夕陽の見える丘に〜ひと夏のラブソング〜

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1:なっちー&◆jE:2015/04/18(土) 21:26 ID:x3U

あれは、私が中2の頃だったかな。
友達に誘われて、キャンプに行ったんだ。
それが、わたし達の出会い。

2:なっちー&◆jE:2015/04/18(土) 22:47 ID:NHo

主人公
永瀬薫(ながせ かおる)
髪型/ショートボブ。
身長/146cm。
趣味/料理
歌を歌う事
あだ名/歩くステレオ、薫
(歩くステレオっていうのは…
いつでもどこでも歌を歌っているから
ついた渾名)

廣瀬唯斗(ひろせ ゆいと)
身長/160cm
渾名/唯斗、廣瀬

廣川七瀬(ひろかわ ななせ)
身長/154cm
渾名/七海、なな

細川玲織(ほそかわ れお)
身長/172cm
渾名/れお

構成
玲織は、薫の事が好き
(幼なじみでもある。)
七海は玲織が好き
(薫の大親友である。)

3:なっちー&◆jE:2015/04/19(日) 21:39 ID:NHo

第一章 出会い
「ちょっと薫ー。早く来てよー。」
私の親友、七瀬が私を呼んでいる。
「ご...、ごめんごめん。今行く。」
持っていた荷物を高い方へと上げると、七瀬の元へと走ってゆく。
「遅いよー、薫ちゃん。」
もう一人の大親友、愛加ちゃんが私にそう言った。
「ごめんね、愛加ちゃん。七瀬ちゃん。」
三人で、肩を並べて、山道を登る。夏だから、気温が暑くて、額に汗が滲む。でも、森だから、木の陰が、私たちを包み込むような感じに、優しく揺れている。耳を澄ませれば、鳥の鳴き声が聞こえ、木々達は歌ってる。そんな不思議な事を考えながら、山道を登ると、辺りがグリム童話に出てくるような道へと変化した。幻だけれど、こうすると疲れが吹き飛ぶ感じ。

「んー、着いたー。」
手を上にあげて、目をつぶり、そんな事を呟く。
「ここから見る夕日なんて、最高なんだろうね。」
七瀬が、そんな事を言いながら、あたりを見回す。
「時間無くなるし、テント組み立てよ。」
登山する前に、もらったテントをナップから出す。女の子でも簡単に組み立てられて、自然にもいいテント。力には自信あるんだけど、この方がいいって言われて、貰ったんだ。

「出来たねー。」
「うん。じゃぁ、火を焚こ。」
あたりに落ちている枝と葉を集め、火をおこす道具を使い、煙が出てきたと思ったら、そこにさっき集めてきたものを置いた。
直ぐに火がついたので、私は、ジャガイモ、人参、玉ねぎの皮を剥きおわると、一口サイズの大きさに切り、持参した鍋に具材を入れる。そして、さっきの間に組んできた湧き水を入れ二三十分待つ。そして、持参したカレールウを入れる。

4:なっちー&◆jE:2015/04/20(月) 09:34 ID:NHo

「完成ー!」
持参した紙皿にご飯とカレールウをついで、スプーンを持って近くに倒れている木に腰を掛けた。夜の微風が優しく吹くのを感じながら、手を合わせる。
「「「いただきます。」」」

ご飯を食べた後、私は、ジャンケンに負けて、湧き水で、鍋やご飯を炊いたものを、洗いに行った。
「君も、キャンプ中?」
同級生ぐらいの男の子が私にそう聞いてきた。手に持っているものを見ると、洗い物を頼まれたんだろう。
「うん。ジャンケンに負けちゃって、今は洗い物中」
「俺も。」
それから彼は、私の横に腰を掛け、洗い物をしながら、色んなことを話した。学校の事や、家族の事。好きな食べ物や、嫌いな食べ物。今日は誰と来たのか。
「今日は、友達と来たんだ。鷹飛と匠平と。」
「そうなんだ。わたしも、友達と来たんだよ。」
そんな事を話しながら、洗い物を片付けてゆく。
「じゃぁまたね。」
「あっ、名前。聞いてもいい?」
ほかの事は話したけれど、それを聞くのを忘れていた。
「・・・廣瀬唯斗。」
ちょっと困った顔をして、その後微笑みながら、名前を名乗ってくれた。

5:なっちー&◆jE:2015/04/20(月) 13:51 ID:NHo

名を名乗ると、持ってきていた洗い物を持って、反対方向へと歩いて行った。
(廣瀬・・・唯斗。)
彼の名を、心の中で呟きながら、歩いて行く背中を見守った。

第二章 再開
あれから2ヶ月が経った。季節は夏から秋に変わり、辺りの山は紅色へと変わった。あれから2ヶ月過ぎても、彼と再開することは無かった。
(今頃、何してるんだろうな・・・。)
そんなことを、考えながら、窓を通して、空を見上げる。
「薫、今日暇?」
「うん。」
「じゃあさ、ライブ行かない?」
「いいよ。」
誰のライブなのか、この時は知りもしなかった。

近くのライブハウスに足を踏み入れ、一番に目に入ったポスターに、見たことのある人がいた。
(うっ、嘘ー。廣瀬君・・・)
そう、廣瀬唯斗君だった。まさかバンドをしているだなんて知らなかった。
「かっこいいよねー、ブラスト。」
「ブラスト?」
「そう、blackSTRAIGHTだから、ブラスト。特に、ボーカルのyuito。」
(ブラストかー。)

6:なっちー&◆jE:2015/04/20(月) 19:06 ID:NHo

メンバーは、四人。格好いい人ばかりで、人気も多いらしい。多分、知らないのは私だけだろう。雑誌とかあんまり読まないし。
「何突ったってんの?早く入ろう。」
「うん。」

既にライブは始まっており、丁度ブラストの番だった。
「キャー。」「カッコイー」
など、女子達の黄色い声が響き渡る。
「今晩はっ�

7:なっちー&◆jE:2015/04/20(月) 19:15 ID:NHo

「今晩は。ブラストです。」
廣瀬君が、バンド名を行った後、ドラムを叩く撥を持った人が、手を上にあげて、リズムをとった。
ー君にしか似合わない このドレス
君の代わりは何処にも居ないから

仲間とふざけあった少年時代は
今は綺麗な思い出
今そこにいるあなたの方が
もっと 綺麗だね

いっそ 僕が流れ星になっても
君は気付かないでしょう
どこへ居ても僕はいつも傍にいるよ

8:なっちー&◆jE:2015/04/20(月) 23:00 ID:NHo

2君にしか聞こえない 僕の歌声
何故か届かない僕の気持ち

皆それぞれ進む道があるけれど
離れて初めてわかる
今その言葉君に伝えたい
ずっと “愛してる”

いっそ僕が流れ星になったら
君は気付くのでしょう
傍に居なくても気持ちは離れないよ

いっそ僕が流れ星になっても
君は気付かないでしょう
何処にいても僕はいつも傍にいるよ

9:なっちー&◆jE:2015/04/20(月) 23:11 ID:NHo

辺りから拍手が起こり、その後にボーカルのyuitoが話始める。
「今日は、応援してくれてありがとう。今日歌った曲は、新曲は『流れ星になっても』は、僕がキャンプで出会った彼女に向けての歌です。その彼女が、今、この会場に来ています。・・・」
そのまま舞台から降り、女子たちが道を作った。その間から通ってくるyuitoは、白馬の王子様みたいな感じだった。

10:&◆/c:2015/04/21(火) 08:22 ID:NHo

「おいで。」
yuitoが私に向かって手を伸ばした。
「薫、yuitoと知り合いだったのー?」
隣にいた七瀬が、私に突っ込みを入れる。それも耳に入らず、近付いてくるyuitoに目を奪われていた。
「ステージ上がってきて。」
私の手を握りながらそう言うと、微笑みを浮かべ、引っ張るように王道を歩いてゆく。そして、先にステージに上がると、手を差し伸べてくれた。私はその手を握り、ステージに上がった。
「彼女が、キャンプ場で会った、僕の運命の人です。」
(えっ、運命の人ってどう言うことー?)
私は、口元に手を当てた。

11:&◆/c:2015/04/21(火) 20:32 ID:m4o

周りから、ブーイングが起こる中、私は何をしていいのか分からず、そのまま突っ立っていた。
「それじゃ、次行くよ。『桜』。」
甘く優しい声で呟くと、持っていたギターを引き始めた。ほかのメンバーは、この曲では、動かないらしい。



1年に一度会える 桜が咲く季節
この瞬間 それが大事な時間
時には迷い 傷ついて
涙が出る時もある
経験とは自分を強くする

蕾が開き桜が咲く
当たり前の事だろうけど

桜の花弁の数は
自分が強くなった数
桜の花弁散る時
僕の命は散るでしょう

(切なくて、辛い歌が多いんだ。なんでかな、目頭が熱くなってきた。)

12:&◆aU:2015/05/01(金) 15:23 ID:jEg

「君の名前、聞いてもいい?」
歌が終わったあと、小声で囁いて来た。
「私は、・・・永瀬薫。」

ライブが終わったあと、七瀬には先に帰ってもらい、近くのファミレスで廣瀬君と話をした。
「えっと、薫ちゃん。」
「・・はいっ。」
「学校ってどこ?俺は緑山男子校。」
「えっ、嘘。私は隣の学校の緑山女子高。」
緑山は、男子校と女子高に別れていて、大学までエスカレーター式。制服は、チェックの緑。女子には結構人気のある制服で、毎年新入生が多い。
「そんな近い学校にいたのに、どうして合わなかったんだろうね。俺達。」
「そうだね。」
そんなことを言いながら二人で笑いあった。
「赤外線しよ?」
「うん。」
スクールバックから、ガラケーを取り出し、赤外線の場面を取り出す。そして、携帯を重ねる。

13:なっちー&◆jE:2015/05/22(金) 21:12 ID:i4U

「今日はありがとう。薫ちゃん、またね。」
「うん。バイバイ。」
廣瀬くんと別れ、一人で暗い夜道を歩いていた。
「なーに独りで歩いてんだよ。襲われたらどうすんだ」
と声をかけてきたのは、幼馴染みの玲織だった。口は悪いけど、優しい。
「何だ、玲織か。」
「なんだとは無いだろう?独りで歩いている寂しそうな幼馴染みを送ってあげようと思ったのによ。」
「何よ。余計なお世話よ。あたしの事なんてほっといてよ。」
私は、玲織の事がすきだった。でも、教室で玲織が、
「あいつはただの幼馴染み。」
って言う言葉を聞いて、諦めたんだ。
「ちょっと待てよ、薫。」
玲織は、私を強く抱き締めてきた。必死で腕から離れようとした。でも、玲織の力は強くて、叶わなかった。ようやく落ち着いた私を見て、玲織が喋り初めた。
「俺は、お前のことが好きだ。」
真剣な眼差しで、私を見つめてそう言った。私は戸惑った。確かに、昔は玲織の事が好きだった。毎日一緒に居て当たり前、そうどこかで思い込んでいたんだ。でも違っていた。
当たり前≠チていうのは、好きではないのだと。そう、恋愛感情ではないのだと知ったのだ。
だから、私は少し戸惑った後、答えた。
「ごめん玲織。あたし・・・」
涙を目にためながら、玲織を見つめる。
「分かった。・・・ごめん。」
玲織が、私の肩から手を離し、目を背けて、
「帰ろう」
と一言だけいうと、脚を動かした。
私はその背中に、心の中でごめん≠ニ呟いた。

翌日。私は何度も夢に魘されていた。その内容は、その時時によって違う。でも、最近よく見る夢。
あたしに似た子が、桜の下で涙を流しているのだ。大きな目から、大粒の涙を零しているのだ。その膝元には、廣瀬君に似た人物が寝そべっていた。と言うより、無くなっていたのだ。

14:なっちー&◆jE:2015/05/22(金) 21:15 ID:i4U

ちょっと訂正です。

第3章 夢
翌日。私は何度も夢に魘されていた。その内容は、その時時によって違う。でも、最近よく見る夢。
あたしに似た子が、桜の下で涙を流しているのだ。大きな目から、大粒の涙を零しているのだ。その膝元には、廣瀬君に似た人物が寝そべっていた。と言うより、亡くなっていたのだ。

15:なっちー&◆jE:2015/05/22(金) 21:55 ID:i4U

小さな声で何かを言ってるんだけど、全く聞こえ消えない。けれど、誰かの名前を呼んでいた。多分、亡くなったその人のこと。服装は、現代に少し近かった。その男の人は、如何にも病院で入院をしている様な服装だった。女性の方は、制服だった。スカートは赤と黒と緑のチェック。それで、ブラウスの半袖を着ていた。あの制服は、森山大の制服。あたしが目指している学校だった。
「何で・・・?」


私は、誰にも話そうとはしなかった。もしそんなことを言って、笑いものにされたら、いてもたってもいられなくなる。
「どーした、薫。落ち込んだ顔しちゃって。・・・何かあったの?」
七瀬ちゃんが話し掛けてきた。その隣で愛加ちゃんも心配そうな顔をしていた。
「悩みがあるなら聞かせて?薫ちゃん。」
と言っているようにも見えた。
「じゃぁ、聞いて貰おうかな。」
私は、気持ちは落ち込ませたまま、笑顔を作った。まさに、空元気と言う奴だ。
私は、最近見ている夢の事を全て話した。何故か、私と廣瀬君に似ている人物が出てくる事。それから、廣瀬君に似た人物は亡くなっていると言う事。私に似た人物は桜の木下で、廣瀬君に似た人物を見て泣いているという事。私に似た人物は、森山大の制服を着ているという事。
「おかしな話ねぇ、それ。」
七瀬が、そんなことをぼやいた。
「うん。」
「そうじゃなくって、私が思うにその夢、未来のあんた達に起こることなんだよ。」
「えっ」
と、愛加ちゃんと同時に驚いた。
「夢で、未来のことを見ることを予知夢って言うの。大体は自分の体を守るためだったりとかが多いんだけどね。でも、彼が死ぬ病気を抱えているってのは確かなのかも。時々、歌歌うときにの喉を掴むの。」
「そうなの?」

16:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 08:44 ID:sR2

そう言えばそうだった。彼、歌うときに喉を掴んで顔を顰めていた。
「そうなのよ。ファンの中では、色々噂が飛び交っているらしいわよ。」
「噂?」
「それならあたしも知ってる。『病院に通ってるのを見た』とか。あと、半年後に死ぬかも知れないって噂。」
半年後って言ったら、春ぐらいか。
「みんな、大変よ。」
女子たちがそう叫んだ。私は何かと思いそっちを向いた。
「ブラストが解散するって。」
「えっ?」
女子たちが、なんでーと悲鳴の様な声をあげていた。
「詳しい理由は知らないんだけど、これ薫にって」
ブラストが解散すると言った張本人曰く、わたしの幼馴染みの石川萠。可愛くて、情報屋で、優しくて。人っていう感じ。
「最後のライブだから、薫に見て欲しいらしいの。ほら、あそこ。」
そう言って、萠はドアの所を指さした。そして、私にチケットを渡すと、私に行けって言う意味で背中を押してくれた。私は迷わず、廣瀬君の元へと向かった。

17:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 09:45 ID:sR2

「廣瀬くん、これありがとう。」
廣瀬君にさっき預かったチケットを見せた。
「こっちこそ・・・。」
照れたような顔をしながらそう言った。
「あの」
二人同時に、そう言っていた。
「先言えよ。」
「うん。最近ね、変な夢を見るの。」
「夢?」
「うん。その時時によって違うんだけどね。
何故か出てくる人が、わたし達に似た人物なの。それでねっ」
「ちょっと待って。それってこんな内容?薫さんに似た人の膝の上に、俺に似た人が亡くなっていて、薫さんに似た人が泣いているって言う?」
「そうなの。えっ、でも何で。」
「俺も、最近似た様な夢を見るんだ。んで、俺の話聞いてくれる?」
「うん。」
「俺、喉に病気を抱えて居るんだ。それで命の危険性もあるって言われて。それを仲間に相談したんだ。そしたら、今日で最後にして、解散しよう。って言う事になって。」
七瀬ちゃんと愛加ちゃんが言ったことは正しかった。でも、何が正しいのかなんて、私には分からない。
「ねえ、今日、ブラストのメンバーに合わせてくれない?」
「えっ?いいけど。」

18:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 10:04 ID:sR2

そして放課後。
ライブが始まる前に、スタンバイ場所で会わせてもらった。
「こんにちは。初めまして、永瀬薫です。宜しくお願いします。」
「この前ステージに上がってきたこだよね?俺は城崎憂辭宜しく。」
「何?唯斗の彼女?可愛いね。俺は宮磨汐。宜しくね。」
「るせーよ。汐。そいやー憂辭、望菜希は?」
と、廣瀬君が城崎君に聞いたとき、パパーと言う声が聞こえた。その子は、城崎君に抱きついて離れない。ぽかんとしてる私に、廣瀬君が教えてくれた。
「あれ、憂辭の子供。そして、あれが奥さん。」
と言って差した先には、私ぐらいの女性がいた。お淑やかで、綺麗で・・・。とても、言葉では表せない。
「そ言えば、薫ちゃんだっけ?」
「はい」
「君、永瀬湊の娘さんだろ?」
「何でそれを?」
「俺と、憂辭。湊とバンドやってたんだよ。バンド名はブラスト。」
あっ、そう言えば。何故か、ブラストっていうバンド名に聞き覚えがあったんだ。だからか。
「んでね、薫ちゃんと唯斗は・・・」
「それを言うなっ!!!」
「何で?大事なことじゃん。」
「だけど言うな。」

19:椎名:2015/05/23(土) 18:24 ID:bs6

>>なっちーs

小説読ませていただきました!!

なんていうかスゴく切ないなって思いました!
私のもいじめというテーマなのでできるだけ切なくなるように書いてるんですけどこの小説は私のと違って、
「あぁ〜二人は今こんな風なんだろうな〜」
って自然と情景が思い浮かんできて楽しめる小説なんだなって思いました!
特に玲織が薫に告白するシーンは心にグッときました。

唯斗と薫のこれからも気になります!

これからも頑張ってください!!

20:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 18:36 ID:ieE

椎名さん、読んで下さり、ありがとうございます。
駄文ですが、そう言ってくれると、嬉しいです。主人公達の名前は実際に私の名前と、好きな人の名前から入れています。苗字は変えています。
実在する人物なので・・・。

でも、これからも、書いていきますので、宜しくお願いします。

21:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 19:32 ID:ieE

私は、宮磨君のいいかけた言葉が気になった。
「薫ちゃんと唯斗は・・・」
何なの?私と廣瀬君に何があるの?
私は、その疑問が頭に残り、離れなかった。

22:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 21:24 ID:ieE

最期のライブ。
あの言いかけていた言葉の続きが気になって、いい曲のはずの歌さえ聞こえなかった。
「・・・る、薫。」
「あゎゎゎ、ひ、廣瀬君。」
今、聞き逃してたけど、薫≠チて言ったの?
「どうしたの、そんな顔して。」
「あっ、うっ、ううん。何でもないの。」
「話が在るんだけど。」
「何?」
「いや、ここではちょっと。」
人に聞かれたくない話・・・。何だろうか?

そして、このスタジオの真向かいにある、ファミレスに入った。
「いらっしゃいませー、2名様ですね。こちらへどうぞ。」
ウェイターの女の人が、禁煙席の方へと案内してくれた。私達は、向かい合って座った。
「注文がお決まりになりましたら、チャイムでお呼びください。」
一礼して、ウェイターさんは、去っていった。
「それで、話なんだけど。」
「うん。」

23:なっちー&◆jE:2015/05/23(土) 22:23 ID:ieE

「俺とお前は、兄妹なんだ。」
えっ?私達が、兄妹・・・なの・・・?
私は、そんな単刀直入の告白(言葉)に唯唯、黙ってることしか出来なかった。

第四章 兄妹
前回のあらすじ
「えーっと、私は、永瀬薫。18歳の高校3年生。夢で、廣瀬君が死ぬところを見てしまったの。それで、廣瀬君もそんな夢を見てたらしく・・・。んでね、その後、廣瀬君が大きな病気を抱えてるって事と、ブラストが解散するって言う噂を聞いたの。その噂は両方本当だったの。それで私、ブラストの最期のライブの前に、宮磨君がいいかけていたことに気になっていた。それでさっき、廣瀬君があたし達は兄妹だって言うの。」

24:なっちー&◆jE:2015/05/24(日) 00:25 ID:ieE

第四章 兄妹
「俺達は血のつながった兄弟なんだ。」
どういうことなの?私達が血のつながった兄妹・・・?
私の中では、そんな疑問がつぎつぎと飛び交っていた。
「これ、写真。」
そう言って写真を渡してきた。その写真には、お父さんとお母さん。それと、子供達二人が映っていた。女の子の方は私。男の子の方は・・・。
「それは唯一、俺が持ってた写真。・・・薫が覚えてるかは知らないけど。俺は、俺達は、双子なんだ。」
私達が、・・・双子?そんなこと・・・あるのかな・・・?私は、写真を確かめた。
・・・確かに、似ていた。今の私達が似ているかどうかはわからないけど、この小さい頃の私達は、笑顔がそっくりだった。
「じゃぁ、何で・・・」
「何で、私の正体が判っていたのに、言わなかったのか?でしょ。俺が言わなかったのは、最初会った時は知らなかったからだよ。ごめんな。薫。」
そうだった。この人は、私のお兄ちゃん。永瀬唯斗。5歳の時に行方不明になった、お兄ちゃんなんだ。
でも、胸が苦しい。もがき苦しんでいる。胸が張り裂けそうなくらい痛いよ・・・お兄ちゃん。

―私は今日、いけない事とは解っていて、彼が好きな事を気付かされたのです―

25:なっちー&◆jE:2015/05/24(日) 00:45 ID:ieE

「俺の病気って言うのは、喉に腫瘍が出来たという事なんだ。」
「喉に腫瘍?」
「ああ、俺は喉に腫瘍がある。だから、今日で歌を歌うのは最後にする。」
「まっ、待ってよ、廣瀬君。歌うこと辞める何て言わないで。」
音楽家にとって、音楽を失うのは酷というもの。と、父が言っていたことを覚えている。
「音楽を辞めるとは言ってない。ただ、歌を歌わないと言っただけ。・・・でもな、薫。俺は、歌いたい。音楽が大好きなんだ。兎に角歌いたいから、今は歌を歌うのを辞めるんだ。意味解る?」
「うん。ねぇ廣瀬君。私が代わりに唄えないかな?」
「えっ?薫が?」
「うん、私が廣瀬君の役に立てること、これだけしかないし。」
「俺はいいけどよ、憂辭達に聞いてみねぇと・・・」
「おれは良いよー。」
「俺も。」
いつの間にかそこに居た城崎君と宮磨君がそう答えていた。
「おめぇら、いつの間に・・・?」
「えーっと、」
「答えなくていい。まあ、薫にボーカルを任せても平気だな?」
「「「うん」」」

26:なっちー&◆jE:2015/05/24(日) 12:36 ID:0s2

そして、私が廣瀬君の代わりにブラストのボーカルになると言うことが決まり、やや1ヶ月が過ぎた。毎日、廣瀬くんと一緒に作詞をしたり、ボイストレーニングをしたりしていた。ファンからも段々と褒められるようになり、客足も増えた。今日は、初めてのライブ。廣瀬君も、行くというので、医者に無理を言って、頼んで来たんだ。
「ありがとな、薫。」
「ううん、廣瀬君のためだもん。市の五の言って、時間を減らすのも勿体無いでしょ?」
「そうだな。」
私たちの関係も徐々に変わり始めていた。廣瀬君もうちに戻ってきて、今は一緒に暮らしている。
この思いも、毎日膨らんでゆく。
「このステージが終わったら話したいことがある。」
「私も。」
今日、私は廣瀬君に告白をする。兄妹だからいけない事は判っている。でも・・・・・。
「おはよう、薫。」
「おはよう。」
「おはようございます。城崎君に、宮磨君。」
私はまだ、慣れ始めて1ヶ月が過ぎたばかり。だから、まだ名前では呼べていない。
「余し、音合わせしますか。」
「はいっ。」

最初に、ドラムが入り、そのあとに、ベースが入った。そして、ギター担当の私が入る。廣瀬君に教えてもらったコードを弾いて、私の歌が入ってゆく。


1年に一度会える 桜が咲く季節
この瞬間 それが大事な時間
時には迷い 傷ついて
涙が出る時もある
経験とは自分を強くする

蕾が開き桜が咲く
当たり前の事だろうけど

桜の花弁の数は
自分が強くなった数
桜の花弁散る時
僕の命は散るでしょう

この歌詞の意味が、歌うときにわかった。
この歌詞は、廣瀬くんの事を書いた歌だったんだ。
歌い終わると、いつも切ない気持になるこの歌。
でも、それでも、この歌が一番好き。
―廣瀬君、私は大丈夫だよ。だから早く、病気直して?・・・ね?

27:なっちー&◆jE:2015/05/24(日) 15:26 ID:0Qg

「順番だ。薫。」
「あっ、はーい。」
「薫ちゃん、何ボーッとしてたの?」
「ごめんなさい・・・。」
「じゃぁ、行くかー。」
私はギターをもち、リハーサル室から出た。

私達は、会場へと向かった。
そして、マイクの前に立った。そこには、たぶん5千いや6千人以上の人がいた。こんなところで歌うんだと思うと、緊張してきた。
私は深呼吸をし、挨拶をした。
「こんばんは、ブラストです。」
私がそういった後、城崎君が撥でリズムをとった。
ー君にしか似合わない このドレス
君の代わりは何処にも居ないから

仲間とふざけあった少年時代は
今は綺麗な思い出
今そこにいるあなたの方が
もっと 綺麗だね

いっそ 僕が流れ星になっても
君は気付かないでしょう
どこへ居ても僕はいつも傍にいるよ

2君にしか聞こえない 僕の歌声
何故か届かない僕の気持ち

皆それぞれ進む道があるけれど
離れて初めてわかる
今その言葉君に伝えたい
ずっと “愛してる”

いっそ僕が流れ星になったら
君は気付くのでしょう
傍に居なくても気持ちは離れないよ

いっそ僕が流れ星になっても
君は気付かないでしょう
何処にいても僕はいつも傍にいるよ

これは、初めて聞いたブラストの歌。
「今日は、ボーカルが変わって初めてのライブです。こんなに来てくださり、嬉しさがこの上なく増しています。」
「薫ちゃーん。」
と言う、観客の声が大きく聞こえてくる。
「今日は、楽しんで言ってくださいね。」
「はーーーーーい」
今日歌うのは、さっきの歌、それから桜、新曲の夕陽の見える丘にを歌う。

28:なっちー&◆jE:2015/05/24(日) 18:37 ID:0Qg

「次の歌は、新曲の夕陽の見える丘に。」
―例えば僕が居なくなったとしても
僕はいつも傍に居るよ

ほら見上げてご覧 あの真っ赤な夕陽
丘の上に掠めてる あの大きな夕日に

空に登る月があるなら 皆を照らす月もあるよ あの丘にかすめるあの夕陽
皆が見つめている

orange色のあの夕陽が 僕の代わりだよ だから泣かないで あなたが泣けば
夕陽が隠れる あなたを見守る事も出来ない

空に登る月があるなら 皆を照らす月もあるよ あの丘にかすめるあの夕陽
皆が見つめている

「次の歌で最後になります。皆も知っている曲なんで、歌ってくださいね。」

1年に一度会える 桜が咲く季節
この瞬間 それが大事な時間
時には迷い 傷ついて
涙が出る時もある
経験とは自分を強くする

蕾が開き桜が咲く
当たり前の事だろうけど

桜の花弁の数は
自分が強くなった数
桜の花弁散る時
僕の命は散るでしょう

29:なっちー&◆jE:2015/05/24(日) 22:26 ID:4KY

ライブが終ったあと、近くにある公園に行った。
既に廣瀬君は待っていた。遠くからでも、廣瀬君だって判るぐらいの美形。
私は、廣瀬君が座っているベンチに腰をかけた。勿論、廣瀬君の隣に。
「ごめんね。遅くなっちゃって。体調は悪くない?」
「ああ、うん。大丈夫。でもちょっと寒い。」
廣瀬君はそう言って肩をぶるっと震わせた。私は、首に巻いていた長いマフラーを、外し、2人で暖められる様に巻き付けた。
「薫。」
凛とした、その眼差しに心を奪われた。その目はどこか不安そうで、でも、私を見る目は同様をしていなかった。
「俺・・・、こんなこと言っても、どう使用も無いのは分かってる。・・・俺達は兄妹。でも・・・。」
視線をずらしながら、言葉を続ける。
そして、何かを決意した様に、この言葉を呟く。
「俺は、・・・お前が好きだ。」
彼のその言葉を聞いた瞬間、私の思考は停止した。それはそう。私が、言おうとしてた言葉を、廣瀬君が言ってくれたんだから。
「ごめん・・・。忘れてくれ。」
彼はそう言って、ベンチから席を立った。そして、二三歩いたところで、彼は立ち止まった。何故なら、私が後ろから、抱きしめていたからだ。
「・・・好き。・・・好きなの。私は、・・・廣瀬君が好き。」
こんな言葉では伝えられない程、私は廣瀬君が好き。世界で一番。
廣瀬君は、私のその言葉を聞いた瞬間、私の手を離し、振り返ってくれた。
その顔は、今迄見た事のない顔だった。いつもの格好良い≠ニいう感じではなく、笑顔が素敵で、ちょっと頬が染まっている表情。
そう、小さい頃の面影そのままだった。

30:なっちー&◆jE:2015/05/25(月) 13:43 ID:4KY

「薫・・・」
「廣瀬君・・・」
私達はお互いに顔を見合わせた。背中に回した手は離さぬまま、お互いの存在を確かめ合うように、視線を合わせた。そして、次第に、顔を近づけて行った。斜めに顔を傾けて、もどかしいほどの時間を掛けながら、目を瞑り、やっと唇が掠めた。そして、口づけをした。お互いにやっと、気持ちが繋がったから、触れるだけのキスでも、すごく嬉しいと思った。やがて、唇を離した。私の目からは、嬉し涙が流れていた。だって、お互い気持ちが一緒だったんだもの。
「薫、大好きだ。」
廣瀬君はそう言って、私をギュッと抱きしめた。廣瀬君の力には遠く及ばないけど、私も精一杯、自分の力を振り絞り、お大きな背中に手を回し、廣瀬君を感じる様に、抱きしめた。
その時だった。
廣瀬君がしゃがみ込み、咳き込み初めた。
「廣瀬君、廣瀬君?」
私は慌てて、119に電話した。
「もしもし・・・」
『緊急ですか、家事ですか?』
「緊急です。」
『場所は?』
「〇×市の時計台公園です。」
『分かりました。名前は?』
「永瀬薫です。」
『すぐに向かわせますので・・・』
向こうの人が電話をきり、私は、倒れ込んだ廣瀬君を、冷えないように、抱きしめた。手が震えていて、思う様に動かない。
ただ一人、そう思っていた。

救急車は十分足らずで、駆けつけてくれた。私は、廣瀬君と一緒に救急車に乗り込んだ。代に乗っている、廣瀬君の手を握り、顔を見つめた。
案外近くで見ると、本当に似ていた。
長いまつ毛に、高い鼻、白い肌、柔らかい唇。あたりから見たら、双子にしか見えないほどそっくりだった。
私は、空いている右の手で、唇を触った。
そこにはまだ、さっき触れた柔らかい唇の感触が残っていた。
これが夢なら、どれだけ救われるか・・・。

31:なっちー&◆jE:2015/05/29(金) 10:39 ID:DO.

私は病院に着いた後、先撮ったレントゲンの写真を見ながら、説明を聞かされていた。今回咳き込んだ理由は、喉にある腫瘍が悪化したかららしい。だから、もう薬で悪化を防ぐ事も出来ないらしい。それで、手術をすることになった。
日程は、四月六日。そう、私の・・・いえ、私達の誕生日の日に決まった。
その頃にはもう、桜が満開だろうなぁと妄想を膨らませた。

私は、廣瀬君の病室に入った。此処は、個室になっているから、部屋も広く、風通しもいいという事で、この病室になった。
私は、ベットの横に椅子を置き、腰を掛けた。私より、一関節ぐらい大きな手を握りながら、こう呟いた。
「・・・お兄ちゃん。」
「・・・その言い方、やめろよ。」
寝ている筈の廣瀬君の声が聞こえて、私はそちらを見た。さっきまで瞑っていた筈の瞼は、パッチリと開いていて、澄んだ目で私を見つめていた。
「お兄ちゃんって呼ばれんの好きじゃねぇんだ。だから、唯斗って呼んで?」
「・・・えっ?」
唯斗って呼んで?≠ニ言われても、今迄呼んでたのは廣瀬君≠セし、言えるわけ無い。
そう思うと、顔が紅く染まっていった。
「ゆ・・・と」
私はそう、耳元で呟いた。
「えっ、何?聞こえなかった。」
それはそうだろう。呟いたかの様な声だったから。
「唯斗の馬鹿ー」
私は、そう言って、唯斗を抱き締めた。あの夢みたいな事は起きない。絶対に起こさない。
私はこの時そう決意した。

32:なっちー&◆jE:2015/05/29(金) 10:40 ID:DO.

第五章 卒業
そして、高校の卒業式。
この綺麗な門を潜るのもこれで最後かと思いながら一息つく。
私は、森山大に推薦で合格し、晴れて緑山を卒業する。緑山は、私立高校だから、大学も付属なんだけど、将来の夢が在るから、私は森山大に行く。
私の夢は、保育士。だから、大学は保育科に行く事にしたんだ。森山大は、サークルとかも有るらしいから、行くのが楽しみだ。一回、見学で行ったことが有るけれど、本当にいい学校だった。緑が溢れていて、校舎は古いけれど、中は食堂とかもあって、清楚な雰囲気だった。校内には、笑い声や、話声。それから、楽器の音・・・。四月から、この学校に通うんだと思うと、今からワクワクしている。

「薫、何辛気臭い顔してんの?」
親友である七瀬ちゃんが愛加ちゃんと一緒に門を潜って来る。
「んーん。何でもない。」
私は、息を飲んで笑顔で振り向いた。二人とも、笑顔で私を迎え入れてくれ、たわいの無い会話をした。
そんなことをしていると、男子校の方から声が聞こえてきた。私を呼ぶ、声が―――。
「薫・・・。」
透き通った声が、私の耳に届いてきた。私は、男子校の方に首を傾けた。そこには、唯斗が居た。大きな声は出せていないが、私に声を掛けてきてくれた。それだけで胸が、キュンって高鳴った。
「唯斗だ・・・。」
私は唯斗の方へと向かい、走った。
皆は、私たちが双子の兄妹って事は知らない。と言うより、教えていない。
だけど、私はそれでいいと心から思っている。
だって、許されない恋だと解っているんだから。
「どうしたの?唯斗。」
「んーん。姿見かけたから、声掛けただけだよ。・・・あっ、それとこれ。皆で食べなよ?」
唯斗が渡してくれたのは、ショートケーキだった。しかも手作りの。
「溶けちゃうよー、どうしろっていうの、これ。」
「今食え。」
唯斗はそう言うと、柵から飛び降り、歩いて行ってしまった。
「どうしたの?それ。」
いつの間にか、となりに来ていた愛加ちゃんが、タッパを指さして尋ねる。
「唯斗が、友達とたべろって。」
「よーし、卒業式サボって屋上行こっか。」
七瀬はそう言うと、笑顔で屋上に向かった。私達も呆れながら、後をついて行く。


屋上に着いて、タッパの蓋を開けると、ケーキと一緒に、綺麗なオルゴールが入っていた。
「何だろう?これ・・・」
私はちっちゃな取っ手がついている事に気が付き、取っ手に手を掛けた。
そして、開いてみると、そこには、半分に折ってある紙と、シルバーの綺麗な指輪があった。
「素敵ね。これ。」
タッパに入っているケーキの事も忘れ、三人とも、オルゴールに夢中に成っていた。
私は、取り出した半分に折ってある紙を開いた。
私は、はっと息を飲んで、もう一度書いてある文字を呼んだ。
俺の病気が治ったら
結婚しよう
間違いなくそう書いてあった。綺麗な字で、唯斗の性格がバッチリ出ている字。
私は、指輪と、手紙を交互に見た。
何度確かめても、その光景は変わることがなかった。私はその事が確認できたとき、ポロと涙が溢れた。この涙は、悲しいから出ているんではない。嬉しいから、涙を流してるんだ。
「ちょー・・・薫?どうしたの?」
「薫ちゃん?」
二人が、そう言って、私を心配して見てきた。私は、制服の裾で涙をぬぐい、笑顔を見せた。一片の邪念も曇もない、笑顔を。
「もう・・・、しょうがないなー。」
と呟きながら。

33:なっちー&◆jE:2015/05/29(金) 10:40 ID:DO.

最終章 証
卒業式にもらった指輪は、毎日身に着けて離していない。唯斗にもyesの返事を返した。ケーキも美味しかったし、何より、あの綺麗なオルゴール。あれも唯斗の手作りだったらしく、桜と言う曲が入っている。
何もかもが、私にとって、思い出であり、宝物に成った。

そして、手術の日。
私は、台に乗って居る唯斗をずっと隣で見ていた。一言だけだけど、弱音をわたしに吐いて来た。
「俺、死にたくないよ。」
私は、強く唯斗の手を握り、勇気づける為にこう言った。
「大丈夫。唯斗。貴方は死なない。だって、約束でしょ?」
左手の薬指に輝く指輪を見せた。
「そうだよな。俺は、お前に約束したもんな。死なねぇって。」
「そうだよ。これが証≠ネんだもん。」
私は、そう言って左手を見せて、今出来る、精一杯の笑顔を唯斗に向けた。
「解った。行ってくるな?薫。」
「うん、頑張ってね。」
私は、先生に唯斗をお願いし、手術室の外にある椅子に腰を掛けた。
そして、手を握り、祈った。
―神様、唯斗を死なせないで下さい。お願いします。唯斗を助けてあげて下さい。―
私は、涙を流しながら、神様に祈った。


それから数時間が経ち、出頭してくれた、山西先生が手術室から出てきて、私に頭を下げてきた。
「最大の手段を尽くしました。もう大丈夫ですよ。声帯の方も傷ついて居ませんから。」
そう言って笑顔を向けて、山西先生が去っていった後、私は力なく地べたに座り込んだ。


それから一週間が過ぎ、唯斗は退院した。
「先生、声帯の方もカバーして頂き、有難う御座いました。」
唯斗が深々と頭を下げながらそういった。
私も唯斗同様にお礼を行って、頭を下げた。
「いいえ、どう致しまして。もう声の方は大丈夫そうだね?」
「はい。もう大丈夫です。有難う御座いました。」
唯斗は笑顔を向けると、私の左手を絡めとった。
「行こうか?」
「うん。」
唯斗が私の歩幅に合わせ、ゆっくりと歩いてくれる。私はたったそれでけの事なのに、ついつい、笑みがこぼれてしまう。それが何故なのか、件等もつかないけど、今はそれでもいいから、互の時間を大事にしたいと思った。たとえそれが、つかぬまの事だとしても、唯斗とこの先、生きてゆけるという実感があるなら、今を大事にしたいと本気で思った。


私達は、事前に買っておいたマンションに、帰った。そこには、今日唯斗が退院すると聞いて集まったブラストのメンバー、それから、愛加ちゃんと七瀬ちゃん。皆が集まっていた。
唯斗はまだ状況が掴めないらしく、ポカンとしていた。
私はそんな唯斗に耳打ちした。
『今日、これが終わったら二人でどっか行こう』
と言ったのだ。
「何なに?二人してー。」
「そうそう、席ついてよー。」
「そうだよー。」
愛加ちゃんと七瀬ちゃん、宮磨君が、そう言ってくれた。


その夜。皆はもう遅いからと言って、帰っていき二人きりになった。
私も、散らかった部屋を片付けると、唯斗の隣に腰を下ろし、肩に持たれた。
何を話さなくても、気持ちが伝わるとは思っていない。でも、今は・・・、今だけは、この二人の時間に浸って居たい。私はそう思うと、唯斗の手を、強く握った。唯斗は、ギュッと私を引き寄せると、見つめ合い、口付けをした。
お互いの存在を確かめ合うかのように、唇を重ねた。
「薫っ、大好きだ。」
そう言って強く、私を抱き締めた。

―これからもこの幸せが、続きますように―

34:颯:2015/06/05(金) 18:04 ID:eVw

読ませてもらいました。
感じたことは沢山ありますが単刀直入に言うと意味不明です。
どこが? と言われても多すぎて書ききれませんが、
日本語として理解できない文章が多く見られ、
読み取ることが困難だったのが1番の原因です。
かろうじて雰囲気だけは伝わってきますが、
一体どういう状況なのか全く分かりませんでした。

とは言っても、バンドを通して成長してゆく主人公とその物語自体は(ほとんど伝わってきませんでしが)、魅力的だと思いましたし、逆にだからこそ残念な作品だなと感じました。

押し付けがましいことを承知で言いますが、
最低限伝わる程度の文章の書き方を教科書等で確認するか、プロの方が書いている作品をそのまま書き写して今一度、文章能力を高めることをお勧めいたします。

35:なっちー&◆jE:2015/06/05(金) 20:45 ID:IKA

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アドバイス有り難うございます。
この作品は、バンドと共に育った主人公と言うのが、目的ではありません。
ただ、永瀬湊が結成した、ブラストを子供達がボーカルとして、有名にした。と言う、小説を目指して、書きました。

今度書くのは、結成する前の話になります。


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