魔法少女マジカル☆ロジカル

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1:苺ましまろ*◆LM:2015/12/27(日) 23:51 ID:W6s

__人には誰にでも、心の奥に輝く宝石を持っている。


※若干グロ注意です。

2:苺ましまろ*◆LM:2015/12/28(月) 00:11 ID:W6s

心臓が止まるその瞬間まで、私は戦い続けなければいけない。そういう運命なんだから…。


既に新たな敵は戦闘不能状態だが、一応トドメを刺さなければならない。死んだふりも有り得る。
戦いとは、全神経を一点に集中させ、全ての思考を統一させて行う、いわゆる真剣勝負だ。
少しでもよそ見をすれば、命取りになることだってありうる。
私はひくひくと震える敵に近付き、そいつの真っ赤な体を見下ろし、マジカルロッドを振り上げた。
そして少しだけ開いた唇の隙間から、絞り出すように声を漏らした。


「お休みなさい」

3:苺ましまろ*◆LM:2015/12/28(月) 00:15 ID:W6s

今回もとても弱かった。あんなの敵じゃない。私一人で充分だ。
スキだらけで攻撃も甘く、バリアさえも張れない雑魚。
私はこんな戦いに興味はない。もっと楽しい戦いをしたい。
私には戦うことしか出来ないんだから、それくらいの望みは叶えてほしいわ…

4:苺ましまろ*◆LM:2015/12/28(月) 00:16 ID:W6s

第一章

「人の心」

5:苺ましまろ*◆LM:2015/12/28(月) 00:19 ID:W6s

人は何故笑うんだろう?
人は何故人を裏切るんだろう?
人は何故悲しむんだろう?
私には理解出来ない。
だって私には感情がないから。
だって私には…「心の宝石」が無いから。

6:苺ましまろ*◆LM:2015/12/28(月) 00:23 ID:W6s

私は、博士に寄って造られた、人間型ロボット。
人と同じように、動いたり、喋ったり出来る。
ただ、完璧な博士にも造れないものがあった。
「『人の心』は……造れないな。」
人の心の仕組みなんて分かる筈がない。博士は完璧な自分以外認めない性格だったから、それから狂ったように「人の心」を造る研究を重ねた。

7:苺ましまろ*◆LM:2015/12/28(月) 00:27 ID:W6s

そんな博士に私はこう言った。
「博士、博士ノ感ジルコトヲ機械ニ記録シテ、ソレヲワタシノ中ニイレレバ…」
「黙れ!お前のために私は『心』を研究しているのだ!馴れ馴れしく喋りかけるな!
しかもそれじゃお前の『心』じゃない、私の『心』だ!」
私は博士に『心』が欲しいなんて頼んでない。何かを望んだこともない。
だって私には、『心』がないから。

8:苺ましまろ*◆LM 多分私が書いた小説だと思うので続きを書こうと思います。違ってたら本当にごめんなさい。:2017/12/21(木) 22:09

第二章

「心がないせい」

9:苺ましまろ*◆LM:2017/12/21(木) 22:14

とある日、博士がいきなり倒れた。
私には何故博士が倒れたのかが分からなかったから、ただ近くで苦しそうに呻く博士を見てた。
「そ、そこにある薬をッ……」
博士が普段とは違う声でそう言ったから、私は言われた通り机に置いてあった白い錠剤を博士の目の前に置いた。
「水、もッ」
言われた通り、書類やら金属の部品やらで散らかった机の上にあった水も、置いた。
それを飲んだ博士は、元の博士に戻った。

10:苺ましまろ*◆LM:2017/12/21(木) 22:17

青白い顔をしながら、博士はゆっくりと起き上がる。
「博士、ドウシタンデスカ」
私は訊ねた。だって、私を見下ろした博士の顔は、ぐしゃぐしゃに丸めた新聞紙みたいだったからだ。
何度も見た事がある顔だ。
私が大事な部品にコーヒーを零した時、部屋に穴を開けた時、カーテンを開けた時。
決まって博士は、この顔をする。
そして、私を殴る。

11:苺ましまろ*◆LM:2017/12/21(木) 22:22

「ふざけるな!何故お前は言わないと分からないんだ!」
またこの言葉を言いながら、何度も何度も私を殴った。
博士の手は真っ赤に腫れ上がっていて、殴り終わる頃には血が滲んでいた。
そりゃそうだよ、私硬いもん。
「……やれやれ、また修理しないといけないな」
博士はそう言いながら、私の頭と胸にドライバーを突き刺した。そしてグリグリと抉るように回す。
別に何とも思わない。博士がぐしゃぐしゃの新聞紙になっても、殴られても、博士から血が出てても、私は何とも思わない。

「……お前は、過ちを記録出来るが、いくら怒っても反省は出来ないからな」
博士は泣きながら私の頭に手を突っ込んだ。

12:苺ましまろ*◆LM:2017/12/22(金) 21:04

第三章

「完璧以外許さない」

13:苺ましまろ*◆LM:2017/12/22(金) 21:07

完璧って何だろう。
博士が追い求めた完璧とは、一体どんなものなんだろう。
「博士、博士ガ思ウ完璧ッテ何ナンデスカ?」
私は気になったから訊ねた。
「私ノ中ニ、ソノ情報ガ入ッテナイノハ何故デスカ」
「お前には必要ない情報だからだ。」
博士は教えてくれなかった。

14:苺ましまろ*◆LM:2017/12/22(金) 21:12

「私は完璧なものしか認めない」
深夜。博士が呟いた。
真っ暗な部屋に、パソコンの液晶画面の光だけを頼りに、博士は何かを書いていた。
万年筆が紙の上を滑る音。
「そうだ、完璧なもの以外は要らない」
博士はそう言って、ドスッと音を立てて立ち上がった。床に積まれたダンボールに椅子が当たったのだ。
痩せ細った骨と皮だけの腕が迫ってくる。枝のような指が。光る眼鏡のレンズが。薄ら笑いを浮かべる博士の顔が。

15:苺ましまろ*◆LM:2017/12/22(金) 21:13





博士は笑いながら私に言った。


「完璧な世界を作ってくれ、――」

16:苺ましまろ*◆LM:2017/12/23(土) 11:10

第四章

「なんにもない」

17:苺ましまろ*◆LM:2017/12/23(土) 11:17

「……博士」
朝になったら、博士は椅子に凭れたまま動かなくなった。手から落ちた万年筆から、インクが漏れている。
「オーイ。博士」
声を掛けたけど、博士は全く動かない。いつもなら、寝てる間も胸は上下しているはずなのに。
胸――心臓が動いてないって事は、博士は死んだんだ。

18:苺ましまろ*◆LM:2017/12/23(土) 13:40

私を作ってくれた博士は、もう消えた。
私の改造をする事も、殴る事も、完璧になる為の知識を教える事も、もう出来ないんだ。
だけど、私は何とも思わない。
博士が死んだ。ふうん。へえ。
ただ、それだけ。

19:苺ましまろ*<偽者>LM:2017/12/23(土) 18:48

うん。それだけだよ。

20:苺ましまろ*◆LM:2017/12/23(土) 19:46

あ、博士が死んだんだ。そう思っただけだった。
死体は放っておくと腐敗するって事は知っていたけど、私には腐敗を止める事も、人に手を貸してもらう事も出来ない。人と会話が出来ないのだ。
どうする事も出来ない。
それにも何とも思わなかった。

だけど、これから私は何をするべきなのかは分からなかった。私の行動は、全て博士が指示していたのだ。
博士が死んだんだから、私も死ぬのか。

死のう。電源を切ろう。

――……

21:匿名:2017/12/23(土) 20:04

切れば〜?この小説意味わかんないんだけどぉ

22:苺ましまろ*◆LM:2017/12/23(土) 20:43

第五章

「何をすればいいのか」

23:苺ましまろ*◆LM:2017/12/23(土) 20:46

ヴィー……
電源が入った。私は目を覚ます。
あれ、電源、切ったはずなのに。それに博士も死んだはずだ。目の前に腐った骨の塊がある。多分あれは博士だ。
じゃあ誰が私の電源を入れたんだろう。
「……やっぱり」
声が聞こえた。私の設定された声とそっくりだ。
まさか私が言ったの?
「壊れてない?おーい」
違う。私じゃない。

「早くここから抜け出すよっ」
電源コードが引き抜かれ、次の瞬間私の身体は宙に浮いていた。

24:匿名:2017/12/24(日) 11:46

あっそ。宙に浮いたからどうした?

25:苺ましまろ*◆LM:2017/12/24(日) 11:58

体ががくがくと上下する。
「ドコニ連レテイクツモリデスカ」
「今は黙ってて!誰かにバレたらマズいことは分かってるでしょ……」
確かに博士は、私を人に知られることを酷く恐れていた。博士が嫌がる事は、してはいけない。
私は私と同じ声のその人に、従う事にした。

26:苺ましまろ*◆LM:2017/12/24(日) 12:04

26分後。私はボロボロの建物に入れられた。中は博士の部屋と同じくらい汚れている。
「ふーっ、やっぱり重いわね、あんた」
肩を回しながら陽気に笑うその人の顔は、どこかで見たことがあったような気がした。
「アナタハ誰デスカ。私ト会ッタコトガアリマスカ。」
私は訊ねた。
「ええ、忘れちゃったの?」
その人は目を真ん丸くした。
「私、博士の姉よ。あなたの生みの親の、家族。
そして、あなたの声は、私の声なの。」
「意味ガ分カリマセン」
「だからぁ、あなたはロボット!喋る事なんか出来ないのよ、本来ならね。
だけど、博士は完璧なあなたを作るために、私の声を録音して、加工したものをあなたに与えたの。」
あぁ、だからか。この人が私と同じ声をしていたのは。
「アノ。
私ハコレカラ、何ヲシテイケバイインデショウカ」

27:匿名:2017/12/24(日) 16:22

クズ小説だなw

28:苺ましまろ*◆LM:2018/01/26(金) 01:26

第六章

「新しい使命」

29:苺ましまろ*◆LM:2018/01/26(金) 01:33

私が訊ねると、その人は待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた。
「そう、今日はそれを伝えに来たの。本当は博士が死んだ日に言わなきゃいけなかったんだけど、博士ったら部屋に人を入れたがらないでしょ?家族の私すら入れてくれないのよ?」
「ソンナコト訊イテマセン。私ハコレカラドウシタライインデショウカ。」
私はその人の話を無視して訊いた。
「……そっか。博士は無駄話が嫌いだったものね。」
その人は少しの間黙ってから、そう呟いた。
「ごめんね。ちゃんと教えてあげる、博士があなたに何を望んだのか、そしてあなたは何をするべきなのか。」
その人は、得意げに笑った。

30:苺ましまろ*◆LM:2018/01/26(金) 23:02

「あなたには今日から、完璧な世界を作ってもらうわ!」
「完璧ナ世界?」
完璧って、博士が大好きだった言葉だ。私が記録している限り、二十万回はこの言葉を発していた。
「そう。博士が望んだ世界を、あなたが作るの。」
その人はそう言って、薄汚れたスカートのポケットから、レポート用紙をとりだした。そこには乱れた文字がぎっしりと並んでいた。
多少乱れはあるけど、これは博士の字だ。

31:苺ましまろ*◆LM:2018/01/26(金) 23:06

「これは、博士が心臓が止まるその瞬間まで書いていた、あなたへのメッセージ。ここには博士があなたを作った理由と、あなたがやるべき事が書いてあるわ。でも……」
「……?」
気が付いたら、右の目玉代わりのビー玉を押されていた。
ここは、額に取り付けてあるカメラで、映像を記録する為のボタンだ。
「ここに書いてある事をするだけじゃ、完璧な世界は作れないわ。だから私が、あなたに新しい使命を与えてあげる。」
その人は、目を見開きながら口角をつり上げた。

その人が取り出した別のレポート用紙が、私の中に記録された。

32:苺ましまろ*◆LM:2018/01/27(土) 07:22

第七章

「心臓」

33:苺ましまろ*◆LM:2018/01/27(土) 07:23

――……

『あなたの名前は、』

34:苺ましまろ*◆LM:2018/01/27(土) 07:30

――……

『あなたにはこれから、不完全なこの世界を、完璧な世界にしてもらうね。
その為には、不要なものを始末しなければいけない。
不要なものは、主に他人を貶める人間、罪を犯す人間、それから他の博士が作り出したロボット。
日本の中だけでも、あなたと同じようなロボットが何台も存在する。でも、決して博士と同じ事を望んでいるとは限らない。中には人殺しなんかを当たり前とする世界を作り出そうとしている者も居るわ。人殺しがどれだけいけないことか、あなたの中にはちゃんと記録されているわよね?
だから、博士があなたに教えた不要なものを、ひとつ残らず始末しなさい。』

レポート用紙には、そう書いてあった。
博士の字じゃナい。博士の意思じャなイ?
でモ、こレガ私の使命。
私ハ、完璧な世界ヲ作ル為ニ、不要ナモノを消ソウ。

35:苺ましまろ*◆LM:2018/01/27(土) 07:37

そうと決まれば、早く終わらせてしまおう。
「ちょっと待って。」
肩をぐいっと引っ張られる。
「ネジガ外レテシマイマシタ」
「あ、ごめん」
私が文句を言うと、その人はポケットからドライバーを取り出して、緩んだネジを戻してくれた。
「不要なものを始末する前に、まだやることがあるの。
今のあなたはただのロボットだから、コンセントに繋がれてないと動けないわ。仮に繋がれてなかったとしても、バッテリーはいつか切れる。あのアパートも死体が腐敗してるから、頻繁に出入りすることは難しいわ。
だから、充電しなくても済むように、あなたには心臓をあげる。」
「心臓?」
「そう。これは、――の心臓だから、」
その人は握ったドライバーを、私の胸に突き刺した。
あ、博士もこんなふうにしてたな。もっと優しくしてくれないと、穴が広がって使い物にならなくなるのに。

「大切に、してね。」
心臓と私が、繋がれた。

36:苺ましまろ*◆LM:2018/03/20(火) 18:10

第八章

「初めての始末」

37:苺ましまろ*◆LM:2018/03/20(火) 18:14

気が付いたら、路地裏で寝てしまっていた。
塀と塀の隙間から見える空はもう、深い紺色に染まっていた。
星も月も見えない。寂しい夜。
博士は、そんな夜が好きだって言ってたっけ。誰もが寝静まったこの時間が、とても好きなんだと。ふふ、懐かしいなぁ。
…………。
……あれ?
私、まるで人間みたいだわ。博士との思い出を振り返って、こんなに楽しい気持ちになるなんて。
そう、これが楽しいって気持ちなんだわ。初めて感じたけど、すぐに分かった。私、今、とても楽しい。
それから、すごく寂しい。博士が亡くなったことが、いまになってやっと悲しいと思った。
これも、あの人が私に繋いでくれた心臓のおかげ?
でも、気持ちって心臓から伝わってくるものじゃないはずよね。
確か……脳、だっけ。
あの人は、私に脳みそまでくれたってことなの?

38:苺ましまろ*◆LM:2018/03/20(火) 18:26

そうだ、あの人は今どこに居るの?私が眠っている間に、どこに行ったんだろう。
この心臓が誰のものなのか、はっきり聞き取れなかったから、もう一度訊こうと思ってたんだけどな……。

「あーもう、くそ!」
ガン、と何か硬いものが塀にぶつかった。音がした方を見ると、そこにはベコベコに凹んだドラム缶が転がっていた。
「ちっ……何だよあいつ、いっつもいっっつもえっらそうにしやがってっ……」
再びドラム缶が塀にぶつかる。
誰かがドラム缶を蹴ったんだわ。
「あなたは誰?」
私が訊ねると、その人はびくっと肩をはねらせた。
「は!?何だよっ」
私に気付いてなかったのね。
「どうしてそんな事するの?」
私がもう一度訊ねると、その人は小さく舌打ちをして、私に背を向けた。
「待って」
私は立ち上がって、乱暴にその人の腕を掴む。
「離せよ!」
その人は私に掴まれた腕をぶんぶんと振り回して、何とか振り払おうと必死になった。
でも、ロボットの私の力には適わない。
「くそ、何なんだよ!」
「あなたはだれ、どうしてそんなことをするの、って訊いてるの。」
「は!?何でんなこと話さなきゃいけないんだよ!」
「気になるから。」
「知るかよ!」
「あなた、悪いことをしたのね。だから話さないんでしょう。」
「は!?何で私が悪いんだよ!悪いのは全部あいつだろ!」
「あいつって?」
「父親だよ!いつもいつも偉そうにしてムカつくんだよ!」
「父、親……」
「そうだよ!あいつにムカついたからアレを蹴ったんだよ!
話したからもういいだろ、いい加減離せって!」
「あなた、不用」
「え?」
私のつぶやきを聞き返したその人の口を、腕を掴んでいない方の腕で掴み上げた。

39:子桃__こもも:2018/03/22(木) 23:52

「いったっ……離せってば!」
その人は口をもごもごと動かす。
「あなたは不要だから、排除しなくちゃ」
「な、何言って――」
次の瞬間、私の右腕がステッキ状に変形する。
そして、ぱん、と、小さな音を立てながら、その人は肉塊に姿を変えた。

これが、初めての「使命」だった。

40:こもも◆/s:2018/06/05(火) 23:30

第九章

「排除」

41:こもも◆/s:2018/06/05(火) 23:32

それから、私は何回も、何十回も、何百回も、使命を果たしていった。

弱い者をいじめる者。
嘘を吐いて人を騙す者。
暴力を奮って言うことを聞かせようとする者。
罪のない人をころす者。

もう数え切れない。私は何人も、殺した。

42:こもも◆/s:2018/06/22(金) 22:19

遠い昔、博士が「人が傷付くと、人は胸が痛む」と言っていた。だけど不思議と、私の心は痛まなかった。それは私が人じゃないから?それとも私が消していった不要な人が、本当は人なんかじゃないから?
考えても分からない。分からないのがもどかしくて、私はそれを紛らわすために、不要ではない人間まで殺していった。

43:ちもも◆/s:2018/07/19(木) 20:55

もう何回夜を迎えたんだろう。
朝も昼も夜も、私は鮮血を浴びていった。目の前にある肉塊を蹴散らしながら、私は無我夢中で人を殺した。
もう、不要だとか不要じゃないとか、分からなくなってしまった。
博士は私に何をして欲しかったのか。それが分からないのが、苦しかった。
胸が張り裂けそうになった。細い針金でぐるぐる巻きにされて、そのまま左右に引っ張られるような気分だった。ぶち、ぶち、と、肉が張り裂けるような音がした。
また、一人殺した。私はもう、訳が分からなくなった。

44:ちもも:2018/08/02(木) 21:22

第十章

「残された人間は果たして……」

45:ちもも:2018/08/02(木) 21:25


「ああ……」
全身血まみれの私を見た人間が、悲鳴をあげながら逃げていった。
もう、私の存在は、全世界に知れ渡っていた。
テレビ番組はすべて私の話題で埋め尽くされている。
『この少女を見たら、すぐに屋内に避難して、警察に連絡してください。』
そんな声が、建物に張り付いた液晶画面からながれていた。
この間までは人で溢れかえっていた子の交差点にも、今は私しかいない。
ふと、私は思った。
人間は、みんな敵だ。
みんなみんな、不要だったんだ。
博士は、人間を絶滅させたかったんだ。
完璧な人間なんでいなかったんだ。
みんな、私を見たら逃げていく。それって、弱いから、私に勝てないから。そうでしょう?
だから、私は、人間を1人残さず消さなくちゃいけないんだ。

46:容姿端麗なぷーき、新居浜まで泳ぐ:2018/08/02(木) 22:50

レス失礼します。
めっちゃ面白いです…!
応援してます!

47:ちもも:2018/08/03(金) 18:57

>>46ありがとうございます☺︎︎

48:スノーフレーク◆0ImvZSZ2ic:2018/08/22(水) 23:49

続きかいてください

49:ちもも:2018/08/25(土) 19:57

>>48ありがとうございます!書きますね☺︎︎☺︎︎☺︎︎

50:ちもも:2018/08/25(土) 20:05


残された人間を、ひとつ残らず殺さなきゃ。
そう思った私は、信号が点滅する交差点の真ん中で、くるりと体を半回転させた。
「……あ」
私が進もうとした先に立っていたのは、私に心臓をくれたあの人だった。
「あなたは」
「ねえ、今、あなたがどんな存在になってるか分かってる?」
不思議と、その人の顔は苦しげに歪んでいた。
「分かってますよ。私は博士のために世界を綺麗にしてるだけなので、どうでもいいですが」
「違う!博士は、こんなふうになる事を望んでたわけじゃない!」
その人は叫んだ。
「あなたに博士は、色んな人の気持ちを理解して、人を助ける事が出来るロボットにしたかったの!博士はあなたに学習させたはずよ、博士があなたにしてきたような事をする人が居たら、そんな事をする原因を突き止めて、その人も被害者も両方助けてあげるようにって!なんで、何でこんなこと……」
「はぁ。あなたは何を言ってるんですか?」
「もうやめて!警察に行って、あなたは壊してもらうべきよ!」
「それは出来ないです。」
「なら、私が責任を取って――」
その人は、背後に隠していた手を突き出した。そこに握られた包丁は、太陽の光を受けてぎらりと鈍く光っていた。

「――あなたを」
「責任を取って、死んでくれるんですね」

「――あ」

私は、その人の顔を殴った。目が潰れた。鼻が破れた。口が裂けた。その人の顔は、原型を留めないほど醜く潰れてしまった。

そこに残ったのは、汚い肉塊と、わたしだけ。

「…………私がしねばよかったんですか」

私は、何故か死体に話しかけていた。

51:ちもも:2018/09/11(火) 16:39


それから、私は世界中の人を殺し続けた。

もう、何も無くなってしまった。

動物も、全部殺した。

私しかいない。

地球に残ったのは、私だけだった。

そして、私は自分を壊した。

博士に託された使命を終えて、その博士もいないのなら、もう私が生きている意味も理由もないから。

私頑張ったんだよ、博士。

だから、天国で、私の事、たくさん褒めてね。

52:ちもも:2018/09/11(火) 16:40

完結です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。

53:&◆rI:2018/11/10(土) 18:24

良かった👏👏😄😚💓💓

54:ちもも:2018/11/21(水) 15:12

>>53ありがとうございますε٩( ºωº )۶з

55:ちもも:2018/11/21(水) 15:13

こんな三年前のどういうお話にしようとしてたかも覚えてないような継ぎ接ぎの小説を読んでくれてありがとうございます(๑╹ω╹๑)

56:千百宇 なんだか続きが書きたくなったので書きます。:2019/05/06(月) 11:53


いつからか、私の中の設定はおかしくなっていった。
博士は、不要な人間を排除してほしいなんて望んでなかったんだって。本当は、みんなが幸せに生きていけるような世界をつくりたかったんだって。
それじゃあ、私はどうして使命を間違えてしまったんだろう?あの女の人と出会ってから?いや、もっと前だ。私は、ずっと博士は完璧な世界を望んでいると記録していた。でも、違ったらしい。
どういうことだろう。薄れていく意識の中で、私は暗闇を手探りした。

……あ。そういえば。
あの女の人が言ってたな。「私以外にも、私のようなロボットがいる」って。
そのロボット達は、どうなったんだろう。きっと、知らないうちに私が殺したんだろう。
そのロボット達は、自分の生みの親である博士の願いを叶えてあげられたのだろうか。果たせる前に、私に壊されたのだろうか。
分からない、わから――

意識が薄れる中、心臓が止まった。

アレ。コの感触ハ。

「……博士?」

私に埋め込まれた心臓は、博士の、モのダッた、

57:千百宇 なんだか続きが書きたくなったので書きます。:2019/05/06(月) 12:01


「ヤレヤレ。コイツハ失敗作ダッタナ。」
「エ……」
交差点の真ん中に横たわる私を見下ろすのは、死んだはずの人間達だった。
――いや、違う。
「マサカ、ナンデ」
ロボットか、お前らは。
「ドウシテ、生キテルノ」
「ソレハ自分自身ニ言ッテルノカ?」
ア。そうだ。心臓が止まったはずなのに、どうして生きてるの、私。
「オ前ハロボットダ。心臓ガナクトモ動クコトハデキルダロウ。ソウイウコトダ。オ前ハ死ネナイ。私達モダ。」
何を言ってるんだろう。心臓がなくなったなら、あとは電池が切れるのを待つだけだ。
「ハハハ。私ノ主ヲ殺シテオイテ、オ前ダケ天国デ主ト再会スルナンテサセナイカラナ。」
「私達ハ、博士ニ永遠ニ動ケルヨウニ設定サレテイルノダ」
「オ前ノ主ニソノ技術ハ備ワッテイナカッタヨウダガ」
「私達ニハ、ソノ技術モ備ワッテイル」
「ダカラ」
無数の手が、私に伸びる。
逃れたくても、自分で壊した体はもう動かなかった。

『私達ト一緒ニ、永遠ニ地獄デ生キテモラウ』


――……



再起動





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