・・!

(頭上に短剣が生成されたその瞬間、咲夜は咄嗟に避けて短剣が地面に突き刺さる・・・・・

どうやら意識を取り戻したらしく、回復した咲夜は立ち上がっては零夜の方を見て、複雑そうな表情をする・・・・・

和解は通用しない、姉として何もしてやれない、こんな時、どうすればいいのだろうかとわからなくなる・・・・・)

172:目覚めた龍◆5w:2021/02/15(月) 12:32

零夜
「…………ちッ!!」

パチュリー
「目が覚めたのなら丁度良かった……今のうちに貴女にこれを渡しておくわ。」

美鈴による回復が効果を発揮したのか、咲夜が短剣を避けたのを見て零夜は舌打ちする中、美鈴が零夜を押している事で自分の回復に魔力を回せるようになった事で自分の回復を行うパチュリーが先程は渡すことが出来なかった封魔のナイフを咲夜に手渡そうとする。



美鈴(龍人化)
「(……おかしい……お嬢様の言うように咲夜さんと同じ時間操作が出来る筈はなのにそれをする素振りすら見せない……何かを待っている……?)」

零夜が生成し、投げ付ける短剣や長剣を美鈴は赤い龍の鱗が生えた両腕を振るうことでに刃を砕き、零夜の振るう剣撃も今の美鈴の体を切り裂くことが出来ず、その一方で美鈴の打撃は防御や回避をしてはいるものの、着実に零夜の体にダメージを蓄積させており、戦況は美鈴達に優位になりつつあるのだが、ここまで追い詰められても尚、零夜は時間操作を行う素振りを見せない。

その事に対して違和感を覚えた美鈴はまさか何らかの状況や状態になるのを待っているかのように感じてしまう。

173:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/15(月) 19:53

・・・・・ありがとうございます、念の為に、忍ばせておきます・・・・・

(咲夜は、弟を〇すことになるかもしれないという感情を抱きながら、パチュリーからナイフを受け取り、服に忍ばせる・・・・・

このまま美鈴と戦っていれば、圧倒的な戦力差によっていずれ零夜は命を落とすだろう・・・・・

せめて命だけは・・・・・命だけは救いたい・・・・・)

174:目覚めた龍◆5w:2021/02/15(月) 23:37

美鈴
「やはり……何かを企んでいる……!!
お嬢様方への危害を及ぼす前に……今ここで仕留める!!」
【華符「破山砲」】

美鈴は零夜との戦いの中、反撃できるチャンスが生じた際に魔術や魔力、時間停止と言ったものを使用せずにただ剣を召喚してそれによって自分の打撃を防ぐことにだけ専念しているところを見て、やはり零夜が何かしらの隙を伺っていると言うことを見破ると、下手に策を打たれないようにしようと考え付く。

美鈴は長剣を交差させるて盾のようにしている零夜に対して、美鈴は屋上の一角に無数の亀裂が生じるほどに強く踏み込み、龍の力と気の力を及ぼす交ぜた一撃必殺の威力を込めた虹色の光を纏わせた拳を繰り出し、交差させて防御体制に入っている零夜を長剣もろとも遥か時計塔のある方向に向けて殴り、零夜の手にした長剣を二本とも打ち砕いて彼の体を軽々弾き飛ばし、時計塔内へと外壁を破壊して叩き込む。



美鈴
「手応えあり……勝負はつきましたね。」

零夜の腹部を捕らえた確かな感覚があった事と、殴り飛ばされた零夜からは徐々に気が弱まっていくのを感じ取り、これで完全に決着が付いただろうと確信を得る……もう魔術や召喚術を使えるほどの余力も、時間操作をするだけの力も残されておらず、辛うじて生きているのが関の山と言ったところだろうか。

175:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/16(火) 06:21

・・・・・

(咲夜は、ただただ立ち尽くしながら零夜が殴り飛ばされた方向へと視線を向ける・・・・・

生きていたのなら、できればこんな風に再会することも、戦うこともしたくはなかった・・・・・

昔も、そして今も、姉として何も出来ない自分自身が嫌になってくる・・・・・)

176:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/16(火) 08:07

零夜
「……………ははははははッ!!」

美鈴の一撃によって殴り飛ばされた先、立ち込める土煙の中、ボロボロになった零夜が瓦礫の中から立ち上がり、高らかに笑い始めている。
先程していたような自分の肉体の時間を巻き戻して回復する事すら出来ない程に満身創痍になってはいるものの、その手には先程零夜の手から落ちた黒血が入った注射器を持っている。

零夜が防御に徹し、まともに反撃をしなかったのは注射器の落ちた場所を確認していたからであり、注射器の在処を確認すると、一気に勝負をつけようとする美鈴が何らかの大技を出してくると言う事まで読み、敢えてその一撃を受けて注射器の落ちている場所まで吹き飛ばされるように誘導していた。



零夜
「これで俺の……勝ちだ!!」

零夜は手にした注射器を今度は何の躊躇いもなく自分のくびすじに刺し、そのまま黒血を流し込み、黒血を取り込み始めていく……

177:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/17(水) 06:07

咲夜「なっ・・・・・!?」

(零夜のとった行動に、姉として何もしてやれないという葛藤が一気に晴れるほどの衝撃を受ける・・・・・

レミリアを先に拘束したり、自身の体の時間を戻して回復に応用したりなど、戦いにおいて用意周到な零夜のことだ、恐らくは零夜の飛ばされた先に注射器が偶然あったのではなく、零夜は自分で注射器を取りに行けないのであればと、敢えて美鈴を誘導してこうなるように仕向けていたのだと察すると、後戻りできない取り返しのつかない事態に心の底から震えが生じ始める・・・・・)

178:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/17(水) 12:12

美鈴
「マズい……!!!」

零夜が自分自身の首に黒血を注入としているのを見た美鈴が再度虹色の光を纏わせた拳を撃ち込もうと零夜に迫るものの、美鈴が放った拳は零夜の左手によって掴まれ、制止される……
黒血を取り込んだ零夜の身体には無数の血管が浮かび上がり、目からは血の涙が流れ、彼から感じられる魔力が禍々しいものへと変わっていく。



零夜
「やってくれたな……竜人!!」
《メキッ》
美鈴
「ぐッ……うああああッ!!」

零夜は掴んだ美鈴の拳を片手で握り潰し、美鈴はそのあまりの激痛に叫ぶ……零夜は黒血を取り込んでまだ数秒しか経っていないにも関わらず、ここまで力が跳ね上がっている事から、黒血を完全に吸収し終えた場合、どれほどまでの力を得るようになるのかは想像すら困難……

179:終わりの時◆gI:2021/02/17(水) 15:57

・・・・・おい

(零夜が美鈴の拳を片手で握り潰した次の瞬間、背後から声が聞こえる・・・・・

その短い一言の中には、殺意にも似た威圧感が込められている・・・・・

零夜と咲夜、最終決戦の幕が上がった・・・・・)

180:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/17(水) 17:29

零夜
「…………!
……ふん、背後に回り込めば奇襲が出来るとでも思ったのか?」

零夜は背後から声が聞こえて来ると、後ろに回り込めば奇襲を仕掛ける事が出来るとでも思ったのかと言い放つと、零夜の背中から四枚の二対の巨大な青黒い蝙蝠やドラゴンのような翼腕がある翼が展開される。

直接背中から生えた翼では無いものの、常時後方5mに接近不可、生存不可の翼型の魔力嵐が形成されているため、下手に背後に回り込もうとすれば翼を構成している魔力の奔流によって呑み込まれ、バラバラに引き裂かれ、塵にされてしまうだろう。

181:終わりの時◆gI:2021/02/17(水) 18:05

奇襲?そんな卑怯なことしないわ・・・・・

(そう言うと「相手がアンタじゃなかったらね・・・・・」と言い、ナイフを構える・・・・・

まさか何の躊躇いもなく血を取り込むとは予想外だったが、こうなってしまった以上、咲夜が夢見た和解などもう到底叶わず、倒すか、相打ちかのどちらかしか本当に道は残されていないということになる・・・・・)

182:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/17(水) 21:41

《ゴオォォォォォォォォォォォッ》
零夜の背中から展開された四枚の竜翼のような形状の闇の魔力の奔流が零夜の背後に回り込みナイフを構えた咲夜の体を呑み込み、跡形もなく消し去ろうとする。

183:終わりの時◆gI:2021/02/18(木) 06:22

・・・・・こんなに変わり果てて・・・・・

(ついさっきまでは、ただただ復讐心によって性格が変わり果ててしまっただけだったものの、今となってはもはや種族も含めて何もかもが変わってしまった・・・・・

咲夜は哀れんで呟く・・・・・)

184:成れの果て◆5w:2021/02/18(木) 08:02

零夜
「俺は復讐のためにここまで捨てたぞ……!!
人間の心も、人間の体も……全てを捨てて復讐の化身となった!!」

零夜は自身の背中から展開した魔力翼で呑み込んでその体を焼きながら、美鈴の体を叩き付けるようにして投げ、二人をまとめて葬り去ろうとする。

零夜の本来の性格は大人しく、自分だけでなく、家族も守りたいと願っていた優しい心を持っていた……いったいどれだけの苦痛を、絶望を味わえばここまで歪んでしまうのだろう。

185:終わりの時◆gI:2021/02/18(木) 20:58

・・・・・残ったものがただの復讐心だなんて、哀れな・・・・・

(そう言うと、咲夜はパチュリーから先ほど受け取ったナイフを取り出そうとする・・・・・

どんなに変わり果てても、何もかも変わったとしても、やはりずっと会いたかった実の弟・・・・・

いざ倒せるのか、トドメをさせるのかと問われたとしたら、はいかいいえで答えるのではなく、首を横に振るだろう・・・・・)

186:成れの果て◆5w:2021/02/19(金) 00:33

美鈴
「ぐ……うッ……!!」

咲夜目掛けて投げられた美鈴の体に魔封のナイフを取りだそうした事や、ナイフを構えていた事が仇となり、美鈴の体に咲夜のナイフが突き刺さり、更に何の防御も回避もせずに魔力嵐の中にいた事で、2人の体を零夜が展開した魔翼が呑み込み、二人の体を少しずつ切り裂き始める。

荒れ狂う濃縮された魔力の嵐は皮膚を裂き、肉を切りる。
一呼吸ごとに体内にまで魔力の奔流が鼻腔を通して肺にまで到達し、刃のような魔力の暴風によって体を外側からだけでなく、内側からも切り刻まれてしまうことになるだろう。



零夜
「ハハハハッ!なんとでも言え!その哀れな奴にお前は消されるんだからなぁ!!」

魔封のナイフを使えば変異途中の零夜の力を封じて倒すことが出来るかもしれない……だが、人間の頃であればいざ知らず、今の彼は人とは根本から異なる異形にして異質な存在になりつつある。

それも、パチュリーのように人間に近い性質を持った魔女であるのならばまだ魔力を封じられてある程度のダメージを受けるだけに抑えられるものの、邪悪や魔力の塊のような存在になりつつある零夜が受ければ体の大部分を占めるように侵食を続ける黒血そのものが消失することになるため、零夜の死を意味することになる……

だが、それも全ては零夜が何らかの決定的な隙を見せなければナイフを当てることすら叶わないだろう。

187:終わりの時◆gI:2021/02/19(金) 06:08

・・・っ・・・・・!美鈴!落とし前は後でしっかりつけるからもう少しだけ協力してちょうだい!

(本来なら自分のせいで美鈴の体にナイフが突き刺さってしまったことに精神的なショックを受けるものの、今はそれすらもできないほどの緊急事態であるからか、美鈴に対してこの落とし前はあとでつけるからもう少しだけこの戦いに協力してくれと懇願する・・・・・)

188:終わりの時◆gI:2021/02/20(土) 17:10

>>187に付け足します!】

(咲夜は美鈴にもう少しだけ協力してくれと頼めば、そのまま美鈴の腕を引いて魔翼から抜け出す・・・・・

抜け出したはいいものの、さっきまでとは何もかもが桁違いになっている上に、まだ完全に馴染んではいないであろうことから、これから更に力は増してゆくばかりだろう・・・・・)

189:惨劇の時◆5w:2021/02/20(土) 17:58

【OKです!】


美鈴
「私に出来ることなら何でもやりますよ……!!」

咲夜の異様な回復力や、あの命を奪う魔の嵐の中でも平然としていた事に驚くものの、自分に出来ることがあれば協力を惜しまないと応える。



零夜
「ハハハハハ!凄まじい力だ!人間である事を辞めるだけでこれだけの力が手に入るのならばもっと早くに辞めておくべきだったな!!」
【惨爪「狂刻千裂ノ業罰」】
《ズガガガガガガガガガガガガガガッ》

魔翼による嵐から咲夜達が脱出すると、二人の方へと振り返り、零夜は背中から展開した四枚の翼を四本の巨大な三本指の細長い腕へと変化させるとそれらを滅茶苦茶に振り回し、周囲一帯に無数の青黒い斬撃が繰り出す。

その千を超える斬撃の一つ一つに人体を容易く切断できる威力があり、一撃でもまともに受けてしまえば致命傷は免れないだろう……

190:終わりの時◆gI:2021/02/21(日) 13:24

本当に人間じゃなくなったようね・・・・・

(咲夜は美鈴の手を掴んだまま零夜の斬撃を紙一重で避けてゆく・・・・・

最初から歪んでしまってはいたものの、それでもまだ家族を助けられたはずなのに助けずに一人逃げた咲夜に対する復讐心から襲撃を仕掛けるという、まだ人間らしい部分があった・・・・・

だが、今は違う・・・・・

零夜の言葉は、血を取り込んだことによって人格にまで影響が及んでいるのか、それとも零夜の本音の一つなのかは定かではないが、ただただ力を求めるあまりに変わり果ててしまった愚か者の成れの果ての言葉に聞こえ、容姿の変化もその欲望に見合った相応の結果に思えてくる・・・・・)

191:決別の時◆5w:2021/02/21(日) 14:25

零夜
「言っただろ?人間である事を辞めて完全なる破壊と殺戮の化身と化そう……とな。」
【惨翼「狂刻滅潰ノ災禍」】
《バゴォッ》
零夜の四本の腕の一つが咲夜と美鈴を中心とした半径10mを球体状に抉り取り、消し飛ばす事で館の一角がまるで何かを補食されたかのように半円状に削り取られる……その威力から、即座に範囲外にまで逃れなければ、肉片一つ、血液の一滴も残らずに消し飛ばされてしまう事になるだろう。



零夜
「一つ良いことを教えてやる。
後30分で夜明けになる……これが何を意味しているのかは説明しなくてもわかるな?」
【惨腕「狂刻暴裂ノ翼撃」】
《ドドドドドドドドドドドドドドドドッ》

半円状に館の一部もろとも消し飛ばすだけに飽き足らず、例え今の一撃を避けたとしても即座に撃滅出来るように背中に展開した四本の巨腕が再び翼状に戻ると同時にその羽根を飛ばす事で一気に畳み掛ける。

その羽撃の威力は凄まじく、館の壁や天井、床を貫き、中に避難していた多数の妖精メイドの体を貫き、バラバラに消し飛ばして行く。この羽根による猛攻を受けた場合、あらゆる防御は意味を成さず、足を止めた瞬間にその体は無惨にも貫かれ、妖精メイド達と同じ末路を辿ることになってしまうだろう……

更に、羽根を弾丸のように撃ち込みながら、零夜は空いた右手を自分のズボンのポケットから取り出した銀の懐中時計を開けてその秒針を咲夜達に向けて残り30分もすれば夜明けを迎え、磔にされているレミリアとフランの二人がその陽光によって焼き尽くされ、消滅してしまうと言うことを告げる……

192:終わりの時◆gI:2021/02/21(日) 15:26

・・・っ・・・・・!!!!!

ぐっ・・・・・

(咲夜は、目の前で館の一部が抉り取られる挙句、妖精メイド達も次から次へと無残にもバラバラにされてゆくその悲惨な光景を見て、咲夜は零夜の猛攻を避けることに専念しながらも、怒りが込み上げてくる・・・・・

怒りのあまり、拳に人間とは思えないほどに強い力を込め始める・・・・・

そして咲夜自身は怒りのあまりに気づいていないものの、美鈴の手を掴んでいる方の拳も強い力が入り、どれほどの怒りがわいているのか、美鈴にも十分伝わる・・・・・)

193:破滅の時◆5w:2021/02/21(日) 17:53

零夜
「だが、あの吸血鬼姉妹やそこの竜人、魔女は俺の狙いじゃない……俺の狙いは最初からお前一人だ。お前だけは何に変えても必ず消す……!!」
【惨爪「狂刻捻壊ノ裂葬」】
《ドドドドドドドドドドッ》

零夜は撃ち込んだ無数の羽根弾の一つ一つに媒体として無数の黒い竜巻を生じさせ、付近にある全てのものを引き込み、瓦礫であろうと骸であろうと、関係無く引き寄せ、呑み込み、バラバラに引き裂き消失させている。

更に、その黒い竜巻からは無数の黒い真空刃が放たれ続け、それら全てが咲夜一人を狙っており、真空刃を受けて足を止めたところを竜巻によって一気に引き込もうとする。



美鈴
「正面から向かっても迎撃されてしまう……
咲夜さん!何か……策はありますか?」

体勢を立て直した美鈴は強い怒気を感じる咲夜に対し、何か策はあるのかと聞きつつ、彼女に向けて放たれた羽根弾や真空刃の一部を両腕に赤龍の鱗を纏わせて弾く事で支援する。
だが、このまま行けば時間だけが過ぎて行くことになる。
そして、その時間の果てにあるのはレミリア達の消滅という最悪の未来だ……

194:終わりの時◆gI:2021/02/21(日) 18:11

・・・・・策・・・・・策は・・・・・

(こんな時だからこそ機転を利かして何かしらの策を導き出さなければならない・・・・・

が、それは戦う相手が常人ならの話・・・・・

零夜は時間停止能力も通用しなければ、ヴァルターの血を取り込んで時間経過と共に徐々に力が跳ね上がってゆく・・・・・

守らなければならないモノを守るべくして戦っているのに、その為の策が何も浮かばない・・・・・

まず、策を練っていられるほどの余裕なんてない・・・・・)

195:終焉の時◆5w:2021/02/21(日) 20:16

美鈴
「……それなら……私がアイツを引き付けます。
その隙に咲夜さんは魔封のナイフを当てて下さい。」

美鈴は策を弄する余裕が無く、回避に専念している咲夜に対して咲夜が持つ特異なナイフの気を察知し、それが魔封の効果を持っているのではないかとまで推測した上で自分が囮となって隙を作り、その隙を付いて魔封のナイフで零夜を討って欲しいと言う。

だが、それは下手をすれば美鈴も零夜に殺害されてしまうだろう……そうなってもおかしくは無いほどの強大な力を持つ存在に零夜は成ってしまっている。更に、ナイフを当ててもそれで倒しきれると言う確証はなく、あまりにもリスクの大きい賭けとなっている……



零夜
「もういい……この館もろともお前らを消し飛ばしてやる!!!」
【惨滅「狂刻鏖滅ノ炎陽」】
《ギゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……》

零夜はなかなか攻撃が当たらない事に痺れを切らし、両腕を振り上げると頭上に禍々しい青黒い炎の塊生成し始める……すると、まるで空間そのもが軋んでいるかのような異様な音を響かせ、紅魔館を覆う結界内にある全てのものを消滅させられるだけの途方もない破壊力を持った大技を繰り出そうとする。

零夜の生成した太陽がごとき炎球はそれなりに離れているレミリアや美鈴達でも呼吸が苦しくなり、肌が焼かれるような強烈な熱を放っている。

196:終わりの時◆gI:2021/02/22(月) 06:20

・・・・・美鈴・・・・・

(元を辿れば自分がこの惨劇の元凶でもある為、なるべく家族を巻き込むような事態に発展させたくはなかった・・・・・

だが、協力なくしてこの戦いを終わらせることは不可能・・・・・

美鈴が囮となり、零夜が大技を繰り出そうとしている今この時、咲夜は魔封のナイフを構える・・・・・)

197:狂絶の時◆5w:2021/02/22(月) 07:53

美鈴
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
【星気「星脈地転弾」】

先程零夜に掴まれ、握り潰された拳を気の集中による再生力の向上に加えて強固な赤龍の鱗で外からも支える事でギプスの役割を果たすようになっており、咲夜が回避を手伝ってくれた事である程度動かせる程に回復することが出来た。
再び腕を握り潰されてしまうかもしれない、失敗して全て無駄になるかもしれないと言う不安を振り払うように、気力を振り絞るように、吼えると両腕に虹色に輝く巨大な光球を形成していく。

本来ならば周囲の気を集め、それらを練り上げる事で威力を高めるのだが、気を練るような余裕を与えてはくれないだろう零夜への迅速な攻撃を可能にするため、自身の体に流れる気を回復や身体強化に回していたものも全てこの一撃へ込め、零夜に向けて放つ。



零夜
「はははは!今の俺は竜の力をも凌駕している!!その無駄な抵抗もろとも潰れ、塵となれ!!!」

零夜は大きく挙げていた両腕を勢い良く美鈴達に向けて振り下ろし、闇の魔力を源とする青黒い炎によって作り出された巨大な魔炎弾がゆっくりと美鈴と咲夜の二人をまとめて呑み込もうと迫る……
零夜の放つ魔炎弾は美鈴の渾身の一撃である虹色の光球の数倍はあり、案の定、美鈴の一撃も押し返され始めてしまう。

だが、攻撃に集中している事と、多少ダメージを受けようと、この一撃が決まればこの結界内にいる自分を除いた全ての存在が焼き尽くされ、消滅すると言う事実から周囲への注意が薄れている。

198:終わりの時◆gI:2021/02/22(月) 19:40

・・・・・

(咲夜は零夜へ魔封のナイフを投げる為、狙いを定める・・・・・

今までこんなにもナイフを投げる対象に照準を合わせることはなかった・・・・・

手が震える・・・・・もし外したらという不安からか、それとも・・・・・)

199:滅壊の時◆5w:2021/02/22(月) 20:43

美鈴
「……く……ぅ……!!想像以上に重い……!長くは……持たない………!!」

美鈴はまだ完全には練り終えてはいないものの、周囲の気も少しずつだが虹の光球へ送り込み、威力を上げてはいるものの、零夜が持つ莫大な闇の魔力を前に殆ど効果は無く、数分は持ちこたえていられると考えていたものの、早くも片膝を付いてそう長くは持ちこたえてはいられないと呟く。

200:終わりの時◆gI:2021/02/23(火) 08:36

ヒュォッ・・・・・!

(咲夜は零夜の胸へとめがけて、魔封のナイフを全力を込めて投げつける・・・・・

咲夜の心境としては、無・・・・・

弟へ対する罪悪感、この手で葬らなければならない運命、今の家族の命の安全を第一にするべきという現状、様々な感情が入り乱れて投げたナイフを見つめながら、咲夜は無表情のままいつの間にか涙を流していた・・・・・)

201:決着の時◆5w:2021/02/23(火) 09:11

零夜
「ははははは!潰れろ!消えろ!!
この世から完全には消え去れ!!!」

零夜は憎悪と怨念が混ざった罵声を怒鳴りながら、増大する闇の魔力を利用して美鈴の抵抗を押し切って館もろとも全てを消滅させようとしており、減るどころか増していく零夜の魔力を前に美鈴も遂に限界を迎えようとしていた……

だが……そこへ一閃。
咲夜の投げたナイフが夜明け前の夜闇を切り裂くかのような一筋の銀光が走り、それが零夜の右肩に突き刺さると、一時的に零夜の得ていた莫大な闇の魔力が制御を失い、魔炎の太陽が弱まり、美鈴の虹色の光弾に逆に押し返されて消滅し、更には零夜の体が床へと崩れ落ち倒れる。



零夜
「ぐッ………!これは……俺が投げたナイフ……!?
そうか………あの時に魔女に刺さっていたものか!?」

零夜は奇しくもパチュリーと同じ右肩に刺さった魔封のナイフの柄を掴み、そのまま引き抜こうとする。反撃のチャンスは今しかない。
だが、パチュリーが銀の鎖にかけられた拘束術式を解除して助け出そうとしているものの、未だ拘束されているレミリアとフランは勿論、美鈴は周囲の気だけでなく、自身の気も全て出しきっているため疲弊しきっており、魔力の回復も未だ不完全なパチュリーも追撃に参加する事が出来ない……

決着は咲夜の決断と実力に委ねられた………

202:終わりの時◆gI:2021/02/23(火) 13:09

・・・・・ぁぁあああああああああああああああぁああぁぁあああああっ!!!!!

ズブッ・・・・・!グサッ・・・・・!

ズブッ・・・・・!グサッ・・・・・!

ズブッ・・・・・!グサッ・・・・・!

(零夜が魔封のナイフを引き抜こうとしたその時、その隙を狙って咲夜は零夜へと飛びかかり、馬乗り状態でナイフを引き抜くと、今度はそのまま零夜の心臓めがけてナイフを振り上げ、ナイフの刃が全て見えなくなるまで零夜の胸へ深々と突き刺す・・・・・

それを何回も何回も、ただひたすら、無我夢中と言わんばかりに繰り返す・・・・・)

203:絶望の時◆5w:2021/02/23(火) 17:16

零夜
「…………ッ!!」
《ガッ》
零夜は咲夜が飛び掛かって、押し倒し、肩に刺さっていたナイフを引き抜いて自分の心臓目掛けて振り下ろそうとするのを見て、ナイフを振り下ろした右手の手首に自分の両手を交差させて右手を止める事でナイフの刃を制止させる。

204:終わりの時◆gI:2021/02/24(水) 03:54

グググッ・・・・・

・・・っ・・・・・っ・・・・・!

(咲夜は右手を止められても尚、力を込め続けながら零夜を押してゆく・・・・・

咲夜の目からは涙がこぼれ、零夜の頬に一粒、また一粒と落ちてゆく・・・・・

せめて自分が姉として零夜にしてやれることと言えば、もうこの手で葬り去ってやることぐらいしかない・・・・・)

205:決着の時◆5w:2021/02/24(水) 08:06

零夜
「………ぐッ!また……また俺を見捨てるのか!?」

体勢的に自分の腕力だけでなく、全体重もかけられる咲夜とは異なり、黒血を取り込んでしまったばかりに存在そのものが魔に成り果てた零夜にとって魔封のナイフは大きな脅威となってしまっている。

背中に展開していた魔翼も魔封のナイフが刺さった事で消滅し、更に魔封のナイフが近くにあるため常時魔力を消耗し、弱まっている零夜の腕力だけでは長くは防げず、徐々にナイフの刃が迫る中、涙が零れておる相手に対して「また見捨てるのか」と口にする。

206:終わりの時◆gI:2021/02/24(水) 14:38

ピタッ・・・・・

・・・・・

(咲夜の動きが止まる・・・・・零夜からすれば咲夜に反撃する隙を作る為に動揺するように放った言葉だと思われるが、咲夜からすればその言葉は、胸を締め付けるほどに酷な言葉だった・・・・・

数年前のあの日、零夜や両親を見放して自分だけ助かろうとしたわけではない・・・・・

ただ、怖かった・・・・・時間を止めることが出来るにしても、裏を返せばただそれしかできない・・・・・

今ならまだともかく、幼少期の自分からすれば、時を止めることが出来ても恐ろしすぎて何もできなかった・・・・・

咲夜は、零夜に向けたナイフを止めたまま、手が震える・・・・・)

207:決着の時◆5w:2021/02/24(水) 18:41

零夜
「お前は何時だってそうだ……!
守る、救う、助ける……そんなものは全てただの戯言だった!
俺は父を、母を最後まで守ろう、助けようと戦った!
家族を失ってからも姉さんに会うために必死で戦い、もがき、生き抜いた!何度も死にかけた!何度も叩きのめされた!何度も地の底を這い回った!生きるために盗みをしたり殺人もした!」

死の縁に追い込まれた者は取り繕っていたものが剥がれ、その本性が露となる……零夜の本性…本音が咲夜の心を突く言葉の刃となってしまっている。零夜は咲夜を動揺させるために吐いた言葉ではなく、剥がれた本性のままに言葉を口にしているため、そのまま咲夜を攻める言葉を続けていく。


零夜
「血を吐くまで蹴られた事があったか?
餓えのあまりムカデやネズミを生のまま食った事は?
醜悪な貴族からの拷問を受けた事は?
目の前で親しい奴隷仲間の命を潰された事は?
俺は地獄の中でしか生きられなかった……だがお前はどうだ!?
俺にはもう、受け入れてくれる家族も!心を許せる仲間も!帰るべき場所も!守るべきモノも!何も無い!!全てを失った!!!」

零夜の抱く憎悪と怨念が、零夜の魔力となって急速に回復していく……
このまま放っておけば零夜は再び強大な魔力を得て、二度と今のように有利な状況を作ることは出来なくなってしまうだろう……
加えて……既に地平線の彼方には日の光が空を照らし始めており、残された時間は数分しか無いだろう……

208:終わりの時◆gI:2021/02/24(水) 18:59

私だって守ろうと思ったわよ!!!!!でも所詮子供の力じゃあ時を止められても、それくらいしかできなかった・・・・・!!!!!ずっとずっと・・・・・ずーっと後悔していたわよ!!!!!

(零夜が咲夜に怒号を浴びせたように、咲夜も零夜に怒号を浴びせる・・・・・

子供の浅知恵と力では時を止められてもそれ以上はどうしようもできなかったこと、ずっと後悔しながら生きてきたこと・・・・・

しかし後悔してももう遅い・・・・・)

209:終戦の時◆5w:2021/02/24(水) 23:40

《パキィィィィィィィィィィンッ》

咲夜と零夜が対峙し、怒声を交わす中、突如として紅魔館を覆っていた零夜の展開した巨大結界が強制的に解除され、まるで砕かれたガラスのようにバラバラになって落ちて来る……
ガラスとは異なり、その破片に当たっても無力化された破片達が当たることはなく、建物や体をすり抜けて地上へと吸い込まれるようにして落ち、消えていく。



魔理沙
「よーし、そこまでだ!お前ら!」

零夜と咲夜の傍へ、砕かれた結界の間を縫うようにしてきらびやかな星弾を巻きながら箒に跨がった魔理沙が二人に八卦炉を向けて戦いを辞めるようにと仲裁をしようとする。
零夜は反撃や攻撃のために動こうとすれば、咲夜は時間を操作しようとしたり、ナイフをそのまま零夜に押し込もうとすれば、その瞬間にはマスタースパークを放てるようにと臨戦態勢に入っている。

210:終わりの時◆gI:2021/02/25(木) 05:43

・・・・・何しに来たの・・・・・?

(破片が落ちては消えてゆくという、幻想的な光景ではあるが穏やかではない状況の中、無数の破片に咲夜と零夜の顔が反射しながら落ちてゆく・・・・・

咲夜は魔理沙の方を向けば、何をしに来たのかと問いかける・・・・・

咲夜からすれば、魔理沙達の駆けつけなど眼中にないほどに心が締め付けられている・・・・・)

211:終戦の時◆5w:2021/02/25(木) 08:02

魔理沙
「何をしに来たのかって、見てわかるだろう?異変が起こりそうだったから面倒になる前に止めに来ただけだ。」

箒に跨がり、八卦炉を構えたまま異変が起こりそうな予感がしたため、幻想郷中に波及する前に止めに来たのだと応える。

212:終わりの時◆gI:2021/02/26(金) 04:41

・・・・・邪魔しないで・・・・・これは私が片付けなきゃいけない問題なのよ・・・・・

(今回の出来事の原因は自分にもあるし、今回のことは咲夜も、そして零夜も、自分自身で決着をつけなければ気が済まないし、自分達で決着をつけなければならない・・・・・

恐らくこれに関しては、零夜も同意見だろう・・・・・)

213:決着◆5w:2021/02/26(金) 17:24

霊夢
「……ええ、そうね。
だから貴方達同士の事にはこれ以上手出しはしない。
ルーミア、日の光を防いで。」

八卦炉を構える魔理沙とは別に、レミリアとフランの二人が磔にされている前に霊夢が上空から降り立ち指先で十字架目掛けて数回だけ空間をなぞるように動かすと、二人を拘束する銀の鎖の拘束封印効果が解除される。

魔力が枯渇し、体力と魔力の回復途中であったとは言え、パチュリーでさえ、相応の時間が必要となる拘束術式を容易く解除したのを見てパチュリーは唖然とする。

また、今の状況について把握していたのか、ルーミアを呼んでレミリアとフランの二人を闇玉で包み込む事で地平線の彼方から登って来る太陽からの光から二人を守る。



零夜
「………いや、どちらにせよ、もうタイムオーバーだ。」

夜明けの光によって照らし出される中、ヴァルターの血を取り込んだ事で吸血鬼となった零夜の体が焼かれ始めている。そんな中でも零夜は何時でも反撃できるだけの魔力を回復し、隙も幾らでもあったにも関わらず、敢えて両腕の力を抜き、咲夜のナイフが零夜の心臓を貫く……

214:止まる時間と残る時間◆gI:2021/02/27(土) 03:28

・・・っ・・・・・!

(零夜が両腕の力を抜いて自分が向けていたナイフの刃先が零夜の心臓を貫けば、咲夜は唖然とする・・・・・

「・・・・・どうして・・・・・?どうしてよ・・・・・」

咲夜は大粒の涙を両目からこぼしながらどうしてと零夜に問いかける・・・・・)

215:決着◆5w:2021/02/27(土) 12:33

零夜
「………気付いていたよ。
あの日、姉さんが俺達を見捨てた訳じゃなかったと言うことに…」

この屋上に着いてから……いや、それ以前に最初の異界の猟犬との戦いでも猟犬との戦いでもそうだった。

壁や結界は零夜の能力でも得意分野でも無かったため、本気で怖そうと思えば壊して逃亡する事も出来た筈だ。だが、それをせず、あくまでも自分の前に立ち、戦いの中でも一歩たりとも下がろうとはせず、最後まで自分と向き合っていた。

そんな姉が幾ら幼かったからとはいえ、自分達を置いて逃げ去る訳がないと言うことを戦いの中でも零夜自身も理解していた……だからこそ、何時でもトドメを刺せるような状況であったにも関わらず、それを一切しなかった……



零夜
「これで……よかったんだ………」
《カチッ》

零夜は心臓を貫かれており、吸血鬼化した影響で辛うじて話せてはいるものの、登る太陽の光が零夜の体を焦がしており、数分とたたずに零夜は消滅するだろう……

そんな確実な死が目の前に迫っているにも関わらず、零夜は穏やかな笑みをしたまま、弱々しい手付きでズボンのポケットから銀の懐中時計を取り出し、それを介して時間を巻き戻し、破壊された館や、殺害された妖精メイド達を甦らせ、逆に館中に召喚していた魔物達を異界へと送り返し、まるでこれまでの戦いが起こらなかったかのように綺麗な状態へと戻していく。

だが、霊夢達や、咲夜の刺したナイフはそのままになっており、零夜の時間は一秒たりとも戻ることはなく、寧ろ魔力を失った状態で大規模な能力の発動を行った事によって完全に力を失う。

216:止まる時間と残る時間◆gI:2021/02/27(土) 19:48

・・・・・嫌・・・・・逝かないで・・・・・

(もはや消える運命しか残されていない零夜を抱き締めながら、咲夜は泣く・・・・・

互いの時計の針は狂ってしまったまま、ここまで来てしまった・・・・・

ようやっと零夜が理解してくれたその時が別れの時だなんて、姉として非常に辛い・・・・・)

217:最期の時◆5w:2021/02/27(土) 21:52

零夜
「…………本当は……復讐なんてどうでも良かったんだ……だけど……最期を迎えるのなら……姉さんの真意を知りたかった……姉さんの手で……終わりたかった………」

零夜の腹部には、吸血鬼化した際に身体中にあった傷跡が再生して消えていた中でも再生すること無く残っていた鳩尾の深い刺傷と、脇腹に付けられた三本の巨大な爪痕が弱った零夜の体から黒い血が流れ始めている。

この傷跡が館に訪れる前から付けられていたものであり、放っておいても零夜はこの傷の悪化によって命を落としていただろう。この戦いの後に生き残る算段や考えが毛頭無かったのも、自らの命が残り数日程度しか残されておらず、最期の場所として姉の前を選んだのだろう。

だが……問題は吸血鬼の再生力でも関知できない程の傷を、時間を操れる零夜に付けた"何者"かが存在していると言うことになる。そして……それこそが咲夜と零夜の因縁の敵となる。

218:止まる時間と残る時間◆gI:2021/02/28(日) 12:46

・・・・・守れなくて、ごめんなさい・・・・・

(零夜の身体を抱き締めながら、再生せずに残っていた傷を見て、あの日自分にもっと力があれば、こんなふうに戦うことも、こんな傷を負うこともなかっただろうと思えば守れなくてごめんなさいと言う・・・・・

咲夜も、そして零夜も、お互いの真の敵はお互い同士ではなく別にいるということも同時に知る・・・・・)

219:最期の時◆5w:2021/02/28(日) 16:39

零夜
「……謝る必要は無い……よ……寧ろ……俺の方が……姉さん達に迷惑をかけてしまった……もう少し……早く……姉さんと会えていれば………こうはならなかった……かもしれない……」

零夜の体は日光による影響で急速に朽ち果てており、既に体の半分が塵となって消滅してしまっており、辛うじて生きている全ての力を使って少しでも咲夜と話したい、咲夜に教えておきたい情報を口にしていく。



零夜
「……あの日……俺達を襲撃した奴らの正体は……
悪しき黒竜……魔竜軍団の総括者『ハーオス・ジルニトラ』だ……俺も……復讐のために奴らの拠点に乗り込んだけど………結果はこの様……だった……」

零夜の横腹と鳩尾にある巨大な爪跡はハーオス・ジルニトラと呼ばれる存在が付けたものであると教え、自分も敵討ちのために乗り込んだものの、時間を自在に操り、高い魔術操作や、近接戦闘力を持ち、更には魔物の力を封じる鎖やナイフを持っていた零夜でさえ、敵わない程の強大な力をもった悪であると言う。

220:止まる時間と残る時間◆gI:2021/02/28(日) 19:59

・・・・・ハーオス・・・・・ジルニトラ・・・・・

(その名前を、強く心に刻み込む・・・・・

自分からも、零夜からも全てを奪い去った忌まわしき諸悪の根源・・・・・何が何でもこの手で完全に葬りさってやると強い意志を抱けば、咲夜は零夜の手を握る・・・・・

咲夜の手からは、また失うのかという辛さと悲しみが震えとなって零夜の手に伝わる・・・・・)

221:最期の時◆5w:2021/02/28(日) 20:44

零夜
「ははは……姉さんは……笑顔の方が似合っているよ……
大丈夫……姉さんならきっと………」

零夜の力であっても既に確定した事象を巻き戻すことは出来ない……
零夜は咲夜の手を介して苦悩と悲しみを感じとると、咲夜の記憶にあった幼い頃の彼と同じように優しく微笑み、左手を咲夜の頬に手を伸ばし、せめて最期は笑顔で消えようとする。

222:止まる時間と残る時間◆gI:2021/03/01(月) 05:49

・・・・・ゆっくり休んでね・・・・・おやすみ・・・・・

(消えゆく零夜を見ながら、大粒の涙を流しながらも笑顔を見せる・・・・・

せめて自分が姉としてしてやれることといえば、零夜の最後の希望に応えること・・・・・

どこまでも悲しい微笑みを零夜へと向ける・・・・・)

223:最期の時◆5w:2021/03/01(月) 12:08

《ザアァァァァァァァ……》

零夜は優しく微笑んだまま日光によって完全に塵となって崩れ去り、消滅していく。咲夜の腕の中、亡骸すら残らずに消えた零夜の居た場所には零夜の心臓を貫いた魔封じのナイフと零夜の形見とも言える懐中時計が残される……

224:止まる時間と残る時間◆gI:2021/03/01(月) 19:48

・・・・・っ・・・・・

(咲夜は、懐中時計を抱くように握り締め、声すら出ないほどに泣く・・・・・

何故守れなかったのか、何故何もしてやれなかったのか、そればかりが頭の中で輪廻のように渦巻く・・・・・

そして、本当に倒すべき敵に対する憎悪が湧いてくる・・・・・)

225:華人小娘◆5w:2021/03/01(月) 20:13

美鈴
「…咲夜さん………」

美鈴もパチュリーも霊夢、魔理沙の四人、その場にいる誰もが咲夜に対して声をかける事が出来なかった……襲撃者である零夜が咲夜の弟であり、敵でありながらも悲しい運命に翻弄された者であるのだと知ると、かける言葉も無くなる中で美鈴は思わず咲夜への言葉を小さく呟く……

226:紅魔館のメイド◆gI:2021/03/02(火) 20:08

・・・・・

(背を向けたまま、咲夜は立ち上がり、美鈴の方へ振り返る・・・・・

そして「・・・・・いつまでもくよくよしていられないわ、私はこの紅魔館のメイドだもの・・・・・」と、いつまでもくよくよしていてはメイドとしてやらなければならないことにも支障が出ると思ってか、咲夜はいつもと同じような雰囲気で振る舞う・・・・・)

227:動かない大図書館◆3.:2021/03/02(火) 21:53

パチュリー
「………そう、それなら早速フランとレミィを館内に運んでもらえるかしら?異変は終わったけれどついさっきまで敵として戦ってきたそこの二人や、人喰い妖怪だけに任せるのは心配だし、美鈴は気を、私は魔力を消耗しきっていて疲労困憊といった状況だから……」

パチュリーは敢えて咲夜が過去に呑み込まれないように、復讐に捕らわれた零夜のようにならないように、普段と同じように振る舞い、レミリアとフランの二人を日の当たらないように時間を止めて館内に避難させて欲しいと言う。



美鈴
「(……まさか……アイツの名前をこの幻想郷でも聞くことになるなんて……いざとなれば……私も…………)」

美鈴はかつて見た巨大な漆黒の竜……ハーオスの姿が脳裏を過ると、もし、咲夜と零夜の因縁の敵があの魔竜であるのならば……もし、あの魔竜と挑むことがあるのであれば……自分も相応の覚悟を決めなければならないと拳を握る力が少し強くなる……

228:紅魔館のメイド◆gI:2021/03/03(水) 06:15

かしこまりました・・・・・

(そう言うと、レミリアとフランドールに日光が当たらないように館内へと避難させる・・・・・

レミリアも、そしてフランドールも、咲夜に対してかける言葉が見つからない・・・・・

やっと再開できた家族を、自らの手で葬るということを経験しながらも、いつも通りに振舞わなければならない・・・・・

紅魔館のメイドとして、それしかできないから・・・・・)

229:見えぬ未来、戻らぬ過去◆3.:2021/03/03(水) 12:18

霊夢
「……………。」

咲夜の様子を見ながら、手にした大幣を肩に乗せて敢えて何も言葉をかけずにいる。自分は大切な誰かを失った事がない。だから咲夜の悲しみや後悔に真の意味で共感する事は出来ず、慰めの言葉をかけようと、それは全て只の戯れ言に過ぎないだろう。

もし自分があと少し駆け付けるのが速ければ……零夜の侵入に気付けていれば、また別の未来があったかもしれない。だがそれらはもう既に過ぎ去った後の出来事だ。幾ら望もうと確定した過去が巻き戻るわけではない……

零夜が最後に残した銀の懐中時計にはまだ零夜の魔力が残っており、この懐中時計を介して能力を発動させる事で時間停止による体力や魔力の消耗を抑え、魔封のナイフを用いることで能力の使用による反動や消費を大きく抑えることが出来る。

遺体すら遺さずに消滅し、葬式の一つもあげられなくなった零夜の残したナイフと懐中時計……皮肉にも脅威となっていたこれが唯一彼が生きていた証であり、咲夜に更なる力を与えるきっかけとなっている。

230:紅魔館のメイド◆gI:2021/03/03(水) 13:31

・・・・・

(一人の人間として、これからずっと背負ってゆくことになった十字架が、あまりにも大きすぎた・・・・・

零夜の分も生きることで、罪を償うことになるのなら、これからも紅魔館のメイドとして、いつも通りに振る舞いながら生きてゆく・・・・・

が、心の方は今にもバラバラになりそうな程に、本当は辛かった・・・・・)

231:追憶◆3.:2021/03/03(水) 17:53

【回想】

生き別れ、死んだと思っていた零夜と再開したのも束の間、咲夜は自身の手で唯一の家族を手にかけて罪悪感か、それとも過ぎ去った過去を振り返りたいと言う無意識の願望からか、まだ咲夜達の両親が生きていた頃の記憶が蘇る……

そこはのどかな草原の中で、草原の一角では二人の住んでいる小さな屋敷が見え、二人で並んで座っている。

回想の中の零夜は幼い頃のままで、歪んだ憎悪も復讐も何も持っていない優しい雰囲気をしていて、姉と話せるのがよほど嬉しいのかニコニコと楽しそうに笑っている。



零夜
「姉さんの夢は何ですか?」

そんな中、零夜は咲夜に対して夢は何かあるかと聞いてみる。
二人は平和に暮らせる今日と言う日が明日も明後日も、またその次の日も、ずっと続き、普通の人間として生き、普通の人間として終わりを迎えると信じ、未来への希望も夢もあった……

232:岡田朋◆gI:2021/03/04(木) 21:51

私は・・・・・そうだなぁ・・・・・困っている人をたくさん救う、正義の味方かな!

(まだ誰かを救うということがどれほど大変かも知らなかった幼き頃の日々・・・・・

振り返ってみれば、いつも平和と幸せで満ちていた・・・・・

この幸せを奪われるなんて、夢にも思っていなかったほどに、幼かった・・・・・)

233:いつかの過去◆gI:2021/03/04(木) 21:53

【名前はミスですW】

234:追憶◆3.:2021/03/05(金) 00:11

零夜
「それなら、僕は困っている沢山の人を救う姉さんを守るヒーローになる!!」

零夜は沢山の人を救う姉を守れるような存在になりたいと応える。
この零夜の言葉は嘘や偽りなどではなく、本心から来た願いだった……復讐や憎悪によって狂い、破滅の道とわかりながらも進まざるを得なかった零夜とは驚くほどに正反対の性格。

しかし、この性格こそが零夜の本来の性格だった……
"あの日"が訪れ、全てを失うことになるまでは……

235:いつかの過去◆gI:2021/03/05(金) 14:26

でもそうなるには私達二人とも、まずは努力しなきゃだね!

(いつだって努力を胸に掲げ、頑張っていたつもりだった・・・・・

結局その努力は、いざという時には恐怖に怯んで何の役にも立たないということも、すべてを失ったあの日にわかってしまうまでは、努力すれば守れないものはないと思っていた・・・・・)

236:追憶◆3.:2021/03/05(金) 17:47

零夜
「うん!必ずなってやるんだ……!!」

零夜は目を輝かせ、この頃の零夜は時間操作の片鱗すら無かったにも関わらず、既にある程度の時間操作が出来ていた姉を守れるほどに強くなりたいと心に誓い、弾けるような笑顔で応える。

二人が共に手を取り合って生きていける未来もあった。
真っ直ぐに生きている者ばかりが踏みつけにされる、清く生きようとしている者ばかりが足を掬われる。だが、美しい自然も優しい人の心も存在している。

全てはこの美しい世界に"悪"が蔓延っているからだ。
悪は自らの野心のために平気で他者を貶める。
その悪の頂点の一角を成しているのが
"ハーオス・ジルニトラ"と呼ばれる存在なのだろう。



《カチッ》
咲夜の意識を現実に戻すかのように鳴った小さな音と共に懐中時計の蓋がゆっくりと開く。奇しくも零夜が死亡した瞬間に時計の針が止まり、機能を失っていた銀の懐中時計の蓋が開く。

237:動かない大図書館◆3.:2021/03/05(金) 17:52

【紅魔館】

パチュリー
「………レミィ。貴方は今回の件に何か違和感を感じた?」

咲夜が回想をしている頃、少しずつ失われた魔力が回復してきたパチュリーは、零夜の聖銀の鎖によって吸血鬼単体の再生力だけでは回復しにくい鎖の跡や、火傷の後を回復魔法によって治療しながら、今回の件で感じた違和感を相手も感じているかどうかを聞いてみる。

どうやって零夜がこの幻想郷に侵入してきたのか…
零夜の言っていた"アイツ"とは何物なのか…
何故自分達の弱点や性質を知っていたのか…
様々な疑問が拭いきれぬ違和感となっている。

238:紅魔館のメイド◆gI:2021/03/07(日) 12:04

・・・・・

(精神的に多大なショックを受けた咲夜は、零夜の形見である懐中時計が開くのを見れば、視線をゆっくりとそちらの方へと向ける・・・・・

今の咲夜は、一人だけの時はもはや放心状態とも言えるほどに、物言わぬ骸のごとくただただ懐中時計を見つめるだけとなっていた・・・・・)

感じたも何も、違和感しかなかったわよ・・・・・

(そう言うと「そもそも、あの男の血をどこから入手したかっていうのが一番気になるわ・・・・・あの男は確かに先代の博麗の巫女に
倒されたはず・・・・・なのにその血が未だに存在していたことを踏まえると・・・・・これはちょっと、天変地異の前触れかもね・・・・・」と言い)

239:時を刻むことを辞めた秒針◆3.:2021/03/07(日) 15:01

『Extreme hopes are born from extreme misery』

開かれた懐中時計の蓋の内側には
「究極の希望は究極の苦難から生まれる」
と言う英国の諺が刻まれており、それは苦難の中からも希望を生み出したかったと言う零夜の考えや、苦難と苦痛に満ちた中でも全てに絶望して自らの命を絶つのではなく、姉との邂逅と言う信念(希望)を持っていた。

ある意味では最後の最期で求めていた姉の腕の中で息絶えることが出来たと言う悲しい希望を示しているのと同時に、咲夜を勇気づけるかのような言葉でもある。

自分が消え去ろうとも、姉には笑顔でいてほしい。
それは零夜の最後の望みであり、最後の希望だった。
どんな悲しみや苦難に満ちた中であろうとも希望を見出だし、絶望に、苦悩に打ち勝って欲しいと言う彼の意識の現れなのだろう。


ーーーーーーーーーー


パチュリー
「……彼を私達にけしかけた何者かが存在していると考えるのが妥当ね……それもこの幻想郷を……私達のことをよく知っている存在が手引きしていたのかもしれない……」




パチュリー
「……これが単に私の思い過ごしならそれで良いのだけれど……今回の一件の裏には更に巨大な悪……それこそあの男と同等かそれ以上の存在が潜んでいる」

パチュリーは壁に背を預け、周辺を見渡して他には誰もこの話を聞いていないであろうことを確認すると言葉を続ける。

パチュリーの脳裏にはルーミアの姿が浮かんでいる。
ルーミアはヴァルターと同じ闇を操る力を持ち、チルノや大妖精のように霧の湖やその近辺に住んでいる訳でもないにも関わらず、まるで何かを探しているかのように館の側にまで来ることが多く、"封印されている"状況にある事から、彼女の本性や本心がどのようなものなのか、過去にどのような存在であったのかも謎に包まれている。他にも疑問な点は幾つも考えられる。

加えて、ルーミアの闇玉によってレミリアとフランの二人を日光から遮断していた際も、ルーミアの操る闇からは何処かヴァルターに近い魔力が感じられた。もし、ルーミアが巨悪と繋がっていた場合、館の部外者であるにも関わらず、幻想郷の知識を持ち、館周辺にまで来ていたことの説明も出来る……

240:紅魔館のメイド◆gI:2021/03/09(火) 06:13

・・・・・っ・・・・・

(零夜が託してくれたメッセージに、咲夜は涙がこぼれて溢れてくる・・・・・

究極の苦難が正に今なら、これから見合った究極の希望が見えてくるのだろうか・・・・・

今の咲夜は、零夜の死に対する哀しみでいっぱいだった・・・・・)

・・・・・もしかしたら、もうこの幻想郷内にいる可能性もあるってこと・・・・・?

(レミリアもパチュリーと同じく、今回の件には何かが絡んでいるであろうことを察してはいた・・・・・

かつてヴァルターが先代巫女と戦った時と同等か、それ以上の波乱と災いが訪れる・・・・・

そんな気がして仕方が無い・・・・・)

241:動かない大図書館◆3.:2021/03/09(火) 22:10

パチュリー
「ええ、そう考えるのが自然ね……私の推測が正しければあの宵闇妖怪がそうなんじゃないかと考えているわ。」

パチュリーは明確にルーミアが内通者なのではないかと口にする。
様々な不鮮明な言動や、奇しくも"あの男"と同系統の能力であると言うのが大きいが、中でも今日改めてルーミアが作り出した闇玉から感じた力が同質であった事が一番の要因となっている。

これが本当なのかどうかはまだ定かではないものの、この幻想郷内に内通者が潜んでいるというのは紛れない事実だろう。

242:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/11(木) 06:11

・・・・・あの男が生きている頃から、もしかして関係があるのかしら・・・・・

(ルーミアの能力はあの男に似ていること、パチュリーが有力視していることも踏まえて、レミリアもあの男が生きていた頃から何かしらの関係があったのだとしたらと考え始める・・・・・

零夜と比べれば、ルーミアと戦った場合はまだ勝つのには苦労しなさそうではあるが・・・・・)

243:動かない大図書館◆3.:2021/03/13(土) 19:23

パチュリー
「それはわからない……けれど、どうするかは貴女が決めて頂戴。
正体を判明させるために迫ってもいいし、少し泳がせて様子を見るのもいい。私は貴女に合わせるわ。」

普段図書館に籠って読書をしている自分にとってずっと立って話をしているのは少しばかりしんどいため、傍にある壁に背を預けると、ルーミアについての考察や憶測は現状ではまだに推測の域を出ない事からどうするかの判断は相手に任せると言う。



ルーミア
「……あ!貴方達も回復したんだね?よかったぁ!!」

そんな中、今まさに疑惑を向けられていたルーミアがひょこりと顔を覗かせてレミリアとパチュリーの様子を見て、もう回復している事を知り、笑顔になって安心する。
霊夢と魔理沙は美鈴から零夜についての情報を聞いて彼が何処からやって来たのか、何故この館を狙ったのか等についての議論をしているようで、三人はこの近くにはいない。

不意を突いた時間操作であった事から零夜には遅れを取ってしまったものの、吸血鬼の中でも高位の実力者であるレミリアの身体能力であればルーミアを容易く始末する事も出来るだろう……だが、今のルーミアからは微塵も邪気や悪意を感じられない………これは単に隠しているだけだろうか……?

244:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/14(日) 12:09

えぇ、そうさせてもらうわ・・・・・最悪の場合は、この手にかけることも・・・・・

ぞわっ・・・・・

(この手にかけることも、その後に「躊躇わない」と言葉を続けようとした次の瞬間、ルーミアがタイミングを見計らったかのように現れたことでレミリアの背筋に寒気が走る・・・・・

この笑顔がただただ純粋な笑顔なのか、それとも何か裏があることを隠している上での笑顔なのか、どちらなのかが判別できないルーミアの笑顔に得体の知れない恐怖を感じながら、それを隠すかのように「えぇ、なんとか回復できたわ・・・・・」と、できるだけ自然な微笑みに見えるように表情を作って言葉を返す・・・・・)

245:宵闇◆3.:2021/03/15(月) 00:04

パチュリー
「それじゃあ、私は図書館に戻るわ。
まだ読みかけの本も沢山ある事だから……ね……?」

ルーミアを見てからレミリアへと視線を移すと、「後は任せた」とアイコンタクトを送ると、パチュリーは右手をヒラヒラと振りながら振り替えること無く自分の図書館に向かって歩いて帰っていく……



ルーミア
「吸血鬼は日光に弱いんだよね?私も陽の光は嫌い。
光に当たると髪や肌が荒れてしまうし、何よりも眩しくて……でも吸血鬼に比べたら大したことは無いと思うけれどね。
そう言えばこうして話すのは始めてだったね!
私の名前はルーミア!宵闇の妖怪だよ!」

ルーミアはパチュリーが去っていくのを手を元気に振り返して見送ると、始めて話せたからか、目を輝かせてレミリアの前に楽しそうに歩み寄ると、自分も太陽が嫌いだと言うことや、自分の名前について話し始める。

レミリアが寒気を感じた事を露知らず、満面の笑みで話し始めるその様子は第三者から見ると姉妹が話しているようにさえ見えるのだが、その内心ではどう思っているのかはわからない……

246:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/15(月) 06:21

えぇ、またね・・・・・

(レミリアはアイコンタクトで「わかった」と返してパチュリーを見送れば、ルーミアの方へと視線を戻して「そういえばそうだったわね、私の名前はレミリア・スカーレット、よろしくね」と自己紹介をして、手を差し出して握手を求める・・・・・

フランドールの笑顔も時々、どんな本心を内に秘めているかわからない時があるが、ルーミアの笑顔はそれ以上にわからなくさえ感じる・・・・・)

247:宵闇◆3.:2021/03/15(月) 12:33

ルーミア
「よろしくね、レミリア!
それじゃあ、私は邪魔にならないように帰るけど、また会おうね!!」

ルーミアは満面の笑みで上機嫌のまま両手でレミリアの手を包むように握手すると、館から去ろうとする。二人は初対面である筈にも関わらず、何処かで会ったことがあるような感覚を覚えるのだが、レミリアの脳裏に残っているのは"あの男"やその取り巻き、劣悪かつ醜悪な世界についての記憶が大半であるため、下手に思い出そうとすれば、二度と思い出したくない忌まわしい過去を辿ることになってしまうだろう……

248:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/15(月) 20:58

・・・・・えぇ、また会いましょうね・・・・・

(下手に何かしらを聞き出そうとすれば、ルーミアがもしもあの男と関わりがあった場合、今はもうあの男がいないにせよ何にせよこちら側が不利になるのは明白・・・・・

レミリアは、また会いましょうねと言いながら、小さく手を振りルーミアを見送る・・・・・)

249:宵闇◆3.:2021/03/16(火) 20:36

《バタン》

ルーミア
「……………ふふふ……」

レミリアの前から立ち去るために開けた扉を通り抜けた後に閉め、閉めたドアに背を預けると、ルーミアはレミリア達から見えなくなった事を確認すると、隠れてクスりと笑みを溢す。
その笑みの裏側にあるのは悪意ある企てか、それとも……

250:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/17(水) 13:03

ぞわっ・・・・・

《またこの寒気だわ・・・・・真意がつかめないあの笑顔・・・・・どんな意味があるのかしら・・・・・》

(ルーミアが去った後でも、得体の知れない寒気を感じてはあの笑顔にはどんな意味があるのだろうかと、不安がよぎる・・・・・

たった今ルーミアと別れたものの、今この時もルーミアが自分たちを陥れるために暗躍し始めていたとしたら・・・・・

それに、ルーミアが今回来たことで、もし敵側だとすれば視察も十分に出来たかもしれない・・・・・

そう思うと、ルーミアに対する不安が拭えない・・・・・)

251:紅白の巫女と白黒の魔法使い◆3.:2021/03/18(木) 12:31

【紅魔館 玄関ホール】


魔理沙
「あーあ、結局は私達が解決するまでもなく終わったな。
しかも、どうやって幻想郷に侵入した方法も検討がつかないと来た。これ以上は私達からも動きようがないな。」

レミリアとパチュリーの二人が話している中、霊夢と魔理沙の二人は美鈴から零夜の襲撃や、決着の様子まで聞いてみたものの、どうやってこの幻想郷に侵入したのか、何故この幻想郷の場所を知っていたのかについては不明であり、異変そのものも自分達が本格的に介入する前に終わったため、不完全燃焼のままでいた魔理沙が少し愚痴を言う。



霊夢
「もしかしたら……いえ………そんな事は………でも………」

魔理沙
「……?
もしかして何かわかったのか?」

霊夢に備わった博麗の巫女としての勘がこの異変の裏に渦巻く黒幕や、零夜の侵入経路、その方法についてまである程度の推測を作り上げられるように導いているのだが、これはあくまでも可能性の一つであり、万が一これが真実であった場合、幻想郷そのものが黒幕の掌の上である事を意味してしまう……



霊夢
「………なんでもないわ。少し深読みしていただけ。
何の確信も確証もないただの考察よ。」

魔理沙
「お前の勘はいやに当たるから考察でも何でもいいから聞いてみたいが、どうやら今はあまり話したくはない内容みたいだから気が向いた時にでも話してくれ。」

どれだけ入り組んだ複雑怪奇な異変であっても真実や元凶の元へと辿り着く事が出来る巫女の勘の的中率は魔理沙もよく知っており、完全な的はずれな意見を口にする筈もないと思いその考察内容を聞こうとするものの、何かを悩んでいるような霊夢の表情を見て、また話したくなったらでいいと言って大人しく引き下がる……

252:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/18(木) 21:30

いえ、話してもらいたいわ・・・・・今すぐに・・・・・

(霊夢と魔理沙の会話にいきなり介入してきては、今すぐに話してもらいたいと告げる・・・・・

霊夢が話すことをしぶるその内容が、自分自身が抱く嫌な予感とシンクロしているような気がしたのか、お互いが抱いている不安がどれほど合致するのかを確かめたいのだろう・・・・・)

253:紅白の巫女と白黒の魔法使い◆3.:2021/03/18(木) 21:57

魔理沙
「うわ!聞いていたのか?」

霊夢
「………これを聞けば貴方ももう後戻りは出来ないわよ?
知らなかった頃には戻れなくなる……」

魔理沙は気づかなかったのか、突然姿を見せた相手に驚くものの、霊夢はさほど驚いた様子はなく、考え込んだ様子のまま、知ればもう後戻りは出来ないぞと念押しをする……

254:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/20(土) 07:39

私を誰だと思っているの?覚悟なら、もうできているわ・・・・・

(霊夢の聞けばもう後戻りはできないという忠告に対して、レミリアは即答で覚悟ならもう出来ていると言葉を返す・・・・・

だが、やはり心の奥底には恐怖や不安が根付いてしまっているのか、頬を一粒の冷や汗が伝って、わずかではあるものの足が小刻みに震えている・・・・・)

255:紅白の巫女◆3.:2021/03/20(土) 09:52

霊夢
「……そう、それなら話すわ。
誰だったかは詳しくは思い出せないけど、私が巫女になって数日目辺りで幻想郷の賢者の一人から外の世界には七つ存在する巨大な闇の勢力が存在しているそうよ。」

覚悟は出来ていると応えるレミリアに対して霊夢は世界の闇に蔓延る七つの巨悪について話していく。霊夢の記憶は紫が一時期新米巫女だった霊夢を鍛える際に話していたものの一部なのだが、犲狼を倒した後に紫に関連する記憶を消されているため、紫から聞いたことを思い出せていないものの、その内容や訓練によって身に付いたスキルは鮮明に覚えている。



霊夢
「奴らは何百千年も前から人間社会に溶け込み、世界各地で戦争や紛争、民族対立や宗教対立を巻き起こしたり、意図的に災害を引き起こす事で莫大な負の力を生み出し、自らの糧として来た奴ら……
科学が発達し、妖怪や神々が否定されたり忘れ去られ、消滅したり幻想郷に流れて来ているにも関わらず、忘れ去られる事も消滅する事もなく、中世の頃と変わらず血生臭い闇の世界に君臨し続けている七人のろくでなし共……」

人類の歴史は戦争の歴史や災害との戦いの歴史であるとも呼ばれているが、そうなるように仕向け、絶えず世に混乱と争乱を巻き起こし続けている者達が存在しているのだと口にする。突拍子も無いような内容だが、人類が何故、何百年、何千年経っても同じ過ちを繰り返すのか、何故争いを無くしたり完全に災害を防ぐことが出来ないのか……その真の理由について話していく。



霊夢
「まるで一本の大樹から伸びる根のように世界各地の裏に勢力を広げ続け、栄養(命や力)を奪い続ける横繋がりの七人の極悪人。それを私達は『悪の根(ヴァイスリゾーム)』と呼んでいるわ。」

霊夢は淡々とした口調だが、世界中に存在するあらゆる悲劇の裏にはヴァイスリゾームと呼ばれる七つの組織の連合体が存在しているのだと語る。これが本当ならば、幻想郷が成立する以前……妖やそれを狩るための退治師しかおらず、幻想郷と明確に区分される前から暗躍している組織、勢力がいるのだと言う事になる。

256:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/20(土) 10:52

・・・・・ヴァイスリゾーム・・・・・

(数多の悲劇や混乱の全ての諸悪の根源である存在の名前を聞き、レミリアは背筋に寒気が走る・・・・・

この幻想郷が生まれる以前から存在し、裏で災いをコントロールして恐怖の対象として人知れず君臨していたという話を聞けば、いずれ自分達はその巨悪と対峙することになるという恐怖心からか、自然と体が震えてくる・・・・・)

257:あまりにも大きな世界の闇◆3.:2021/03/20(土) 14:21

霊夢
「奴らは元々強力な力を持った悪党だったのだけど、生み出した負の力を取り込むことで更に勢力を、戦力を強化し続けた事で外の世界だけじゃなく、地獄や魔界、夢の世界なんかの全世界にまで影響を及ぼすほどに成長し、他の追随を許さないほどの勢力になった……」

底無しの強大な力を生み出すのは破滅を伴う"負の力"
怨念や憎悪、復讐等の感情から生まれる力は無能力者だった零夜に生粋の能力者であった咲夜のものを凌駕しうるほどの力を開花させていた。
事実、憎しみや怒りを原動力した場合、限界を超えた力を発揮できる事が多い。だがヴァイスリゾームは自分達がその感情を抱くのではなく、他者の生み出した負の力を自分達のものとして取り込むことで勢力を拡大させて来た……



霊夢
「この世界が……各地で惨劇が繰り広げられる度にヴァイスリゾームは強くなる。こいつらの言動は"乱れ"よ。この世界が乱れれば乱れるほどに潤う。逆に平和は一番の忌み嫌うもの。世を乱れさせたいのならどうすればいいと思う?」

平和が訪れてしまえば負の力も低迷してしまう。
それを防ぐためにヴァイスリゾームは様々な形で暗躍し、耐えること無く惨劇を、悲劇を生み出し続け、世を乱れさせ続けている。
この世に蔓延る悪達は自らの意思でなくとも、様々な惨劇や悲劇を巻き起こすことで間接的にヴァイスリゾームを支援し、彼らが増長する手助けをしていた事になってしまう……
世界の裏に蠢くあまりにも大きすぎる悪の軍勢、闇の勢力……
今回の異変の根底にはその世界の闇が大きく関係しているのだと言うことを霊夢は告げている……

その理由は意外と単純だ。
零夜を咲夜に恨みを持つように仕向けて争わせる事で例え零夜が死亡しても咲夜やレミリアの生み出した負の力を吸収することが出来る。
自分達は安全な場所から見ているだけで莫大な負の力を得ることが出来る……世界規模の悪であれば当然世界中の情勢や地形も把握しており、この幻想郷についての伝承や情報を集める事も可能だろう。
あるいは……"幻想入りした内通者"を介しているとも考えられる……

258:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/20(土) 19:18

・・・・・まさか、最初から今回の件は・・・・・咲夜の弟がこうなるように奴らが仕向けたっていうの・・・・・?全て計算の上で・・・・・?

(突如として家族が襲われたことで咲夜は恐怖で逃げてしまい、それを零夜が家族を助けることよりも逃げることを咲夜が優先したと思って恨みを抱いたことが今回の件の主な原因だった・・・・・

ということは、その襲撃も何もかも含めて、全てヴァイスリゾームの計算通りだった可能性がある・・・・・いや、それしかない・・・・・)

259:あまりにも大きな世界の闇◆3.:2021/03/20(土) 20:41

霊夢
「……まだ推測の域だけどね?
もっとも……流れて来たのならばいざ知らず、個人の力で意図的にこの
それも、他には誰にも見付かること無く、真っ直ぐに目的のアンタ達のいる場所に来れた事の理由としてはこれが一番しっくり来るのよ。」

通常、この幻想郷の位置がわかったところで意思を持たぬ物や意識が極端に薄れているものしか結界を通り抜ける事が出来ないにも関わらず……それもかつての吸血鬼異変のように強引に結界を抉じ開けた訳でもなかった……
その事から何らかの方法で一時的に結界に干渉して結界の綻びを作り出して通り抜けたのではないかと考えているのだが、それをするためにはこの結界に精通した者、或いは結界の性質を理解している者しか出来ない筈だ。



霊夢
「……もっとも、アンタの父親もヴァイスリゾームの一角であったらしいからその辺りも何かしらの影響を及ぼしているんじゃないかと疑っているのだけどね?」

怪しいと言えば、つい数日前に紅霧異変を引き起こしたレミリア達を完全には信頼したわけではないためか、ヴァイスリゾームの一角を成すヴァルターの忘れ形見であるレミリア達がタイミング的に何かしらのきっかけを作ったのではないかとも考えている……

260:あまりにも大きな世界の闇◆3. 修正版:2021/03/20(土) 20:43

霊夢
「……まだ推測の域だけどね?
もっとも……流れて来たのならばいざ知らず、個人の力で意図的にこの幻想郷に来れたとは考えにくい……
それも、私に結界の異変を感知される事もなく、他に誰にも見付かること無く、真っ直ぐに目的のアンタ達のいる場所に来れた事の理由としてはこれが一番しっくり来るのよ。」

通常、この幻想郷の位置がわかったところで意思を持たぬ物や意識が極端に薄れているものしか結界を通り抜ける事が出来ないにも関わらず……それもかつての吸血鬼異変のように強引に結界を抉じ開けた訳でもなかった……
その事から何らかの方法で一時的に結界に干渉して結界の綻びを作り出して通り抜けたのではないかと考えているのだが、それをするためにはこの結界に精通した者、或いは結界の性質を理解している者しか出来ない筈だ。



霊夢
「……もっとも、アンタの父親もヴァイスリゾームの一角であったらしいからその辺りも何かしらの影響を及ぼしているんじゃないかと疑っているのだけどね?」

怪しいと言えば、つい数日前に紅霧異変を引き起こしたレミリア達を完全には信頼したわけではないためか、ヴァイスリゾームの一角を成すヴァルターの忘れ形見であるレミリア達がタイミング的に何かしらのきっかけを作ったのではないかとも考えている……

261:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/22(月) 19:44

もういっぺん言ってみなさい?速攻首を消し飛ばしてやるわよ・・・・・?

(確かにヴァルターの血を受け継いだ子供であり、ヴァイスリゾームとは完全に無関係とは言い切れない立場であるのは事実だが、だからと言ってあの男、ひいてはその仲間達と同じように扱われるのは心の底から怒りが湧いてくる・・・・・

レミリアは、声を荒らげてはいないものの、その言葉からは霊夢に対する怒りが感じられる・・・・・)

262:紅白の巫女と白黒の魔法使い◆3.:2021/03/22(月) 23:27

霊夢
「へえ…言うじゃない?なんなら、もう一回倒してあげましょうか?」

魔理沙
「おいおい、お前らがぶつかったら今度は本当に館ごと全員吹き飛ぶぞ?そのへんにしておけって、な?」

霊夢はヴァイスリゾームやヴァルターを直接見たことが無いため、どこまでも推測するしか無く、詳細な見分け方もまだわからない。だからこそ警戒心を強めているのだが、口下手な霊夢はそれを丁寧に説明するのではなく、挑発するように言葉を返してしまう。

博麗の巫女と高位吸血鬼のレミリアが本気でぶつかれば自分はともかく、この館にいる者達の命が危ないと思った魔理沙が霊夢とレミリアの間に割って入って二人に愛想笑いをしながら辞めるように言う。

263:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/23(火) 06:20

・・・・・それもそうね、その減らず口の巫女の息の根ならいつでも止められるし・・・・・

(魔理沙の言葉を聞けば、確かに魔理沙の言う通りだと思い、それもそうねと言う・・・・・

確かに今自分がここで怒りに身を任せて霊夢と対峙すれば、周りへ被害が及ぶ・・・・・

レミリアからすれば博麗の巫女と言えど霊夢は所詮減らず口のただの人間、消すにしても今でなくてもいいと判断する・・・・・)

264:紅白の巫女と白黒の魔法使い◆3.:2021/03/23(火) 18:07

霊夢
「あ?」

魔理沙
「おい!だからやめろって!」

挑発を続けるレミリアに対して更に苛立った霊夢は肉体的なダメージが比較的少ない御札ではなく、退魔用の針を三本、指の間に挟むようにして持ち、臨戦態勢に入り、レミリアにも挑発するような言葉は言わないでくれと頼む。

265:永遠に幼き紅い月◆gI:2021/03/23(火) 20:49

あら、怖い怖い・・・・・博麗の巫女は短期ねぇ〜・・・・・

(魔理沙が止めに入ってもなおレミリアは霊夢を挑発するような言い方を続ける・・・・・

もはやレミリアも意地で言っているとしか思えない・・・・・)

266:夜想譚 終幕◆3.:2021/03/23(火) 22:32

【紅魔館 上空】


「………この幻想郷が誕生した時から今まで、幾つもの備えを用意してあるのだけど……まさか"このタイミング"で動き始めたなんて……これが混沌と破滅に満ちた終焉となるか……それとも…………」

霊夢の頭でブチッと何かが切れるような音が起こると、激情に任せて「いい覚悟ね?なら今度は本当に退治してあげるわ!!」と言い、零夜の最期の能力で修復された紅魔館の一角が吹き飛ぶような戦いが展開される事になる中、紅魔館の上空に開かれたスキマを通じて館の様子を伺っていた紫が誰にもと無くポツリと呟く……




「………願わくばこれが新たなる世界……永き闇夜を打ち払う夜明けの光明となる事を祈っているわ………」

霊夢とレミリアの戦いが始まりそうになったところで気取られぬようにスキマを閉じ、無数の目が存在するスキマ空間の中を漂う道路標識の一つに腰かけて観察していた紫はまるで祈るかのように目を閉じ、天を仰ぐように顔を上げ、夜明けの到来を求めて呟く。

後に親友の幽々子の命と幻想郷の命運を天秤にかける決断を迫られ、名目上、一部記憶を消した霊夢の前に始めて姿を見せ、一戦を交える事になる春雪異変の到来をこの時点で予知していた……

生き別れた二つ夜と、それぞれの想いが交錯する譚はこれにて終幕。
だが、幻想郷を…この世界を覆う永く、冥く、冷たい夜はまだ始まってすらもいなかった事を後に幻想郷の者達は知る事になる………


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