私や友達の経験や悲しい思い。
私の知り合いの人の経験や思いなども含めてこの小説に書いていきます。
よろしくお願いします。
週2ぐらいのペースで書いていきます。
〜主な登場人物〜
小出友妃乃
リストカットをする中1の少女。
ささいな事で自分を責め、嫌う。
たった1人智恵乃にだけ心を開く。
普段は明るい性格。
本当は暗く、ネガティブ。
如月智恵乃
友妃乃にとってたった1人の心を開く友達。
明るく、ポジティブな性格。
その他の人物は出た時に紹介します。
桜が綺麗に咲くころ中学校の入学式が行われた。
私、友達作れるのかな?
クラスに馴染めるだろか?
友妃乃は、胸に不安を抱え、入学式に出た。
体育館には、生徒、先生、保護者、来賓客などがいた。
でも、決して多くはない。
友妃乃が通う学校は、小規模校。
友姫乃にとっては都合が良かった。
反対に、智恵乃は、胸に期待をふくらませ、入学式へと出た。
決して人数は多くはないが、新しい環境が嬉しくてたまらなかった。
入学式は終わり、その他の事も終わり、その日は家に帰った。
「明日から学校か〜憂鬱な気分。」
友妃乃はため息をつきそう言った。
「明日から学校だ〜楽しみ〜」
一方、智恵乃は嬉しそうにそう言った。
〜次の日〜
「今日から学校か…小学校であんなだったのに、やっていけるのかな?」
友妃乃は不安をふくらませ、学校へ向かった。
教室は賑やかだった。
まだ、入ってもいないのにわかる。
友妃乃は教室に入ると、黒板張ってある席が書いてある紙に目がいった。
小出友妃乃。
友妃乃は自分の名前を探した。
あ、あった。
窓側の席だ。
友妃乃は、自分の席に座った。
隣は…?
友妃乃は気になり、隣の椅子の後ろを見た。
如月智恵乃。
友妃乃の隣にはそう書かれていた。
如月智恵乃さん?
誰だろう?
嫌な人だったらどうしよう?
「あなたが、小出友妃乃さん?」
声のする方を見ると、そこには身長の高い、ミディアムヘアのよく似合う女の子がいた。
「はい。そうですが…」
「私、隣の席の如月智恵乃。よろしくね!友妃乃ちゃん。あっ私の事は智恵乃って読んでね。」
「私は小出友妃乃。よろしくね。智恵乃ちゃん。」
「うん!」
とても明るい子だな。
明るい子は苦手気味だけど、智恵乃ちゃんとなら、仲良くなれる気がする。
良かった。
友妃乃は心の中でそう思った。
「ねぇ、友妃乃ちゃんは部活何に入るの?」
智恵乃は興味しんしんで友妃乃に聞いた。
友妃乃は少し戸惑いながらも答えた。
「えっと、私はバスケ部かな。運動出来ないけど、バスケならしたい。」
友妃乃の答えを聞くと智恵乃は目を輝かせた。
「私もバスケ部に入りたいんだ。同じだね。嬉しいな、友妃乃ちゃんと一緒。」
「うん。私も智恵乃ちゃんがいてくれて良かった。嬉しいな。」
友妃乃はホッとした。
月日は巡り、友妃乃は中学校生活に慣れてきた。
バスケ部の仲間は優しく、友妃乃も智恵乃も暖かく迎え入れてもらった。
智恵乃は、クラスのみんなともうまくいっていた。
一方、友妃乃は1部の子たちとはうまくいっていなかった。
男子が友妃乃の近くに行った。
「おい、友妃ゴリ。」
そう言った男子は大樹だった。
友妃乃は大樹を睨んだ。
「その呼び方止めてって言ってるでしょ!」
「なんでいけんだいや。いいが友妃ゴリ。なぁ?」
大樹は、隣の他の男子、蒼馬に言った。
「アハハハ!友妃ゴリぴったり。」
「止めてって言ってるでしょ!」
「はいはい。分かりましたよ。友妃ゴリ。」
そう言うと、大樹と蒼馬は行ってしまった。
友妃乃は自分の席につくと、机の上に顔を伏せた。
なんで…なんで私だけそんなふうに言われなきゃいけないの?
言われるほうは辛いのに……
友妃乃はこぼれそうになる涙をこらえた。
友妃乃の心は傷だらけだった。
他の人からすれば、些細なこと。
でも、友妃乃にとってはつらいことだった。
部活にだっていないほうがいいんだ。
私がいたって、いなくたって変わらない。
みんながいるもの、大丈夫よ。
友妃乃はいつしか、関係ないことでも、マイナスに考えてしまうようになっていた。
友妃乃は、家にあったカミソリをてにとり、自分の手首を切った。
血なんてでるか、でないかわからない。
でも、気がつけば切っていた。
友妃乃は、リストカットへの扉を開けてしまった。
逃げ場のない人の行く世界へ。
友妃乃の右手首に、10。
左手首に、20も切ってしまった。
友妃乃は泣きながら切った。
私は、こんな些細なことで、切ってしまった……
私は一番したくなかったことをしたんだ。
でも、切らなきゃ気が済まない。
あぁ、なんて汚い手だろう。
こんなんで、智恵乃に合わせる顔がない…
〜回想〜
「智恵乃ちゃん。私の話聞いてくれる?」
友妃乃は智恵乃に聞いた。
「うん!友妃乃ちゃんの話なら何でも聞くよ。」
「ありがとう。私、小学生の頃から、些細なことで傷つくし、すぐ精神的に頭が痛くなるんだ。」
「そっか〜みんなから些細なことでも友妃乃ちゃんからすれば、つらかったんでしょ?」
「うん。小学校の先生に相談しても、何も変わらないし自分が傷つくだけだった。相談出来る友達もいなかった。智恵乃ちゃんにあって初めて友達と呼べる人が出来たの。」
智恵乃はにっこり笑った。
「じゃあ、私以外には、話せる人いなかったんでしょ。私にだけ本当のこと教えてくれて嬉しい。ありがとう。だから、私の親友になってくれない?私は友妃乃と親友になりたい。」
「私も、智恵乃ちゃんと親友になりたい。智恵乃ちゃんしか、信じること出来る人いなかった。」
「んじゃ決まりだね。私のことちゃんじゃなくて智恵乃ってよんでね。友妃乃!」
「うん!智恵乃。」
笑顔で友妃乃は答えた。
私は、大切な友達を、いや親友を持っていながらも、自分を傷つけて……
なんて、最低なんだろう。
この事言ったら、智恵乃なんて言うんだろう?
怒る……だろうな…
きっと。
わかってる……
ひどいいじめにあっている人、家で虐待されている人、本当につらい人しか、リスカなんてしちゃいけないこと。
誰もが、私がされていることで自分を傷つけるなんて、ただ、かまってほしいだけだとしか思っていないこと。
知ってる……
全部…知ってるよ……
友妃乃は、ただひたすら泣いた。
声を殺して、誰にも聞こえないように、ただひたすら独りで泣いた。
杏奈から、友紀菜に名前変えます。
友妃乃は次の日、行きたくもなかったけど、泣きはらした顔で学校に行った。
友妃乃は、準備を済ませ、机で本を読んでいた。
「おはよー!友妃乃。今日も早いね!」
「おはよう。智恵乃。智恵乃は相変わらずだね。」
良かった…泣いたことも何も気づいてないみたい。
友妃乃はほっとした。
「ねぇ、友妃乃…」
智恵乃は心配そうに声を掛けた。
「何?」
友妃乃は、無理に笑顔をつくり、明るい声で言った。
「最近……ううん何でもない。」
「そう?何かあったら言っていいよ。」
友妃乃は、また本を読み始めた。
聞かない方がいい。
最近変だよ、なんかあった?なんて。
友妃乃は、何にもないよ、なんで?って明るく問うから。
智恵乃は、そう思った。
ある日の昼休憩の事だった。
その時は、悪夢の日々が始まるなんて思ってもいなかった。
友妃乃は、いつものように大樹にいじられていた。
「やーい友妃ゴリ。お前なんか動物園に行けよ!」
友妃乃は、その日、女の子の日だったためか、とてもイライラしていた。
そしてとうとう切れた。
「止めてって言ってるでしょ!いい加減にしてよ!何様なのよ!」
「は?うっせーよ!」
たったそれだけのことに腹を立てた大樹は、友妃乃を殴った。
殴られた、友妃乃は床に倒れた。
痛い…
お願い…助けて……
誰か、私をかばって………
友妃乃はそう願った。
でも、その期待を見事に裏切られた。
「もっとやっちゃいなよ。そんな奴。そうだ!今日から、友妃乃さんをいじめましょう。いいよね?」
そう言ったのは、大樹の彼女の可憐だった。
可憐はクラスのリーダー的存在だった。
「もちろん!これからが楽しみだね!」
みんなが口々に言った。
智…恵乃……
友妃乃は、智恵乃の方を見つめた。
智恵乃は、ごめんと口を動かして、教室から出た。
その日からだった。
友妃乃が、本格的にいじめられるようになったのは。
友妃乃は、リストカットを続けた。
しかも、だんだん深く、たくさん切っていた。
友妃乃は、嫌だったけど、毎日学校に行った。
怖い……行きたくない…
友妃乃は、そう思った。
友妃乃が教室のドアを開けた、瞬間黒板消しを投げつけられた。
「ゲホッゲホッ!」
友妃乃はひどく咳き込んだ。
「うっわー顔面に当たったよ。」
みんながニヤニヤして友妃乃の方を見た。
友妃乃が後ろを向こうとした。
「何突っ立ってんだよ!じゃま!」
大樹はそう言って、友妃乃を後ろから蹴った。
友妃乃は、床に倒れた。
「おっはよー大樹。朝からさんざんだね〜」
「本当、さんざんだわ。さっさと消えろよゴリラ!」
不機嫌そうに大樹は言った。
「さっさと、死ねよ!ゴリラ!」
可憐が大樹に続けて言った。
友妃乃は、倒れたままだった。
どうして……
私だけ傷つかないといけないの?
助けて…助けて…智恵乃………助けて……
友妃乃は、必死に願った。
すると、担任が上がって来た。
「おはようございます。あらっ何してるの?小出さん。さっさと、席に着きなさい。」
先生も助けてくれないんだ……
友妃乃は絶望の淵に立った。
〜登場人物〜
日野大樹
いつも友妃乃をいじめる。
すぐ切れる。
可憐の彼氏。
上川蒼真
大樹と友妃乃をいじめる。
北条可憐
大樹の彼女。
友妃乃をいじめる。
クラスのリーダー的存在。
中二くさ
16:友紀菜:2015/02/24(火) 20:40 ID:4ZY 友妃乃はフラフラしながら、席に着いた。
「小出さん、朝の準備も出来てないの?いつもはちゃんとしてるのに…きちんとしなさい!皆さん、読者の時間ですよ。」
担任は、とげのある言い方をした。
先生は、いつもはちゃんとしてるのに、今日はどうしたんだろうと不思議に思って、助けてくれないんだ…
智恵乃だって…
友妃乃はそう思いながら、隣を見た。
え…なんで?
友妃乃の隣には誰もいなかった。
私には、助けてくれる希望もないんだ…
友妃乃は、涙をこらえた。
面白すぎる・・・!!
すごいですね!!頑張ってください!!
>宮下さん
ありがとうございます!
面白いと言ってもらったのは初めてです。
頑張ります!
友妃乃はそれからもいじめられ続けた。
教科書に落書きされ、スリッパを隠され、暴言を言われ、暴力を振るわれ、もう我慢出来なかった。
智恵乃はあの日から、学校に来ないままだった。
友妃乃は、リストカットを繰り返すばかりだった。
日に日に傷は深く、血が流れる量は増えていった。
死にたい……
この世から消えてしまいたい…
誰も私を助けてくれない…
私の居場所はどこにもない…
友妃乃がいじめられるようになって、一週間がたった。
友妃乃は、教室に入った。
バシャ
「キャーッ」
友妃乃が教室に入った瞬間、水をかけられた。
「なにがキャーッよ。気持ち悪い。さっさっと死ぬよ。」
可憐は言った。
「そうださっと、死ぬよ!このブス!ゴリラ!」
蒼真は友妃乃が殴った。
友妃乃は机にぶつかって、床に倒れた。
「アハハハッ机に当たるとかだっさ!ってか汚いし!」
痛い…痛い…
誰か…助けてよ……
ねぇ…智恵乃……
「なに倒れてんだよ!邪魔だっつってんだろ!」
そう言うと、大樹は友妃乃を何度も蹴った。
死にたい………
友妃乃の頭の中はそれだけだった。
訂正します。
×蒼真が友妃乃を殴った。
○蒼真は友妃乃を殴った。
すみませんでした。
みんなが次々に友妃乃を蹴った。
「いい加減、わかったら?あなたは私たちにとって必要ない存在。さっさと死ね!」
可憐は、そう言うと友妃乃を思いっきり蹴った。
「うっ!」
もういい、死のう……
私が死ねばいい話だ。
「わかった…じゃあ、死ねばいいよね?」
友妃乃は言った。
みんなが、びっくりした顔で、友妃乃を見た。
「まさか、本当に死なないよね?」
クラスの中から微かに聞こえた。
「そう!死ねばいいの!」
可憐は嬉しそうに言った。
「わかった……」
友妃乃は、教室を出て、屋上へと走った。
「え…待って、友妃乃。いったいなにがあったの?」
友妃乃は、廊下にいた智恵乃に気づくことなく、必死に階段を駆け上がってしまった。
智恵乃は、教室に急いで入った。
「いったい何があったの?友妃乃に何をしたの?」
「大樹や私に逆らうなんてバカなの。だから、いじめてあげた。そしたら、死ぬって。バカみたいよね。」
可憐は、笑顔でそう答えた。
「ふざけないで!友妃乃をいじめてなにが楽しいの?友妃乃でもだれでも、この教室から誰かが居なくなるの想像してみてよ!本当につらくなるよ。いじめなきゃ良かったって。居なくなってかじゃ遅いんだよ!」
智恵乃は、そう大声で言うと、教室を飛び出して、友妃乃を追いかけた。
友妃乃。
死なないで……
逃げて、ごめんね。
親友だったのに…
生きててお願い!
その頃にはもう友妃乃は、屋上に上がっていた。
友妃乃は、屋上の一番奥、一歩前に出たら落ちる所に立っていた。
友妃乃は、ポケットから、カッターを出すと手首の上を思いっきり、切った。
鼓動に合わせ、血が溢れ出た。
智恵乃、親友になってくれてありがとう。
大好きだよ。
でも、助けて欲しかったよ…
友妃乃はいろんな事を短時間で想像した。
「友妃乃!待って、行かないで!」
智恵乃は、友妃乃が死ぬまでに間に合った。
智恵乃の後ろには、何人かクラスメートがいて、何人か走ってくる姿が見えた。
友妃乃は、優しく、少し悲しく笑った。
智…恵乃…
智恵乃…最後、会えて良かったー…
友妃乃は、屋上から落ちた。
「う、うそ…ゆ、友妃…乃……い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!友妃乃〜!なんで!なんでよ!」
智恵乃は、一人泣き叫んだ。
そ、そんな・・・?!
友妃乃ーー!!
先が気になる・・・。はらはら(😞)
>宮下さん
読んでくださってありがとうございます。
先、楽しみにしててくださいね。
智恵乃は、大泣きし、クラスメートは、ただ呆然と立ち尽くしていた。
屋上には、友妃乃がリストカットをした時に、出た血だけが、こぼれ落ちていた。
「うっう…ゆっ…友妃乃…ごめん…ご…めんね…うっ」
智恵乃は、ただひたすら泣くばかりだった。
「う、うそだろ?」
「私たち、こ、小出さんを、し、死なせた…」
クラスメートは、次々に話し出した。
中には、泣く人もいた。
「諦めるのは、まだ早いんじゃないの?」
そう言うと、可憐は、スマホを出した。
すごく展開が面白くてはまりました!
続きがきになります( *´艸`)
>マカロンさん
ありがとうございます!
続き楽しみにしててくださいね。
白い部屋で眠っていた友紀菜は、静かにゆっくりと目を開けた。
ゆっくり隣を見ると、智恵乃が眠っていた。
智恵乃は、友妃乃の手を握りしめていた。
「こ、こ、病院?智恵…乃?」
友妃乃は弱々しい声で言った。
はっと智恵乃目を覚まし、友妃乃を見た。
智恵乃の目からは、涙が溢れ出ていた。
「ゆ、友妃乃…良かった…もう二度と目を覚まさないかと思った。」
智恵乃は、そう言うもと、友妃乃に抱きついた。
友妃乃も、少し笑顔になった。
おぉ、友妃乃!生き返った!!
あ、死んでなかった。テヘッ😄
可燐、何をした…?!
途切れてすみません。
>宮下さん
途切れても大丈夫ですよ。
続き書きますね。
でも、友妃乃は、また悲しい顔に戻った。
「智恵乃、智恵乃には、もう、一度会え、てよ、かったって思って、る。でも、なん、で死ね、なかった、の?私、いじ、められるの、つ、らい。智恵、乃には内緒にし、てたけどリスカ、もしてた。」
友妃乃は、全身に怪我をしていたため、うまく話せなかった。
「死ねなかったの?なんて言わないでよ。友妃乃は、生きるために、ここで生きてるの。私、怖かったの。毎日、友妃乃がいじめられるのを見るのが。だから、逃げた。友妃乃を助けず、自分を守るために、逃げた。ごめんね。本当にごめんなさい。リスカしてたことは知ってたよ。友妃乃は隠し通そうとしてたし無理に聞こうとはしなかった。でも、聞けばよかったって思ってる。聞いてたら、友妃乃を助けれたかもしれないのにって。学校のことなら大丈夫だよ。友妃乃を助けたのは、可憐なんだよ。」
「えっ…?」
友妃乃は、智恵乃の言っている言葉が信じられなかった。
智恵乃は笑顔で話し始めた。
「あの日、私は友妃乃が死んだと思って、悲しくて何もできなかった。でも、可憐がすぐに救急車呼んでくれたから、友妃乃はギリギリ助かった。あちこち骨折はしてるし、何より、リスカもしてたし、大量出血で危なかったんだよ。でも、可憐が冷静に行動してくれたから、友妃乃は助かった。可憐もすごく反省してて、毎日お見舞い来てくれてるんだよ。今日は、まだ来てないけど。それに、みんなも反省してるから、大丈夫。」
友妃乃は、今、体中包帯が巻いてあって、手首にも巻いてあることに気づいた。
「そっか。みんな、反省してくれてるんだ。私、何日間眠ってた?」
友妃乃は笑顔に戻った。
「5日間だよ。私、毎日お見舞い来てたんだよ。学校終わったら来て、暇さえあれば、すぐ来てた。」
「ありがとう。智恵乃。私も、智恵乃に打ち明けなくてごめんね。私の事心配してくれてありがとう。」
「ううん。いいの。だって、私たち親友だもん。」
「そうだね。」
友妃乃と智恵乃は、抱き合った。
〜次の日〜
智恵乃は、みんなを連れて、病院に来てくれた。
「ごめんなさい。友妃乃さん。私、本当にひどいことしてきたわ。本当にごめんなさい。」
可憐は、友妃乃に頭を下げて謝った。
「ごめん。悪かった。本当にごめん。」
「ごめんなさい。小出さん。」
「ごめん。かばえばよかった。」
みんなが、次々に謝ってくれた。
「ありがとう。今日来て、くれて嬉しい。」
友妃乃はニッコリ微笑んだ。
友妃乃は、退院後毎日楽しく学校に通えた。
そしてもう、このクラスからは、いじめはなくなった。
友妃乃は、親友智恵乃と笑顔で毎日を生きた。
このお話は、ここで終わりです。
読んでくださった方々ありがとうございました。
次は、また別のお話を書きます。
〜登場人物〜
高橋友紀
リストカットをする中1の少女。
親の事、友達の事、先生の事が嫌い。
でも、ある先生と出会い、心を開けるようになった。
長石洸
小児科内科の先生。
明るく、元気な先生。
たくさんの小、中学生、高校生を救って来た。
高橋綾子
友紀の母親。
友紀の事が嫌いではないが、友紀の祖父の介護をしているため、育児放棄をしている。
1人で、友紀を育てた。
小林恵子
友紀の担任。
口うるさくて、物忘れが多い。
松島久美
クラスのリーダー的存在。
久美には、みんなが従わないといけないという裏ルールがある。
薄暗い部屋の中、友紀は1人で静かに泣いていた。
机の引き出しからカッターを取り出すと、手首の上を軽く滑らした。
手首からは、紅い血が流れた。
「綺麗…」
ポタッ
友紀の涙が、手首の上に落ち、血がにじんだ。
この世界は汚い物で、染まっているけど、この血だけは、綺麗だなぁ。
これだけが、私の救い。
友紀は、そう思った。
「この夜が明けたら、朝が来ちゃうのかぁ…」
友紀は、小さくため息をついた。
血が止まるのを待って、友紀は、ベッドに潜り込んで寝た。
〜次の日〜
太陽が明るく差し、部屋は明るくなっていた。
友紀は目を覚ました。
「朝に…なっちゃったのか。」
友紀は、下に降りると誰もいなかった。
何も置いてない机を見て、友紀はため息をついた。
「今日もか…当たり前だよね。」
友紀の母親は、別の場所に住んでいる、祖父の介護をするため、朝からいなかった。
一日中いない日もあった。
朝ご飯が準備されてないのだって当たり前。
一緒にご飯食べないのなんて当たり前。
いつも独りなんて当たり前。
友紀はそれにもうなれていた。
友紀は、台所に置いてある食パンをトースターで焼いて朝ご飯を済ませた。
友紀は、部屋に戻ると、制服に着替えて、リスカの跡をそっと撫でると、紺色の少し長めのリストバンドをつけた。
まぁ、見ていい気のする人なんていないし、ある程度のマナーとしてつけないとね。
可愛いのつけてる人もいるけど私には、必要ない。
友紀は、そう思った。
そして、重たい足取りで階段を降り、玄関の戸を開けた。
「はぁ…学校行きたくないな。」
友紀は、そうつぶやくと、仕方なく学校へ向かった。
友紀は、教室に入り、席についた。
教室の中は、汚い声が耳をふさぎたくなるくらい聞こえていた。
「友紀さん、来たんだ。来なくてよかったのに。」
久美はそう言うと友紀の隣を、すり抜けていった。
わざわざ、それ言うために、ここ通ったんだ。
そんな事しなくてもいいのに。
友紀はそう思った。
机の中を見ると、紙切れが一枚入っていた。
友紀は、震える手で中を見た。
学校来るな
消えろ
紙切れにはそう書かれていた。
友紀は、震える手で破った。
そして、ゴミ箱に捨てた。
1つ1つ小さいことだが、友紀と直接関わらないように、みんながいじめていた。
暴言が書かれた紙を、机に入れられたり、シャーペンの芯を全部折られたり、ノートに落書きされたり、いろいろされていた。
友紀はいつも、独りぼっちだった。
家でも学校でも、そこに居る意味が分からなくなっていた。
なんで、毎日毎日つまらない人生を歩んでいかなきゃいけないの?
いつだって独りぼっちで、誰からも愛されない。
友紀はいつもそう思っていた。
「高橋さん。ちょっと来てくれる?」
担任の小林先生が友紀を呼んだ。
いかにも、今から叱りますオーラが出ていた。
友紀は、嫌だなと思いながらも、先生の所に行った。
「すみません。何ですか?」
「何ですか?じゃないでしょ。いつになったら、懇親会の紙提出するの?もう、いいから、保護者の方出席か欠席か教えて。」
すっごいトゲのある、腹立ってます感ある言い方するな。
仕方ないじゃん。
お母さん、家にほぼいないし、出しても忙しいからって書いてくれないんだから。
「すみません。欠席でお願いします。」
言っても無駄だよね。
家の事情なんて知らないって言うんだから。
友紀は、無駄な言い訳はしなかった。
「普段ちゃんとするときはするんだから、こういうのもちゃんとしなさい。」
普段の私と比べないでよ!
ちゃんとするために、周りに迷惑かけないように、どれほど苦労してきたか知らないくせに…
私がどんなに苦しくて、悲しくて、つらいか知らないくせに…
友紀は、イライラしていた。
放課後、教室はいつも通り賑やかだった。
早く部活行こーとか、この後、遊ぼとか、後から、お前んち行くからとか、楽しそうだった。
ただ、1人を除いて。
今日も、1日くだらない学校生活が、終わる。
友紀はそう思っていた。
友紀は、独り廊下を歩いていた。
「友紀さん。」
そこには、保健室の先生、篠川先生がいた。
見たことはあるが、話したことはなかったから、友紀はびっくりした。
「はい。」
「ちょっと、話があるんだけど、保健室にきてもらえるかな?」
篠川先生はにっこり微笑んだ。
「えっあ、はい。」
友紀は、戸惑いながらも保健室に行くことにした。
〜登場人物追加〜
篠川遥
保健室の先生。
若い方で、生徒からはわりと人気。妊娠しているため、産休に入る。
保健室は、整理整頓してあり、綺麗だった。
「突然、ごめんね。少し、気になっていることがあって。少しいいかな?」
「はい。」
何言われるんだろ?
悪い事なんてしたかな?
友紀は、少し心配だった。
「友紀さん、リストバンドしてるよね?なんで、可愛いのとかしないの?」
「はい。別に、可愛いのとかする必要ないからです。」
「じゃあ、なんでつけてるの?」
友紀は少しドキッとした。
「つけていたいからです。」
「なんで、つけていたいの?」
友紀は、少しイライラした。
「別にどうだって良いじゃないですか。」
篠川先生は、少しきつい顔になった。
「どうでも、良くないわ。私、妊娠してるの。少し早いけど、産休に入るの。だから、あなた見てあげられないから。」
「見てくれなくて良いです。どうせ、最後はみんな私を見捨てるんだから。失礼します。」
友紀はそう言うと、保健室を出て、学校を急いで出た。
「なにが、わかるっていうの。助けてもらっても、後からつらくなるんだから。」
友紀は人と関わるのも嫌になっていた。
家に着くと、珍しくお母さんが、家にいた。
「あら、友紀もう帰ったの。篠川先生から、電話があったわよ。ごめんなさいって、なにかあったの?」
友紀は機嫌の良いときは、優しいお母さんはほんの少しだけ好きだった。
「別に、今日はどうしたの?」
友紀は何もなかったように、話した。
「おじいちゃん、今体調いいの。だから、少し早いけど、ご飯食べさせて、帰ってきたの。」
今日の友紀の母は珍しく、機嫌も良かった。
「そっか。でも、帰って来て大丈夫だったの?」
「ええ、なにかあったら電話してって頼んでるし。それよりも、友紀の方が大丈夫なの?」
友紀は、母の言った意味が分からなかった。
「どういうこと?」
「どういうこと?ってあなた体調よくないんでしょ。篠川先生から聞いたわよ。明日、病院行こうね。篠川先生が紹介してくれたのよ。」
篠川先生か。
まぁ明日学校行かなくて良いし、いいか。
「あぁ、うん、ちょっとね。」
友紀は、その時だけ篠川先生に感謝した。
友紀は、久しぶりにお母さんと夜を過ごした。
でも、お母さんは、念のため、一度おじいちゃんを見に家を出た。
あ、やっぱり、私よりおじいちゃんなんだ。
でも、仕方ないよね。
そう思いながら友紀は部屋に戻った。
リストバンドを、そっと外し、傷跡を優しくなでた。
「綺麗…だけど汚いな。自分を傷つけるなんて最低だよね。」
友紀は、綺麗と思う方が強いけど、無残な手を見ると、汚い、自分なんて最低だ、などと思うようになっていた。
そして、またリスカする。
それが、何度も続いた。
今日も、友紀はリスカをした。
いろんな思いが、こみ上げてくるときは、リスカすれば、スッキリするし落ち着く。
友紀はそう思った。
友紀は、自分の手首を見た。
今日はまだ一回しか切っていなかった。
「来なくてよかったのに。学校来るな。消えろ。」
不意に、友紀の頭をよぎった。
久美に、クラスのみんなに言われてきた言葉。
思われていること。
「私だって行きたくないよ。でも、お母さんに迷惑かけるから。」
友紀の目からは涙がこぼれ落ちた。
「私なんて、生まれてこなかったらよかったのに……傷つかなくてすむ、傷つけないなくてすむ、苦しまなくてすむのに…どうせ独りぼっちなんだから、せめて独りの世界に行きたい。」
友紀は、カッターを手に取り、手首の上を何度も滑らせた。
無数の切り口からは、紅い血が流れ出した。
「私なんか、傷ついていればいいんだ。何の役にもたたない私は。」
♪〜♪〜♪〜
友紀はスマホを見た。
「お母さんだ。」
友紀は電話に出た。
「もしもし。」
「もしもし、友紀?おじいちゃん体調悪くなったから、今日はこっちに泊まるわ。明日の、病院もなしね。だいたい病院なんて行かなくてもいいわよね。じゃあ。」
お母さんは口早にそう言うと、電話を切った。
「私の事なんてどうでもいいんだ…」
友紀は、ひたすら泣いた。
朝の明るい日差しが、部屋の中を照らしていた。
友紀はベッドに横になっていない状態で目を覚ました。
「あ、私あのまま寝てたんだ。」
手首には、紅い血が固まっていた。
友紀は、丁寧にその血をふいた。
「あぁ、朝なんて来なきゃいいのに…学校行かなきゃ行けなくなるのに…」
いつも通り、朝ご飯を1人で食べ、いつも通り、朝の準備を済ませた。
やっぱり、お母さんの姿は見られなかった。
「体だるいな。本当に毎日体調悪いよ。」
友紀は、ため息をつくと、重たい体と心を無理やり動かし、学校へ向かった。
「友紀さん、待って!」
友紀は学校の校門を抜けようとした時、誰かに呼ばれた。
友紀は、後ろを向くと、そこには篠川先生がいた。
「何ですか?」
友紀は、笑顔でそう聞いた。
「昨日はごめんなさいね。一緒に病院行きましょ。あなたが学校へ向かっているのを見て急いで、お母さんに電話したの。ちゃんと、了承を得てるわ。私もちょうど行かないといけなくてね。」
なんで、先生と病院に行かなきゃいけないのよ。
あ、でも体調悪いし、見てもらってもいいか。
学校休めるし。
「わかりました。でも、なんで体調悪いってわかったんですか?」
「意外と見てないようであなたのこと見てたのよ。毎日あんな暗い顔で学校へ通ってたら、気になるし、普段きちんとしてるあなたが提出物を出せないのも気になってね。」
この私を見ていてくれた…
家でも、学校でも独りぼっちで、誰も私の事なんて見てくれなかったし、気にもしてくれなかったのに…
篠川先生は…
「そうですか。私のこと気にかけてくださってありがとうございます。」
友紀は、この時心からありがとうと思った。
そして、心を少し開くことができた。
篠川先生は、友紀が思ったより素直で、少しびっくりした。
「いいえ、いいのよ。あなたを助けてあげられるのも、今日までだから。さぁ、行きましょう。車出すわね。」
友紀は、篠川先生について行った。
篠川先生の車は、ピンクの軽自動車で、篠川先生って感じだった。
私、また迷惑かけてるな。
友紀は、思った。
「さぁ乗って。早く行きましょう。」
「はい。お願いします。」
友紀は、車に乗った。
「どうぞーあと、シートベルトつけてね。」
車は動き出した。
無言のままの状態が少し続いた。
最初に口を開いたのは、友紀だった。
「あの、病院ってどこの病院ですか?」
「大学病院の小児科よ。体調の事だけじゃなくて、心の事も、話してみるといいわ。小児科と内科を受け持っておられる先生でね。いい先生よ。」
「そうですか。」
友紀はその先生になら、打ち明けてもいいのかもしれない。
助けてくれるかもしれないと、思った。
20分もすると、病院についた。
とても、大きく白っぽくてきれいな建物だった。
「さぁ、着いたわ。行きましょう。」
「はい。」
友紀と篠川先生は病院へ入った。
「友紀さんは、ここの診察初めてなの?」
「はい。来たことはありますけど…」
「そう。保険証とかって持ってる?」
「はい。もってます。」
「そう。なら早いわね。」
友紀は受付を済ませ、小児科に向かった。
2348番かぁ〜
2345なら覚えやすかったのに。
友紀は受付表を見て思った。
体重、身長、血圧を量ると、しばらく待った。
篠川先生は私の事を紙にいろいろ書いていた。
初めての人は、いつも書く紙だ。
大きなテレビ画面に、診察状況が表示してあった。
1診 長石
2診 長谷川
3診 長原
す、すご。
全員、最初に長がついてる。
なんか、すごいな。
でも、1人じゃないって事は、誰になるか分かんないよね。
「先生。3人先生居ますけど。」
「大丈夫よ。上手に書いておいたから、必ず私の予想通りの先生になってるはずよ。」
「そう、ですか。」
友紀は、自分は誰に見てもらえるのか少し楽しみだった。
しばらくすると、音楽が流れた。
友紀はテレビ画面を見た。
2348番の方は、第1診察室へお入りください。
担当医 長石
テレビ画面には、そう書かれていた。
「じゃあ、行こうか。」
篠川先生は優しく微笑んだ。
「はい。」
篠川先生が言ってた、いい先生って長石先生なの?
長石先生かぁ〜
本当にいい先生だといいけど。
でも、油断はしない。
もうこれ以上信じて傷つくの嫌だから。
あーなんか緊張してきた。
友紀は、少し緊張しながら、診察室へ入った。
中は、物が整理整頓されていて、綺麗で、病院独特の匂いはあまりしなかった。
友紀は椅子に座った。
「はじめまして。友紀ちゃん。早速だけど少し、お話聞いてもいいかな?」
そう言った人こそ、友紀を変えることになる先生だった。
「あ、はい。」
友紀は少し緊張気味に答えた。
この先生が、長石先生?
明るい雰囲気で優しそうで、いい先生っぽいな。
友紀はそう思った。
「じゃあ、先生は少し席を外してもらっても、いいですか?」
「あ、はい。分かりました。じゃあ、先生待ってるね。」
先生はそう言って、診察室を出た。
診察室は、友紀と長石先生ともう1人女の先生だけにになった。
「今日は、来てくれてありがとうね。篠川先生からね、いろいろ書いてもらったけど、リスカしちゃってるってのは本当かな?」
長石先生は、笑顔でそう言った。
きっと、私の緊張をほぐすためなんだろうなと友紀は思った。
「あ、はい。」
「あーそっかぁ。ちょっと見せてくれるかな?ごめんね。」
「はい。」
友紀は、リストバンドを外し、初めて人に手首を見せた。
「血管の上は危ないから、気をつけようね。左だけ?右はしてない?」
「左だけです。右はしてません。」
「そっかそっか。わざわざ、見させてもらってごめんね。お家のこと教えてもらってもいいかな?」
長石先生は、とても優しく友紀に話しかけた。
この先生、スッゴい私を気にかけてるな。
緊張してるのよくわかったなぁ。
友紀はそう思った。
友紀は少しだけ微笑んだ。
「はい。」
長石先生も微笑み返してくれた。
「まず、同じ家に住んでる家族は誰?」
「お母さんと2人です。」
友紀は、長石先生に聞かれることに、きちんと答えていった。
お母さんはおじいちゃんのことでいっぱいだってこと。
学校でいじめられてること。
家でも学校でも、独りぼっちだってこと。
担任の先生がなにもわかってくれないこと。
先生も友達も親も嫌いだってこと。
いつも、自分の気持ちを殺してること。
毎日学校に行きたくないこと。
毎日体がだるくてつらいこと。
とにかく、友紀のすべてを話した。
「そっか。つらかったね。ありがとう。お話聞かせてくれて。また、来てくれるかな?」
「はい。」
「ありがとう。来週また来てくれるかな?」
「はい。分かりました。」
「じゃあ、また来週ね。篠川先生呼んできてくれるかな。」
「分かりました。」
友紀は診察室をでた。
長石先生は優しくて本当に、良い先生だ。
私のすべてを分かろうとしてくれる。
友紀は、嬉しくて仕方なかった。
友紀は篠川先生に長石先生が呼んでいることを伝えた。
友紀は1人で椅子に座って待った。
誰も私に気にかけなかったし、分かろうとしなかった。
助けてほしくても誰も助けてくれない。
私は助けを呼ぶことすらできなかった。
でも、長石先生だけは違った。
「長石先生、ありがとう。」
友紀は誰にも聞こえないよう小さな声でそう言った。
しばらくすると、篠川先生が戻って来た。
「次の診察は来週の10時からよ。私が迎えに行くわね。」
「先生、大丈夫です。1人で行きますから。」
「そう?遠慮しなくていいのよ。」
そう、篠川先生も私を助けてくれた。
篠川先生が手を差し出してくれたから、私は長石先生と出会えた。
「大丈夫です。先生、私を病院につれて来てくださって、ありがとうございました。」
「どういたしまして。じゃあ送ってほしい日は言ってね。」
「はい。ありがとうございます。」
私は、もぅ独りぼっちじゃない。
友紀は、そう信じていた。
でも…つらい日々はなくなりはしなかった。
篠川先生の用事も終わると、友紀は家まで送ってもらった。
「ありがとうございました。」
友紀は篠川先生にお礼を言った。
「いいのよ。何かあったら連絡してね。はい、これ。じゃあね。」
篠川先生は友紀に紙を渡すと、帰っていった。
「なにこれ?」
友紀は、紙の中を見た。
そこには、篠川先生のメアドと携帯の電話番号が書いてあった。
友紀は、それを見て微笑んだ。
友紀はその日は、リスカをすることもなくゆっくりと過ごした。
バタン
玄関が開いた音がした。
「お母…さん?」
友紀は、自分の部屋を出て玄関へ向かった。
そこには、友紀の思った通りお母さんがいた。
「お母さん、お帰りなさい。今日ね篠川先生と病院に行ったの。とっても良い先生に診てもらったの。それでね…」
「分かったから、黙ってて!おじいちゃん今日から入院するから。あとは自分でなんとかしなさい。あー昨日わざわざ家なんか帰るんじゃなかったわ。じゃあ。」
バタン
お母さんは、さっさと家を出てしまった。
お母さんは、私の事なんてどうでもいいんだ……
家なんか帰るんじゃなかったなんて…
ひどいよ!
私はいつも独りで我慢してるのに……
友紀の目からは涙がこぼれ落ちていた。
友紀は自分の部屋に戻るとカッターを手に取った。
「ハァハァハァ…」
友紀はカッターを手首の上で何度か滑らせた。
紅い血が流れてきた。
「ハァハァハァ…フゥー」
友紀はリスカをしてなんとか、心を落ち着かせた。
そして、ご飯も食べずに寝てしまった。
部屋が薄明るくなったころに友紀は目を覚ました。
体がだるいし重い。
学校…なんて行きたくないな……
友紀はスマホを見た。
5時40分
「早く目が覚めちゃったな……」
友紀は小さくつぶやいた。
友紀はしばらくぼーっとしてから、傷だらけの手首を消毒しリストバンドをつけた。
そして友紀は少し早いが朝ご飯の支度をした。
「あんまりご飯食べたくないけどな…」
友紀はいつも通り、トーストを作って食べた。
そして、朝の準備をゆっくりとして、仕方なく家を出た。
友紀は、遠回りして学校に向かった。
いつもよりは少し早いが、学校に着いた。
今日も頑張ろ…
友紀は教室に入った。
いつも通りのメンバーがいた。
友紀は、そんなことお構いなしに席に着いた。
久美がまた友紀のそばに来た。
「友紀さーん。昨日学校来なかったよねー?学校来ないとかいけないんだー問題児。ま、来ない方がうちら的にはいいけどねー」
久美は、そう言うと去っていった。
来るなって言ってみたり、来ないといけないんだとか言ってみたり意味分からないし。
わざわざ言いに来なくて良いし。
友紀は、少しイラ立った。
そしていつも通り、汚い声が友紀を攻撃した。
「友紀さんって暗いよね。来なくていいのに。」
「明日は何していじめようかな?」
「いじめられる人ってどんな気持ちなのかな(笑)」
「こんなにいじめてるんだから、消えればいいのに。」
あんたたちは、私をいじめてそんなに楽しいの?
いじめられるこっちは辛くて苦しくて悲しくてしかたないのに……
いじめは日に日にひどくなっていった。
そのたびに友紀は、傷ついていった。
どんより暗い雲が太陽を遮るような朝、友紀は学校へ向かっていた。
助けて……
長石先生……篠川先生……
友紀はスマホを出し、篠川先生にメールしようとしたがためらった。
篠川先生は今大変な時期だからメールなんて出来ない。
早く、火曜日にならないかな?
今日行けば、土日は休み。
今日頑張れば、2日間少しは落ち着く……はず。
でも、もぅ嫌!
これ以上、傷つきたくない!
嫌…学校なんて嫌…
友紀はそう考えていると学校に着いた。
来ちゃった…
友紀は今すぐにも、学校から離れたかった。
でも、そうする事なんて出来ず、また、悪夢の学校生活が始まった。
友紀は生徒玄関に向かった。
「スリッパが無い…」
下駄箱に友紀のスリッパは、なかった。
今日は、スリッパなの?
もぅやめてよ!
私をどれほど傷つければ気が済むの?
友紀の目からは今にも涙が溢れそうだった。
でも、友紀は涙を必死にこらえ、生徒玄関周辺を探した。
「っ……」
ゴミ箱の中に暴言をかかれた見るに耐えないスリッパがあった。
友紀は震える手でスリッパを取った。
幸いにも、水性ペンだったため、ティッシュを水で湿らせて拭けば綺麗になった。
「良かった…」
友紀はスリッパを履き、教室へと向かった。
怖い…今日はなにをされるの?
そう思いながらも、教室に入った。
しばらく来ないうちに新章スタートしてる・・・!!
この作品も面白そうですね!!
頑張ってください!!
来てくれて、ありがとうございます。
頑張ります!
バサッ
友紀が教室に入るなり、何かをかけられた。
友紀は怖くて目を閉じた。
恐る恐る目を開くと、友紀は今すぐにでも、逃げ出したくなった。
友紀は、ゴミをかけられていた。
「アハハ☆汚いーちゃんと掃除しといてよー」
久美は笑いながら、友紀に言った。
そして、汚い声が友紀を攻撃した。
「ゴミかけられるとかバッカみたい。」
「うわーきったなー生ゴミじゃなくて良かったじゃん(笑)」
「汚いな。さっさと掃除しろよ。」
友紀は、ゴミをはらうと、ほうきとちりとりを取り、きれいに掃除した。
私はゴミ扱い…
なんで平気で、人を痛めつけるの?
長石先生と篠川先生はそんなことしない。
私を大事に思ってくれる、わかろうとしてくれる。
でも……
私のつらいときにはそばに居てくれない……
やっぱり、私は…
独りぼっち
友紀は悲しみにくれていた。
そして、いつの間にか教室を飛び出していた。
「な、長石先生……助けて……」
篠川先生に助けを求めることのできない今、友紀は、いつの間にかそう言っていた。
そう言っても助けがくるわけないとわかっていながらも。
「何言ってんの。先生に助け求めてんじゃないわよ。だいたい長石先生?なんてこの学校にいないわよ。バッカじゃないの。」
友紀に着いてきていた久美は、友紀をバカにするように言って教室に戻って行った。
私には、もぅ長石先生しかいないです。
助けてください!
友紀は涙を流し、必死にそう願った。
長石先生・・・!
気づいて、この気持ち・・・!(笑)
>宮下さん
いつもコメントくださってありがとうございます。
続き書きます。
友紀はひたすら泣いた。
すると、足音が聞こえた。
友紀は、急いで近くのトイレに逃げ込んだ。
足音がだんだん近くなると、担任の小林先生が誰かと話している声がした。
そして、足音は離れていった。
フゥ…
友紀は、小林先生に見つからずに済み安心した。
友紀は涙をふき、学校を飛び出した。
どこへ行けば良いかなんてわからず、1人だれもいない道を何気なく歩いていた。
「学校飛び出して来ちゃったな……お母さんに怒られるな…小林先生や久美達もうるさいだろうな……嫌だな……」
しばらく歩いていると、誰もいない公園があった。
友紀は公園に入り、ブランコにのった。
ブランコにのるなんて何年ぶりだろう?
6年の頃はもう公園すら行かなくなってたな…
友紀は、そう思った。
私が学校飛び出しても心配して追いかけてきてくれる友達もいないのか。
誰も心配するどころか、怒るし、うるさいしって感じだろうな…
友紀はそう思うと悲しくなってきた。
すると、いつの間にか友紀の目から涙が溢れ出していた。
友紀は、顔を隠し、ひたすら泣いた。
でも、泣いても泣いても、つらい気持ちからは逃れられなかった。
あっ……
友紀はポケットにカミソリがあることに気づいた。
友紀はポケットからカミソリを取り出した。
友紀は誰も居ないことを確認すると、袖を捲り上げ、手首を出した。
そして、カミソリで手首の上を軽く滑らした。
タラーー
手首からは紅い血が流れ出た。
友紀はリスカすることで、考えたくない気持ちから逃れることができた。
そして、友紀は何度も手首を切った。
私なんて、誰も心配してくれない。
篠川先生だって、もぅ学校にいない…
長石先生だって、助けてくれない…
友紀は手首からは紅い血を、目からは、涙を流した。
「友紀ちゃん?」
その声はなんとも、優しい友紀が一番聞きたかった声だった。
友紀は顔を上げると、そこには長石先生がいた。
「な、な、長石…せ、先…生…?」
友紀は、信じられない気持ちでいっぱいだった。
長石先生は友紀の前にしゃがんだ。
「友紀ちゃん、つらかったね。なにがあったのかお話聞かせてくれるかな?傷の手当てもしてあげようね。」
長石先生は優しい笑顔で、友紀にそう言い、友紀の頭をなでた。
友紀はあまりにも嬉しくて、涙が止まらなかった。
「長石先生!」
友紀は長石先生に抱きついた。
「よしよし、つらかったね。いくらでも泣いたらいいよ。」
長石先生は友紀を抱きしめ、優しく頭をなでた。
あったかい……
私の、お父さんみたい…
凍えた心と体の友紀は長石先生のぬくもりと優しさで、いやされた。
長石先生は友紀が泣き終わるまで、ずっと待っていてくれた。
ありがとう。
助けてくれて、ありがとう。
長石先生だけは、私を助けてくれる。
友紀はそう思った。
友紀はだいぶん落ち着いてきた。
「そろそろ、行こうか。」
長石先生は優しい声でそう言った。
「はい。」
友紀は長石先生から離れた。
そして、長石先生と一緒に大学病院に向かった。
友紀は長石先生の車に乗せてもらった。
15分もすれば、大学病院に着いた。
そして、友紀と長石先生は中に入った。
「ごめんよ。ちょっとここで待ってて。」
「あ、はい。」
友紀は椅子に座らされた。
しばらくすると、長石先生が戻ってきた。
「ごめんよ。じゃあ、行こうか。」
友紀は長石先生について行った。
いつもとは違う部屋に通された。
そこには、いつもの女の先生もいた。
「まぁ座って。」
「はい。」
「まずは、手当てしてあげよう。ちょっと絆創膏取ってきて。」
長石先生は女の先生にそう言った。
「はい。先生、これでいいですか?」
「いいよいいよ。ありがとう。友紀ちゃん、見せてくれるかな?」
「……」
友紀は黙ったまま手首を見せた。
「消毒もしとこうか。消毒も取ってきて。」
「はい。どうぞ。」
「ありがとう。」
長石先生は友紀の手当てをしてくれた。
「はい。あんまり、自分にあたったらだめだよ。するなとは言わないけどね。」
「はい。」
友紀は嬉しかった。
傷の手当てをしてもらったのなんて初めてだったから。
長石先生は、いつもの優しい雰囲気に包まれていた。
「じゃあ、なんで学校から離れたあの公園いたの?」
「学校の居たくなかったからです。」
「嫌なことされた?」
「……」
友紀は黙ったまま頷いた。
「そっか。だから、学校を飛び出して、公園に逃げ込んだのか。泣いても泣いてもなにも変わらなくてそれで、リスカをしたの?」
「………はい…」
「……そっか。辛かったんだね。どうすることもできなくてごめんね。」
「いいえ、大丈夫です。心配してもらえるだけで、嬉しいです。」
友紀は助けてもらえて、話を聞いてくれて、本当に嬉しかった。
この日、友紀は長石先生がより一層好きになった。
長石先生は、微笑んだ。
「友紀ちゃん。なにかあったら遠慮なく言うんだよ。」
「はい。」
友紀も微笑んでそう言った。
「友紀ちゃんは独りじゃないよ。先生がいるからね。先生は信じたらいいからね。先生は友紀ちゃんをわかってあげたいし、助けてあげたいって思ってるよ。」
長石先生は柔らかな手つきで友紀の頭を撫でた。
友紀は、嬉しかった。
つらいとき助けてくれて、正面から向き合ってくれて、いつも優しく笑ってくれて。
「あ、ありがとう…ございます…」
友紀は涙をこぼした。
必死にこらえたけれど涙は止まらなかった。
「泣かなくていいんだよ。」
長石先生は温かな手で友紀の涙を拭った。
「だって、嬉しくて…涙が止まらないんです。」
「そっか。わかった。じゃあ、予約通りまた、火曜日ね。」
「はい。」
「1人じゃ帰れないよね。待ってて、送ってあげるから。本当はあんまりよくないけどね。秘密だよ。」
「そんな、大丈夫ですよ。1人で帰れますから。」
「いいから。さっき独りじゃないよって言ったばかりなのに、1人にはさせられないよ。」
「だって、意味が違いますから。」
友紀は笑ってそう言った。
「ハハハッそうだな。まぁいいから。逆に、1人女の子を帰らせたら怒られるから。」
長石先生は笑いながらそう言った。
「え…でも。」
友紀は戸惑いながらそう言った。
「だから、良いって。本当は今日、出張で休診にしてもらってたから、忙しくないし。少しは甘えなさい。ちょっと待っててな。」
そう言って、部屋を出た。
「いつものことだから、気にしないでいいよ。」
長石先生の隣にいた女の先生が友紀に話しかけた。
「あ、はい。」
成海咲良
名札にはそう書かれていた。
成海先生っていうんだ。
知らなかったな。
成海って名字なんだ。
ちょっと意外。
「フフフ。成海って名字なんだって思うでしょう。」
友紀は考えていたことがバレて少しびっくりした。
「あ、はい。」
「よく言われるんだ。よくないけどって言ってるけどよくあることだから。大丈夫。」
「そう…ですか。」
友紀と成海先生が話していると長石先生が来た。
「友紀ちゃん、行こうか。」
「はい。」
「さようなら。」
成海先生は優しく笑ってそう言った。
「さようなら。」
友紀はそう言うと、頭を下げた。
友紀は長石先生の後ろをついて行った。
「友紀ちゃん、今篠川先生がどうしてるか知りたい?」
長石先生は少し悲しそうに言った。
友紀は篠川先生になにかがあったんだと悟った。
「知りたいです。」
「…じゃあ、おいで。」
長石先生はエレベーターに向かった。
友紀も長石先生について行った。
長石先生はエレベーターの3階を押した。
「落ち着いて聞いてね。篠川先生はね。今、入院してるんだ。」
「え……な、んで…」
友紀は心が凍りついた感覚におそわれた。
「お腹の赤ちゃんに異常があったみたいで、篠川先生も危ないみたいなんだ。」
「う…そ……でしょ…うそですよね?まさか、篠川先生死んじゃったりしないですよね?」
「わからない……」
「……」
友紀は心だけでなく全身凍りついた感覚におそわれた。
「友紀ちゃん、諦めたらだめだよ。大丈夫だから。」
「……」
友紀は何も言えなかった。
ただただ、悲しくて、大切な先生を失うのが怖かった。
篠川先生大丈夫かな・・・??
ど、どうしよう・・・。
読ませていただきました。
傷付きやすい心。理解が得られない状況。
リストカットから始まるままならない出来事がよく伝わってくる作品でした。
しかし、はっきり言って文脈と展開が雑すぎます。
というのも説明文が全て過去形「〜た」で終わってしまうほどに単調だからです。
見えた、笑った、走った。
駄目というわけではありませんが、大概過去形で終わる文は言い切りであり、
言い切りの文は状況説明の最低限度の文です。
よって説明文を言い切りで構築すると、本来そこに入るはずであった、
登場人物達の思いや感情が読者に全く届かなくなり、
結果として読者は「出来事」だけを頭に詰め込まれたまま、
何の感動も無く物語を読み終えてしまいます。
「〜た」という言い切りが多いと感じたら、笑う、走っている。
などの次に続く言葉、現在進行形などを使って、
もっと細かく、繊細にキャラの感情を訴えてみてください。
また、物語の結末から逆算して、キャラのとるべき行動を考えてみると、
さらに深みが増すと思いました。
(心配しているなら葛藤を感じさせる言動を入れる。
一般的に言うフラグ、え? もしかして・・・
と読者に思ってもらえるようにするといいと思います)
>颯さん
見てくださって、ありがとうございました。
>宮下さん
本当にいつもコメントありがとうございます。
篠川先生…どうなるのでしょう…?
友紀の体は震えていた。
「友紀ちゃん、大丈夫?顔色悪いし、震えてるよね?」
長石先生は心配そうに声をかけた。
「だ、大丈夫…です。」
エレベーターは3階についた。
長石先生は篠川先生の病室に向かっている。
友紀はただ長石先生について行った。
病棟に入ると、長石先生は病棟の先生と少し話をした。
長石先生は篠川先生の個室の前で立ち止まった。
長石先生は入ろうか迷っている。
「友紀ちゃん。本当に行くかい?」
「はい。」
友紀は頷いた。
コンコンッ
長石先生はノックをすると篠川先生の個室に入った。
篠川先生の返事はなかった。
友紀も長石先生につづき入った。
「え……」
友紀は思わず声をこぼした。
篠川先生は、酸素マスクをしていて、体も細くなっていて、見るからに病人って感じになっていた。
篠川先生はただ眠っているように見えた。
友紀は、呆然と立ち尽くした。
この前まで、あんなに元気そうだったのに。
なんで……
なんでこんな事に……
篠川…先生……
私をバタッ
突然、友紀はあまりにもショックで倒れた。
長石先生は友紀が倒れた音ですぐに気づいた。
「友紀ちゃん?友紀ちゃん!」
長石先生は必死に、友紀を揺すった。
でも、友紀は目を覚まさなかった。
長石先生は友紀を抱き上げると急いで友紀を運んだ。
友紀ちゃーん!!どうなっちゃうんだろう・・・。
先が読めないよぉ・・・。気になるよぉ・・・。
>宮下さん
いつも、ありがとうございます。
友紀はどうなっているのでしょう?
続き書きますね。
白いカーテン、白い天井、窓からは、赤い空が見れた。
友紀は、病院のベッドの上で目を覚ました。
周りを見渡すと、ここは病院だとわかった。
なんで、ここに居るの?
私、篠川先生の所に居たんじゃ……?
友紀はそう思った。
誰かの足音と話し声が聞こえている。
「友紀ちゃん、どうされたんですか?」
「遥ちゃんの事言って、会わせてあげたら、倒れちゃって。多分、強いショックと軽い貧血かな。もう少し考えるべきだったかな。」
その声は長石先生と成海先生の声だった。
シャーッ
長石先生がカーテンを開けた。
長石先生はびっくりした表情になった。
「友紀ちゃん、起きたの?良かった。大丈夫?」
友紀はゆっくり体を起こした。
「はい。先生、私篠川先生に会えて良かったって思ってます。確かに、とてもショックでした。でも、何も知らず、後から突然聞いていたら、もっとショックだったと思います。」
友紀はきっぱりとそう言った。
長石先生はびっくりしていたが、安心そうにした。
「そっか。友紀ちゃんが良いならそれはそれでいい。じゃあ、帰ろうか。」
「はい。」
友紀は長石先生に連れられ、家に帰った。
「じゃあ、ここでいいかな?」
「はい。ありがとうございました。」
友紀はお辞儀をした。
長石先生は手を振ると、帰って行った。
友紀は家に入った。
「ちょっとどこ行ってたの!学校から勝手に逃げ出して、いい加減にしなさい!」
お母さんはそう言うと、友紀を叩いた。
「ごめんなさい。」
友紀は本当は反抗したかったけど我慢した。
「小林先生からも、電話があってさんざんだったんだから。病院に居たってどういうことよ!」
あぁ長石先生が連絡してくれたんだ。
良かった。
病院に居たって知らなかったらもっと言われるんだろうな。
友紀は長石先生に感謝した。
「貧血だって。」
「あっそ。いい加減にしなさいよね。お母さん、それじゃあ、おじいちゃんのとこ行くから。」
バタンッ
お母さんは家を出た。
お母さんひどくないですか?!ヽ(`Д´)ノプン プン
いつもおもしろいですね!!その才能がほしい・・・。(・-・)
>宮下さん
お母さんひどいですよね。
面白いといってくださってありがとうございます。
そんな才能なんてないですよ。
家には、重たい空気だけが、取り残されていた。
友紀は全身の力が抜けて、座り込んでいる。
「ひどい……病院に行ってたって知ってたくせになんで、なんであんな風に言われなきゃいけないの?私ってそんなにどうでもいい存在なの?」
ポタッポタッ
友紀の目からは、涙が溢れていた。
私は、何度泣いたらいいの?
何度傷ついたらいいの?
何度泣いたら変われるの?
何度傷ついたら変われるの?
なんで、私が生きてるの?
ねぇ長石先生…
私は何のために、ここにいるのでしょうか?
友紀は、動く気力すらなく、ずっと座り込んだ状態から動けなかった。
友紀はずっと座り込んでいた。
切りたい。
いつの間にか、そう思っていた。
すると、体もいつの間にか動いて、自分の部屋に行っていた。
部屋は赤く薄明るかった。
切りたい。切りたい。
友紀は切りたい一心でカッターを取り出した。
そして、手首の上を何度も滑らせた。
手首は紅い血まみれになっていた。
あーそっかぁ。
私が長石先生に助けを求めたから、こんな目にあったんだ。
私は人に助けを求めたら絶対に後から傷つく。
神様は、私が幸せになることを望んでいないんだ。
私は傷つくべき人なんだ。
きっと……
友紀は助けてもらうことが急に怖くなった。
そして、涙は自然と溢れていた。
友紀はただただ泣いた。
なんで涙が溢れるのかなんて分からないまま。
友紀は泣き疲れていつの間にか寝ていた。
部屋が、明るい光に包まれる頃友紀は目を覚ました。
「今日は学校行かなくていいんだ。」
友紀は少しほっとした。
友紀はその日、何もせず、ただぼーっとして過ごした。
次の日は、音楽を聞いて、ただぼーっとして過ごした。
2日間ともお母さんは帰ってこなかったため、友紀はリスカをせずに過ごすことができた。
友紀にとっては、貴重な静かな時間になった。
空は真っ暗になり、星が輝き始めた頃、友紀はもう寝てしまった。
すき
85:友紀菜:2015/04/11(土) 11:16 ID:FRE 空が明るくなり始め、部屋には暖かい光が差している。
友紀は目を覚ました。
「ねむ…」
友紀はスマホの電源をつけた。
「あ…今日から学校か……」
友紀の心は一瞬で沈んでしまった。
友紀は、朝ご飯を食べ、朝の準備をした。
着替えているとふと手首が見えた。
手首はリスカ痕でボロボロだった。
「昔は傷痕なんてないきれいな手首だったのにな。いつからこんなに汚い手首になったのかな。」
友紀は手首をなでながらそう言った。
そしていつも通り家を出た。
「今日行けば、病院。今日行けば、病院。長石先生に会える。だから、今日1日頑張らなきゃ。」
友紀は学校に行きたくなくて仕方なかったけど、そうつぶやき心に言い聞かせた。
もしかしたら今日は平和な学校生活が送れるかも。
友紀はそんな甘い期待をした。
しばらくすると学校に着いた。
相変わらず、人は多く、ざわついていた。
友紀は自分の下駄箱を見た。
「あ、ある…」
今日は友紀のスリッパはきちんときれいなままで下駄箱に入っていた。
「良かった…」
友紀は思わず微笑んだ。
友紀は安心してしまった。
今日は、スリッパも隠されてないし、なにか嫌なことがあった訳でもない。
今日は、何も嫌なことはない。
人生、嫌ことがあったなら、楽しいこともある。
友紀はそう思った。
でも、平和な学校生活が送れることはなかった。
友紀良かったね!
88:宮下:2015/04/19(日) 19:50 ID:etc何か、裏がありそうで怖い・・・。
89:ミックス ミックス:2015/04/19(日) 22:04 ID:cNA確かに何か裏がありそうですね。
90:友紀菜:2015/04/21(火) 09:58 ID:7sI 宮下さん、ミックスさんコメントありがとうございます。
裏がありそうですよね〜
では、続きをどうぞ。
今日は教室へ向かう階段が歩きやすかった。
なんか、心が軽いな。
友紀はそう思った。
そして、やけに騒がしかった。
それが、最悪な学校生活が始まる予兆とは友紀は知らなかった。
友紀は軽い心で教室に入った。
バッシャー
「キャー」
友紀はびっくりして思わず叫んでしまった。
ポタッ…ポタッ…
友紀の体からは水が滴り落ちた。
友紀は水をかけられた。
「アハハハハッ水浸し☆きったな〜い〜」
久美はそう言って笑った。
クラスからはまた汚い声。
「うわ〜かわいそー久美もやるね。」
「きれいな水が汚い水になったじゃん汚いし。」
友紀は一言一言を気にする心の余裕はなかった。
どう…して……
私は幸せになったらいけないの?
私は、普通に学校生活が送りたいのに……
助けてよ……
「っていうか早くこの教室から出て行ってよ。あんたの机なんてないのよ。」
友紀は自分の机を見た。
「え…う、うそでしょ…?」
久美の言うとおり友紀の机はなかった。
「この教室にあなたの居場所なんてないのよ。早く消えて!」
「消えろ!」
「さっさと消えろ!」
クラスのみんなが口々にそう言った。
あ、そうだった。
私は幸せになれないんだ。
傷ついていればいい人間だもんね。
期待なんてしてバカだな。
だれも助けてくれる訳ないのにさ。
独りぼっちなんだから……
友紀は忘れていたことに気がついた。
裏はこういうことですか。久美最低(プンプン)です!
93:友紀菜:2015/04/21(火) 18:42 ID:V2s >ミカさん
コメントありがとうございます。
久美最低ですよね。
良かったら続きも読んでください。
「ちょっと、何の騒ぎなの!高橋さん、あなたなんで水浸しなの?」
「………」
友紀は何も答える事が出来なかった。
いじめられて、水かけられました。
なんて言える訳ないじゃん。
なんにも分かってくれないんだから。
友紀は思った。
「高橋さんは保健室行きなさい。バスタオルがあるはずだわ。拭いて待っていなさい。鍵は、自分で開けてちょうだい。」
「はい…」
友紀は小さく返事をして、そそくさと教室から逃げた。
「っ……っ…」
友紀は階段降りながら静かに涙を流した。
助けて…
助けてよ……
長石先生………
お願いだから…
私を独りぼっちにしないで……
友紀は涙を拭いて職員室の扉を少しだけ開けた。
「失礼します。保健室の鍵借ります。」
友紀はそれだけ言って、職員室入ってすぐの所から鍵を取って、失礼しましたと言って保健室に逃げ込んだ。
バスタオルを体に巻きつけて友紀は泣いた。
ただただ泣いた。
篠川先生がいない、保健室は寂しく、静かで、暗かった。
【ももちゃん小説】は夢小説です。書くのも読むのも勿論無料です。小説内に登場する主要キャラクターの名前を 自分の好きな名前へ変換する機能がついた小説です。
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>ももちゃんさん
すみません。
他で小説は書けません。
み、水浸し…?
やりすぎじゃないっすか?!😞
>宮下さん
いつも、読んでくださってありがとうございます。
水浸しはやりすぎですよね。
でわ、続きをどうぞ〜
全身水浸しになった友紀はいくら5月下旬だからって、少し肌寒く感じていた。
「さすがに少し寒いな。」
涙も枯れ果てた頃に、小林先生は来た。
「高橋さん、これ体操服、勝手にロッカーから出したわよ。まぁこれに着替えてなさい。それなら少しはいいでしょ。しばらくは、保健室にいなさい。また、来るわ。」
そう言うと小林先生は保健室から出て行った。
「はぁ…寂しい先生だな。愛の一つもない、優しさの一つもない気遣いの一つもない。」
友紀はボソッとそう言うとベッドのカーテンで見えないようにし、体操服に着替えた。
こんなとき篠川先生が居たらな…
篠川先生なら、もっと優しくてくれるのに……
友紀はそう思った。
友紀は体操服に着替えても、寒気が止まらなかった。
頭がボーっとして、熱っぽかった。
「はぁ…熱でもあるのかな?」
友紀はそうつぶやいた。
一限目が終わった頃に小林先生は来た。
「あら?高橋さん、顔色悪いわよ。大丈夫?熱計ってみて。」
小林先生はそう言って、体温計を友紀に渡した。
ピピピッ
38・5℃
「あら、すごい熱じゃない!早退した方がいいかしらね。お家の人に連絡してみるわね。」
「先生、お母さんに連絡つかないと思うので、まだ調子のいいうちに歩いて帰ります。」
「そう?気をつけてね。まずは荷物持ってくるわね。」
そう言って、小林先生は保健室を出た。
そして、その日友紀は早退した。
私もいじめられていた時期がありました。
この小説のように水を浴びたり机がなくなったり(幸い部活内だったので)はしかなったですけど、マスクや上靴を隠されたり落書きはたびたびありました。
そのグループとは縁を切り今は全く関わっていません。
リスカも数えきれないくらいしました。
だからなんだ、と思うかも知れませんが、私はこの小説を読んで前の自分と似ているなって思いました。
更新楽しみにしています。
ぽちさんいじめられてたんですか!私はいじめにあったことないですね。なのでこの小説で少し勉強(?)してます
これからも頑張ってください!!
>ぽちさん
読んでくださってありがとうございます。
ぽちさんには辛い時期があったんですね。
私も、この小説に出てくるようないじめにはあいませんでしたが、仲の良かった女子に仲間外れにされたことはありました。
私は今もリスカをしています。
この小説には私に似た感情表現が入っています。
もしかしたら、ぽちさんと私は少しにている部分があるかもしれないですね。
続き楽しみにしていてください。
>ミックスさん
読んでくださってありがとうございます。
この小説で勉強してもらえてるなんて、聞くととても嬉しいです。
続き楽しみにしていてください。
友紀はフラフラしながら、家に向かった。
熱がでてくれて良かった。
これで、今日は学校終わりだもん。
今日は辛い思いしなくていんだ。
でも……
また、学校行けば、ああやって私は傷つけられる。
なんで、私なの?
友紀はなんとか家に着いた。
そして、すぐに自分の部屋に入った。
「ハァー」
友紀は、私服にきがえるとベッドに倒れ込んだ。
「100個良いことがあっても、嫌なことが1個でもあったら、その日は嫌な日になるって本当だったんだ。良いことが100個なんてなかったけど。」
友紀はそうつぶやいた。
友紀はしばらくボーっとしていた。
「あ、制服乾かさなきゃ。」
友紀は制服が濡れていることを思い出した。
友紀はベランダに制服を干した。
カシャン
何かが落ちた音がした。
友紀は何だろう?と思い落ちた音がした所を見た。
「あ。」
落ちたのはカミソリだった。
「あの時のか…これで切れば、誰か助けてくれるかな?長石先生みたいに。なんてね。そんな良いことがある訳ないよね。」
友紀は悲しそうにつぶやいた。
友紀はカミソリを持って、部屋に戻った。
>>101
ありがとうございます!
>>102
はい。やっぱり仲間はずれやいじめはいけませんよね。
リスカしてるんですか!?
リスカって危険ですから…、私いつでも話聞くんでリスカ控えて下さい…。
なんか上からだけどほんとに傷ついてほしくないです。
そうですよ。もっと、自分を大切にして下さい。
あと、小説も楽しみに待ってますからね?
頑張ってください!!
>ぽちさん
ありがとうございます。
そうやって思ってくれる人が居てくださって嬉しいです。
少しずつ減らしていくよう努力します。
>宮下さん
そうですよね。
自分を大切にするよう努力します。
引き続き頑張りますね。
外は灰色の雲で、埋め尽くされていた。
友紀はベッドに横になっていた。
何にも考えずにいると、嫌なことばかり頭に浮かんで感情につぶされそうになった。
友達なんていないし、お母さんも先生も私のことなんて見ちゃいない。
毎日毎日、苦しい思いをしてまで、生きていく意味はあるのかな?
私が居なくなっても、誰も悲しまないし、誰も泣いてはくれない。
私は独りぼっちだから……
友紀の目からは涙が溢れていた。
苦しいよ…
助けてよ……
そんな思いは儚かった。
友紀はカミソリを握り締めた。
袖を捲り上げて、手首の上にカミソリをあてた。
少し力を入れて、手首の上を滑らした。
何度かそれを繰り返すと手首には紅い線がたくさんになっていた。
たらーと紅い血は手首を滑ると足に落ちた。
友紀は慌てることはなく、ティッシュで拭いた。
友紀はしばらく手首を見つめていた。
「いつか、傷つけなくて良い日はくるのかな?」
友紀はそう言って大粒の涙を流した。
友紀は消毒液で湿らしたティッシュを手首にあて、リストバンドで固定した。
手首の傷は絆創膏で隠れるような小さな傷ではなかった。
熱のせいなのか、頭がクラクラして、熱っぽく、起きているのが、少しつらかった。
友紀はベッドに横になると眠りについた。
外は星も月も雲の中で輝きを消している。
友紀は目を覚ました。
「あら、起きたの?」
友紀のそばには元気そうなお母さんがいた。
今日は機嫌が良さそうだった。
「お母さん?なんで?」
「学校から電話があって、熱があるみたいだから、病院に連れて行ってって言われたの。いろいろ流行ってるみたいだし。」
「そう。なら大学病院に連れて行って。」
「なんで?」
お母さんは不思議そうな顔をした。
「予約が入ってるの。篠川先生と行った時にまた来てって言われたの。」
お母さんはそれを聞くと笑顔になった。
「予約が入ってるのならちょうど良いわね。分かったわ。熱さまシート持ってくるわね。ご飯はおかゆで良いわね。」
そう言ってお母さんは下に下りた。
これで、明日必ず長石先生に会える。
友紀は嬉しかった。
>>106
なにがあっても応援しています(p´エ`)q
>ぽちさん
ありがとうございます。
そういってもらえると嬉しいです。
続き書きますね。
友紀は夜を穏やかな気持ちで過ごした。
友紀は朝よりも熱があり、体がだるく、ぐったりしている。
「友紀大丈夫?救急で診てもらおうか?」
お母さんはそんな友紀を見て珍しく心配をしていた。
「いい。長石先生が良いから。」
「そう?じゃあ、今日はもう寝なさい。」
お母さんはそう言って、部屋の電気を消して、下に下りた。
こんなにえらいときでも、頭をぐるぐると嫌な思いが駆け巡る。
友紀はどうしようもなく、えらくなってあることを決めた。
もぅいいや、薬たくさん飲めばいい。
そうすれば、死ぬにしろ、生きるにしろ、楽になれる。
友紀はフラフラしながら、薬を探し始めた。
でも、あったのは、よくわからない薬10錠だった。
まぁいっかと思いながら下に下りた。
「友紀、どうしたの?」
友紀はお母さんの声に一瞬ビクッとした。
「ちょっとトイレ。」
「そう。早く寝なさいよ。」
「うん。」
友紀は、洗面所に行って薬を10錠飲んだ。
友紀はその後トイレに行って部屋に戻った。
友紀はベッドに横になると眠りについた。
「友紀!しっかりして。行くわよ。」
「ん……」
友紀は病院にほとんど記憶のない状態で来ていた。
自分の診察の番になったのも気づかなかった。
「早く行くわよ。」
お母さんは一緒に診察に行こうとした。
「私一人で行かないといけないから。お母さんは後からだから。」
友紀はそう言って、診察室に入った。
いつもの優しくて明るい雰囲気で長石先生はいた。
成海先生もいつものように長石先生の隣にいた。
「調子はどう?」
長石先生は笑顔で聞いてきた。
「悪いです……」
友紀は弱々しく答えた。
「顔色も悪いし、体調も悪いかな?」
「はい。」
長石先生は友紀の手を取り、脈拍をみると少し顔をしかめた。
それから、心臓の音を聞かれたりした。
「友紀ちゃん、いつから体調悪い?」
「ずっと、頭痛はあって昨日は水かけられて、熱が出て、それから……」
友紀は薬を飲んだ事を言うべきか迷った。
「それから?」
「それから………薬…10錠飲みました……」
「この一週間辛かったんだね。そっかそっか。話はたくさん聞きたいけどまず、検査してきて。」
「はい…」
友紀は看護師さんに連れられて、検査をしに行った。
友紀は検査を終えて、また診察に行った。
「悪い所は一応ないね。」
友紀はその言葉を聞いて少しホッとした。
「友紀ちゃん、手見ても良い?」
「はい。」
友紀は手首を見せた。
「うーん。増えてるね。この一週間何があったか聞かせて。」
友紀は涙を必死にこらえながら、全部話した。
「そっかそっか。うんうん。でも、生きててくれて良かった。」
長石先生は優しい手で友紀の手を包み込んだ。
そして、少し表情を変えた。
「友紀ちゃん……入院しない?」
「え…」
友紀はあまりにも急でびっくりした。
「独りにしてるのは可哀想だし、頭痛続いてるなら、入院中に検査したらいいと思う。それに、先生がいるから。入院したら、楽になれると思うよ。本当は、精神科の閉鎖病棟に入院させたいけど、小児科の普通の病棟に入院させてあげるから。嫌かな?」
「先生がいてくれるんですよね?」
「もちろん。」
「分かりました。入院します。ていうか入院したいです。」
長石先生は友紀の答えを聞くと笑顔になった。
「よし。じゃあお母さん呼んできて。」
「はい。」
友紀は少し戸惑ったけど、入院することになって嬉しかった。
「お母さん。先生が呼んでる。」
「分かったわ。」
お母さんは診察室に入っていった。
これで、楽になれるよね?
長石先生がいてくれるんだよね?
これで、独りぼっちじゃないんだよね?
友紀はいつの間にか微笑んでいた。
入院できて嬉しくて。
楽になれて嬉しくて。
独りぼっちじゃなくなれて嬉しくて。
友紀は長石先生がますます好きになった。
「高橋さん。」
そこには看護師さんがいた。
「あ、はい。」
「入院の準備があるので来てもらえますか?」
「はい。」
友紀は立ち上がった。
そして、看護師の後ろについて行った。
友紀は入院の準備を済ませた。
昨日より熱があったから、点滴もされた。
友紀はぐたーっとなっていた。
歩いて、病室に行けそうにないので、車いすで病室まで連れて行ってもらった。
そして、ベッドに寝かされた。
「高橋さん、大丈夫ですか?」
「はい…一応。」
「何かあったらナースコール遠慮なくならしてくださいね。」
そう言うと看護師さんは出て行った。
体がだるい。
薬のせいもあるのかな。
友紀はなんだか眠くなりいつの間にか寝てしまった。
「友紀ちゃん。友紀ちゃん。」
成海先生が友紀を何度も呼んでいる。
友紀はその声で目を覚ました。
「成海…先生?」
友紀は起きたばかりで少しボーっとしていた。
「私、看護師だから先生なんて言わないで。なんか恥ずかしいから。」
成海先生は少し顔を赤らめていた。
友紀はそれを見て微笑んだ。
「でも、成海さんより成海先生って感じなんですよ。」
「そう?でも、先生はなしね。」
「じゃあ、咲良さんにします。」
友紀がそう言うと、咲良さんは微笑んだ。
「下の名前で呼ばれるの初めて。ありがとね。」
「どういたしまして。あっ外来はいいんですか?」
「長石先生にみてきてあげてって言われてね。もうすぐお昼ご飯の時間だし、お母さん帰っちゃったみたいだし…心配だからって。先生も午前のが終わったら行くって言ってたけど、内科に後から来てって言われたみたいだから先生は来れないかな。」
友紀は荷物が置いてあることに気づいた。
入院したってお母さんは心配もしてないのか…
「そう…ですか。わざわざ来てくださってありがとうございます。」
「どういたしまして。長石先生はね内科が忙しい時と高校生が心の相談に来るときだけ、内科に行ってるんだ。高校生の場合は予約制だから、今日は忙しいみたい。小児科は月曜日と火曜日と金曜日に第三水曜日はいるよ。お昼ご飯持ってきてあげるわね。」
そう言って、咲良さんはお昼ご飯を取りに行ってくれた。
「はい。どうぞ。食べ終わったら他の看護師さんが取りに来てくれるからね。今のところは元気にやってるけどお母さんが引っかかってますって伝えとくね。じゃあ。」
そう言って咲良さんは出て行った。
なんで、お母さんのこと分かったんだろう?
友紀はすごいなって思った。
皆さんお久しぶりです!友紀さん入院して心が少しでも安らぐといいですね♪これからも頑張ってください!
118:友紀菜:2015/05/10(日) 21:19 ID:ZqE >ミックスさん
いつもありがとうございます。
友紀安らげるといいですよね。
これからもよろしくお願いします。
友紀はお昼ご飯を食べ終えた。
すると、何もやることがなくなったので荷物を全部見た。
着替えやスマホ、ミュージックプレイヤー、筆記用具、本、漫画、お金、テレビカードなど、入院中暇しないようにいろんなものがあった。
まぁちゃんと必要なものはあるしいいか。
でもな……
友紀はやっぱり、お母さんが寝ている間に帰ってしまった事が心に引っかかっていた。
本を読もうか迷ったが、体がだるくてなにもする気になれず、音楽を横になって聞いていた。
でも、すぐに眠くなり、寝てしまった。
外は薄明るくなってきている。
友紀は目を覚ました。
「今何時だろう?」
友紀は1人小さくつぶやきスマホを見た。
18:14
もうそんな時間か……
点滴のおかげか、熱も下がったみたいだし、少し体が軽くなった。
友紀はしばらくボーっとしていると、ふと左手首に目がいった。
あまり覚えていなかったが左手首には包帯が巻いてあった。
私のカッターやカミソリは?
友紀は飛び起きて、制服のスカートのポケット、ペンケースの中、ポーチの中を探した。
「あ…あった。良かった。」
シャー
「なにがあったの?」
カーテンが開く音とほぼ同時に長石先生がそう言った。
長石先生と一緒に咲良さんもいた。
友紀は探すのに必死で、先生たちの足音に気がつけなかった。
友紀はびっくりしたし、とても焦った。
カッターやカミソリ探してました、なんていったら、病院でリスカするなって言われて、取り上げられそうだしな。
「な、なんでもないです。いるものがちゃんとあっただけです。ていうか、突然入って来ないでくださいよ。びっくりするじゃないですか。」
「ごめんごめん。まあいいけど。体調はどう?」
「少しよくなりました。」
「それは良かった。でも一応熱計って。」
長石先生がそう言うと咲良さんが体温計を出してくれた。
「友紀ちゃん。先生リスカするな、なんて言わないから、大丈夫。」
え…
「いいんですか?」
「うん。薬はダメだけどリスカはいいよ。もちろん、やめれるならやめてね。」
ピピピッ
体温が計れたので、長石先生に渡した。
「んーでも、微熱はあるね。入院中はゆっくり休んだらいいからね。何かあったら、言えばいいからね。じゃあまた来るね。」
長石先生と咲良さんは友紀に手をふると、出て行った。
長石先生って本当に優しいな…
咲良さんも。
友紀はそう思った。
シャー
「高橋さん。ご飯ですよ。」
カーテンが開く音がすると、看護師さんが、夕ご飯を持って来てくれた。
「ありがとうございます。」
友紀はそう言うと看護師さんはニコッと笑い去っていった。
「吉岡さん。ご飯ですよ。」
また看護師さんの声がする。
この病室に私以外の人が居たんだ。
全然覚えてないけど。
その後、看護師さんは他の病室に行ったようだった。
ここは2人しか居ないんだ。
友紀はそう思った。
「いただきます。」
友紀は小さな声でそう言うとご飯を食べ始めた。
お味噌汁にご飯、焼き魚にサラダにいちご。
おいしいそう。
でも…
あんまり食べたくないな。
友紀はこのところ、食欲はあまりなく少し残してしまった。
しばらく来てなくてごめんなさい😢
やっぱり、この小説面白いです!
これからも頑張ってください!!
↑
(毎回言ってるような気がする・・・。)
>宮下さん
お久しぶりです。
いつもありがとうございます。
何回でも言ってもらえると嬉しいです。
友紀が食べ終わって少しすると看護師さんが来て食器を運んでくれた。
それから友紀は真っ白な天井をしばらくボーっと見つめている。
なんか、変な感じがするな。
こんなに穏やかで静かな時間って普段ないからかな?
その後は特に何も変わったこともなく、消灯時間になった。
友紀はなかなか寝付けなかった。
いつもより小さな音で音楽を聞いてみたが、全く寝付けなかった。
何時間かすると、看護師さんが見回りに来られた。
「友紀ちゃん、寝れない?」
看護師さんは友紀が寝れていないことに気づいたらしい。
「はい…」
友紀は小さく答えた。
「そっか。なかなか寝れないようなら、トイレ行ってみたら?入院してからまだ一回もトイレ行ってないでしょ。」
「はい。そうしてみます。」
友紀は看護師さんの言うようトイレに行くことにした。
友紀は重たい体をゆっくり起こしてトイレに向かった。
点滴してるからか、なんだかトイレがしにくかった。
トイレを済ませ、病室に戻ろうとすると、友紀と同じくらいの年頃の女の子と目があった。
彼女も点滴をしていた。
身長は友紀より低く、髪の長さは肩ぐらいで、ガリガリに痩せて、骨がくっきり浮き出ていた。
あぁ、きっと、拒食症なんだろうな。
彼女がなぜ入院しているのか友紀でもわかった。
「あ、あの…高橋友紀さん…ですか?違ってたらごめんなさい。」
彼女の声はか弱く、可愛らしい声だった。
そして、とても緊張しているようだった。
「はい。そうですけど…」
友紀がそう言うと、彼女は笑顔なった。
「私、同じ病室の吉岡優菜っていいます。私、あの病室にずっと1人だったんで、新しい人が入って来てくれて嬉しくて…」
「そうだったんだ。話しかけてくれてありがとうございます。何年生ですか?私は中1なんだけど。」
「私も、中1です。同級生だね。」
「そうだね。もう夜遅いし、明日、いや、もう今日かな?優菜ちゃんのとこ行っていいかな?」
「うん。ありがとう。じゃあ。」
優菜ちゃんはトイレに行った。
友紀は本当に嬉しかった。
友紀は病室に戻り、ベッドに横になった。
眠気は全くないがが、目を閉じていた。
しばらくすると、友紀の頭の中を今まで忘れかけていた感情がぐるぐると駆け巡りだした。
私は独りぼっちなんだよ。
誰かに頼って一時的に幸せになれたって、その後絶対に不幸になる。
誰かを信じても、私は失うか、結局捨てられるの。
分かってるでしょ?
友紀の中にあった忘れかけていた感情が溢れ出した。
分かってる…
あの時も、バカみたいに人を信じて裏切られた。
あの時は裏切られなかったし、傷つけられたことは、一度としてなかったけど…失った。
長石先生は、信じても、裏切らないって信じてたい。
優しさや笑顔で溢れていて、私のこと、大切に思ってくれてるって感じる。
でも、裏切らなくても、失うんでしょ。
失わなかったとしても、裏切られるんでしょ。
だったら、最初から、信じなかったらいいのに、なんで信じちゃうのよ。
もぅ絶対に人なんて信じないって決めてたのに……
私のこの気持ちをなかったことになんか出来ないのに……
友紀はいつの間にか涙を流していた。
こういうお話好きです!
ファンになりました!!
続きが楽しみです。
>元きのこさん
ありがとうございます。
続きも頑張っていきますので、楽しみにしていてください。
友紀は涙を拭くと、カッターを取り出した。
点滴が左手首に刺さっているため、リストバンドがつけれず、手首の傷は丸見えになっていた。
リスカしたって分かるけど、別にいっか。
友紀は、手首の上で何度もカッターを滑らした。
すると紅い線がたくさん出来ていた。
また、紅い線でいっぱいになっちゃった。
別に落ち着くから、いいんだけどね。
友紀は、少し悲しそうに微笑んだ。
ポーチの中から消毒液とポケットティッシュを取り出し、消毒をした。
そして、心が落ち着いたからなのか、いつの間にか寝てしまった。
追加登場人物
成海咲良
看護師。
長石先生と一緒にいる事が多い。
それ以外は、基本的には外来にいる。
吉岡優菜
中1。
拒食症で入院中。
頑張ってご飯は全部食べているけど、なかなか良くならないらしい。
「友紀。」
ん…?
この声は……
紫出先生?
「友紀。」
友紀はゆっくり目を開いた。
目の前には、ベージュのカーディガンにグレーのスカートを身にまとった、紫出先生がいた。
「し、紫出先生…?」
「友紀。」
「紫出…先生。なんで…」
紫出先生は悲しそうな顔をした。
「友紀、ごめん。もう、会えない。じゃあ。」
紫出先生はそう言うと、どんどん遠くに行ってしまった。
「待って、行かないでください!私を、独りにしないでください!先生!紫出先生!」
「はっ!」
友紀は飛び起きた。
「ハァハァハァハァ……ゆ、夢?」
友紀の頬は涙で濡れていた。
紫出先生…
会いたいよ。
どうして、私のそばからいなくなったの?
私を独りにしたの?
ねぇ…先生。
友紀は独り静かに泣いた。
紫出先生は、友紀にとってかけがえのない存在だった。
すごく怖くて、友紀はいつもおびえていたけど、それでもすごく優しい先生で、友紀は、大好きだった。
友紀は、小5の時担任の先生に裏切られて、深く傷ついた。
もう誰も信じることができなくなった友紀は小6の時に紫出先生に出会った。
初めは怖いし苦手な気がしたけど、出会って一週間もしない頃には、友紀の性格を見抜き、友紀が何を言わなくても、友紀の心の傷に気づいてくれた。
紫出先生は担任でもなかったけど、担任以上に友紀をみてくれていた。
紫出先生だけは、信じることができた。
紫出先生にだけ心を開けた。
〜回想〜
友紀は、独り教室で読書をしていた。
いつだって独りで誰にも心を開くことはなかった。
「友紀。ちょっといい?」
「紫出先生?はい。別にいいですけど……」
「友紀。お前、なんで誰も信じようとしないの?」
友紀は、一瞬心臓が止まったかと思った。
なんで、なんでこの先生には、わかるのだろう。
「………」
友紀は黙り込んでいる。
「私は、お前に何があったのか知らない。でも、心にたくさんの傷を抱えてることぐらいわかる。友紀は、人を信じて傷つくのが怖いんでしょ。」
友紀は小さく頷いた。
「そっか。」
紫出先生は、そうつぶやくと、友紀の両腕をつかんだ。
紫出先生は友紀の腕を近くに持ってくるように友紀の腕が伸びた状態した。
友紀は、ビクビクしながら、動かされる手を見ていた。
友紀の手首にはたくさんの紅い線が引かれていた。
友紀はそれがばれるのが怖くて怖くて仕方なかった。
また、誰かにばらされるきがして、いやな目で見られる気がして、気持ち悪いって言われる気がして、怖かった。
紫出先生が両手首をつかんで手のひらを上に向けた瞬間体がビクッとした。
紫出先生には、きっと何もかもわかってるんだ。
隠しても無駄かもね。
友紀はうつむいていた。
「痛い?」
紫出先生は優しくそう聞いた。
友紀は長袖を着ていて、傷は見えていなかったが紫出先生は、わかっているようだった。
友紀は黙って首を横に振った。
♪〜♪〜♪〜
休憩時間の終わるチャイムが鳴った。
「友紀が今とてつもなくつらくて苦しくて、誰かに助けてほしいって気持ちが少しでもあるなら、放課後、ここに来なさい。私は友紀を傷つけないから。いつでも助けてあげるから。私のことすぐには、信じれないなら、今日じゃなくてもいいから。私はずっと待ってるから。」
紫出先生はそう言うと教室を出た。
紫出先生は、どうしてあんなに優しくて暖かいんだろう?
私の気持ちをすべて受け止めてくれそうな気さえする。
あんなに怖いのに、本当は優しいんだな。
放課後か…
どうしようかな。
紫出先生は、何も言ってないのに、私のこと全部わかってる。
紫出先生を信じてすべて話して、助けてもらいたい。
でも……
怖い。
友紀は悩みに悩んだが、放課後になっても決められず、教室前廊下でうろうろしていた。
「友紀。」
友紀は突然呼ばれて体がビクッとした。
「紫出先生…」
先生、本当に来てくれたんだ。
「友紀。迷ってるなら、教室に入りなさい。そんなすぐすぐ、信じて全てを話してもらえるとは思ってないよ。でも、帰らないでくれてありがとう。」
紫出先生はそう言うと、教室に入った。
紫出先生って本当に私を気にしてくれてるんだ。
普通そんなこと言わないのに。
紫出先生を少しずつ信じてみよう。
紫出先生ならわかってくれる気がする。
私を助けてくれる気がする。
友紀は、教室に入った。
いいですね〜今後の展開、気になります
138:友紀菜:2015/09/02(水) 17:51 ID:3S2 >おかのうえのばかさん
読んでくださってありがとうございます。
続きも読んでもらえると嬉しいです。
紫出先生は椅子に座って待っていた。
友紀が教室に入ると優しく微笑んだ。
「よく、決心したね。まぁまずは座りな。」
友紀は椅子に座った。
「友紀。手、見てもいい?」
「………」
友紀は黙ったまま、数秒たつと頷いた。
紫出先生は、今にも壊れそうな物を扱うかのように、友紀の服の袖をまくった。
すると、友紀の両手首に刻まれた、たくさんの紅い線があらわになった。
決して、かわいいものではなく、見るのが痛々しいくらいだった。
紫出先生は、友紀の手首を見ると優しくそっと傷をなでた。
そして、友紀の手首を消毒をし、包帯を巻いた。
「ありがとうございます。」
友紀は小さく呟くように言った。
「痛かったでしょ。」
友紀は黙ったまま、首を横に振った。
「傷自体は痛くなくても、心は痛かったんじゃない?友紀。私は、するなとは言わないけど、自分は大切にしなさい。全部1人で抱え込んで、我慢して、周りに気を使って、悩んで、苦しんで…そんなことしなくていい。私は大切な友紀が体も心も傷ついている姿は見たくない。きっと、友紀はそういう性格なんだろうから、少しでも手助けしていくから。」
紫出先生にとって私は大切なの?
そんなこという人誰もいないのに。
なんでそこまで、私のことがわかるの?
柴出先生やさしい〜
たしもた担任のせんせい大好きです!
自分のことわかってくれるとなんだか嬉しいですもんね〜
>おかのうえのばかさん
読んでくださってありがとうございます。
紫出先生優しいですよね。
書いてて自分でも思います。
これからも続き読んでくださると嬉しいです。
お久しぶりです!!!やはりとても面白いです!これからも、頑張ってください♪応援してます!
144:友紀菜:2015/09/28(月) 09:27 ID:ucA >ミックスさん
お久しぶりです。
いつも読んでくださってありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
「あ、ありがとう…ございます。」
友紀はポロポロと涙を流していた。
「独りでつらかったよね。これからは、私がいてあげるからね。頼っていいからね。そんなに泣くなって。」
そういいながら、紫出先生は友紀を抱きしめた。
あったかい。
「先生は、なんで優しいんですか?」
「優しいなんてそんなの、当たり前の事だからよ。」
「当たり前?」
「私にとっては当たり前なのよ。」
「そうですか。フフッ。」
「何笑ってんの?」
「いや、なんかいいなぁって。私、人と関わるのなるべく避けてましたから。」
「そうだな。」
友紀は本当のぬくもりを感じる事ができた。
それから、友紀は紫出先生に少しずつ自分の辛いことや苦しいことや悲しいことをを話した。
家では、この頃、友紀はお母さんからDVを受けていた。
優しい時もあったけど、機嫌が悪いといつも友紀に当たっていたこと。
学校では、友紀はずっと独りだった。
クラスに友紀の存在はないも同然だった。
友紀は、人に関わるのが怖くて友達も作れなかったし、先生とも仲良くできなかった。
ただひたすら、地味に、気配を消して、静かに毎日を送っていたこと。
去年、担任の先生に裏切られて、とても傷ついたこと。
とにかく、すべてを話した。
紫出先生は、無理に、クラスのみんなや、担任に関われとは言わなかった。
お母さんとも、少し距離を置けばいいと言ってくれた。
中学校に行くに向けて、頑張っていこうと言ってくれた。
ただ、そのためには、人と関わらないといけないし、お母さんとも距離を置いてばかりじゃいけないと。
でも、今すぐにとは言わなかった。
友紀は、紫出先生とたくさんの時間を過ごした。
紫出先生は、いつも助けてくれた。
友紀の心の傷を癒してくれた。
でも、すべてがすべてうまくいくことはなかった。
ある日、事件は起きた。
「言われたこともできないのかよ!さっさとやれっていってんでしょ!この、役立たずが!」
そういって、お母さんは友紀を何度も殴って蹴った。
こんな事はいつものことだった。
でも、その日はこれだけじゃなかった。
「役立たずはこうしてやる。」
そう言うと、友紀を階段の上まで連れて行き、友紀を突き落とそうとした。
「嫌っ。やめ……」
友紀がそう言った時にはもう遅かった。
友紀は、階段から落とされた。
友紀は意識を手放した。
気づいた時には、病院のベッドにいた。
「友紀!良かった…」
友紀の隣には、紫出先生がいた。
「紫出…先生…?」
「動くなよ!けがしてるんだから。」
友紀は、手首の骨折、頭、足等の打撲だけですんだ。
それから、お母さんは友紀に暴力をふるうことはなくなったが、友紀の世話をほとんどしなくなった。
それでも、紫出先生と過ごしているときは、笑顔でいた。
紫出先生は、いつも優しくしてくれた。
2学期最後の日のことだった。
「紫出先生は、今日で、この学校を辞められることになりました。お世話になった人は、お別れを言っておきましょう。」
突然、担任から聞かせられた。
「うそ…でしょ。そんな……」
友紀は、急いで紫出先生の元へ向かった。
「紫出先生!」
「友紀…」
紫出先生はつらそうな顔をした。
「先生、辞めるってどういうことですか?」
「ごめん。友紀。」
「私の、せいですか?私が、たくさん迷惑かけたから。」
「違う!友紀は、迷惑なんかじゃなかった。ただ……ごめん。もう会えない。ごめんな。」
そう言うと、紫出先生は友紀を抱きしめた。
「じゃあ…」
紫出先生は去っていった。
友紀はまた独りに戻った。
リスカの酷くなった。
そして、中学生になった。
お久しぶりです!連載が止まっていますがずっと応援してます。続き楽しみにしてます♪
150:スターバル発電所:2016/02/22(月) 18:30 ID:sogイッキ
151:ミックス ミックス:2016/02/22(月) 19:08 ID:4WQ早く続き読めないかな〜。楽しみにしてます!