アナログプラネット

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1:苺ましまろ:2015/10/06(火) 10:08 ID:EIk

広い広い、偉大な宇宙の中に浮かぶ、小さな地球。そこに住む「人間」と言う生物は、何故草を食し、菌だらけの汚水を体内に流し、同じ種類の生き物を裏切り、そもそも何故集団行動するのだろうか。
私たちは、そんな球体からは届きもしない惑星で、毎日死人を誘き寄せ、この惑星の住人にすることだけが使命だ。そして、少しでも危険性のある人間を消すように命じる。



超能力の宿った人間を消せ

2:匿名:2015/10/06(火) 10:17 ID:EIk

〜プロローグ〜


このオレンジ色の髪の毛で、どれだけ苦労したか。

母親も父親も綺麗なストレートの黒髪だった。でも、何故私はオレンジ色の癖毛なの?

不良扱いや絡み、周りからの痛いほどの視線、校長からの説教。
地毛なのに。染めたりなんかしたくないよ。第一、目立ちたくもない。
なのに周りに流され、性格も悪くなって、今じゃそこら辺の不良を仕切るわ殴り倒すわする存在。
それが原因で親が離婚、父親は行方すら解らない。母親は体が弱いのに無理して働いて頻繁に倒れ、今年から高校生の姉も休学してアルバイト。
校長に許可貰えたからいいものの、姉は正直退学にするかも悩んでいた。

3:苺ましまろ:2015/10/06(火) 10:22 ID:EIk

それが、私は何?
病んで、人を殴って、人間不信になって。
ふざけんなよ。今まで死んだ人の命と取り替えてしまいたい。母親の体が弱くなってしまったのも、私を産んだ時に血がいっぱい出て瀕死になったときの後遺症らしい。
中学校に入学したら、何か変わるのかな。
私はそこで、人生をやり直そう。
今までの惨めな自分にさよなら。
私は、新しい私になるんだ。

4:苺ましまろ:2015/10/06(火) 10:28 ID:EIk

〜第一話〜


「おはよう!」
「宿題見せて〜」
「昨日のギャグ100連発見た?」

うん、見たよ。
すっごいすっごい…………!


笑えなかったわ。

中学校生活が始まって早2週間。
あんなことやこんなことがあり、私の頭の中は混乱状態。

「よぉ、松野今いいか?」

教室のドアの前に立つ、すらりと高い背の女。

「あ、柳澤先輩だ!」
「今日もかっこいい〜」
「ね、話しかけられてるあれ、例の不良でしょ?」

聞こえてるよ。
「聞こえてるか?
松野れ〜ん〜k」

「聞こえてるから黙れ!」

くっそ。うるせえよ。
私は目立ちたくないって言ったのに。



ことの始まりは、丁度入学式の日。

5:苺ましまろ:2015/10/06(火) 10:46 ID:EIk

校長の延々と続く話を聞きながら私は正直焦っていた。
マズイマズイマズイマズイ。
周りは早速仲良くなってしゃべってんのに、私だけ………なんか場違い?

「見てあの子。髪染めてるよ」

と生徒たちの目が言ってる。
違うってば。私は不良なんかじゃないんだよ!



その時だった。
空に白い稲妻が走り、大音量と共に学校の避雷針に落ちた。
地震みたいに体が揺れ、椅子から転げ落ちた。
「きゃああああああああ」
「私達、死んだりしないよねぇ!?」
「天気予報では…快晴っていってたよおぉお」
恐怖のせいか、生徒たちの声は震えていた。
「皆、落ち着いて!」

二発目。
次は桜の木に落ちた。そこに更にもう一発。
それにあれは………なんだろう。紫色の何かが飛んでいる。

「ねえ、さっき…からっこの校庭の中にばっかり落ちてない…ぃ?」
「呪われてるの!?」
「やめてよ…」


桜の木から、火が出てきた。
火事!

「皆さん落ち着いて!このまま激しい雨が降れば、自然と消えるわ!」

女教師の震え声は、私以外の誰にも届いていないようだ。講堂内はどんどん騒がしくなり、鼓膜がビリビリしてくる。
「火が…こっちに来るよ!芝生が燃えて…」

一階の壁が黒くなっている。
そしてこの臭いは………
「なに!?」
「皆、避難するから、南口から出て…」
その瞬間、生徒は押し出されるようにして外へ出た。私は転び、踏みつけられながら、ただひたすら恐怖と痛みに耐え続けた。
怖いと痛いが交わり、それが涙になって目から流れ落ちる。
外に出るのが怖い。このままじゃ、私死んじゃうよね。
「ねえ、もう誰も居ないわね!?」
「え」
女教師の声が微かに響いた。
そして、重々しいドアのしまる音と、無数のガチャガチャ、という音…

嘘!

閉じ込められた…。
「開けてえ!」
叫んでも、足音は遠ざかり、次第には何も聞こえなくなった。
異常な心拍の速さと、燃え盛る炎にひたすら怯える。
私だけ、一人ぼっちで消えちゃうんだ。誰にも、気付かれないままで。

6:苺ましまろ:2015/10/06(火) 10:59 ID:EIk

「ああああああああああああああ」


なに!?
外から、夥しい叫び声、そして異様な音が聞こえた。
「…雨」
雨に似てる。でも、それにしては異様に大きい。
外を見てみると、
「…!!!!」
滝が降ってる。地面で跳ね反って、回りに飛び散っている。生徒や教師は頭から血を流して倒れ、燃えていた炎は消え、音が聞こえてから約1分経過しただけなのに、深さ50センチ程の水が溜まっていた。血と混ざり合い、奇妙な色になっている。
「ひぁあ………」
外に出てたら、私も…?

本当に独りぼっちになっちゃった。
外の皆は、目を見開いて浮かんでる。もう、亡くなってしまっているのだろうか。
もう、私も皆と一緒に………



「ひいい、皆さんどうして浮かんでるんですか!?」

右から声。
見てみると、クリーム茶色の髪の女の子が、窓の外を見て絶叫していた。
「貴女、いつそこに…」
「ひ、あ…逃げ遅れたの私だけじゃないんですね、良かった…」
その子は顔をこっちに向けてお辞儀をした。
「私、一年生の、姫川千華と申します。」
その子はめちゃくちゃ美人で、童顔で、まるでフランス人形だった。マシマロみたいな白い肌に、チョコレートみたいな瞳、苺みたいな唇。お菓子の擬人化みたいにふわふわで、可愛い。
「わわわわわわわ私は、一年生の松野蓮花です…」
私、自己紹介したの初めてかも?

7:苺ましまろ:2015/10/07(水) 07:53 ID:EIk

なんて和んでる場合じゃないって。なんなの、この雨は。雨って呼べる現象なのか、それとも異常事態なのか。
どっちにしろ、人の頭が割れるくらい勢いが凄まじいんだから、異常なのは確かだ。
私たちはどうやってここを出て、助けを呼べばいいんだろうか。今外に出れば、溺死か大量出血で天に召される。でも、ずっとこの中にいても、いつかは崩れてしまいそうだ。
姫川さんだって、虚ろな表情で外を見ている。赤く晴れ上がった目は、既に光を失っていた。
「もう、助かる術はなさそうですね。」
諦め切ったその声に、私は何故か無性に腹が立った。
「諦めたら終わりでしょ。
やってみなくちゃ解らないじゃない」
ああ、こんなこと言って、何の方法もないのに。私が偉そうに言える立場じゃないのは解ってる。でも、このまま死んでいいの?
「……じゃあ、どうやって逃げるんですか」
戸惑う私に、更に追い討ちを掛けるように冷たい声が降りかかる。


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