~~~~~~~~プロローグ~~~~~~~~
寒いよ、痛いよ、怖いよ、寂しいよ…
助けて兄さん。私はここに居るよ。
「この鬼の子!よくも母を殺したな!」
「ち、違うわ…!私は、私は…!」
「黙れ鬼の子!!殴り殺してやるっ」
私が大好きだった人間。私に
優しくしてくれた人間。
今は、もう大嫌いな人間。
第一話「大好きな兄さん」
「鬼の子」「化け物」「お化け」
そんな事、もう知ってる。
何十回、何百回と言われてきたから
もう慣れている。それに、私が
人間じゃない事。
人間と関わってはいけない事も、
もうとっくに、知ってる。
色々な事が出来て頭の良い人間。
私は解り合いたいだけだったのに。
どうして、私がこんな目に
遭わなきゃいけなかったの?
ーこの化け物を、殴り殺せー
もう、やめて。私は違うの。
第二話「幸せ」
ずっと一人ぼっちで、孤独な私に
話しかけてくれたのは人間の祐二
だった。
「ねぇ、僕と一緒に遊ぼ。」
正直びっくりした。鬼の子の私に
話しかけてくれるだなんて。人から
恐れられる鬼の一族。私も、その仲間
なのに、祐二は話しかけてくれた。
…びっくりしたけど嬉しい。
私は、何だか不思議な気持ちだった。
「……!うん、一緒に遊ぼ!!」
私は、幸せだった。
だって私もう、一人じゃないもの
私は、祐二とゆっくり歩いてた。
特に会話をするわけでもない。
…私は、ただぼーっとしていた。
兄さん、元気かな。
なんて考えながら歩いてると
祐二が私に話しかけてきた。
「ねぇ、君の名前教えてよ!」
「私?私は魅月よ」
「魅月って、可愛い名前だね…。」
祐二は、微笑むと爽やかな声で
そう呟いた。…可愛い名前かぁ。
そんな事言われた事もなかったな。
それに、容姿の事を言われたりも
しない。自分じゃ、不細工なのか
可愛いかも解らないし…。
私が鬼だから解んないのかな。