―笑って、泣いて、怒って……。
こんな毎日がずっと続いていくんだなって思ってた。
私が欲しかったものは、ただ一つ。
それは、永遠―。
prologue「白の思い出」
「本当」の思い出はここだけにある。
まだ幼い私が見せたかったものは何か。
―ねぇ、あぐりちゃん。大きくなったら、僕のお嫁さんになってくれる?
幼馴染の宮本晴希は、5歳の私にそう言ったんだ。
まだ幼かった私は、そう言われたときはすごくうれしくて。
変わるものなんてない、終わるものなんてないと思っていた。
小さいから、おもちゃでも絵本でも何でも買って貰えた。
でも、本当に欲しいものは手に入らなかった。
でも、私には本当に欲しいものがなんなのかまだわからないんだ―。
ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ……。
目覚ましが鳴っている……のは分かるけど……。
私は布団にさらにもぐりこんで二度寝をしようとした。
すると、部屋のドアがゆっくりと開き、足音が二つ入ってきた。
そして……。
「あーぐりっ!起きろー!」
「あぐりちゃん、起きて」
全く同じ声が聞こえたかと思うと、一人は私の上に馬乗りになり、もう一人は控えめに声をかけてきた。
布団から顔を出すと、予想通りの女の子たちが私を見つめていた。
「起きた?おはよ!」
「おはよぉ、あぐりちゃん」
彼女たちは、花畑小羽菜と花畑小由梨。
私の幼馴染だ。
二人は一卵性の双子で、姉の小羽菜はセミロングの黒髪をポニーテールにし、妹の小由梨はアレンジなしでそのまままっすぐに伸ばしている。
それくらいでしか見分けがつかない仲がいい双子ちゃんだ。