第一話 真っ赤に輝く希望の光!キュアフランボワーズ誕生!
町の人 「きゃああああああああっ!」
町の人 「に、逃げるぞ!!!」
町の人 「何なのよこれっ!」
町は危機にさらされていた。
建物は崩れ落ち、空は黒い雲に覆われ、大きな灰色の怪物が町を壊して行く。
なのか 「ひぃ!」
そのとき、一人の少女めがけて大きな瓦礫が落ちてきた。
なのか 「きゃあああああ!」
??? 「プリキュア!アロマローズシールド!」
何者かに寄り、なのかの前にシールドが張られる。
なのか 「あ、あなたは…?」
??? 「いいから、早く逃げなさい!ここは危険だわ!」
なのか 「でも…」
??? 「早く!!!」
なのか 「は、はい!
あの……助けてくれてありがとうございましたっ!」
??? 「…!どういたしまして。さ、早く逃げなさい。」
なのか 「はい!」
なのかは全速力で逃げた。
なのか 「あの人に……また会えたら…いいな」
〜七年後〜
なのか 「お母さん、行ってきます!」
なの母 「ん、行ってらっしゃい!」
なのかはスキップで桜が舞う街道を進む。
なのか (私、野苺なのか!十二歳の小学六年生!性格は人見知りだけど、新学期を期に、私は新しい友達をたくさん作りたいって思ってるの!)
なのか 「まずは話しかけやすい雰囲気を作らなくちゃね」
ゆりね 「なのかちゃん!おはよう!」
なのか 「ゆりねちゃん!」
ゆりね 「もうクラス表見た?」
なのか 「ううん、まだ。」
ゆりね 「なのかちゃんは友達と同じクラスになれたかな〜」
なのか 「ゆりねちゃんはどうだった?」
ゆりね 「親友とは離れたけど、また新しい友達たっくさん作るから大丈夫♪じゃねっ!」
なのか 「じゃあね〜」
(はぁ…ゆりねちゃんはいいな…すぐ友達が出来て…)
なのか 「えーっと、私のクラスは…」
クラス表が貼られた掲示板にたどり着いたなのかは、生徒たちに押されながら前に出る。
なのか 「のいちご…野苺…野苺………あ、あった!」
なのかのクラスは、六年三組だった。
なのか 「へえ、結構知ってる人もいるな…何だか上手く行きそうな気がするっ!」
なのかは桜の木を見上げ、にっこりと笑った。
〜数日後〜
なのか 「う〜ん、やっぱり今日も行きたくないよ〜…」
なのかは顔色の悪い状態で教室に入る。
なのか 「はぁ…」
なのかは挨拶もせずに席についた。
なのか 「はあ…まだ朝なのに…」
しの 「野苺さん、ちょっといいかしら」
なのか 「っ!!う、海風…さん」
しの 「場所を移動しましょう。下級生が見たらあらぬ誤解を受けるわ」
なのか (下級生に誤解されることって何〜…まさか暴力!?)
しのとなのかは校舎の屋上へ向かう。
しのは学級委員長なので、鍵は担任から預かっている。
なのか (そっか、海風さんは学級委員長だから、鍵を渡されているんだ)
しの 「ねぇ、野苺さん……。屋上はいいわよね」
なのか 「えっ?」
しの 「誰もいないし、風もとっても気持ちいいじゃない。」
なのか 「うん…でも、私は屋上に来たのは初めてだから…」
しの 「ふーん。
それで野苺さん、ちょっと話があるんだけどいいかしら」
なのか 「な、何…?」
しの 「私、最近とても不思議な夢を見るの。キュア…キュアマーガレットって言う人が、灰色の大きな魔物と戦う夢…」
なのか 「そ、それって…!!」
しの 「やっぱり野苺さんも知ってるのね」
なのか 「えっ?」
しの 「その夢に、あなたも出てきたんだもの。」
なのか 「ええっ!?私が……?」
しの 「ええ。かなり小さな子供の姿だったけど、あれは絶対に野苺さんだわ…」
なのか 「私、だよ。その…子供は」
しの 「やっぱりね……」
なのか 「あれは本当に起こった出来事なんだ。私が襲われて、キュア…マーガレットが助けてくれたの」
しの 「じゃあ、私が見た夢は…現実…ってことね」
なのか 「はい……
あの、それと…下級生に見られちゃいけないことって何ですか?」
しの 「ああ、いや……何でもないわ、ごめんなさいね」
しのは屋上のドアを開け、階段を降りていった。
なのか 「海風さん……」
なのかはしのの後ろ姿を見つめてしばらくぼーっとしていた。
〜数時間後〜
担任が教室に入ってくる。
担任 「ちょっといいかしら。朝、屋上の鍵が開けっぱなしだったようです。この中で、屋上にいった人はいますか?」
なのか (!!そうだ、あのとき…海風さんが先に行っちゃって、鍵を閉め損ねたんだ!ど、どうしよう……)
クラス中が静寂。
担任 「……この中には居ないって、信じてもいいわね?」
しの 「…先生」
しのが席を立つ。
なのか 「!海風さ…」
しの 「野苺さんが、鍵を開けっぱなしで屋上から出てくるのを見ました。」
なのか (え!?)
クラス中がざわざわと騒ぐ。
担任 「静かに!
本当なの?野苺さん」
なのか (うそ、うそうそっ、どうしよう!?海風さんに…裏切られちゃった)
なのか 「…はい」
なのか (屋上から鍵を掛けずに出てきたのは私だもんね……)
担任 「そう……
次からは気を付けなさい。」
なのか 「…はい」
なのかは無表情で座っているしのを睨み付けた。
〜放課後〜
なのか 「何なの?海風さん。脅されて呼び出されて、挙げ句の果てには私に責任をなすりつけて。いくら何でも酷すぎるよ……」
??? 「お前、憎い奴がいるようだな」
突然、目の前に背の小さな女の子が立ち塞がる。
なのか 「だ、誰!?」
??? 「私は岩 瑠璃。…っと、そうじゃなくて、ラピスラズリ、かな」
なのか 「な、何ですか?そこ……通らせて下さいっ」
瑠璃 「まあまあ、そう怖がらないでよ」
なのか (何なの?行きなり通せんぼされて、怖くないわけないじゃん!)
瑠璃 「お前、憎い奴がいるようだな」
なのか 「憎い人…?」
瑠璃 「お前の心が叫んでるぞ。あの子さえいなければ、私は怖い目に会わなくても良かったんだってさ」
なのか (まさか、海風さんのことじゃ…)
瑠璃 「ほら、心当たりもあるみたいだな」
なのか 「ち、違うもん!」
瑠璃 「違うって言い切れるのか?」
なのか 「っ……」
瑠璃 「あぁめんどくせぇ!さっさとハートストーンを寄越せ!」
なのか 「えっ」
瑠璃は両手をなのかの前で構えた。
瑠璃 「人を好く心を無くし、憎しみに苦しんで暴れろ!」
なのか 「きゃあああああっ!」
なのかから小さな宝石が抜き取られ、なのかはそのまま倒れた。
なのかに手をかざしながら、瑠璃は叫ぶ。
その宝石からは、既に光が失われていた。
瑠璃 「出でよ、ヘイトリッドグリーフ!」
なのかの体から灰色の液体が流れ出て、そのまま大きくなっていく。
怪物 「グリーーーーーフ!」
町の人 「きゃあああああああ!」
町の人 「うわあああっ」
瑠璃 「ふふふ…もっと暴れろ…そして全人類を消し、宇宙は我らダークリングの物となるのだ!」
怪物 「グリーーーーーフ!」
怪物は暴れまわり、町を破壊していく。
瑠璃 「ヘイトリッドグリーフ、もっとやれ!」
なのかの意識がうっすらと戻った。
なのか 「う、ここは……」
その時、怪物の動きが止まる。
瑠璃 「何をしている!早く町を壊せ!」
なのか 「嫌だ!町を壊したくないよ!」
瑠璃 「はっ、こんなちっぽけな町のために何かすることねえよ」
なのか 「私は海風さんを恨んだりしないし、この町のことも守ってみせる!あなたたちの野望は見過ごせないわ!」
ピカッ!
その時、怪物がピンク色に輝き、その直後に破裂した。
瑠璃 「な、何!?」
そして、なのかが光の真ん中で凛々しく立っていた。
なのか 「な、何…?どうなってるの?」
チェリ 「あーーーーー!
あなたは伝説の戦士、プリキュアチェリね!?」
なのか 「え!?」
ピンク色の小さな生物がなのかの元へ飛んできた。
なのか 「伝説の戦士、プリキュア…?」
チェリ 「聞いたことあるチェリ!?」
なのか 「う、うん、キュアマーガレットとは会ったことある…」
チェリ 「本当チェリ!?なら……」
瑠璃から、なのかのハートストーンが戻ってくる。
瑠璃 「何っ!?」
チェリ 「これはハートストーンチェリ!心の中の宝石チェリ。気持ちによって姿を変えるチェリ。」
なのか 「私の……心……」
チェリ 「これに気持ちを込めると変身アイテム、シャイニングストーンに変わるチェリ!」
なのか 「分かった、やってみる!」
なのかは宝石に「みんなを守りたい」と気持ちを込める。
チェリ 「なのかの心に、プリズムスタージュエルが反応したチェリ!」
チェリーの胸のリボンから、煌めく宝石が飛び出す。
チェリ 「これをシャイニングストーンにセットして、『プリキュア・ステップアップ』って叫ぶチェリ!」
なのか 「分かった、やってみる!」「」「」「」「」
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
なのかはシャイニングストーンにプリズムスタージュエルをセットする。
すると体が光り、みるみるうちに変身していく。
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
瑠璃 「何!?プリキュアだと!?」
チェリ 「やったチェリ!やっぱりこの子はプリキュアだったんだチェリ!」
フラン 「人の感情をもてあそぶ者よ…今すぐそんな愚かなことはやめなさい!」
第二話 私にはプリキュアは出来ない!?
フラン 「はあああああ!」
瑠璃 「お前……よくも!!」
フラン 「今すぐ反省して、さっさと帰りなさい!」
瑠璃 「ふざけんな!ラピスラズリインパクト!」
フランボワーズに向かって黒い攻撃弾がはなたれる。
フラン 「きゃああああああ!」
チェリ 「フランボワーズ!!」
フラン 「いたた…」
チェリ 「大丈夫チェリ?」
フラン 「うん……」
瑠璃 「お遊びは終わりだ!消えろ!ラピスラズリ………」
フラン 「どうしよう!」
チェリ 「気持ちを込めるチェリ!」
フラン 「気持ち……分かった!」
フラン 「はあああああっ!」
フランボワーズのリボンに付いた宝石が煌めく。
フラン 「プリキュア!フランボワーズレボリューション!」
無数のピンクの花びらが瑠璃を包みこむ。
瑠璃 「くっ……覚えていろ!」
瑠璃は姿を消した。
フランの変身が解かれる。
なのか 「はあ…はあ…」
チェリ 「フランボワーズーーーー!」
なのか 「あ、あの、今のは一体……」
チェリ 「あなたは世界を守る伝説の戦士、プリキュアになったチェリ!」
なのか 「私が………世界を守る…」
チェリ 「そうチェリ!私は真っ赤な光の妖精、チェリーチェリ。」
なのか 「わ、私は野苺なのかです!」
チェリ 「じゃあなのか、一緒にキュアクローバーを探しに行くチェリ!」
なのか 「キュアクローバー?私とマーガレットの他にも、プリキュアがいるの?」
チェリ 「そうチェリ。正確には4人チェリ。」
なのか 「私、マーガレット、クローバー…あと一人は?」
チェリ 「それはまだ分からないチェリ。マーガレットかクローバーと会ったことがある人チェリ」
なのか 「それ、夢に出てきただけでも可能性はあるの!?」
チェリ 「まさか、心当たりがあるチェリ!?」
なのか 「うん……海風さんが言ってたけど……」
チェリ 「どうしたチェリ?」
なのか (私は海風さんとは相性悪いみたいだし、巻き込むのも悪いよね
…)
なのか 「ううん、何でもないよっ」
チェリ 「そうチェリか。
なのか、これからもよろしくチェリ」
なのか 「うん…」
なのかはゆっくりと立ち上がり、そばに転がっていたランドセルをしょって、家に向かっていった。
なのか 「うー、眠い…」
まだ8時にもならないうちに、なのかはうとうとしていた。
チェリ 「まだ7時40分チェリよ?」
なのか 「精神も肉体もボロボロ…」
チェリ 「きっといきなり変身したから疲れたんだチェリ」
なのか 「そうかな〜…」
そのとき。
ドシ〜ン!と大きな地響きがする。
なのか 「なに!?」
チェリ 「あいつらチェリ!」
なのか 「あいつらって……ラピスラズリ!?」
チェリ 「きっとそうチェリ!」
なのか 「もー、こんなときにっ」
なのか 「あのヘイトリッドグリーフとか言うやつ…何なの?」
チェリ 「人の心に宿る宝石『ハートストーン』が悪に染まるとできる怪物チェリ。
悪に染まると、怪物は狂って暴れるんだチェリ!」
なのか 「それを利用して、あいつらは世界を壊そうとしてるのね!」
チェリ 「そうチェリ!」
なのか 「許せないっ!」
なのかは手の中に気持ちを込めた。
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く正義の光!
キュアフランボワーズ!」
チェリ 「いくチェリ!」
フラン 「ええ、今度は逃がさない!ここで仕留めてやるっ」
怪物 「グリーーーーフ!」
町の人 「きゃあああああ!」
フラン 「はあああああっ!」
フランボワーズは町の人をヘイトグリットグリーフから守る。
町の人 「あ、ありがとうございます…!」
フラン 「早く逃げて!」
町の人 「は、はい!」
町の人は逃げていった。
フラン (あれ、これって……
マーガレットと私みたいだった…)
チェリ 「フランボワーズ!後ろチェリ!」
フラン 「………え?……!」
いつの間にかフランボワーズの後ろに回っていたヘイトグリットグリーフが、フランボワーズを殴り飛ばす。
フラン 「きゃああああああ!」
瓦礫の山に直撃し、その反動で地面に背中を擦られる。
フラン 「いった……」
チェリ 「大丈夫チェリ!?」
フラン 「ええ、心配しないで…」
瑠璃 「ふん、お前はヘイトリッドグリーフには到底敵わないようだな」
フラン 「ラピスラズリ!」
瑠璃 「昨日は手加減したが、今日はそう簡単には勝たせてあげられないな〜?」
フラン 「いくら煽ったって、私は動じないわよ!覚悟しなさい!」
瑠璃 「ふん、やれるもんならやってみろ!行け、ヘイトリッドグリーフ!」
怪物 「グリーーーーフ!」
フラン 「はあああああああああ!」
瑠璃 「弾き飛ばしてしまえ!」
怪物 「グリーーーーーフ!」
フラン 「くっ………う………きゃああああああああっ!」
チェリ 「フランボワーズ!!」
フラン 「う……もうダメ…」
チェリ 「諦めちゃダメだチェリ!町が壊されちゃうチェリ!」
フラン 「世界を守るなんて……私には無理だわ……」
チェリ 「フランボワーズ!!」
瑠璃 「今のうちに潰してしまえ!」
怪物 「グリーーーーフ!」
チェリ 「あわわわわわわわわっ」
フラン 「………もう…ダメ……!」
フランボワーズが諦めかけたその時だった。ヘイトリッドグリーフが歪曲し、遥か彼方へ飛んでいった。
チェリ 「!!!はああああああ……!あなた様は………!」
??? 「チェリー、その子を安全な場所へ!」
チェリ 「わ、分かったチェリ!」
フラン 「………あの人は…」
??? 「はあああああああ!」
その少女は、黄色い紙をなびかせ、優雅な動きで敵を圧倒していく。
フラン 「す、すごい…!」
??? 「プリキュア!ミーティアフラワー!!」
無数の星くずが、ヘイトリッドグリーフを包み込み、浄化させた。
瑠璃 「くっ、覚えてろ!」
??? 「大丈夫?」
フラン 「う、うん……」
??? 「あなたはまだプリキュアのヒヨッコ…あなたにはまだあいつらとの戦いは早いようね」
そういうと、彼女は姿を消してしまった。
フランボワーズの変身が解かれる。
なのか 「私、やっぱりプリキュアは無理……一人じゃ何にも出来ない役立たずだもん…」
チェリ 「なのか……」
なのか 「ごめんなさい、少し休ませて。」
チェリ 「………わかったチェリ」
2人は距離を置きながらゆっくりと歩いていった。
第三話 なのかピンチ!青い風と共に新たなプリキュア現る!
なのか 「はああああ、疲れた……」
生徒 「野苺さん、大丈夫?」
なのか 「うん、ありがとう…」
しの 「先生、一昨日の課題を全員分集めてきました」
担任 「お、ありがとう〜」
なのか (っ!海風さん……)
しの 「あ、野苺さん…」
なのか 「ご、ごめんなさい!」
なのかは教室を飛び出してしまう。
しの 「あっ…………」
なのか 「なんで逃げることしか出来ないの?こんなんだからラピスラズリに負けるんだわ!」
その頃、教室では…
しの (野苺さんには悪いことをしてしまったわ。学級委員長として全校生徒の見本にならなければと考えすぎて、つい野苺さんのせいにしてしまった…あれから一晩考えたけど、何て言って謝ればいいのかわからない…)
しの 「あ、ヤバイ、寝不足だ……頭が働かない……」
しのは倒れてしまった。
なのかはお腹が痛くなって、保健室で寝ていた。
なのか 「昔から緊張するとお腹が痛くなるんだよね……」
生徒 「先生!先生いますか!?」
なのか 「あれ、同じクラスの…」
なのか 「あの、先生なら今はいませんよ……」
生徒 「大変なの、海風さんが…!」
なのか 「!!!海風さん!!」
なのかの目の前に、生徒数人に支えられ、ぐったりとしたしのがいた。
なのか 「大丈夫!?海風さん!」
しの 「………」
生徒 「意識がないみたい…」
なのか 「病気だったらどうしよう……」
生徒 「とにかく寝かせよう!野苺さん、カーテン開けて!」
なのか 「う、うん!」
なのかは白いカーテンを開ける。
生徒 「せーの、よいしょ!」
しのはベッドに寝かされた。「」「」
生徒 「ごめんね、野苺さんも具合悪いのに……じゃあねっ」
生徒たちは保健室から出ていった。
なのか 「ごめんなさい…海風さん」
しの 「ん………野苺さん…?」
そのとき、しのが目を覚ました。
なのか 「海風さん!よかった…」
しの 「野苺さん…ごめんなさい…。私、学級委員長だから完璧じゃなくちゃいけないって思い込んでたみたいなの…野苺さんのせいにしてしまってごめんなさい……」
なのか 「私こそごめんね…!話反らしちゃって。本当は何か言いたかったんだよね?」
しの 「うん……野苺さんがクラスに馴染めていないから心配で……」
なのか 「そこまで私のこと…」
しの 「でも、下級生に見られるのが恥ずかしくて……」
なのか (なんだ……この子も私と同じだ!恥ずかしがりやで優しくて、思いやりのある女の子だ…!私、海風さんと仲良くなりたい……!)
なのか 「あのね、海か……しの、ちゃん!」
しの 「野苺さん……!」
なのか 「ううん、私はなのか。……なのかって呼んで!」
しの 「なのか……」
なのか 「しのちゃん!」
しの 「こんな私でも、仲良くしてくれる?」
なのか 「勿論!私、しのちゃんと仲良くなりたい…!」
しの 「なのか……ありがとう」
瑠璃 「ふーん、美しい友情だねぇ」
保健室の窓から、瑠璃が中へ入ってくる。
なのか 「!!ラピスラズリ!」
しの 「え?知り合い?」
瑠璃 「ふふふ、君とキュアフランボワーズの友情なんて、美しい…
わけないだろ!」
なのか 「しのちゃん、逃げて!」
しの 「でも……不審者なら、学級委員長として、生徒を守らなくちゃ……」
なのか 「早く…!学級委員長でも、やらなくてもいいことなんてたくさんある………。今しのちゃんがやるべきことは、逃げることだよ……」
しの 「なのか……
じゃあなのかは!?なのかだけこの人に立ち向かうっていうの!?
それに今、キュアフランボワーズって…」
なのか 「そういうこと……」
しの 「まさかなのかも………」
なのか 「私はプリキュア……キュアフランボワーズよ!」
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
しの 「本当に……なのかが…プリキュア……!?」
瑠璃 「お前はヘイトリッドグリーフには到底敵わん!
お前のハートストーンを寄越せ!」
フラン 「しのちゃん逃げてーーーーーー!」
しの 「う、うん!!!」
瑠璃 「逃がすか!!」
フラン 「はああああっ!」
フランボワーズはラピスラズリに攻撃する。
瑠璃 「くっ……邪魔するな!」
フラン 「人の心を魔物にして暴れさせるなんて許せない!」
瑠璃 「ふん、妖精がいないと何も分からないお前が偉そうな口を利くな!」
フラン 「そうよ!私はチェリーがいないと何も分からない…でも!!」
フランはラピスラズリを殴り続ける。
フラン 「私は例えチェリーが離れていっても、絶対に諦めたりしない!!」
瑠璃 「お前から離れていくのは妖精だけじゃねえよ!
そいつもきっと、お前のことなんてどうでもいいと思ってる!」
フラン 「っ………」
しの 「違う!!!!」
瑠璃 「何っ!?」
しの 「私は……私はなのかが大好き…ずっと仲良くなりたいって思ってた……」
フラン 「しのちゃん…!」
しの 「だから、なのかが名前を呼んでくれたとき、すごく嬉しかった!だから……」
しのの体が青く光り出す。
しの 「私はなのか……いいえ、フランボワーズと一緒に戦う!」
ぽわーーーーーーっ!
しのの体から光が溢れ出す。
瑠璃 「くぅっ………この光はまさか…」
フラン 「しのちゃん…!」
チェリ 「この光はーーーー!」
チップ 「その子もプリキュアチプーーー!」
窓からチェリーと青いリボンの妖精が入ってくる。
しの 「私もプリキュアになれるのね!?」
チップ 「うん!僕と一緒に戦うチプ!僕はチップチプ!」
しの 「私はしのよ。」
チップ 「行くチプーーーーー!
チプーーーーーーーーー!」
チップのリボンから、シャイニングストーンが、しのの胸からプリズムスタージュエルが出てきた。
フラン 「しのちゃん…!」
瑠璃 「ちっ……」
しの 「プリキュア・ステップアップ!」
しのが青い光に包まれ、直後に変身した姿になり、こう叫んだ。
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!!」
第四話 青く煌めく正義の光、キュアブルースカイ誕生!
フラン 「しのちゃん……!ブルースカイ…!!!」
チェリ 「やったチェリ!」
チップ 「僕のパートナーチプ〜」
スカイ 「みんな……よろしくね!」
瑠璃 「くっ……」
フラン 「さあ、覚悟しなさい!」
瑠璃 「そう簡単には勝たせてやらないと言っただろう!」
スカイ 「2人で力を合わせれば勝てるわ!」
瑠璃 「ふん!勝手に自惚れていろ。」
ラピスラズリが姿を消した。
チェリ 「どこ行ったチェリ!?」
その頃、とある教室に、ラピスラズリの姿が現れた。
教師 「な、なんだ君は!」
男性教師が驚いて声をあげる。
瑠璃 「お前のハートストーンを寄越せ!
人を好く心を無くし、憎しみに苦しんで暴れろ!」
教師 「う、うわあああああああ!」
教師からハートストーンが抜き取られ、倒れた教師から灰色の液体が流れ出る。
瑠璃 「出でよ、ヘイトリッドグリーフ!」
怪物 「グリーーーーフ!」
生徒 「きゃあああああ!」
生徒 「あいつ、また出てきた!」
生徒 「逃げなくちゃ!」
生徒たちが次々と教室から出ていく。
生徒 「きゃあっ!」
一人の女子生徒が転んでしまう。その後ろには、腕を振り上げたヘイトリッドグリーフがいる。
生徒 「きゃああああっ!」
フラン 「プリキュア!フランボワーズ・レボリューション!」
怪物 「グリーーー…フッ!」
フランボワーズが放った攻撃で、ヘイトリッドグリーフは体制を崩した。
フラン 「今のうちに!」
生徒 「う、うん!ありがとう!!」
瑠璃 「ずいぶんと早かったな」
スカイ 「当たり前じゃない…学校をめちゃくちゃにされたら困るからね…」
瑠璃 「正義の光か何だか知らねえが、いい子ぶってんじゃねえよ?どうせ誉められたいだけだろ?」
スカイ 「いいえ!私は誉められたいから学級委員長に立候補したわけじゃない!
ただ、全校生徒のお手本になりたいと思っただけ!」
フラン 「そうよ!あなたなんかには分からないだろうけど…!」
フランのスカイが前に出て、手を振り上げる。
フラン 「はあああああああああ!」
スカイ 「はあああああああああ!」
ヘイトリッドグリーフに2つの拳がめり込む。
怪物 「グリーーーフ!」
フラン 「ブルースカイは今までずっと頑張ってきたのよ!」
スカイ 「フランボワーズ……」
フラン 「ブルースカイ!」
フラン 「ええ!」
ブルースカイがヘイトリッドグリーフの前で両手を大きく広げると、水色の花びらがヘイトリッドグリーフを囲んだ。
スカイ 「プリキュア!ブルースカイ・ジャスティス!!」
ヘイトリッドグリーフが花びらに圧縮され、そのまま弾け飛び、浄化されていく。
瑠璃 「くっ、覚えていろ!!」
ラピスラズリの姿が消えた。
そして、荒れ果てた教室も元の姿に戻り、2人の変身が解けた。
しの 「………なのか」
なのか 「しのちゃん〜〜〜!」
なのかがしのに飛び付いた。
なのか 「しのちゃん!しのちゃん!」
しの 「もうっ、なのか……」
なのか 「私、しのちゃんとプリキュアやれて嬉しい…!」
しの 「私も…私も、なのかと一緒にプリキュアやれて嬉しいよ…!」
チェリ 「2人はこれから、どんどん仲良くなるチェリね」
チップ 「とっても美しいチプ〜!」
そんな2人の姿を、校庭から覗く影があった。
??? 「仲間がいれば、彼女は何倍にも成長するわ。……きっと、私にも仲間がいたら……もっと…もっと……」
第五話 プリキュアは一人じゃない!新たな敵と新たな異変!
なのか 「しのちゃん、おはよう!」
校門の前でしのを待っていたなのかは、しのの姿を見つけるや否や、駆け足でしのに寄ってきく。
しの 「なのか、おはよう。ずいぶんと早いわね」
なのか 「うん!しのちゃんと喋りたくて〜」
しの 「ふふっ、朝から元気ね。今まで暗かったのは友達がいなかったからなの?」
なのか 「えへへ〜」
しの 「………希望」
なのか 「えっ?」
しの 「なのかは……フランボワーズは、希望のプリキュアなんだよね」
なのか 「うん!しのちゃんは正義でしょ?カッコいいな〜」
しの 「マーガレットは何のプリキュアなんだろう……」
なのか 「うーん…勇気?愛?」
しの 「バリアが張れたんだから、守り…とか?」
なのか 「あははっ、そうかもね〜」
2人が教室に入ると、既に生徒が何人か来ていた。
生徒 「野苺さん、海風さん、具合は大丈夫?」
生徒 「昨日、変な怪物がいたから心配で保健室に行ったらいなくなってたからびっくりしたよ〜」
なのか 「あ、ごめんね……」
なのか (この子たち……私とはあんまり話したこともないのに……)
しの 「あ、ありがとう、大丈夫よ」
なのか 「心配かけてごめんね……怖くなって、先に逃げちゃって…」
生徒 「本当!?良かった〜」
生徒 「2人ともいつも独りだから、心配してたんだよ〜?」
生徒 「これからは私たちとも仲良くしてねっ!」
なのか 「みんな……」
なのか (なんて優しい人たちなんだろう。私ならきっと、こんな風に話しかけたり出来ないよ……)
なのかとしのは自然と笑顔になった。
放課後、2人は公園の中を散歩していた。
しの 「チップたち、どこに行ったんだろう…」
なのか 「パートナーって、いつも一緒にいるイメージだけど…」
しの 「学校だからって気を使ってくれているのかしら」
なのか 「そうかもね!」
チェリ 「ゎぁあああああーーー!」
なのか 「えっ?」
チップ 「チプーーーーーー!」
チェリ 「チェリーーーーー!」
チェリーとチップが飛んでくる。
なのか 「そ、そんなに急いでどうしたの!?」
チェリ 「嫌な予感がするチェリ!
それも今までよりも強大チェリ!」
チップ 「きっと新しい敵が現れたんだチプ〜〜」
なのか 「しのちゃん!」
しの 「ええ!」
2人はシャイニングストーンを構えた。
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの 「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」
フラン 「行くよ、ブルースカイ!」
スカイ 「ええ、フランボワーズ!」
チェリ 「本当に仲がいいチェリね」
チップ 「嫌な気配がどんどん近付いてるチプ〜!」
??? 「それは、私のことかしら?」
フラン 「だ、誰!?」
フランボワーズとブルースカイの目の前に、女の子が現れた。ラピスラズリより頭2個分ほど背が高い少女だ。
ざくろ 「私は石崎ざくろ……いいえ、」
ざくろがブルースカイの腹部を攻撃する。ブルースカイは後ろに飛んで塀に直撃する。
スカイ 「う………」
フラン 「ブルースカイ!」
チップ 「フランボワーズ!後ろチプ!」
フラン 「えっ」
いつの間にか、ざくろがフランボワーズの後ろに回っていた。
ざくろ 「私はガーネットだ」
ドーーーーーーン!!
大きな衝撃波がフランボワーズを吹き飛ばし、木の幹に当たる。
フラン 「くっ……うぅ……」
ざくろ 「プリキュア……こんなものか…瑠璃…こんな奴らに手こずるなんて……弱すぎる!!」
フラン 「うぅ……強い……!」
スカイ 「歯が立たないわ……!」
ざくろ 「我々のためにお前たちには消えてもらう!」
フラン 「ブルースカイ、いくよ!」
スカイ 「オッケー!」
2人はガーネットを真っ直ぐ見つめる。
フラン 「私たちが力を合わせれば!」
スカイ 「どんな困難も乗り越えていける!」
ざくろ 「人間は独りでは生きていけない!だから群がって生活するんだ!人に頼ってばかりで、自分では何も出来ない!」
ガーネットとフランボワーズとブルースカイは殴り合いながら叫び続ける。
ざくろ 「それに少しでも気に入らない奴がいると仲間外れにする愚か者ばかりだ!」
フラン 「違う!!
人はみんな違うからこそ!!」
スカイ 「1つになったときの力が大きいの!!」
フラン 「確かに仲間外れは良くないけど…!!」
スカイ 「誰だって悪いところも受け入れられる!!」
2人 「独り独りが穴を埋めあっていけば、いつかは必ず完璧になれる!!」
ざくろが押され続ける。
ざくろ 「くぅっ……」
フラン 「はああああああああ!」
スカイ 「はああああああああ!」
ざくろ 「うああああああっ!!!」
ざくろが2mほど吹き飛び、背中を地面に打ち付ける。
ざくろ 「………っは……」
フラン 「はあっ……はあっ……」
スカイ 「……今よ、フランボワーズ!」
フラン 「うん!」
フランボワーズはガーネットの前で両手を構えた。
フラン 「プリキュア!
フランボワーズ・レボリューション!!」
花びらがガーネットを包み込む。
ざくろ 「くっ………う、うぅ………」
フラン 「ううう………」
ざくろ 「う……ぐ………うぅ……う……う…ぅあああぁあああぁあっ!」
バキン!
大きな音を立てて、花びらが散る。
フラン 「そんな……」
スカイ 「必殺技が……」
チェリ 「破られたチェリ…!」
ざくろ 「はぁ……くっ」
ガーネットは腕をおさえて、よろよろと立ち上がった。
ざくろ 「今日はこれくらいにしてやる……次はヘイトリッドグリーフを生み出して……やるか……ら…な……」
ガーネットは苦しそうに言いながら姿を消した。
フラン 「はあ………疲れた……」
スカイ 「あいつ…ラピスラズリと比べ物にならないくらいに…強い!」
チェリ 「でもさっきの攻撃で、かなりのダメージを与えられたはずチェリよ」
チップ 「でも2人も疲れてるチプ」
チェリ 「今日は休んだ方がいいチェリ!」
なのか 「少しずつ……馴れていくしかないよね」
しの 「ええ。少しずつでも強くなっていきましょ!」
チェリ 「チェリーも応援するチェリ!」
チップ 「僕も〜!」
なのか 「みんなで頑張ろうねっ!」
第六話 キュアマーガレットの正体を探れ!
なのか 「はあ〜、疲れた!」
チェリ 「ゆっくり休むチェリ」
なのか (昨日現れた新たな敵…ガーネット。ラピスラズリやヘイトリッドグリーフなんかよりずっと強くて、1対2でも押されてた…)
チェリ 「もっと強い敵が現れるチェリ!今のうちにマーガレットとクローバーを探すチェリ!」
なのか 「そんなこと言ったって〜。手掛かりもないし私の体も限界だし〜」
チェリ 「弱気になっちゃダメチェリ!」
なのか 「でも〜」
チェリ 「今日はちゃんと休んで、明日しのたちと一緒に探すチェリ!」
なのか 「明日は土曜日だよ〜?
せっかくの休みなのに〜…」
チェリ 「休んでられないチェリ〜〜!」
チェリーがなのかをポカポカと殴る。
なのか 「痛いー!やめてよ!」
チェリ 「クローバーは伝説中の伝説!探すのは難しいチェリ。きっとマーガレットなら何か知ってるチェリ!」
なのか 「だからまずキュアマーガレットを探すってわけね!」
チェリ 「そうチェリ!」
なのか 「それでさ、前から気になってたんだけど、チェリーとチップは一体何者なの?」
チェリ 「ハートフル王国のお姫さまチェリ!」
なのか 「え〜?チェリーがお姫さま??」
チェリ 「何チェリか、その疑ってるような言い方は」
なのか 「お姫さまは人を殴ったりしないんだよ?」
チェリ 「それはもういいチェリーーー!」
なのか 「チップは?」
チェリ 「チップは王子さまチェリ!」
なのか 「へぇ〜…なんかチップの方が女の子らしいよね」
チェリ 「失礼チェリね〜〜!」
なのか 「あはは、ごめん〜」
なのか 「どうしてチェリーとチップがここへ来たの?」
チェリ 「ハートフル王国が襲われたんだチェリ!」
なのか 「あいつらに!?」
チェリ 「そうチェリ!女王さまが戦ったものの、途中で力尽きてしまわれて、そのまま封印されてしまったチェリ。でも女王さまを封印したときに大きなダメージを受けた奴らのボスも、同じく封印されてしまったんだチェリ!」
チェリ 「ボスの名前はグラッジ。ダークグラッジ王国の支配者チェリ!」
なのか 「グラッジ…『恨み』…」
チェリ 「人の恨みが大好きな悪い奴チェリ!」
なのか 「人の恨み…!?許せない!!」
チェリ 「落ち着くチェリ!あいつの大好きな恨みの感情は、プリキュアの力を大幅に失うチェリ!」
なのか 「じゃあ、私たちが誰かを恨むと、プリキュアの力が弱まるってこと!?」
チェリ 「プリキュアの力は、希望、正義、優しさ、奇跡で生まれるんだチェリ!だから4人集まらないと、本当の力は発揮出来ないチェリ!」
なのか 「希望…正義…優しさ…奇跡…」
チェリ 「そうチェリ!それにもうすぐでグラッジの封印が解かれてしまうチェリ!」
なのか 「グラッジが復活したらどうなっちゃうの!?」
チェリ 「世界が……世界が闇に覆われ、グラッジに支配されてしまうチェリ!」
なのか 「そんな!どうにかならないの!?」
チェリ 「あいつは物凄い力の持ち主チェリ……4人の光の力と、女王様の力が1つにならないとうち勝てないチェリ……」
なのか 「そんなに莫大な力なんだ…」
なのかは不安になり、両手を握りしめた。
なのか 「でもさ!」
チェリ 「チェリ?」
なのか 「グラッジが復活しちゃう前に、私たちが4人揃って、女王様を復活させればいいんだよ!」
チェリ 「………でも、グラッジの力は計り知れないほどの…!」
なのか 「そんなの、敵いっ子ないかもしれない…でも!
やってみなくちゃ分からないでしょ?運命は私たちの手で変えられる!可能性は0%でも、私たちが100%にしようよ!」
チェリ 「そうチェリ!グラッジなんてメじゃないチェリ!」
なのか 「ええ〜?それは言い過ぎだよ〜」
チェリ 「とにかく、明日マーガレットを探すチェリ!」
なのか 「でも手がかりはないよね…」
チェリ 「全くないわけじゃないチェリ」
なのか 「え?」
チェリ 「あのとき助けてくれた女の子こそ、キュアマーガレットだったんだチェリ!!!」
なのか 「え……えぇえ〜〜〜〜〜!?」
チェリ 「何を驚いてるチェリか!なのかも昔会ったことあるチェリ!?」
なのか 「だって、私が会ったマーガレットはもっと大人っぽい姿だったよ…?」
チェリ 「それは仕方がないチェリ……彼女は記憶と共に中学生の姿を失ったからチェリ」
なのか 「どういうこと!?」
なのかは身を乗り出してチェリーの瞳をまっすぐに見つめた。
チェリ 「マーガレットは……最強幹部のダークジュエルと戦ったんだチェリ…」
なのか 「それで………勝てたの?」
チェリーは首を横に振った。
なのか 「え……」
チェリ 「ダークジュエルの力は強大で、強いマーガレットでも敵わなかったチェリ………そして、力を使い果たしてしまったマーガレットは、子供の姿に戻り、プリキュアの記憶を無くしてしまったチェリ……」
なのか 「そんな……じゃあどうしてプリキュアの姿になれていたの!?」
チェリ 「それは、パートナーの妖精の力チェリ。妖精の力に寄り、プリキュアに変身することが出来るんだチェリ!」
なのか 「なぁんだ………」
チェリ 「でも、変身したときの彼女には、その時の記憶がなくなっているんだチェリ……」
なのか 「え…!?」
チェリ 「ダークジュエルに敗れ、ハートストーンも無くし、彼女は完全に妖精がいないと生きていけない人間になってしまったんだチェリ……」
なのか 「そんな…!じゃあ妖精が居なかったら、彼女はただの心のない人間になってしまうってことなの!?」
チェリ 「………そうチェリ。」
なのか 「しのちゃんにも伝えなくちゃ……」
チェリ 「その心配はいらないチェリ。チップも同じことをしのに説明してるはずチェリ」
なのか 「そっかぁ……」
チェリ 「とにかく、明日公園で集合するチェリ!マーガレットを探し出すチェリ!」
なのか 「わかった!」
なのかは布団の中に潜るが、なかなか眠ることが出来なかった。
翌日、寝坊したなのかは、一足遅れて公園に着いた。
チェリ 「急ぐチェリ!」
なのか 「わ、私…そ、んなに…体、りょ…く………無いんだ、よぉ……」
チェリ 「しのとチップを待たせてるんだチェリよ!?しのも疲れてるだろうに………」
なのか 「分かってるわよ〜!」
なのかはもつれる足でなんとか公園へたどり着いた。
ベンチにはしのと、…見覚えのない女の子。
なのか 「あれ、あの子誰だろ…」
なのかは目を丸くして、足を速めた。
なのか 「おーい、しのちゃん〜!」
なのかの声に気が付いたしのは、ゆっくりとベンチから立ち上がった。
なのか 「ごめんね、待った?」
しの 「ううん、私も寝坊して、今来たところよ。」
なのか 「しのちゃんが寝坊?めずらしいね……疲れてたの?」
しの 「ううん。完璧にしなくてもいいかなってさ。」
チェリ 「まりん、おはようチェリ!」
まりん 「おはよう〜」
女の子はチェリーの挨拶に答え、にっこりと笑った。
なのか 「ん?まりん?…………
ええええええーーーー!?」
チェリ 「紹介するチェリ!
この子は氷室まりん!チップが人間の姿になったときの名前チェリ!
そして…………」
チェリーの体だ赤く光りだし、みるみるうちに大きくなっていく。
さくら 「私は花村さくら!」
なのか 「ええ!?に、人間になれるの!?」
しの 「私もさっき聞いて驚いたわ。」
さくら 「ハートフル王国の妖精は人間になるとみんな可愛い女の子になるんだ!」
なのか 「何そのシステム!」
しの 「すごい…!」
さくら 「話はあとで!さあ、マーガレットを探しに、」
まりん 「レッツゴー!!」
その頃、公園の側の電柱に、小さな女の子が立っていた。太陽の逆光のせいか、表情は読み取れなかった。
なのかたちは彼女には気が付かないまま、公園を後にした。
なのか 「ただ町を歩くだけで何か起こるとは思わないけど……」
さくら 「敵が現れるのを待つのよ!」
まりん 「なんで?わざわざ邪魔者を待たなくちゃいけないの?」
さくら 「なのかたちがピンチになれば、必ずマーガレットが助けに来てくれるよ!」
しの 「わざわざ危険な目に逢わなくちゃいけないの?」
なのか 「えー、そんなの嫌だ〜」
さくら 「世界が支配されてもいいの?」
なのか 「うっ……」
しの 「そうね……彼女のパートナーをまず取っ捕まえて話を聞き出す方がいいと思うわ」
なのか 「そうか!マーガレットを操ってるのは妖精だもんね!」
その頃、ダークグラッジ王国では………
ラピスラズリとガーネットが、黒いオーラをまとった男に膝まずいていた。
瑠璃 「申し訳ございません、グラッジ様……邪魔者が現れました。」
ざくろ 「お前は引っ込んでろ!」
瑠璃 「先にプリキュアを見つけたのは私だ!」
グラ 「黙れ!」
ラピスラズリとガーネットは、その怒声にびくっと肩を震わせる。
ざくろ 「すみません……」
グラ 「いいか、邪魔者が居ようと言い訳は聞かない。一刻も早く世界を暗黒の闇で多い、全ての惑星を我らダークグラッジ王国の支配下にするのだ!」
瑠璃 「……はい」
ざくろ 「承知致しました。」
グラ 「いいか、今日は2人で行け」
瑠璃 「はぁ!?なんで」
グラ 「口出しするな!」
瑠璃 「ひい!す、すみません!!!」
ざくろ 「全力で奴らを倒します…」
一方、なのかたちはブラブラと町を散策し続けていた。
さくら 「ラピスラズリたち、現れないね」
なのか 「もう疲れたしお腹空いたあ」
しの 「もう1時よ…無理もないわね」
まりん 「私たちも人間の姿は負担がかかるから……」
ぽんっというおととともに、さくらとまりんは妖精の姿に戻った。
チェリ 「ぬいぐるみのふりをするチェリ!」
チップ 「ナイスアイディアチプ!」
瑠璃 「ずいぶんと楽しそうだな」
なのか 「!!!ラピスラズリ!」
しの 「ガーネットもいるわ!」
ざくろ 「こんにちは、プリキュア」
瑠璃 「敵に挨拶とかみっともねーよ!」
ざくろ 「いくら敵でも礼儀と言うものがあるのよ…?」
瑠璃 「お前いい子ぶってんじゃねーよ!」
ざくろ 「プリキュアに負けまくったあなたに偉そうな口を利かれる筋合いはないわよ!」
瑠璃 「何ー」
ラピスラズリとガーネットは唖然とした2人の前でケンカを始めた。
チェリ 「今のうちに倒すチェリ!」
なのか 「うん!
いくよ、しのちゃん!」
しの 「ええ!」
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの 「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」
瑠璃 「ふん、やる気のようだな……」
ざくろ 「ふふふ、あいつがいいわね」
ざくろが指差す方向には、仲が良さそうな親子がいた。
ざくろ 「あなたたちのハートストーンを寄越しなさい」
母親 「なんですか、あ、あなたは!!」
子供 「ママー…」
瑠璃 「人を好く心を無くし、憎しみに苦しんで暴れろ!」
ざくろ 「人を好く心を無くし、憎しみに苦しんで暴れなさい!」
瑠璃 「出でよ、ヘイトリッドグリーフ!」
ざくろ 「出でよ、ヘイトリッドグリーフ!」
親子の体から灰色の液体が漏れだし、ヘイトリッドグリーフへと変貌していく。
フラン 「え、2体!?」
スカイ 「そんな!!」
瑠璃 「てめえ、私が先にプリキュアを倒すんだよ!邪魔すんな!」
ざくろ 「あら、プリキュアは2回倒されるわけじゃないのよ?」
瑠璃 「うるせーー!」
チェリ 「仲間割れチェリ」
チップ 「みっともないチプ〜」
フラン (ヘイトリッドグリーフが混乱してる!今のうちに行くよ、ブルースカイ!)
スカイ (オーケー!)
フラン 「はあああああああ!」
スカイ 「やあああああああ!」
2人はヘイトリッドグリーフの巨大にハイヒールと拳をめり込ませる。
2体は吹き飛び、公園の噴水に飛び込んだ。
フラン 「うあああああああっ!」
スカイ 「たあああああああっ!」
ヘイトリッドグリーフは押され続け、何度も何度も倒れる。
スカイ 「今よ、フランボワーズ!」
フラン 「ええ!…ってわあああ!」
もう1体が、フランボワーズのスキを見て攻撃する。
フラン 「きゃあああああ!」
フランボワーズはヘイトリッドグリーフに持ち上げられ、更に振り回される。
瑠璃 「命令してないのにプリキュアに攻撃しているぞ!あのヘイトリッドグリーフすげえ!」
ざくろ 「どうやら頭脳が優れている人物だったようね」
フランボワーズは気を失いかけていた。
スカイ 「フランボワーズを離して!」
ヘイトリッドグリーフに攻撃するも、簡単に避けられてしまう。
フラン 「よ、酔ったぁ……もうらめぇ………」
フランボワーズはぐったりともつれた。
チェリ 「フランボワーズ!」
チップ 「ブルースカイもピンチチプ〜!」
スカイ 「まずあいつから片付けるわ!」
ブルースカイはうろたえるヘイトリッドグリーフに手をかざす。
スカイ 「ブルースカイ・ジャスティス!」
青い花びらがヘイトリツドグリーフを包み込み、浄化させていく。
瑠璃 「くそー、私のヘイトリッドグリーフが!」
ざくろ 「でも私のヘイトリッドグリーフにはキュアフランボワーズがいるから攻撃出来ないはずよ?」
スカイ 「フランボワーズ…」
フラン 「ブルースカイ、私のことはいいから早く浄化してぇ〜」
スカイ 「わ、わかったわ!
ブルースカイ……」
ラピスラズリが再び浄化技を使おうとしたブルースカイの後ろに回り込み、目から青いレーザーの様なものを放った。
スカイ 「うあっ………」
チェリ 「ブルースカイ!?」
チップ 「どうしたチプ!?」
レーザーを当てられたブルースカイは、そのまま硬直してしまった。全く動かない。
瑠璃 「私のレーザーに当たった者は体が石になるのよ!」
フラン 「そんな………うぅ」
更に締め付けられ、フランボワーズも動けなくなる。
瑠璃 「さあ、次はお前だ……」
ラピスラズリがフランボワーズに目を向ける。
フラン 「もう、ダメ………!」
??? 「はああああああっ!!!」
瑠璃 「うぐっーー!!」
レーザーを放とうとしたラピスラズリに、横から何者かにより攻撃される。
瑠璃 「っつー……お前誰だ!!」
??? 「私の名は_____
キュアマーガレット!!!」
ざくろ 「なに…?」
チェリ 「マーガレットチェリ!」
フラン 「あの人が………?」
マーガ 「覚悟しなさい!!」
ざくろ 「まずいぞ…!」
ガーネットは姿を消し、ラピスラズリとヘイトリッドグリーフが取り残される。
瑠璃 「くそ、あいつ……!」
マーガ 「あなただけでもここで浄化してもらうわよ!」
マーガレットは棒立ちのヘイトリッドグリーフ前で両手を大きく構える。
マーガ 「キュアフランボワーズ、避けなさい!」
フラン 「は、はい!」
フランボワーズはヘイトリッドグリーフの中から抜け出す。
マーガ 「プリキュア・ミーティアフラワー!」
無数の星くずがヘイトリッドグリーフを包み込み、浄化させていく。
瑠璃 「っ………覚えてろ!」
ラピスラズリは悔しそうに姿を消した。
スカイ 「………あれ?私…」
フラン 「ブルースカイ!」
ブルースカイが目を覚まし、再び動き始めた。
チェリ 「マーガレット!
……行っちゃうチェリ?」
ゆっくりと歩き始めたマーガレットに気がついたチェリーが叫ぶ。
マーガ 「……何か用なの?」
チェリ 「クローバーのことは…何か知ってるチェリ?あと、私たちの仲間になって……」
マーガ 「それは無理なお願いだわ」
チェリ 「え!?」
マーガ 「あなたたちはまだ半人前だし、私には仲間なんて必要ないわ。足を引っ張らないでちょうだい」
チェリ 「そんな…!」
マーガ 「クローバーのことも、私は何も知らないわ。」
チップ 「そんな〜…」
マーガ 「今後一切、私には関わらないで……」
フラン 「あの!
マーガレットは……マーガレットのハートストーンは……」
マーガ 「…………そこまで知っているのなら、これ以上知る必要はないはずよ。
私のハートストーンはもうないの。ただそれだけ」
マーガレットは冷たい口調でそう吐き捨てると、真っ赤な夕焼けの空の中に飛び込んでいった。
第七話 私たちはプリズム☆シャイニングプリキュア!2人の新しい力
2人は夕焼けを背景に、公園のベンチに並んで座っていた。
なのか 「はあぁ…」
しの 「落ち込みすぎよ、なのか。
私たちが半人前なのは仕方がないことよ?」
なのか 「でもさ、あそこまで冷たく言うってことはさ、相当嫌われてるんだよね?」
しの 「あれはマーガレットの意思じゃなくて、マーガレットのパートナーの妖精の意思…なんだよね」
なのか 「え?」
しの 「あのとき、妖精はいたかしら?」
なのかは記憶を辿ってみる。
しの 「少なくとも私がマーガレットを見たときはそれらしきモノは居なかったわ。」
チェリ 「そういえば居なかったチェリ!」
チップ 「どうやって戦ったチプ?」
チェリ 「しのが覚醒する前は、妖精はいたチェリ!」
なのか 「じゃあどうして……」
ゆりね 「あれ、なのかちゃん…?」
なのかの友達___御園ゆりねが公園に入ってくる。
なのか 「ゆりねちゃん!?」
チェリ 「隠れるチェリ!」
チェリーとチップが2人の後ろに隠れる。
ゆりね 「あ、しの先輩、こんにちは!」
しの 「こ、こんにちは…」
なのか 「どうしたの?」
ゆりね 「ううん、ちょっとね……」
ゆりねは切なそうな表情で夕焼けの空を眺めた。
ゆりね 「なのかちゃん………私ね、」
なのか 「う、うん……」
ゆりねはしばらく黙って、再び顔をあげる。
ゆりね 「ごめんね、やっぱり今日はやめておく。
また、話すときになったら……」
ゆりねは急に立ち上がり、夕焼けの中を走っていってしまった。
なのか 「ゆりねちゃん、どうしたんだろう…?」
なのかはその後ろ姿を見つめる。
なのか (この感覚、昔にも……)
しの 「あの子、どうしたのかしら?」
なのか 「うん……隠し事するような子じゃないんだけど…」
チェリ 「とっても優しい感じがしたチェリ!」
チップ 「暖かい雰囲気の子だったチプ〜」
なのか 「すっごくいい子なんだよ〜」
しの 「私もよく見かけるわ。毎朝校門であいさつしているし、地域のボランティア活動には毎回参加していて、困っている人を助けているところをよく見るわ。
御園ゆりねさん……よね?」
なのか 「うん…」
チェリ 「もう遅いチェリ、早く帰らないとお母さんが心配するチェリよ?」
チップ 「しのもお家に帰るチプ〜」
しの 「そうね、もう6時になるし…」
しのはいつの間にか暗くなっていた空に浮かぶ時計を見ながらそう言った。
なのか 「そっか。
じゃあね、しのちゃん!」
しの 「ええ。
またね、なのか」
お互いは手を振り合いながら公園を出ていった。
しのは薄暗い路地をゆっくりと歩いていた。
しの 「さっきの子、どうして私の名前を知っていたのかしら……
私も見たことあるってだけで、話したこともないのに…」
チップ「なのかから聞いたんじゃないチプ?」
しの 「ふふ、そうかもね」
その頃、なのかは大きな交差点を渡っていた。
なのか 「ゆりねちゃん、どうしてしのちゃんの名前知ってたのかな?
私しのちゃんのこと話した記憶ないけど…」
チェリ 「きっとあの2人が話したことあるんじゃないチェリ?」
なのか 「そっか!」
なのかは交差点を渡り終え、見えてきた自宅に急いだ。
しのは公園からそれほど遠くない自宅へと着いていた。
しの 「ただいま、お母さん」
しの母 「あ、お帰り、しの」
台所からカチャカチャと何かが触れ合う音と、母親の元気そうな声が聞こえる。
しの 「お母さん大丈夫、手伝おうか?」
しの母 「いいのいいの、しのは手洗って休んでなさい!」
しの 「仕事も疲れてるんだから無理しないでよ?」
しの母 「はいはーい!
全く、しのは本当に世話焼きなんだから」
しのは苦笑いしながら洗面所で手を念入りに洗った。
その頃、なのかは自宅の前でポケットを探っていた。
なのか 「あれ、鍵がないよ〜」
チェリ 「鍵がないと中に入れないチェリ?」
なのか 「うん……どうしよー!」
春とはいえ、外はもう寒い時間だ。なのかは不安と寒さに震えながら何度もポケットを探った。
なのか 「どうしよう……お母さんもお父さんも、今日は買い物とお仕事だし……」
チェリ 「チェリーが中に入って鍵を開けてあげるチェリ!」
なのか 「無理だよ、お母さんは戸締まりにはうるさいし、虫が入る隙間もないよ……」
チェリ 「どうするチェリ?」
なのか 「もし………」
チェリ 「チェリ?」
なのか 「もし、今チェリーが居なかったら私………きっと泣いてたよなって…」
なのかは笑いながら言った。
チェリ 「なのか……」
なのか 「ありがとう、チェリー」
なのかは冷たい手でチェリーを抱き締める。
なのか 「えへへ、暖かいや…」
チェリ 「なのか、無理しちゃダメチェリ!こんなに冷たいのに…」
チェリーはなのかの腕の中からすり抜け、赤い光に身を包み、人間の姿になった。
さくら 「一緒に待ってよう」
なのか 「…うん」
なのかはさくらと寄り添いながら、玄関の前に座り込む。
なのか 「私、今……すごく幸せだな……」
その頃、しのは部屋でノートを開いていた。
チップ 「何してるチプ?」
しの 「勉強よ」
チップ 「休まないチプ?」
しの 「うん。私は学級委員長だもの…、最低限のことは出来なくちゃ」
チップ 「なのかも言ってたチプ!委員長でもやらなくてもいいことはたくさんあるって!」
しの 「うん……でもさ、私はクラスのためだけに勉強してるわけじゃないの。」
チップ 「チプ?」
しの 「これは、私のためにもなるの」
しのはノートから顔を上げ、チップを抱き締めた。
しの 「ごめんね、寂しいよね、私が勉強ばっかりしてたら。
私もわかる……いつも独りでいたから」
チップ 「しの……」
しの 「でも、今はチップがいるから…寂しくなんかない…」
チップは青い光に身を包み、人間の姿になった。
まりん 「私は寂しくなんかないわよ」
しの 「え?」
まりん 「だって、しのは私のことを思っていてくれているから!」
しの 「まりん……
ふふ、当たり前じゃない!」
2人は笑いあった。
2日後、ダークグラッジ王国では
グラ 「非常に不愉快な希望と正義の力を感じる」
瑠璃 「申し訳ございません、グラッジ様……」
ざくろ 「あと一歩のところで、キュアマーガレットの邪魔が入りまして…」
瑠璃 「やっぱり私のレーザーが役に立てたかと…」
ざくろ 「でしゃばらないでくれる?」
瑠璃 「お前なにもしてないだろ?」
グラ 「黙れ!!」
ラピスラズリとガーネットは再びグラッジに膝まずく。
グラ 「いいか、今日はガーネット、お前が行け」
瑠璃 「はあ!?!?」
ざくろ 「……ありがかき幸せ」
ガーネットはグラッジに小さくお辞儀をすると、口をぱくぱくするラピスラズリを睨み付け、ダークグラッジ王国から姿を消した。
なのか 「お母さん、学校行ってきます!」
なの母 「行ってらっしゃい!」
なのかは桜が散る街道をスキップで進む。
なのか (あのあと、お母さんが帰ってきて、無事家の中に入れました!)
なのかは嬉しそうに足を進める。
なのか 「しのちゃん、おはよう!」
なのかは先に教室に着いていたしのに挨拶をする。
しの 「おはよう、なのか」
なのか 「まだ私たち以外は来てないみたいだね」
教室はガランと空いていてとても静かだった。
しの 「なんでだろう、もう7時40分よ?」
なのか 「みんな揃って寝坊かな…」
その時だった。
地響きがして、校舎が大きく揺れた。
なのか 「きゃあ、な、何!?」
しの 「あいつらだわ!」
窓の外にはいつにも増して大きなヘイトリッドグリーフの姿があった。
なのか 「しのちゃん、変身するよ!」
しの 「ええ!」
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの 「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」
2人は窓から外に出て、校庭に着地した。
フラン 「今日のヘイトリッドグリーフ、大きくない?」
スカイ 「いつもの10倍はあるわよ…」
ざくろ 「ずいぶんと早かったわね」
スカイ 「ガーネット!!」
フラン 「一体何を企んでるの!?」
ざくろ 「お前たちの大切なクラスメイトたちのハートストーンで作り上げたヘイトリッドグリーフさだ。」
フラン 「みんなの……」
スカイ 「ハートストーン……!」
ざくろ 「強大なヘイトリッドグリーフの力に、お前たちは到底敵わないだろう!!」
フラン 「私たちは諦めない!
行くよ、ブルースカイ!」
スカイ 「ええ!」
2人は大きなヘイトリッドグリーフへと一直線に向かっていった。
フラン 「はあああああ!」
フランボワーズはヘイトリッドグリーフの巨体にハイヒールをめり込ませる。ヘイトリッドグリーフは後ろに飛び、校舎に激突した。
スカイ 「ブルースカイジャスティス!」
フラン 「フランボワーズレボリューション!」
2人は同時に浄化技を放った。
赤と青の花びらが大きな衝突音と共に破裂する。
怪物 「グリーーフ……」
フラン 「そんな!!」
スカイ 「浄化技が……効かない!」
ざくろ 「そのヘイトリッドグリーフは通常のおよそ10倍の力を持っているのよ…2体で敵わなかったお前たちには倒すことは出来ないでしょ!!」
フラン 「そんな……」
スカイ 「やっぱり私たち…マーガレットがいないと……」
チェリ 「チェリーーー!」
チップ 「チプーーーー!」
大空からチェリーとチップが飛んでくる。
チェリ 「諦めちゃダメチェリ!」
チップ 「でもあのヘイトリッドグリーフには敵わないチプ〜」
ざくろ 「さっさと捻り潰してしまえ!」
怪物 「グリーーフ!」
フラン 「うう…………」
スカイ 「フランボワーズ……私たちが頑張らなくちゃ、地球は守れないよ……」
ブルースカイが立ち上がり、フランボワーズに手を差しのべる。
フラン 「でも……」
チェリ 「フランボワーズが言ってたチェリ!
可能性は100%にできるって…!」
フラン 「私……私………」
フランボワーズはブルースカイの手を握り、立ち上がった。
フラン 「ブルースカイと共に戦う!」
その時、チェリーとチップのリボンが光り出した。
チェリ 「これは何チェリ!?」
チップ 「光が溢れてくるチプ〜!」
リボンから光が溢れだし、ヘイトリッドグリーフを跳ね飛ばした。
その光の中から、2つのステッキが現れる。
チェリ 「これは…!」
チップ 「新しい力チプ!」
フラン 「ブルースカイ!」
スカイ 「…ええ!」
2人はステッキを握りしめた。
フラン 「希望の力と」
スカイ 「正義の力を」
「「今、1つに!!
プリキュア!ホープ・シンパシー!」」
2人の掛け声に合わせて、瞬く花たちがヘイトリッドグリーフを優しく包み込んで、浄化させていく。
ざくろ 「っ………いつの間にそんな力を手に入れた!?」
フラン 「私たちが助け合えば!」
スカイ 「どんな困難も乗り越えられる!」
フラン 「ブルースカイ!」
スカイ 「フランボワーズ!」
2人は手を取り合い、にっこりと笑った。
「「希望と正義の2つの心!
プリズム☆シャイニングプリキュア!!!」」
ざくろ「プリキュアの新しい…力」
ガーネットは小さく舌打ちをして姿を消した。
なのか 「新しい力…!」
しの 「2つの力を1つに……」
チェリ 「2人とも素敵だったチェリ!」
チップ 「かっこよかったチプ!」
なのか 「私たちは……」
「「プリズム☆シャイニングプリキュア!!」」
第八話 2人の秘密?野原と海に揺れる2つの想い!
なのか 「うーん、おはよう〜」
チェリ 「もう9時チェリよ?」
なのか 「まだ9時か〜」
チェリ 「まだって!もう学校の授業始まるチェリよ!?」
なのか 「今日は休みなの〜」
チェリ 「そうチェリ。」
なのか 「しのちゃんと散歩しに行くんだけど〜」
チェリ 「待ち合わせは8時だったチェリよ?」
なのか 「そうそう、8じ……」
なのかの額から冷や汗が溢れる。
なのか 「うああああああああああああああ!」
その頃、しのは待ち合わせ場所である公園の前で時計を眺めていた。
まりん 「なのかたち遅いね…」
しの 「事故かしら…病気……とか?」
まりん 「きっと寝坊してるのよ」
しの 「まさか……様子見てくる?」
まりん 「その間に来たらどうする?」
しの 「そうか……入れ違いは困るものね」
まりん 「私が見てくるわよ?」
しの 「悪いわね、お願いしてもいいかしら」
まりん 「任せてよ!」
まりんが妖精の姿になると、なのかの家に向かって飛んでいった。
チェリ 「そんなに走ったら転ぶチェリ!」
なのか 「しのちゃん待たせてるんだよ!?」
チェリ 「せめて朝ごはんだけでも食べないと…!」
なのか 「そんな暇ないしもうすぐランチだから大丈夫っ!」
その頃、なのかとチェリーは全力疾走で公園に向かっていた。
なのか 「うう、お腹空いた…」
チェリ 「言わんこっちゃない!」
なのか 「うう……」
チェリ 「お弁当は?」
なのか 「はっ!」
なのかは急に立ち止まる。
なのか 「お弁当忘れた……!」
チェリ 「取ってくるチェリ!」
なのか 「作ってないよ〜」
なのかは涙目でそう言う。
なのか (仕方ない、お昼も抜きだ)
なのかは再び走り出した。
交差点を渡ると、いよいよ目的地が見えてくる。
なのか 「はぁ………疲れたぁ…」
チェリ 「散歩する体力は残ってるチェリ?」
なのか 「む、無理かも」
公園に入ると、なのかは肩で息をしながら、顔をあげた。
なのか 「し、しのちゃ……ご、めんね……」
なのかの問いかけに、しのからの返事は来なかった。
それどころか、しのの姿さえもない。
なのか 「しの……ちゃん?」
チェリ 「しのもチップもいないチェリ!」
その頃、ダークグラッジ王国から、ラピスラズリの姿も消えていた。
なのか 「どうしよう〜!」
チェリ 「しのが寝坊なんて考えられないチェリ……怒って先に帰ったんじゃないチェリ」
なのか 「うう、しのちゃん…」
なのかは地面に座り込んでしまった。
しの 「ごめんお姉ちゃん、今友達と待ち合わせしてて」
しのは公園の裏で誰かと電話していた。
しの 「うん。帰ったら電話するね」
しのは電話を切った。
チップ 「誰からチプ?」
しの 「従姉妹のお姉さんよ」
チップ 「どうしたチプ?」
しの 「話があるって。」
しの (なのか……大丈夫かな)
しのは不安を胸に公園に戻った。
しの 「なのか!!」
公園に入ると、座り込んだなのかの姿があった。
なのか 「あ、しのちゃん……」
しの 「どうしたの、顔色悪いじゃない!」
なのか 「うぅ、お腹空いた……」
チェリ 「朝から何も食べてないチェリ」
しの 「もう、ちゃんと食べなくちゃダメでしょ!?」
なのか 「でも、しのちゃん待たせちゃうし……」
しの 「私のことより自分のことを大切にしなさい!
朝ごはんはちゃんと食べなくちゃいけないの!」
しのはなのかに説教する。
なのか 「は、はい」
しの 「じゃないと目眩がしたり倒れたりするんだから」
チェリ 「そうチェリ!
電話して遅れることを伝えればいいチェリ」
なのか 「だってしのちゃんの番号知らないもん」
しの 「そういえば……」
なのか 「私なんて携帯電話さえ持ってないよ?」
チェリ 「それはいいチェリ!
とにかくどこかで休むチェリ」
なのか 「う〜ん…」
まりん 「私何か飲み物買ってくるわ」
まりんは自動販売機を探しに公園を出ていった。
しの 「気をつけて!」
チェリ 「近くに広い野原があったチェリ!
そこに行くチェリ!!」
なのか 「野原…?」
チェリ 「風通しが良くて気持ち良かったチェリよ」
しの 「良いわね、行きましょ!」
まりん 「スポーツドリンク買ってきたよ」
まりんが帰ってくる。
なのか 「あ、ありがとう」
しの 「野原はどこにあるの?」
チェリ 「未来川の隣チェリ」
なのか (未来川……、この町の名所として有名な川のことだ。水も綺麗で、海に繋がっている……私はまだ行ったことないっけ……)
しの 「ついでに海にも行ってみる?バスに乗ればすぐ行けるわよ」
チェリ 「行くチェリ!」
まりん 「途中でお弁当買う?」
なのか 「楽しみ〜♪」
チェリ 「海に行くの初めてチェリ!」
チェリーは光に身を包み込み人間の姿になった。
さくら 「なのかは私がおぶって行くわ」
なのか 「恥ずかしい…」
チェリ 「グズグズ言わないの!」
なのか 「はい…」
しの 「それじゃあ、出発しましょ」
さくら 「レッツゴー!!」
4人は公園を出ていった。
4人はしばらく歩き、未来川に到着した。
さくら 「う〜ん、着いた!」
まりん 「水も透き通っていてとても綺麗ね」
なのか 「菜の花も咲いてるよ〜」
しの 「風も気持ちいいね」
4人は芝生の上に腰掛け、広がる青空を見上げた。
なのか 「こんなに綺麗な世界、ダークグラッジたちに壊させたり出来ないよね」
しの 「……ええ」
まりん 「そもそも世界征服して何がしたいんだ?」
さくら 「それは私たちにも分からないよね」
なのか 「きっと深い訳がないと… そんなことしないと思うよ」
しの 「…そうね」
その頃、商店街をラピスラズリが重い足取りで歩いていた。
瑠璃 「きっともう、次はないぞ……グラッジ様がお怒りだ…」
何かをぶつぶつ言いながら前を歩く親子を睨む。
瑠璃 「幸せそうだ……忌々しい
お前のハートストーンを………」
手を構えかけて、ラピスラズリの表情が歪んだ。
瑠璃 「ハートストーンが…出てこない」
ざくろ 「それはあなたが用済みのゴミだからよ」
瑠璃 「ガーネット…いつからそこに」
ざくろ 「負け犬が私の名前を気安く呼ばないでくれる?」
瑠璃 「っ…」
ざくろ 「とにかく、グラッジ様はもう帰って来なくていいって」
瑠璃 「そんな…」
瑠璃 「………」
ラピスラズリは光を失った瞳でガーネットの後ろ姿をぼーっと眺めていた。
瑠璃 「プリキュア……絶対に許さない」
その頃、4人は川沿いを歩いていた。
なのか 「しのちゃんって、何か秘密とかある?」
しの 「どうしたの、急に」
なのか 「えへへ。
ただ、一緒に戦っていくのに、隠し事されるのが寂しいって言うか…」
しの 「……」
さくら 「なのかはしののこと信じてないの?」
なのか 「まさか!」
なのかは菜の花の茎を器用に編みながらゆっくりと歩いていった。
風に揺れるしのの髪を眺めながら口を開いた。
なのか 「信じてるから、信じてるからこそ……隠し事はされたくない」
しの 「なのか…」
なのか 「私もしのちゃんに全部言う。嬉しいことも、悲しいことも…」
しの 「私も、私もなのかに何でも言う!」
まりん 「この間まで全く喋らなかった2人……」
さくら 「素敵だね」
しの 「この先何があっても、ずっと一緒に居ましょう」
なのか 「うん…」
瑠璃 「それは叶わぬ約束だな」
なのか 「!ラピスラズリ!」
しの 「どういうこと!?」
瑠璃 「言葉の通りさ」
さくらとまりんは妖精の姿になり、2人の後ろに隠れた。
チェリ 「いつもより…」
チップ 「邪悪な力が強いチプ…」
なのか 「え!?」
しの 「それでも…」
なのか 「私たちは戦う!」
2人はシャイニングストーンを構えた。
なのか 「プリキュア・ステップアップ!」
しの 「プリキュア・ステップアップ!」
フラン 「真っ赤に輝く希望の光!
キュアフランボワーズ!」
スカイ 「青く煌めく正義の光!
キュアブルースカイ!」
2人 「希望と正義の2つの心!
プリズム☆シャイニングプリキュア!」
瑠璃 「今日こそお前たちを倒してやる!」
チェリ 「いつもと様子が違うチェリ!」
チップ 「気を付けるチプ〜!」
フラン 「うん…!」
フランボワーズとブルースカイは防御の体制を取った。
瑠璃 「私はもう誰にも頼らない
」
フラン 「え?」
スカイ 「何…?」
2人は構えていた腕をゆっくりと下ろした。
瑠璃 「ヘイトリッドグリーフも役に立たないし…ダークグラッジ様もあいつばっかり使うし……」
フラン 「あいつって…」
スカイ 「ガーネットだわ」
2人はふらふらとよろめくラピスラズリから少しずつ距離を置く。
いつ攻撃してくるか分からない。
チェリ 「どうするチェリ?」
フラン 「今のうちに…!」
スカイ 「待って!」
ブルースカイがフランボワーズの前に出てラピスラズリをかばった。
フラン 「ブルースカイ…」
チェリ 「どうしてそいつをかばうチェリ!?」
スカイ 「待って…違うの」
フラン 「え…?」
ブルースカイは顔を上げてフランボワーズを涙が浮かぶ瞳で見つめた。
スカイ 「この子は敵じゃない!」
チェリ 「え!?」
フラン 「うそ……」
スカイ 「だから、攻撃しないで」
大粒の涙をこぼしながら、ブルースカイはラピスラズリを見つめた。
瑠璃 「あんた……」
スカイ 「あなたは本当は、私の…」
ズドン!!!
鈍い音と共に、ガーネットが現れた。
瑠璃 「お前……!!」
ざくろ 「グラッジ様が帰れと……」
瑠璃 「だって私には…!」
ざくろ 「それは取り消しよ」
スカイ 「待って!」
ざくろ 「……なにかしら」
ガーネットは冷たい瞳でブルースカイを睨んだ。
スカイ 「その子は渡さない」
ざくろ 「は?あなたはバカ?
こいつはあなたたちの敵よ?我らがグラッジ様の忠実なしもべなの!」
スカイ 「そんなの関係ない!
その子は……その子は……」
ざくろ 「…さっさと行くわよ」
瑠璃 「………」
ラピスラズリは無言でうなずき、ガーネットと共に去っていった。
スカイ 「待って!」
ブルースカイは必死に叫ぶが、既に彼女たちの姿は消えていた。
ブルースカイの変身が解け、そのまま座り込む。
なのか 「しのちゃん!」
チップ 「しの〜〜!」
しの 「お願い、今は一人にさせて……」
しのは顔を上げずに一人で海の方向へ歩いていった。
なのか 「しのちゃん……」
なのか (しのちゃんはラピスラズリのこと、何か知ってるの?
だとしたら…)
しのは息を切らしながら浜辺を走っていた。
しの 「はあ…はあ……」
そのあとをチップが追いかける。
チップ 「待つチプ〜、しの〜!」
しの 「………」
しのは何も言わずにただ走り続ける。
チップ 「急に走ってどうしたチプ?なのかもチェリーも心配してるチプ〜!」
しの 「………」
しのは聞こえないふりをしてひたすら走った。
しの (まさか……やっぱりあの子は……)
チップ 「このままじゃ追い付けないチプ……」
チップは人間の姿になる。
まりん 「待ちなさい、しの!」
まりんはしのの腕を掴んだ。
しの 「……離して」
まりん 「しの!」
しの 「放っておいて!」
まりん 「ちゃんと言いなさい!」
しの 「……あなたには関係ない」
まりん 「私はしののパートナーよ!?放っておくなんて…」
しの 「パートナーだからって付きまとわれても困るの……」
まりん 「しの……」
しばらく2人は黙って立っていた。
先に動いたのはしのだった。
しの 「ごめんね、ごめんなさい…」
まりん 「謝らなくていいよ!」
しの 「どうしよう……」
しのは泣きながらまりんの胸に顔を埋める。
しの 「ラピスラズリは、私の従姉妹のお姉さんだった」
まりん 「え……?」
浜辺にたたずむ2つの影が大きく揺れ、音を立てて崩れ落ちた。
第九話 しのの思い!ラピスラズリを取り戻せ!
なのか 「えー?しのちゃんが登校拒否!?」
チップ 「声が大きいチプ!」
なのか 「ごめんごめん…」
次の日、なのかの家の前でチップとなのかが話していた。
なのか 「なんで!?」
チップ 「その……」
なのか 「昨日も走って行っちゃったし、ラピスラズリのことかばってたし…どういうこと?」
チップ 「チプ……」
チップは黙り込んでしまった。
チップ 「なのか、落ち着いて聞くチプ。決して聞き流すなチプ!
いいチプ?」
なのか 「う、うん」
緊迫した空気に、なのかは肩に力を入れる。
チップ 「実は、ラピスラズリはしのの………」
チップは暗い顔で説明した。
なのか 「えええええーーー!?
ラピスラズリがしのちゃんのお姉さんーーーー!?」
チップ 「声が大きいチプーーー!」
なのか 「むぐ」
なのかは慌てて口を押さえる。
なのか 「どういうことなの、チップ!」
チップ 「僕も詳しいことは分からないチプ……でも、昨日しのはそう言ってたチプ」
なのか 「どうして急に…」
チップ 「今からしのの家に行くチプ」
なのか 「え!?今から学校…」
チップ 「それよりしのチプ!」
なのか 「私ただでさえ成績悪いのに授業休んだら終わりだよ〜っ!」
チップ 「じゃあこのままでいいチプか!?」
なのか 「うっ…」
なのかはチップの言葉に押される。
なのか (しのちゃんは私のためにプリキュアになって、たくさん励ましてくれた。
しのちゃんが居なかったら、私は今頃ボロボロに負けてるよね…)
なのかは決心したようにチップを見つめた。
チップ 「チプ?」
なのか 「今度は私がしのちゃんを助けるんだから!」
チップ 「チプ〜!
なのか〜!」
なのか 「よし、行こう!」
なの母 「なのか〜!」
なのか 「いぃっ!!」
なのか (お母さん!!)
二階の窓からなのかの母親が顔を出した。
なの母 「何してるの、遅れちゃうわよ!?」
なのか 「うん、分かってる」
なのかは冷や汗をかきながら母親に返答する。
なの母 「ん、何そのぬいぐるみ」
なのかの母親はチップを指差す。
なのか (ギクッ)
なの母 「そんなの持ってたっけ?」なのか 「か、家庭科の授業で作ったんだよ!」
なの母 「ふーん?」
なのか (早く行かせてよ〜)
なのかは涙目で腕時計を横目で見た。
既に8時を回っていた。
なのか (ヤバイ!授業始まっちゃう!)
なの母 「何してるの?早く行きなさい!」
なのか 「うん…」
なのかは仕方なく歩き出した。
チップ 「どうするチプ!?」
なのか 「ん…」
チップ 「なのか〜!」
チップは黙々と歩くなのかに苛立つ。
なのか 「とりあえず学校には行かなくちゃ…」
チップ 「チプ………」
なのか 「しのちゃんのことは私から先生に伝えておく。」
チップ 「…よろしくチプ」
交差点の前で2人は別れた。
なのか 「ヤバイよ、怒られる…」
なのかは急ぎ足で横断歩道を渡った。
やっと白い校舎が見えてきた。
なのか 「門閉まってる…」
校門の横のインターホンを押す。玄関から中年の男性が出てくる。
なのか 「すみません、遅刻です…」
清掃員 「気を付けなよー」
清掃員と見られるお男性は面倒くさそうに校門を開ける。
なのかは申し訳ない気持ちで校門を潜る。
スニーカーから上履きに履き替え、4階まで階段を上った。
なのか 「おはようございます!」
教室に入ると、生徒たちはまだ教室のあちらこちらに散らばっていた。
生徒 「あ、なのかちゃん、おはよう!」
なのか 「あれ?先生…は?」
生徒 「まだ来てないみたい」
生徒 「今日は学級委員会だから海風さんがいないと始められないのよ」
生徒 「しのちゃんはまだ来てないし…」
なのか 「あ、あの……」
生徒 「ん?」
なのか 「今日、しのちゃんは具合が悪くてお休みするみたいなの…」
生徒 「えっ、本当!?」
生徒 「どうする…?」
生徒 「私たちでやるしかないよ?」
生徒たちは混乱したように話し合う。
なのか (どうしよう…しのちゃんもチップも大丈夫かな…)
なのかは不安になり胸を押さえて息を整えようとした。
なのか (やっぱり心配!……ええいっ)
なのか 「私、今日なんだかお腹痛いし、熱っぽい……早退するって先生に伝えておいて!」
なのかは教室を飛び出し、階段をかけ降りた。
生徒 「了解ーーー……」
小さく生徒の返答が聞こえ、少し安心した。
なのか (しのちゃんを独りで悩ませたり出来ない……
一緒にラピスラズリを……しのちゃんのお姉さんを取り戻そう!)
なのかは靴に足をつっかけたまま飽きっぱなしの校門を飛び出した。
なのか 「しのちゃん……しのちゃん……!」
なのかは必死に走った。
最近プリキュア書く人多いな〜…*
名前かぶらないか心配なのであげます**
似たようなスレッド多いですよ
プリズム☆シャイニングプリキュアが
見た感じ2、3こあるんですが・・・
乱立って言うんですかね、
もうあまり立てないほうがいいかと
>>78すんごい今更でほかのスレッドは見付けられなかったのですが、注意ありがとうございました~*(。ᵕᴗᵕ。)"
以後気をつけます…*
また書こうかな…*
設定とかは少し残されていたので、前に思い描いてた話じゃなくても書けそう✨
http://otameshipost.gonna.jp/novels_ss/novels_ss.cgi?mode=view&id=sakura15ichigo&no=1
こっちで書く*
とても面白いです。プリキュアのキャラ達がどれもこれも
82:苺ましまろ*◆LM:2017/03/12(日) 16:16
>>81ありがとうございます~*
キャラクターは結構頑張って考えたので嬉しいです( *ᐢ´꒳`ᐢ* )
>>82
プリキュアは最近少しなりきりのキャラ勉強の為に見始めたのですが、面白いですね。ワンプリ(ONE PICEとープリパラのクロスオーバー)のONE PICEキャラと仲良く出来そうです。
他の小説サイトで書いていたんですが、なかなか上手くいかず書けてなくて、向こうで更新する前にこのすれでゆっくり書いて修正しながら投稿しようかな、と思います。
なのでまたゆっくりだけど書いていこうと思います。
最初からやり直しですm(*_ _)m
>>83そうなんですね!ワンピースはよく知らないけどプリパラもプリキュアも女の子向けアニメだから少し似てるかもしれないですね~😆🍓
第1話 受け継がれし力
__遠い過去の記憶。
あの時、私を助けてくれた黄色い女の子。
あの子にもう一度会いたい。あの時のお礼を言いたい。
『きっと届くよ。あなたのそのキレイな“ハートストーン”があれば...』
プリキュア!は既存の物語なので、二次創作板で書いた方がいいのでは……?