暇を発散のため唐突に終わるがどうせ誰も読まないからいいだろとかいってみる。
2:メガネ:2015/12/03(木) 02:17 ID:ipc 「おっす!」
「うわっ、なんだよお前なんかテンション高くね?」
まぁな、と笑うこいつは所詮幼馴染みというやつで、エガオガステキなイケメンだ。なんでイケメンという言葉がいきなりでてきたかなんて誰もつっこまない、俺の頭の中の文章にすぎないからうんぬんかんぬん。
中学に入学してから二回目の終業式、体育館の屋根は日光から守ってはくれるけどどうしても暑くて、校長の長い話を聞いててぶったおれる奴がいないのが不思議なくらい暑い日で。
その暑さはまわりのみんなだけでなく俺や親友のこいつの頭もきっとじわじわと蝕まれていってて、だからこんなにおかしな思考回路なんだ。
成績表を渡されてはしゃぐ奴と現実逃避する奴と、だけどみんな最後に行き着くのは夏休みをどんな風に過ごすかで、
なぁんか小学校の頃とあんまし変わらないような光景が広がる。子供だなぁ。
「成績表見せやがれ!」
「馬鹿いってんじゃねぇよ、こういうときはいっせーので同時に、だろ?」
「だな」
訂正、俺もかなり子供だ。でもさ、中学二年生ってこんなもんだろ?人生で一番お馬鹿な時期なんだよきっと、大人でもないし受験もないからわりと浮かれていられる時期。
先生がみんなが静かになるまで終わりませんと鼻息荒く叫ぶ、気づかないくらい盛大なおしゃべりをしているやつらはまず近くの優等生に注意されて、それからクラス全員からブーブーいわれて、つまらないギャグで返してドッとわかせて、それで、おしまい。
帰りの会が終わったあと大きな歓声と椅子を動かすときにでる耳障りながちゃがちゃ音が教室中に響く響く、普段なら耳障りなそれも夏休み特有の不思議な興奮にかかればどうでもよくなってしまう。
家が隣のこいつと俺は帰り道も勿論一緒で、夏休みの過ごし方についてああだこうだと言い合う。このとき俺たちみたいな奴の頭には宿題という二文字はない。
「家に居座ってばかりだと口うるさい母ちゃんに怒られるから今回の夏休みは外メインでいこう」
「そうだな」
「どうせなら海いこうぜ海!」
「そうだな」
「聞いてないだろお前」
他人からみたらてんで面白くもないような茶番に二人してゲラゲラ笑いながら帰るお昼ちょっとすぎは、時間帯も相まって特別な感じがした。
家に帰れば成績表見せなさいのお声がすぐにかかった、あいつの口うるさい母ちゃんという言葉がぴったりとあてはまって頭の中にうかんできた。ぴったりだ。
中の中な成績表をみせ唸る母さんにドキドキしながら冷凍庫にあったポッキンをとった。正式な名前はしらないこのアイスは何故か夏になるときまってうちの冷凍庫に納まっている。
始まった母さんの愚痴を聞き流して適当に返事をしながら二階にある自室を目指し階段をかけあがった、待ちなさいといわれてももう遅い、鍵付きの部屋にはいってしまえばこっちのもんだ。
『おっす!』
マジでなんなんだこいつ
「おはよう我が親友よ、ところで今何時かわかってる?」
『海いこーぜ』
「そうだね、朝の5時だね」
昨日のテンションそのまんま引き継いでないかこいつ、てかどうやったらそんなに朝からテンションあがっていけるわけ?低血圧だっていってなかったっけ?
『準備しとけよ』
家にまで押し入ってきたこいつに呆れながら結局俺も準備して、いざ海へ。
それなりに時間がたっていたからもう太陽はあがっていて、結構暑い。駅まで徒歩十五分長いのか短いのかよくわからない距離にあるこの駅は、特に大きくもなく小さくもなく、この地味な町に見あった地味な駅だ。
いきあたりばったりで来てみたわりには運よく電車がきて、スマホの便利なアプリでポチポチしてしまえばすぐに目的地への行き方が分かった。
時代は進んだものだと若い俺でも思うときがある、俺達が小学生の頃は憧れていたあのパカパカひらく携帯電話が今やガラパゴス呼ばわりだ。
乗り換えの駅で少し待つことになった俺達は自動販売機で各々の飲み物を買った、俺はいろはすのたんさんのやつでこいつはオランジーナ。土の味しか俺は感じないけどこいつがいうには今まで飲んだ中で一番うまいらしい、時々こいつはちょっとおかしいと思う。
ついた先の駅は俺達の町のあのショボい駅よりもさらにショボくて、もう逆にいい味だしてるくらいにボロかった。切符を機械に通していざ駅の外へ、海が近いのか微かに匂う磯の香りに俺は中2心をくすぐられてちょっとにやついた。
それはこいつも一緒だったようで、俺以上にニヤニヤしていた、イケメンが崩れていて大いに笑える。
「よっしゃいこうぜ!」
「おぉっ!」
「頼むアプリ!!」
「なんか決まらないよなお前って」
スマホをチラチラ見ながら進んでく、おいおい歩きスマホかよ、ヤンキーだな。とか、ふざけてみるけど反応薄くてつまんね。
外出するにはまだまだ早い時間に家から離れて海へ、なんて絵に描いたような青春物語だ。これが可愛い女の子とらならなぁと思わないでもないが、俺だってそんなに小さい人間じゃない、少しくらいは妥協してやろう。
よく整理された林のなかを歩いていく、赤く細かいチップみたいなのでうめつくされた道はさっきまで踏んでいたコンクリートとは違って少し柔らかい気がする。
途中に木造の遊具が申し訳程度にある公園を通りすぎた、木々の葉の遮りをうけなかった朝特有の優しい日の光が公園を所々照らしていて綺麗だった。
海はもっと綺麗だった、俺の視界にはひとっこひとりいなくて、ただただ海と空が続いていて、きっとこの海の向こうにはちゃんと誰かがいるんだろうけど、今この瞬間だけはこの世界には俺しかいないんだと思った。
「来てよかっただろ」
ふと俺しかいなかった世界に入ってくる奴が1人、太陽には負けるかもしれないけど、まぁまぁまぶしい笑顔でのぞきこんできたこいつは、たぶんだけどこの素晴らしい景色を全く見ていない。
「感謝してやっからお前もうちょっと景色楽しめよ」
「え、俺はいいよもう何回も見てるし、あっヤベッ!!」
「え、お前何回もこんなことしてたの?」
「おう」
口すべちゃったみたいな顔をしていたくせに俺が鈍い反応をしてみせればすぐに調子のりやがって、嘘へたか。幼馴染みなめんなよこのやろう。
そっからいきなりテンションが高くなったこいつに振り回された俺はへろへろになって家に帰りついた、アウトドア派でもインドア派でもないけどもうしばらくは外じゃなくて家でゴロゴロしたい、昼まで寝たい。