あたし、児玉百花。高1です。
あたしは今一世一代のピンチに遭遇中で……。
って、いきなり言われてもわかんないよね。まずは自己紹介!
あたしは桜の森高校に通う一年生。部活は女子テニス部。
顔も頭の偏差値も普通の、特に秀でたところも無い16歳なんだ。
家族構成は父と母と大学生の兄が一人。
あたしの部活は女子テニスなんだけど、夏休みに突入してからずーっとサボってて
行ってなかったんだよね。だってめんどくさいし。
だから今日もいつもみたいに部活サボって近所の本屋で立ち読みしてた。
そしたらね……、いたんですよ! 部活の先輩が!
本屋に居たのは部の中でも超コワい2年生の三人組。
一番美人でテニスもうまいのが中森先輩、そしてその取り巻きの飯田先輩と佐藤先輩たち。
3年生が試合に負けてあっさり引退した今、部の実権を握ってるのはこの人たちなんだよね。
あたしはやばいと思った。この人たちは今日も部活あったから、
絶対いつも来てないあたしのこと怒るよね……。
お説教されると思ってあたしは本棚の陰に隠れた。影から様子を伺っていたんだけど、どんどんこっちに来る。
逃げたらやましいことでもあるのかって疑われちゃうから、潔くそこにいることにした。
「あれ? 児玉さんじゃない!」
真っ先に声をかけてきたのは佐藤先輩。
「あ、偶然ですね…。こんにちは〜」
あー、最悪だよ……。
「ねえねえ、美佳。児玉さんって最近全然部活来てないよね?」
中森先輩の下の名前は美佳だ。飯田先輩はやっぱり気づいてたか……。
「そういえばそうね。今日も部活あったわよ。今はその帰り。部活に来ないでこんなところで何してるの?」
中森先輩があたしを睨みながら言う。
「あ、いや今日はちょっとその……」
もごもご答える。言い訳なんて見つかんないよ〜!
「今日だけじゃないでしょ。いつもいつも来てないし」
怖い声でいう。
「ねえねえ美佳ぁ。この子お仕置きしちゃおーよ」
飯田先輩が甘ったるい声で言う。お仕置き!? なにそれ! 怖い!
「お仕置きって?」
中森先輩と佐藤先輩が尋ねると、飯田先輩は2人にコソコソ耳打ちをした。
「キャハハハッ! い〜ねそれ! 理央ってば怖い〜!」
ちなみに飯田先輩の下の名前が理央で、佐藤先輩は亜美だ。
でも、お仕置きっていったい何? まさか殴ったり蹴ったり!? どうしよ…。
「あの、お仕置きって何ですか……?」
「告るのよ。あんたが和泉くんに告ったら許してあげる」
「告る…? 和泉先輩に?」
あたしは飯田先輩が出したお仕置きに驚いた。なんだ、意外と楽じゃん。
和泉先輩って言うのは、二年生の和泉隼人先輩のこと。めちゃめちゃかっこよくてスポーツ万能だから、
桜の森高校で知らない人はいないってほどのモテ男だ。
そんな人に私が告るのか…。でも、暴力を受けるよりは全然ましだ。
彼はすごくモテるから毎日のように告白されているけれど、みんな振られている。
だからあたしごときが告ってもどのみちフラれるから楽だ。あたしはその命令に従った。
「わかりました。告ります。それと、部活にもちゃんと行きますね。今までサボっててごめんなさい」
「よろしい。どうせあんたなんか振られるんだしこのお仕置きちょっと楽だったかしらね」
中森先輩が笑う。ちなみにこの三人組は全員和泉先輩に告って振られた経験があるそうだ。
飯田先輩と佐藤先輩はまだしも、美人な中森先輩まで振られているのだから相当理想が高い人なんだろう。
「でもさぁ、和泉くんの振り方って結構ひどいじゃない。あんたもすぱーんと玉砕しちゃえばいいのよ」
佐藤先輩が言う。
「そうね。じゃあ次の部活には絶対来なさいよ。それと、新学期が始まったら絶対に和泉くんに告ること。いいわね?」
「…はい」
それだけ言い残すと三人の先輩たちは帰って行った。
「っていう訳なんだよ!」
あたしは先輩たちとその約束をした後、親友の相田優香の家に行ってそのことを愚痴っていた。
「ふーん、大変だね。でも楽じゃん。パシリとかにされるよりはマシじゃん」
優香は自覚がないみたいだけど結構さばさばしてるんだよね。
「でもさ、和泉先輩に失礼じゃない? 好きでもないのに告るんだよ?」
「そんなのどうでもいいんじゃない? どうせあの人毎日のように告られてんだから、そんなこと
いちいち気が付かないでしょ」
「それもそうかなあ…」
でも実際どうなんだろう。そこまでモテる人って想像がつかない。
「だいたいOKされる見込みはゼロなんだから、そこまで悩む必要ないって」
またきついこと言ったなこの子……。自覚がないのか。
「…そーだね」
あたしは優香の家を後にした。でも夏休みが終わるまで告れないのかー。面倒事は早く終わらせたいんだけどな。
ぼんやりしながら歩いていると、誰かにぶつかった。
「わ、ごめんなさい!」
「いやこっちこそ…」
「和泉先輩!?」
あたしがぶつかったのって和泉先輩? ラッキー! 今告っちゃお!
「ああ…、お前桜の森の生徒? 一年じゃん」
「そうです! あの、お話があるので近くの公園まで来てもらえませんか!」
「え? いーけど…」
あたしは近くの公園まで和泉先輩を誘導した。大きく深呼吸…。
「あたし、和泉先輩の事が好きなんです! 付き合ってください!!」
やばい…。嘘告白とはいえ緊張する…。
「うん、いーよ」
「え?」
今この人なんて言った? あたしの空耳?
「だから、いーよ。付き合おうよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
「ちょ、大声出すなって」
和泉先輩が笑いながら言った。
なにこれ? ドッキリ? エイプリルフール?
「これ、ドッキリですか? それとも今日ってエイプリルフールでしたっけ?」
完全にパニックになった。なんで? なんで振ってくれないの? 嘘でしょ!?
「お前面白いこと言うのな。違うって。嘘でもドッキリでもねーよ。お前、名前とクラスは?」
「1年2組の児玉百花です…」
あたしは完全に放心状態だった。
「じゃ、よろしく百花。今日からお前が俺の彼女な」
百花って…。名前呼び捨てじゃん。これ、都合のいい夢じゃないの? あたし、頭でも打ったのか?
「………はい…」
でも気づいたら、あたしは和泉先輩の笑顔に魅せられて返事をしていた…。
「んじゃ家まで送るわー。彼氏だからな」
そう言って和泉先輩はあたしの手を握った。どうなってるんだろう…。
そこからあたしはどう帰ったか覚えていない。でも和泉先輩と手を繋いでて…、気が付いたら家に着いてたんだよね。
「じゃーな百花。あ、そうだ。お前のメアドと番号教えろよ」
あたしは黙ってスマホを差し出す。
「よしオッケー。じゃーな!」
そういって和泉先輩は駆け出した。あたしのスマホには和泉先輩のメアドと電話番号が登録されていた。
あたしは完全に放心状態で家に入って自分の部屋に向かった。
とりあえず一旦頭の中を整理しよう。
ベッドで横になって今日の一日を思い返す…。
まず本屋で中森先輩たちに会ってお説教されて、和泉先輩に告ることになったんだよね…。
そのあとに優香の家に愚痴りに行って…。
その帰りに和泉先輩と偶然会ったんだ。あたしがぼんやり歩いてたから正面衝突したはず。
で、公園に連れて行って告ったんだよね。そしたら…。
「うわああああああああ!」
あたしはベッドの上で大声を上げた。
「百花! うるせぇ!」
隣の部屋のお兄ちゃんに文句を言われる。でも今はそんなの関係ない。
やっぱりおかしいでしょ! 超モテ男でどんな女子の事も振ってきた和泉先輩が、あたしの嘘告白をOKしたんだよ!? なんで?
あたしはめったに使わない頭を使って必死に考えた。こういうのはどうだろう?
あの人は和泉先輩のそっくりさんで、あたしが間違って告白しちゃったんだ。それで後でそのことをネタバラしされて、ひどいことされるんだ!
『俺はお前の彼氏なんだから言う事聞けよ』って! 恐ろしい!
いや…、それはないな…。だって和泉先輩は他校の生徒にも人気の人だ。そんな人のそっくりさんがいたらきっと話題になっているに違いない。
じゃあ本当にあれは和泉先輩だったの? 何か手がかりはないのかな…。
そうだ! スマホ! 和泉先輩にメールしてみればいいじゃん!
「えーっと…『和泉先輩、初メールしてみました』っと…。送信!」
思い切って送信ボタンを押す。
もう返信が来た。はやっ!
「えーっと何?『おう、これからよろしくー。ところで明日暇?』嘘! これってデートのお誘い?」
百花は急いで手帳を見る。明日は何も予定無いな…。
『暇です』
またすぐに返信が来る。
『じゃあ映画行こうぜ。面白いのあるから』
『OKです。何の映画ですか?』
『それはまあ行ってからのお楽しみー(笑)つかお前もっと絵文字とか使えよー。まーいいや。明日10時に駅前なー』
『了解です』
デート誘われちゃった…。しかもあたし何あっさりOKしてるんだよ…。そうだ! 服! デート行くんだからちゃんとしたの着なきゃ!
でも何着れば?
あたしは結局その日はあまり眠れなかった。
「ふわ〜…。もう朝か…。ってヤバ! 今日デートだった!」
あたしは慌てて時計を確認する。ってまだ5時じゃん…。もう一回寝ようかな…。
いや! ダメ! 二度寝して遅れたらどうするの! 身支度もしなきゃだし!
とりあえず汗をかいてるからシャワーでも浴びてこよう…。
シャワーで髪を洗って念入りに汗を流す。トリートメントを付けて丁寧に乾かしてブラッシング。
朝食はトーストと卵とオレンジジュース。そうしているともう7時だった。
「あと問題は服だな…。本当になに着よう…」
中学の時に買っていたファッション誌を引っ張り出した。『愛されファッション』とかわかんないしなあ…。
クローゼットの中の服を全部出して結局花柄のワンピースにした。これが一番無難だからなあ。
今着て汚すといけないから行く直前に着よう。あと髪とメイクはどうしよっかな。
髪もメイクもやはり無難なザ・デートファッションのようなものにした。
これでいいのかな……。ま、悩んでても仕方ないしな。あたしはすっごく早めに家を出た。
駅に着いたのは待ち合わせの10時の10分前。まあこのぐらいの時間がちょうどいいよね。
するとすぐに和泉先輩がやってきた。
「悪ぃ! 待ったか?」
息切らしてる…。走って来たんだ……。
「いえ、私が早く来すぎただけですからっ」
「俺から誘っといて待たせるとかありえねーわ……。お」
和泉先輩があたしを見る。この服……、変だったのかな……。
「可愛いじゃん、似合ってる」
「…………」
可愛いなんて、男の子に言われるの初めてだ……。でもなんで和泉先輩はあたしを選んだんだろ。
「映画、超おもしれえんだよ。俺の好きなシリーズの続編出てさ。見たかったんだよ」
そんなに見たかった映画にあたしを誘ってくれたんだ…。
和泉先輩が人気あるのは知ってたけど、あんまり詳しくは知らなかったもんな……。
「じゃ、行こーぜ」
「はいっ」
あたしは和泉先輩に着いて行った。でも一応恋人同士なんだよね? あたしたち。
じゃあこれはデートなんだし手とか繋ぐもんなのか? あたしから繋いだら図々しいよね…。
第一あたしがしたのは嘘告白なんだし…。和泉先輩を、騙してることになるのかな…。でも……。
でも、昨日と今日で和泉先輩にすごく惹かれてるあたしがいる……。
すると、和泉先輩がいきなり立ち止まった。
「なあ、俺らって恋人同士だよなあ?」
「は、はい一応……」
「一応ってなんだよ」
やばい。怒らせちゃった?
「あ、いえすいません……。あたしなんかが和泉先輩の恋人でいいのかなと……」
「いいんだよ。つーかいいに決まってんだろ? じゃなきゃ告白なんてOKしてねーよ。
俺がお前がいいって思ったんだから。つーかむしろお前じゃなきゃダメだわ」
そんな風に思ってくれてたんだ……。もう、理由とかわかんなくていーや。『なんであたしが?』とか思わなくていい。
惚れた。あたしも、この人にしよう。
それにしても……。
「先輩、声大きいです……」
道行く人がみんなこっち見てるじゃん……。嬉しいけど、恥ずかしい。
「そんなの関係ねーって。行こうぜ、百花」
先輩があたしの手を握って歩き出した。
先輩の言っていた通り映画はすごく面白かった。
見てる途中、先輩があたしの手の上に手を重ねてきてドキドキして集中できなかったけど。
「先輩、すごく面白かったですっ!」
「だろ? 俺が勧める名作なだけあるわなー。もう1時か…。腹空いたろ?」
そういえばもうお昼か。朝ごはん早かったから確かにお腹空いたな。あたしはコクリと頷く。
「いい店あるんだよ。行こーぜ」
そういわれて行ったお店はすごくきれで素敵な雰囲気だった。
「素敵なお店ですね……」
「見た目だけじゃねーぜ。味も俺が保証すっから」
先輩オススメのメニューを頼んで早速食べた。
「おいしーっ! こんな美味しいもの初めて食べました! すっごーい!」
本当にそれはすっごく美味しかった。
「お前ずいぶんうまそうに食うなー」
「だって美味しいですもん! デザートも最高!」
「そういうとこかわいいわ」
「えっ」
「マジで。超かわいいよ」
そんなこと言われたら緊張して味わかんなくなっちゃうじゃんか……。でも嬉しい。
「ごちそうさまでした! ホントに美味しかったです! 今度友達とか家族で来ようっと」
あたしは何気なくテーブルに置かれた伝票を見た。
「げ、高っ!」
つい本音が出てしまった。美味しかったけどこんなにするの? お財布の中のお金で足りるかな……。
「あ、すいませんつい……」
「金の心配ならいらねーよ。俺が払うし」
「え、でも…」
「つーか払わせろ。デートなんだからな?」
「は、はい……」
結局先輩に払わせてしまった。
「ホントにすいません……」
「いいって、お前が謝るな。お前、まだ時間あるか?」
「あります」
「じゃあ俺の家来いよ。今の時間なら誰もいねーと思うし」
「い、いいんですか?」
和泉先輩のお家……。きっと桜の森の女の子ならみんな憧れの場所だろう。そんなところにあたしが……。
「おう。タクシー拾ってくわ」
和泉先輩が停めたタクシーに乗り込んだ。このタクシー、普通のより高いやつじゃん!
さっきお会計の時和泉先輩の財布が目に入った。有名なブランド物で中にもたくさんお札が入っていたのがちらりと見えた。
この人ってもしかして結構お金持ちなのかな……。それともデートだから奮発してるだけ?
そんな百花の予感は的中することになる……。
ストーリーが面白いです!
百花がまさかokされるなんて……><
頑張ってください^^
>>8
嬉しいです!即OKされちゃって展開早いけどこれからもよろしくです(*^_^*)
宜しくお願いします^^
告白しろと命令した先輩達のリアクションが見てみたいですわww
題名のつられてやってきました!
面白いです(*^^*)!!
続き楽しみに待っておきます!
>>10
嬉しいです!中森先輩は美人だけど意地悪設定なのでw
>>11
ありがとうございます!これからも続き頑張って書きます
「大きい家……」
あたしはすっごく驚いた。
タクシーに乗って着いた場所はとても大きいお城みたいな家。やっぱお金持ちなんだ……。
「そうか? まあ上がって。今の時間なら誰もいないから」
「おじゃまします」
先輩はスリッパを差し出した。これも細かい刺繍がいっぱいで高そうだな…。
先輩の部屋は二階にあるらしいので行くときにリビングを通った。
リビングには高そうなソファや棚やいかにもお金持ち!って感じのグランドピアノが置いてあった。
階段を上がって先輩の部屋に入った。
「失礼します…」
部屋に入るとホテルのスイートルームみたいなリビングとは打って変わって普通の部屋だった。でも、広い。
なんか男の子の部屋って感じだなあ……。
「ベッドとかに適当に座ってて。飲み物取ってくる。アイスティーでいい?」
「あ、はい。ありがとうございます」
とりあえず言われた通りベッドに腰掛ける。なんか落ち着かない……。ベッドも見た目は普通だけど高級そうな
感じがぷんぷんする。
あたしの部屋にある安物とは違ってマットレスとかもきっと高いんだろうな……。すっごくフカフカだし。
部屋をぐるりと見渡してみる。家具はベッドと机と本棚があるだけのシンプルな部屋。壁にはおしゃれな時計が掛かっている。
机の上にはノートパソコンが置いてある。自分専用なのかな……。すごい、何に使ってるんだろ。
本棚には難しそうな題名の本がいっぱい。マンガや雑誌の類は一切ない。こんな部屋で和泉先輩は育ってきたんだな。
ふと見るとベッドの横に写真立てがあった。悪いと思いつつ見てみると小さい頃の先輩の写真があった。
ご両親らしき人と一緒に写っている。小学生くらいの先輩は当時からもすごく可愛らしい顔立ちだった。
横にいるご両親はとても優しそうに気品よく微笑んでいる。
ぼんやり見つめていると先輩が戻ってきた。
「はい、これアイスティー」
私は礼を言ってアイスティーを受け取る。
「あ、写真見た?」
「ごめんなさいつい……」
「いや、いいんだ。ただ小さい頃の俺見られるなんて恥ずかしいだろ」
顔が赤い……。
「でも先輩可愛かったですよ?」
あたしは思ったことを素直に言った。
「……ならいいけど」
「わあ! このアイスティーすっごく美味しい!」
「キッチンにあったの適当に淹れてきたんだけど。うまかったなら良かった」
「先輩ってセンスが良いですよね! ご飯もすっごく美味しかったし!」
「……まあ、あの店は小さい頃から行ってたしな」
「そうなんですかぁ。そういえば写真、先輩だけじゃなくてご両親も素敵そうでしたよ!」
「両親は俺が中三の時に交通事故で死んだんだよ」
「えっ……。ごめんなさい無神経なこと言って……」
あたしったら何無神経なこと言ってるんだろ……。最悪じゃん……。
「今はこのバカでかい家に一人で住んでる。たまに手伝いの人が来るんだけどな」
「……そうなんですか」
「そんな落ち込むことねーって。もうとっくに立ち直ってるし」
……だといいんだけどな。
気まずい沈黙が流れる。今まで男の子と付き合ったことないし、何話せばいいの?
あたしが迷ってると先輩が口を開いた。
「俺さ、百花に嘘ついてることがあったんだけど」
「へ?」
嘘? 嘘ってなんだろ? まさか、告白のOKも冗談だったとか?
「百花に告られた日、名前聞いたじゃん?」
そういえばそんなことあったけ……。あたしは会話を思い出す。
『お前、名前とクラスは?』
思い出した。確かに聞いてきたな。
「……はい。それが何か?」
「うん。実はさ、あの時もうとっくにお前の名前知ってたんだよね。もちろんクラスも」
え? なんで? あたしは今まで先輩との接点なんて皆無だった。
先輩の熱心なファンで名前を覚えられるようなことした記憶もないし……。
「え? な、なんでですか?」
「結構前からお前の事好きだったから」
好き? 前から? 先輩があたしのこと?
「えっ、あ、え?」
あたしはうろたえまくった。
「5月くらいかなー。たまたま廊下でお前を見かけてさ、友達とすっげえ楽しそうに話してた」
そんなことあったっけ? でもそれだけで?
「超笑顔で話してんの。そんな面白い話なのかなって思うくらい楽しそうに」
先輩が笑う。その笑顔に胸がきゅーっとなる。
「その笑顔にやられた。俺に媚びてくる女子はいるけど、あんな楽しそうに笑う女子はいなかったんだよね。
みんな笑ってるけど、上辺だけって感じでさ」
その話してた友達って、チカちゃんとか優香かな? あたし、そんな楽しそうに笑ってたんだ。
「で、お前の事知りたいって思うようになった。名前とクラス調べて。俺、キモいよな」
キモい? 全然そんな事ない。素敵なことじゃん。
「そ、そんなことないですよ!」
「サンキュ。……でさ、お前から告られた時超嬉しかった。平静を装ってたけど頭の中じゃ
リオのカーニバルかっていうぐらいお祭り状態だった」
先輩が笑う。そんなにあたしのこと思ってくれてんだ……。また胸がきゅーっとなる。
「とりあえず、今まで黙っててごめんな」
「いえ、話してくれて嬉しいです……」
「そっか……。良かった。俺、嫌われたり引かれたりしないかってひやひやで」
あたしだって先輩に黙ってることあるじゃん……。あの時の告白が嘘だったって……。
言わなきゃ……。あたしは、一大決心をした。
「あの、あたしも先輩に嘘ついてたことあるんです」
「え?」
先輩が驚いた顔をする。逃げたくなるけど、だめ。あたしはこの人が好きだ。この人も、すごく
あたしを思ってくれている。
そんな相手にずっと嘘ついてたことを黙ってちゃだめだ。
「あの時先輩にした告白、実は嘘だったんです」
「えっ……」
「ごめんなさい! でも、今は先輩の事がすごくすごく好きなんです。でもあの時のは嘘でした」
「どういうこと……?」
「あたし、ずっと部活サボってたんですよね。それで、二年の先輩たちに『お仕置き』ってことで
先輩に告白しろって言われたんです」
「なんで……そんなこと?」
「先輩たちが言うには、『和泉先輩は振り方がひどいからあんたも振られろ』って事だったんです。
どのみちOKされる見込みはないなって、あたし自身も思ってました。夏休みが終わったら先輩に告る、そして
部活にもちゃんと来いって事だったんです」
「…………」
「でも夏休みが終わるまで告れないのは嫌だなって思いました。そしたら、親友の家から帰る時に偶然先輩に会って……」
「で、告ったんだ?」
「……はい。あたし、先輩がそんな風に前からあたしのこと好きでいてくれたなんて知らなくて……っ。
……そのことを言ってくれたのも嬉しくてっ……。なのに……、ずっと嘘ついてるままなのは……嫌だったんです……っ」
言葉が途切れ途切れになって、涙が溢れそうになる。あたし、最低だ……。
「今は本当に俺のこと好きなの?」
「はい……っ。あたし……先輩のことよく知らないのに告白したんです……。でも、OKされて、どんどん先輩の事
知っていくようになって……っ。笑い方とか、話し方とか仕草とか……っ。知れば知るほど好きになっていったんです……っ」
そこで我慢していた涙が溢れてしまった。
「ごめん……なさい……。あたしが泣く理由なんてないのに……」
抑えようとすればするほど溢れてくる涙はどうにもできなかった。
先輩があたしの頭を撫でて髪に触れる。
「えっ」
あたしが驚いて顔を上げる。
「あ、ごめんつい……。本当はこんなこと言われたら怒るべきなんだろうけど、一生懸命話す百花見てたら
なんかどうでもよくなってきた。そんなところも可愛いなーって思うし」
言いながら先輩は手を引っ込める。
「俺、ホントは結構女々しいし情けないところもあるんだぜ? みんなが憧れる和泉先輩じゃ無いんだぜ?
それでもいいのかよ」
また胸がきゅーっと締め付けられる。これ以上何か言ったらまたぼろぼろ泣いてしまいそうなのであたしは黙って
コクコクと頷いた。
「……そっか、良かった。俺、ぜってー大事にすっからさ」
あたしはまたコクコク頷いた――。
「……でも先輩、ホントに怒らないんですか?」
あたしは恐る恐る訊いた。だって、もっとひどい女だって思われるような気がしてたんだもん。
「んー、だってこんなに泣いてる子を責めるのもなんか違う気がするしなー。それに、怒るなら百花に
『お仕置き』とやらを命令した奴らにだろ。あー、でも感謝の気持ちもちょっとあるかも」
先輩は笑いながら言った。感謝? なんでだろう。
「感謝ってどういうことですか?」
「だってさ、そいつらが命令してくれたから百花が俺に嘘でも告白してくれたんじゃん?
それが無かったら俺ら今こうしてないだろ?」
「……そっか。そうですね! 感謝ですね! そういう考え方もありますもんね」
「もういい時間だし帰るか? 送ってくよ」
もうこんな時間か……。結構長い事ここにいたんだな。
「大丈夫ですよ! 一人で帰れますし、気にしないでください!」
「でもなんかあったら困るだろ、送らせろ」
「……じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
「ん。行こっか」
あたしは先輩の部屋を後にした。玄関を出ると先輩が手を差し出してきた。これって、手繋げってこと?
でも違ったらどうしよう……。
「どうしたんだよ」
「えっと……これって手繋げって事ですよね……?」
「当たり前だろ」
笑いながら先輩はあたしの手を取った。指を絡ませてくる。いわゆる恋人繋ぎってやつだ。
心臓がバクバクしてる……。やばい、この音聞かれたらどうしよう!
先輩の顔をちらりと見る。そんなにドキドキしてなさそうだな……。
視線に気が付いたのか先輩がこっちを見た。
「ん? 何?」
「え、ああ! 何でもないですよ! ゆ、夕焼けが綺麗だなーって!」
先輩はドキドキしないのかなんて、聞けるわけないもん!!
「夕焼け? ホントだ……。すげぇ綺麗」
先輩はそういって空を見上げた。その横顔が、うっとりするほど眩しくて……。
「そうだ、時間忘れてた。行かなきゃな」
先輩はまた私の手を強く握った。
あたしの中で、『好き』がどんどん大きくなっていく……。
アイ子様》
はじめまして。
最初から読ませていただきました。
題名とても素敵です!!
題名につられてやってきました。
私は、
だってあたしは…。
という作品を書いています。
はじめての小説なので、駄作です。
ぜひ見に来てください。
アドバイスや、感想を書いて下さるともっと嬉しいです。
お互い頑張りましょう。
長文失礼(-_-;)
>>17ありがとうございます!
読みに行きますね(-ω-)/
家に着いたら、あたしは真っ先に優香に電話することにした。
昨日はあんまり信じられなくて、付き合うことになったって報告できなかったからだ。
優香はOKされる見込みゼロなんて言ってたけど、まさかOKされたって言ったらどんな顔するかな?
スマホのアドレス帳から優香を呼び出す。何回目かのコールで優香が出た。
『もしもし?』
「優香? あたしだよ! 百花!」
『何? 電話してきて? あ、そういえば告白の返事どうなった?』
「それを言おうと思って! なんとあたし、OKされて付き合うことになったの!」
『は!? それマジで言ってる?』
「マジマジ! 大マジなんだよ! あたしも最初は信じられなかったけどね、今日デートしたの!
それで、先輩、ずっと前からあたしのこと好きでいてくれたんだって!」
『へぇ……びっくりだわ……。シンデレラじゃんね。あんたの先輩たちが聞いたら、どんな顔するかね?』
優香は電話口の向こうでけらけら笑った。
「シンデレラ?」
『そ、シンデレラ。一般庶民が超カッコいい王子様に惚れられるのよ!
まさにシンデレラじゃない! でさ、あんたはどうなの? 先輩のこと、好きなわけ?』
「……最初は実感湧かなかったけどね。でも先輩、すっごく素敵な人でさ……。
あたしの告白が嘘だったってわかっても、それでいいって言ってくれた。大事にするって言ってくれたし……」
それからあたしはデートの様子を優香に話した。
『な〜に惚気てんのよ! この幸せ者!』
また優香がけらけら笑う。ホントにいい子なんだよね。
「もう! 優香ってばやめてよ〜!」
『あははっ! それはそうと、先輩とは今日のデートでどこまで行ったのよ?』
「え? どこまでって?」
『とぼけるなー! ネタは上がってるんだぞ! チューしたかって聞いてるの!』
「え!」
『怪しいぞ〜! まさか、もう最後まで行っちゃった? だって、お部屋に二人きりだったんでしょ?』
「ば、バカじゃないの! キスだってしてないし! ましてやそんなこと……。手繋いだだけだから!」
『ふーん、つまんないの。じゃあもし進展あったら報告しなさいよ、ばいば〜い!』
優香は電話を切った。嘘でしょ? キス? まさかね、するわけない。
でも……。『ばいば〜い!』と言った後の優香の言葉が思い浮かぶ。
『言っとくけど、和泉先輩だって男なんだからね』
いやいやいやいや! 無いでしょ! 早すぎだし! ありえない! 何言ってんだあの子は!
ベッドの上でじたばたしてるとメールが来た。誰からだろ。うっそ、先輩だ! まさに噂をすればって感じじゃん!
メールを開く。
『声聞きたいです。電話してもいい?』
『もちろんです。電話待ってます』
なんとかそう返信した。心臓破裂しそう……。こんなにドキドキするなんて……。
すぐに着信音が鳴った。
「も、もしもし!」
『おー、出るの早ぇな。ごめん、さっき会ったばっかりだけど声聞きたくなった』
「…………っ」
『さっきも掛けたんだけど通話中でさ』
「あ、すいません! 友達と話してて……」
『それって俺のこと?』
「ま、まあそうです……。付き合うことになったよっていう報告を親友に……」
『そっか』
「はい」
沈黙が続く……。男の子との電話なんて初めてだから何話していいかわかんないよ……。
『あのさ』
「はい!」
『お前が良かったらなんだけど……。明日も会えない?』
「えっ」
『いや、ダメなら全然いいんだけどさ』
「ダメじゃないです!」
『良かった。どっか行きたいところある?』
「んーっと……、動物園! 動物園行きたいです!」
『ベタだね』
電話の向こうで先輩が笑った。いーじゃんか。そういうベタなデートに憧れるんだ。
「ダメですか?」
『全然ダメじゃないよ。百花が行きたいならどこでも』
「じゃあ動物園行きましょう! 待ち合わせは駅に10時で!」
『ん』
そうだ! お弁当! 作って持っていこう!
「あたし、お弁当持っていきますよ!」
『マジで? 百花の手料理食えるんだ。やったぜ』
「はい! 楽しみにしててください! ほっぺた落っこちますよ!」
『ん、じゃあな。また明日』
「はーい」
あたしは電話を切った。
次の日、あたしは張り切って5時に起きた。和泉先輩にお弁当を作るために。あたし、こう見えても料理は結構得意なんだ。
おにぎりをいくつもこしらえた。おかずは卵焼き、唐揚げ、タコサンウィンナー、プチトマト、アスパラのベーコン巻……。
できるだけカラフルに、可愛くなるように工夫してお弁当箱に詰めた。
ホントは茶色い煮物系が好きなんだけど、初回からそれ持って行って引かれたら困るしね。
「よし、で〜きた!」
完成したところでお兄ちゃんが起きてきた。
「ふぁ〜あ……。百花、もう起きてたんだ。うぉ! なにこれ! うまそー!」
お兄ちゃんがお弁当に手を伸ばしてきたので慌ててお弁当を遠くにやった。
「これはダメだよ!」
「なんでだよ〜。せっかく俺の為に弁当作ってくれたと思ったのによ。あ!」
お兄ちゃんが突然大声を上げた。
「お前、まさか彼氏でもできたのか〜!? あ! 昨日電話してたのはそれか! うわー! 俺抜かされちゃったよ!」
「ち、違う! そんなんじゃないし!」
自分でも何でかよくわからないけど、とっさに否定してしまった。でも、からかわれたりするのは嫌だ。
「ふーん……」
お兄ちゃんがちらりとあたしを見る。お母さんとかに報告されて大騒ぎになるのは避けたい。
「じゃあ電話の相手誰だったんだよ」
「友達! 優香だから! うるさい、もう!」
「あっそ」
二度寝する、と言ってお兄ちゃんは自分の部屋へ戻っていった。
あたしも自分の部屋に戻って支度するか……。
今度はそんなに悩まずに服を選べた。
もう9時半だ。お弁当を持って、百花、いざ出陣!!
小説家なれよ
23:アイ子 hoge:2014/08/19(火) 23:21 ID:ZCM >>22
とんでもないです!すごく嬉しい!
たしかに憧れてはいますけど、中学一年生の小説家なんていないでしょ!
やっぱり>>22様みたいなストレートな褒め言葉嬉しいです(笑)
自分の小説が本になる妄想とかしてるのでw
アイ子様》
私も、自分の小説が本になる妄想よくします!!
小説家志望なんですか??
私は小説家に憧れています★
では失礼(∂∇∂)
>>伊呂波♪さま
そうですね〜。志望というよりは憧れって感じです
はじめまして♪
すごい面白いです★
続き気になります!
>>しお様
はじめまして♪
おもしろいと言っていただいて光栄です!
続き頑張って書いちゃいます
待ち合わせ場所に行くと既に先輩が来ていた。
「こんにちは!」
「おー。今日さ、動物園見てから昼になったら外で弁当食おうぜ」
「はい」
「じゃ、行くか」
先輩はまた自然にあたしの手を握って歩き出した。また心臓がばくばく。
電車に乗って動物園の最寄り駅から少し歩くので、先輩と手を繋いで歩いていた。
「あれっ? こももじゃん!」
「チカちゃん! 久しぶり〜!」
同じクラスのチカちゃんだった。
「なんで和泉先輩と一緒なの? うわ! 手も繋いでる!」
「うん、あのねあたし……」
「こいつ俺の彼女だから」
あたしが言う前に先に先輩が言った。
「えー! 嘘ぉ! 知らなかった! いつからぁ? なんで? どっちから告白したの!?」
チカちゃんが質問攻めにしてきた。
「えっと、あの……」
あたしがうろたえていると、先輩がこう言った。
「ごめん、今からデートだからさ。詳しくは後で百花に聞いてくんない?」
「そうなんですか! じゃあねこもも! 学校始まったら詳しく聞かせてね〜っ」
チカちゃんはひらひら手を振って去って行った。
「あの、なんかありがとうございます」
「ん? 俺はただ早く動物園行きたかっただけなんだけどね」
「そ、そうなんですか……」
「そういやさ、お前『こもも』って呼ばれてたな」
「はい。クラスの子はあたしの事こももって呼ぶんですよっ! 児玉の『こ』と
百花の『もも』を取って『こもも』なんです」
「へぇ……。いいね」
先輩が少し笑ったような気がした。気のせいかな?
「じゃ、行くか」
また手を繋いで歩き、動物園に入った。懐かしいなぁ……。小学校の遠足以来かも。
「うわー! 懐かしい! どこから見ます? やっぱりライオン? あ、ペンギンのお散歩もやってる!」
勝手に一人で大はしゃぎしてしまった。だって、こんなに嬉しくて楽しいことってない。
「もーもか。先行くなって」
気付かないうちにあたしは先輩の手を離して一人で走って行ってしまっていた。
うわ……。子どもっぽいって思われた?恥ずかしい……。
「す、すいません……」
「いーよ。謝るな。やっぱりお前のそういう顔好きなんだよな、俺」
またあたしの手を取って歩き出した。なんでこういう台詞をさらっと言えちゃうんだろう……。
「どこから見る? まずはぐるっと回るか」
「そうですね……」
色んな動物を見て回った。その間ずっと手は繋ぎっぱなし。すごくドキドキしていた。
チンパンジーを見ているときに、ふと先輩が言った。
「お前さ、めっちゃドキドキしてない?」
「えっ! そそそそ、そんなことない! ですよ!」
「挙動不審過ぎだから。脈がさ、すげー速い」
「脈…………?」
「手繋いでるからわかるんだよ。まあ俺も人の事は言えないなー」
先輩は笑った。先輩もドキドキしてるの……?
「あー、もう昼だな。飯食うか」
照れ隠しなのか何なのか、先輩はちょっと声が上ずっていたように聞こえた。
やっぱり……好きだなあ……。
「はいっ!」
あたしは元気いっぱいに返事をした。
こんにちは、猫又です。エントリーがあったので来ました。
で、とりあえずここまで読んでみましたが、
前作『麦わら帽子』とはタイプの違う作品ではあるものの前作よりも読みやすく、
情景描写、映画館とか部屋とかの様子が少しほしいなとは思いましたが、
主人公の心理描写的がだんだんとセリフに馴染んできているのを感じました。
ですが恋人である和泉隼人先輩が『クール系』ではなく『口先だけの男』に見えてしまったのが、ちょっと残念でした。
え!? と思ったかもしれませんが、文字制限もありますし矢印で説明します。
つまりこの物語の形式だと、
ストーリ 先輩が主人公の告白に即答する→ デート(クール系ならではのクールな台詞が出てくる)
読者 (本当に好きで返答してる?)→(口では好きって言ってるけど……。本心が分からない)
ということになりかねない。
つまり本当に主人公を好きか嫌いか分からない状態で『つーかむしろお前じゃなきゃダメだわ』と言われても、
先輩が前々から百花を好きだったことを知らない読者には、
本心からそう言っているのか、口先だけなのか判断できないということです。(あくまで私の意見です)
まぁ、それは私の感想なので無視しても構いませんが、少なくとも先輩の方から惚れたなら、何らかの弱みや隙を出してもいい気はしました。
たしかに『俺から誘っといて待たせるとかありえねーわ』等々セリフでの優しさ暴露はありましが、やっぱり他のセリフがクールなだけに、読者への信憑性は薄い。
どんなにクールな先輩だって、男子。それも惚れた側なら、
『そう私が笑うと、気のせいか先輩も少し微笑んだような気がした』
(笑顔で惚れただけに)こんなシーンを作って、きちんと主人公に対する『スキ』を読者に伝えると、
読んでいる人も、もっと和泉先輩の言葉に感情移入してくれると思いました!
っと、何か悪口みたいになっちゃいましたが、最後に一言だけ。
私、基本的に恋愛モノって、付き合ってからしか嫉妬フラグが立たないと思ってたんですが、
まさか告白前にトラブルの種(女先輩3人組)をまいてくるとは、恐れ入りました。
いい勉強になりました。ありがとうございます。m(_ _)m
って、あれ? なんかこれ感想なのか、アドバイスなのか分からなくなってきた。
なんか心配なので最後にワンポイントアドバス。
『クール系は相手への『スキ』をさりげなく見せるからこそのクール系。
中身のない言葉だと思われないように、行動や表情でしっかりと『スキ』を読者に伝えましょう』
ということで、長文失礼いたしました。では、
こんにちはぁ!
飛鳥だよ!!
あのね、あのね、こんど(8月31日まで
角川つばさ文庫のしょーせつ賞こども(?
みたいなのがあるのぉ!
あたしはだすんだけど・・・どぉ?
8月31日までだからっ!
いそいでね✿
ちゅー3以下さんかOK!
くわしくは
角川つばさ文庫ホーム
で!
だすならばよきライバル!
>>31
教えてくれてありがとう!お母さんに言ってみるね
>>30
いつも参考になるアドバイスありがとうございます、
ファイトォ!私も頑張らなきゃ!
34:猫又◆Pw:2014/08/26(火) 16:59 ID:FQs私からも、ファイトッ! (色々言っといて何ですがw)
35:飛鳥:2014/08/28(木) 19:20 ID:sAo アイ子ちゃん!!!
どうだった?OK?
「じゃーんっ!」
動物園の広場に行ってあたしは早速お弁当を出した。カバンの中で崩れてないか心配だったけど、大丈夫みたい。
「うまそーじゃん。いただきます」
先輩は早速卵焼きを口に運んだ。しばらく何も言わずに黙って食べている。
「どうですか……?」
「……うまい」
少し微笑んででそう言った。良かった……。
「良かったぁ……。美味しくないって言われたらどうしようかと思いました」
「何かいいよな。こういうの。俺あんまり食ったことなくてさ」
そうなんですか? とあたしは尋ねる。どれもお弁当の鉄板だと思うけど、食べたことないのかな?
「うん、まあ家が家だし。でもすげえうまいな。お前も食えよ」
「はい、いただきます!」
そっかぁ……。お金持ちだから食べたことないのか、こんなふうに庶民的なもの。これからもあたしが
作ってあげようかな、な〜んて。
でも我ながら美味しいなあ。良かった、先輩の口に合って。おにぎりを食べていると、先輩が訊いてきた。
「お前さ、誕生日いつ?」
「あたしは5月5日です! こどもの日なんですよ!」
子の誕生日はちょっと自慢だ。友達からは覚えやすいねとよく言われる。
「マジかよ……」
「えっ……。何か問題でもありましたか?」
「いや、うん。まあ……ね?」
気になる! 何その言い方!
「何ですかその言い方! すっごい気になるんですけど! はっきりしてください!」
あたしが身を乗り出して問い詰めると先輩は答えを言うのに迷っているよな素振りを見せた。
「どうしたんですか? 教えてくださいよ〜」
「んー、まあね……。ほら、お前も早く食えよ。あとで腹減るぞ」
はぐらかされた……。まあ、いっか。あとで絶対問い詰めてやるんだからね。
「はーい」
あたしは素直に返事をしておにぎりを頬張った。やっぱりこの味最高!!
お昼の後、急に雨が降ってきた。
二人とも傘なんか持っていなくて、走って近くのコンビニに入って雨宿りしていた。
「雨、だんだん強くなっていってね? 気のせい?」
「気のせい……じゃ、ないと思います」
最初は小雨程度だったので平気だと思い動物園でねばったけど、だんだん強くなっていく雨に耐え切れず避難した。
これじゃ傘が役に立たないほどなので、とりあえずここで立ち読みでもして待とうという事になった。
でも、雨はさっきよりひどくなっていった。
「これ、災害起こるレベルだと思うんだけど。天気予報でやってたっけ?」
「今日は晴れるって言ってましたよ」
「…………」
あたしも、そして多分先輩もテンションが急激に下がっていた。お昼の後からはシロクマの赤ちゃんが見られる予定だったのに、
あいにくの雨で中止になってしまったんだ。
シロクマの赤ちゃん……。見たかったのにな……。
それだけじゃない。デートだったのに、こんな普通のコンビニで雨がやむまで待つだなんてつまらなすぎる。
先輩と一緒にいられるのは嬉しいけど、あんまり長い事ここにいると店員の目がちょっと気になってくる。
さっきからあたしたちの付近をやたらとモップ掛けしてくる店員もいる……。そんなに帰ってほしいか! あたしだって帰りたい!
「埒が明かない!」
先輩はちょっと怒り気味に言うと、スマホを取り出した。どこかに電話をかけてるみたい。
「今タクシー呼んだから。百花の家まで送ってくわ。ほんとごめんな」
「えっ! そんな! いいのに……」
それに……。それに、もっと先輩と一緒にいたい。まだ三時だし、門限まではたっぷり時間がある。
せっかくのデートを! 雨のせいで! 神様のばかやろー! 大自然のばかやろー!
すぐにタクシーがやってきた。濡れないうちに急いで乗り込む。
「この子の家まで。百花、道順説明してやって」
「……はい」
よし、いいこと考えた♪
あたしは言われた通り道順を説明した。あたしの家までじゃなくて、先輩の家までの道のりを。
途中、先輩が「あれ? こっちって……」とか言ってたけど、それを遮って運転手さんに「そこ右です」なんて
ちゃっかり指示してた。
で、先輩の家にたどり着いた。
「え? なんで?」
先輩は戸惑っていた。あたしの家に送るつもりが、自分の家に着いちゃったんだもんね。
でもあたしは運転手さんに言った。
「ここです。オジサン、ありがとうございました!」
「いや〜、お嬢ちゃん可愛いからねぇ。彼氏君もなかなか男前だね。半額にしてあげる」
「え? いいんですか?」
「うん」
運転手さんはメーターをちょっといじった。本来の値段とは半分の額を請求され、あたしと先輩が割り勘で払った。
でも、運転手さんいい人だな。あとで会社の人に怒られないといいけど……。
「あのさ、なんで俺の家?」
「帰っても暇だしすることないんです、勝手なことしてすみません。それに……」
「それに?」
「……先輩と、もっと一緒にいたいなーって……えへへ」
「……行くぞ」
先輩はあたしの手を引いて門をくぐった。行くぞって言った時、ちょっと先輩の顔が赤かった気がするのは気のせい?
玄関に入る。やっぱり素敵なお家!
「部屋行ってて。場所分かるよな? 飲み物取ったら行くから」
「はーい」
階段を上がって、小声でおじゃましますと言いながら先輩の部屋に入る。
どこに座ってよう? ベッドでいいかな? ベッドに浅めに腰掛ける。やっぱ高級ベッドって感じで落ち着かないんだよね。
5分くらい待ったけど、先輩が戻ってこない。どうしたのかな? なんとなく部屋から出て廊下で耳をすませる。
聞こえてきたのは、ザーッという水の音。もしかして、まさか、まさか! 先輩、シャワー入ってる?
どういうこと? やばくない!? あたしこのまま押し倒されちゃったりするわけ?
っていうか先輩、玄関からそのままシャワー行ったよね? 着替えらしきものも持ってなかったし……。
着替えはこの部屋にあるだろうし……。当然、この部屋に戻ってくるよね? 裸で? いやいやいや!
あたしはパニクって優香に電話をかけた。
「もしもし優香!? 今ね、先輩の家なの! 家で二人っきりなんだけどね、なんでか先輩シャワー入ってて!
どうしようどうしよう!」
「落ち着け百花。きっとそれは……。それは……」
「何!?」
「大人の階段を上る時が来たのよ」
切れちゃったよ! ってか何? 大人の階段って! そういうことなの!? 先輩ってそんな肉食系だっけ!?
あたしがあたふたしていると、ドアが開いた。あたしは真っ赤になって先輩から目をそらす。
だって先輩は、上半身裸にトランクス一枚だったから。首にはタオルをかけ、少し濡れた髪……。はっきり言おう、超セクシー!
「おー、ごめん。待たせた」
涼しい顔で言う。
家ではお兄ちゃんがしょっちゅう今の先輩と同じような格好でうろうろしてるから男の人の裸は結構見慣れてる。
でも今は相手が和泉先輩! あの和泉隼人だ! 先輩ファンの子が見たら失神しちゃうんじゃないかっていう過激な格好。
「飲み物取りに行ったんだけど、雨で体冷えたんだよ。シャワー浴びてた。待たせてごめんな。
あったかいの入れたから飲めよ。お前も冷えただろ」
先輩はホットココアを差し出す。まあ上半身裸なんだけどね……。
でもあたしもだいぶ体が冷えてたので、言われるままにココアを飲む。美味しい……。ほっとする感じ。
濃厚な味。きっとスーパーで売ってる安いのじゃない。高い缶のココアだろう。
ココアに舌はほっとしてるけど、心臓はそれどころじゃなかった。まともに先輩を見られない。早く服着てよ!
すると先輩はクローゼットからTシャツとジーンズを出して着始めた。何それ? 公開着替えしないでよー!
「お前も冷えただろ?」
先輩があたしの腕に触れた。先輩の手は温かかった。
「お前、腕冷た! シャワー浴びてこいよ! 風邪引くぞ?」
「へっ!? いいですって! 平気です!」
思わずすっとんきょうな声を上げた。やばいって! 家には恋人が二人きり。しかも二人はシャワーから上がったばかりで……。
うわああああ! 何いやらしい想像してるんだあたしは! 先輩がそんなことするはずないって!
「いや、ダメだ! 入れ! その腕の冷たさは死人レベルだ!」
半ば強引に脱衣所まで連れていかれた。先輩が、シャンプーはこれ、タオルはこれ使えなど指示してくる。
まさかホントに入るわけ?
「あの……、ホントに入らなきゃだめですか? あたし大丈夫なんで……」
「いいから入れ! 俺は自分の部屋にいるから覗きなんてしねえから!!」
力強く脱衣所の戸を閉めて先輩は出て行った。仕方ない……。あたしは服を脱いでお風呂に入った。
広いお風呂……。言われた通り頭や体を洗う。浴槽にはお湯が張ってあったので温まった。
あー……、気持ちいい……。
思う存分温まってお風呂を出た。ドライヤーで髪を乾かし、服を着て先輩の部屋に戻った。
「上がりました〜。気持ち良かったです、ありがとうございました」
「だろ? お前あのままじゃ風邪引いてたぜ?」
良かった。押し倒されたりなんてするわけないよね。あたしの考え過ぎだって。ちょっと反省……。
すると、
「百花……」
と言いながら先輩があたしの髪に触れてきた。
先輩の顔がだんだん近づいてくる……。これって……。キス? だよね? そうだよね? やばい! どうすれば!
心の準備ができてない! だいたい目とかは瞑った方がいいわけ? ど、ど、ど、どうしよう!
その時だった。
チャラリン、チャラリン♪
あたしのスマホの着信音が鳴った。優香から電話だ! これだー!
「あっれー! 友達から電話だ! どうしたのかな!」
必死に演技をしてスマホを持って先輩の部屋を出て電話に出た。
「もしもし?」
「あ、百花。あのね今、エッチの極意を教えようと……」
「ありがとう! 助かった〜!」
「へ? 何が?」
「今、先輩にキスされそうになって……。あたし焦って、どうしていいかわかんないし、そういうのはまだいいかなって
思ってたの。あと少しのところで優香から電話来て! 助かった〜! ありがとうっ」
「はぁ? なんで? キスぐらい許してあげなさいよ! 向こうも溜まってるのよ!」
「う〜〜〜っ! 優香にはわかんないでしょ! あたしはそういうのまだいいから!」
電話を切った。優香には感謝だけど、ちょっとひどいなって思う時もある。言い忘れてたけど、優香はかなりモテる。
本人曰く「寄ってくる男なんて吐いて捨てるほどいる」らしいから、しょっちゅういろんな男の子と関係を持つ浮気性っぽい子だ。
顔が近づいただけであんなに心臓がバクバクしたのに、キスなんかしたら死んじゃうんじゃないかって思う。
ましてやその先まで行ったら……。考えただけで心拍数がぐっと上がった。
っていうか、どうやって部屋に戻ろう……。あんな寸止めだったら、先輩もきっと怒ってる。
とりあえずそ〜っとドアを開ける。
「あ、今友達から電話で……」
言い終わる前に、先輩が切り出した。
「嫌だった?」
「えっ……」
「聞くつもりはなかったけど、会話聞こえてた。で、嫌だった?」
「や、あの、そういうんじゃなくて……。嫌っていうか、緊張するし、心臓持たないと思うし、初めてだし……」
言い訳とも取れる言葉を並べていく。こんなので納得してくれる? 先輩の顔を見た。
「俺もだけど」
「え?」
「俺も初めてだし、緊張するし、心臓ヤバかった」
先輩もファーストキスなの? こんなにモテるのに……。しかも、あたしと一緒だったんだ……。
「それでも……ダメか?」
「……ダメじゃないです……」
「ありがとう」
すごく優しく微笑んで、先輩はあたしの髪に手で触れた。
それから、だんだん顔が下がってきて、あたしたちはお互いの唇を触れあわせた。
ホントに一瞬で、でも確かにキスはして、先輩の唇は柔らくて熱くって。あたしは満たされた気分になった。
頭がくらくらした。ぼーっとして、それからどうやって帰ったかも覚えてないし、でも、ただただ幸せだった。
この作品、8行読んですぐファンになりました!!
小説家、なってくださいお願いします!
中1の小説家もありえますって!
w
42:motti:2014/09/03(水) 21:10 ID:Ex2わろw
43:アイ子:2014/09/04(木) 16:14 ID:ZCM >>41,42
笑えましたか?
きゃーー!!!!
やばいよ〜!アイ子ちゃんどんどん上手になってるぅ!
アイ子〜いる?
46:コノハナ姫◆/6:2015/11/16(月) 22:06 ID:x3o この作品すごく好きです。
最近更新されていないようですが、
大丈夫でしょうか?
続き楽しみにしてます。
ちょ、人の夢笑うとかサイテー!!