第一章「夢?それにしてはリアルです」
―い……唯……。
誰だろう?私を呼ぶのは。
『唯、起きておくれ』
その声に、私は目を開けた。
そこには、見慣れた人の顔が。
『よく聞いておくれ、唯』
そう言って真剣な表情で話を進めるのは……。
私の、おじいちゃん。
『唯、いいか?おじいちゃんはな、もうすぐ死んでしまうんだ』
『え……?』
唐突な言葉。私はそれに目をぱちくりさせた。
『おじいちゃん?何言ってんの?』
おじいちゃんは、私の質問には答えず、話を進める。
『唯、おじいちゃんが居なくなったら、これは、唯がもらっておくれ』
そう言って、おじいちゃんが私に渡したのは、小さなお菓子。
『おじいちゃん……』
『あの時の約束、守れんですまないな』
『おじ―……』