いじめや鬱病をテーマにした小説を書こうと思います。
今回はただの好奇心で書く物ではありません。たくさんの人にいじめや鬱病の辛さを分かって貰いたいから書きます。
荒らしは断固お断りです。
いじめをしてる人、いじめに加担している人、いじめを見てみぬふりをしてる人、いじめられている人に読んで貰いたいです。
第1話 人間不信
1,ゲーム
私は葉月小学校に通う小学五年生。名前は尾崎はすみ。
成績は中の下、運動は中の上。顔もスタイルも平均値。どこにでもいそうなただの小学生。
今週も憂鬱な学校生活が始まるのか…。そう考えるだけで体も気持ちも重くなる。
今日も緩やかな坂道を上っていく。
緩やかとは言え、夏場は汗がしたたり落ち、冬は震える足を踏ん張っていくからかなり辛い。
今は春だからいいものの、梅雨が明けたら地獄の日々が始まってしまう。
「おはよう、はすみ!」
「あ、ゆきなちゃん、おはよう」
朝からテンション高いなあ。
彼女は森川ゆきなちゃん。一年生からずっと同じクラスの友達。優しくて元気で、クラスのムードメーカー的存在。
暗くて空気を読めない私とはまるで正反対だ。
「まだクラスの子たちとコミュニケーション取れてないな〜…
まあ、私がいるから安心しなさい!」
「……うん、ありがとう」
ゆきなちゃんのテンションに正直着いていけないが、独りで下を向いているよりはマシだ。
でも……。
ゆきなちゃんはクラスの人気者。他の友達もたくさんいる。だから、私はいつかゆきなちゃんが誰かに取られてしまいそうで怖いのだ。
そしたら私は独りぼっち。救いも何も無くなってしまう。
「大丈夫、私がクラスに溶け込めるように協力するから!元気出せよ〜」
背中をバシバシと叩かれる。正直かなり痛いが、元気が湧いてくる。
「うん、ありがとう…」
私たちは校門を潜り抜けた。
教室に入ると、既に数人の女生徒が談笑していた。
私たちが教室に入るなり、彼女たちの会話が途切れ、速足でこちらに寄ってくる。
もちろん、彼女たちの目的はゆきなちゃんだ。
「おはよう、ゆきな!」
「宿題やったー?」
「昨日のドラマ見た?」
一斉にゆきなちゃんを取り囲んで、私になんて見向きもしてくれない。まあ、もう馴れてきたけどね、こんな扱い。
私は邪魔者だ、早くかばんを置いてトイレにでも行こうか。
女生徒たちの横をすり抜けて教室に入ろうとすると、突然ゆきなちゃんに腕をつかまれた。
「あれ、なんで行っちゃうの?」
「え、いや、あの……」
私は戸惑いを隠しきれず、しどろもどろになってしまう。ああ、どうしよう。絶対変に思われてる…。
「あれ、尾崎さん居たんだー?」
「全然気が付かなかったよ〜」
「だって暗いし無口だし存在してるかすら分からないじゃん」
女生徒たちはクスクス笑いながらそんな台詞を放った。
「こーら、そんな言い方ないでしょ?はすみだって気にしてるんだから!
ねえ、はす……み…………?」
私は震える手を握り締めて、廊下に逃げた。
なんで、なんで!?
私の気にしてること、なんでそんな風に笑うの?意味が分からない!
ゆきなちゃんは庇ってくれた。でも、でも……。あいつらにゆきなちゃんを取られたらどうしよう…。
絶対に、絶対に許せない……。
私の辛さを味わわせてやるんだ…。
休み時間、私はトイレの一番奥の個室に駆け込んだ。
「どうして…私のこと分かってくれないの?私のことを分かってくれない人なんていらない……皆、酷い目に逢えばいいんだ……」
私の中はたちまち復讐の気持ちでいっぱいになった。どうしてもあいつらを痛めつけてやりたい。そうしないと気が済まない。
「………いじめ」
私は口から零れたその言葉を、もう一度繰り返した。
「……そうだ、あいつらの誰か一人をいじめてやればいいんだ。そうしたら三人はバラバラになって皆独りぼっちになる……!」
我ながらいい考えだ。
いじめはよくない。だけどあいつらが言ったことも言葉の暴力だ。私が傷付いたのが何よりの証拠だ。
「……絶対に、反省するまで痛めつけてやる…」
私は個室から出て、大きな鏡の前に立った。鏡に映った私の顔は醜く歪んでいた。
「こんなにわくわくするゲーム、初めてだよ……」
私はトイレから出て、クスクスと笑った。
2,狂い始めた歯車
「ごめんね、はすみ…。」
教室に戻った私を待っていたのは、両手を合わせたゆきなちゃんだった。
「朝、あの子たちが酷いこと言って…
私から注意しておいたから、もう大丈夫だよ!」
ゆきなちゃんは優しいよね。こうやって私のことをよく分かってくれて。
分かろうともしない奴とは大違いだ。
「うん、もう気にしてないよ?」
私は笑顔を醜く歪んだ顔にくっ付けた。
「そっか!良かった!」
「それよりゆきなちゃん……
あの三人の名前、教えてくれない?」
クラスメイトの名前なんて覚えてない。覚える必要ないと思ってたから。
「うーんと、あのポニーテールの子が岩井あいな、ショートカットの子が上原まゆみ、三編みの子が渡辺るり。」
ゆきなちゃんはスラスラと名前が出てくるようで、すぐにそう答えた。
「……ありがとう」
私は嫉妬に唇を噛み締めながら呟いた。爪が手のひらに食い込む。
私は廊下に出て、クスクス笑った。
「………決めた」
私は大きな声が出そうなのを堪えながら呟いた。
「………ターゲットは、渡辺るりにする……」
渡辺るり。長い三編みと眼鏡が特徴の女の子。
成績はいい方、運動はダメダメ。
真面目で学級委員で、地味だけど話上手。
他の二人に比べると、顔はそんなに良くはない。背も小さい。
別にこれといった意味はないが、こいつが一番調子に乗っていそうだったから。
「……私が直接いじめたら、きっとゆきなちゃんに嫌われちゃう…
それにゆきなちゃんに気が付かれないようにしなくちゃ……きっとゆきなちゃんなら助けるよ……」
私はぶつぶつと呟きながら廊下を歩いた。
「ぃいった!」
「っ!?」
その時、私は前を見なかったせいか、誰かとぶつかってしまった。
「あ、あの、すみませ、……」
「ちょっと、気を付けてよね?
って、うっわヤバ………」
私がぶつかった彼女は、紛れもない渡辺るりだった。
彼女の視線の先には、割れた眼鏡があった。どうやらぶつかった衝撃で落ちてしまったようだ。
「どうしよ〜…お母さんに怒られちゃう…」
「あの、どうしよ……」
内心ざまあみろとか思ってるけど、そんなのは表に出さない。
「ちょっとどうしてくれるのよ?
私の大切な眼鏡……弁償しなさいよね?」
彼女は強い口調で私に迫った。
「え、あの………えと……」
私は混乱した素振りを見せた。
「はあ……私ね、ずっとあんたが邪魔だったのよ」
彼女の口から衝撃の一言が漏れた。
「いっつもいっつもゆきなにくっついて、私たちの前では急に静かになって。おかげで私たちが何かしただとか変な噂が流れてるのよ?」
彼女は私を責め立てる。
ふふ、何それ。何も自覚ないの?私のことを自覚もなしに傷付けて、知らない間にいじめられることになったのも知らずに偉そうだな。
「……い」
「は?何か言っ……」
「痛…い……」
「え?」
私はしゃがみこんで、眼鏡の破片を手に取り、腕の上に滑らせた。激痛が走るが、心の傷よりは全然痛くない。
「な、何して…」
私は戸惑う彼女を見上げてにやりと笑った。
「や、やめて、渡辺さん!!」
私は叫んだ。
「どうしたの!?」
「一体何事なの!?」
ゆきなちゃんと担任が駆け寄ってくる。状況がつかめないのか、そのまま立ち止まってしまう。
「っ!!はすみどうしたの、その腕の傷!」
ゆきなちゃんは気が付いたのか、私の腕を取り、大きな傷を見る。血が腕を伝って滴り落ちる。
「渡辺さん、何かしたの?」
先生も立ち尽くす渡辺を見つめる。
「私は何も…」
「私がよそ見してたらぶつかって、何度も謝ったのに……渡辺さんが怒って眼鏡の破片で私を切ったんです…」
私は泣きながらそう言った。もちろんこれも演技だ。ただ、かなり痛いのは事実。
「本当なの?渡辺さん」
「るり……何でそんなこと」
二人は哀れむような目で渡辺を見つめる。
「私は…私は何もしてない!尾崎が自分でやったの!」
「でも尾崎さんは貴女がやったって…」
「信じて下さい!私は何もしてません!」
「にわかには信じがたいわ。後で二人は職員室に来なさい」
その時、三時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
うわぁ!どうなるの!?
あ、勝手に来てごめんね〜
小説、読んでるよ〜♪
私も見るー!
ってか見てたけど笑笑
続き楽しみだなー!
>>11-12わあああありがとうございます!
なんか色々グダグだですが……*
これからもがんばりますm(_ _)m
昼休み、私と渡辺は別々に職員室に向かった。
私は東側の階段を下りた。
「待って、はすみ!」
「ゆきなちゃん……追い掛けてきたの?」
どうやらゆきなちゃんはずっと私の後を追ってきていたようだ。全く気が付かなかった。
「どうしたの?」
「私も行く…!本当のことを知りたいの。だって、るりはわざとあんなことする子じゃないもの。私はるりのこと信じてるもの!」
ゆきなちゃんはそう言うと私の手を引いて階段を下りていく。
このまま立ち止まっていたら転んでしまうから、私も足を早めた。
「ねえ、はすみは…本当に何もしてないの?」
ゆきなちゃんは眉を八の字にして立ち止まった。
…何それ、何それ。何それ!
「……何それ、私のことは信じられないの?」
「え?」
「渡辺さんのことは信じてるのに、私のことは信じてないんだ…」
演技じゃない。これはかなり傷付いた。やっぱり、こんなことしても自分も相手も傷付くだけなんだ…。
どうして今まで気が付かなかったんだろう。
私みたいな独りぼっちが友達がたくさんいる渡辺さんをいじめたって、誰も協力してくれるはずがないのに。
逆に私がもっと嫌われてしまうかも知れないのに。
私って本当にバカだ。
「……はすみ?」
ゆきなちゃんもきっと私を嫌ってしまうよ。だってこんなに弱くて卑怯なんだもん。
「ゆきなちゃん、私……」
謝る。ちゃんと正直に言うんだ。
「私、渡辺さんたちがゆきなちゃんと仲良くしてて、それに嫉妬して……」
私はちゃんと全部話した。ずっと不安だったこと、本当はみんなと仲良くなりたかったこと。
「……そんな…はすみが?」
「……ごめんね、ごめん……」
許してもらえるわけない。いくらゆきなちゃんでも、こんなの絶対に許せないよ。
私は黙りこくるゆきなちゃんの顔を除き込んだ。
「あの、ゆきなちゃ……」
「信じてたのに……」
「え?」
「信じてたのに!!」
ゆきなちゃんは声を枯らして叫んだ。廊下に甲高い声が響く。
「私、はすみのことも、るりのことも信じてたんだよ!?
きっと破片が跳ねてはすみが怪我して、るりがやったって勘違いしてただけだって思って、……二人とも悪くないって信じてた。
なのに……はすみは自分でやって、るりを悪者にしていじめようとしてたなんて……」
ゆきなちゃんは綺麗な黒い瞳に涙を浮かべながら叫び続ける。
「はすみは……私の好きなはすみは、こんな子じゃない!」
ゆきなちゃんは最後にそう言い放って、階段をかけ上がっていった。
階段に残された私は、ただ呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
「……ちゃった」
嫌われちゃった。口からそんな言葉がこぼれる。
嫌われただけじゃない。私は渡辺さんも、ゆきなちゃんも傷付けたのだ。
「………何してるの、私」
3,心情
胸が酷く痛んだ。まるで包丁でめった刺しされているみたいに、ズキズキと痛む。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
涙と共に、後悔の感情がこぼれ出す。
私は一時の感情で、二人の人間を傷付けてしまったんだ。
自分が一番されたくないことを、大切なクラスメイトにしてしまったんだ。
私は何をしているんだろう。こんなことしたかったんじゃない。
「……もう、消えたいよ」
涙が止まらない。顎を伝って涙が傷口に落ち、血が滲む。
「ゆきなちゃんも、渡辺さんも、こんなに痛かったんだね…」
自分で傷付けるより、何十倍も痛いよね。信じてた人がこんなことしてて、何百倍?痛いよね。
私なんて、消えても誰も悲しまないよね。みんな喜ぶよね、こんな人間の恥みたいな私なんて。
そうだ、職員室に行かなくちゃ。
先生も渡辺さんも待ってるのに、また迷惑かけちゃう……。
ふらふらと歩き出す。階段をゆっくり降りる。
その時だった。
傷口が手すりの金具に当たり、めりめりと裂けていき、金具が裂けた傷口にめり込んだ。
真っ赤な血と肉が丸見えになる。
「ひっ……ぃぁあ"あ"あ"あ"ああ"あああ"!」
あまりの痛みに私はその場に倒れた。しかしここは……階段だ。
そのまま斜めに体が傾いて、頭から落ちていく。
凄まじい音と共に私は階段の角や壁に体を打ち付けられ、骨が折れる音や脳が揺れる音が聞こえてくる。
猛烈な吐き気と骨が折れた違和感、そして体中から込み上げる痛みが私を襲う。
「……かはっ」
目の前に広がる血と割れた歯を見つめる。
私はそのまま意識を失った。
続き楽しみにしてるね!
20:かき氷:2016/02/28(日) 11:02 ID:1R2 てゆうか想像するだけで怖い・・(´;ω;`)
私もいじめられてたけど、ここまではひどくなかったし・・
目が覚めると、目の前は真っ暗だった。
目を開けようにも開けられず、代わりに目に激痛が走った。
「…った」
腕も、首も、足も、身体中どこも動かせない。
「な…ん……で……」
声を出すのも精一杯だ。掠れたその声は、とても自分のものとは思えなかった。
>>19-20
実はまだいじめは始まってないんですよね〜…*いじめ怖いですよね…
私も階段から落ちたことありますが実際もこんな感じでしたよ〜**
4,いじめ
私は医師からの説明を聞き、やっと状況がつかめた。
私はあのとき階段から落ちて、騒ぎに気が付いた教師たちが救急車を呼んでくれたようだ。
目も左目は潰れていて、右目もかなり危ないようだ。
頭を強く打っていて、生死の境をさ迷い、骨も数ヵ所折れ、原形をとどめていなかった。
「………何……これ……」
鏡に映る自分の変わり果てた姿……まるでこの世の者ではないような姿に、私は酷く怯えた。
足は外側に折れ曲がり、くびは固定されてて見えないが、きっともう動かせないのだろう。右目でなんとか見えるが、左目は開けることすら出来なかった。
歯も数本折れていて、喋ることも難しい。
私は深くため息を吐き、目を閉じた。
翌日、ゆきなちゃんと渡辺さんが来た。もしかしてお見舞い?とか思ってたけど、そんな都合いいわけがない。
「はすみ、具合はどう?」
いつもより愛想が悪いゆきなちゃんに少し怯える。渡辺さんはバカにするような目で私を見ている。
「……あんまり」
私は小さくそう答えた。
目を合わせにくい。こんな姿になって、みんなに気味悪がられるに決まってる。
「ふーん。
私さ、はすみのこと、今でも信じてるよ。こんな姿になっても、ずっと大好きな友達だって思ってるよ。」
ゆきなちゃんははっきりした声で言う。……でも、今は何も考えたくない。きっとゆきなちゃんは心の中では私のことを嫌っているよ。私はもう誰も信じられない。
「でもね、はすみはまだ、るりに謝ってない。怪我をして大変だろうけど、これはすぐにでも謝らなくちゃいけないよ?
ねえ、はす…」
「……うるさいな」
私の口からは思ってもいない言葉が出てきた。
「うるさいうるさいうるさい…!
私は渡辺さんに酷いことして、怪我して、ゆきなちゃんに嫌われて、自分なんて何の価値もないって思いしって、なのに……。
なのにこれ以上、何をしろっていうのよ!?」
私はもういっぱいいっぱいなの…。
もう許して、早く楽になりたいから……。
小説書くのうまいねー…
なんか溶けこめるってゆーか…
こ…怖い…(・д・)
27:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/02/28(日) 16:44 ID:W6s >>25-26やっぱり自分で経験してるからかな……
それにしても表現エグいし話の展開早いしかなりおかしくなってる…(´^_^`)
経験したの!?
苦しかっただろうね…(泣)
私は息を荒げて、こぼれる涙を必死に抑えようと試みたが、……ダメだった。
「……ごめん」
ゆきなちゃんは申し訳なさそうに下を向いた。
ゆきなちゃんも渡辺さんも何も悪くないんだ。悪いのは全部私なんだ。こうなったのも、全部自業自得なんだ…。
本当のことを指摘されたのを嫌がらせと勝手に勘違いして、勝手に嫉妬して、勝手に傷付いて、本当に馬鹿みたいだ。
こんな人間にも、ちゃんと感情があるってことが憎らしい。
そうだ。感情なんて最初から無ければよかったんだ。そうすれば、一時の感情なんかであんなことしなくて済んだし、悲しまなくて傷付かなくてもよかったんだ……。
「はすみ、顔色悪いよ?先生呼んでこようか…?」
ゆきなちゃんの声が耳に届く。でも、何を言ったのかがよく分からない。
「……何か言った?」
「はすみ、大丈夫なの?なんか、はすみ…壊れてるみたいで……」
今度は「壊れてる」だけ聞こえた。そうだ、きっと私は心身共に壊れてきているんだ…。
昔テレビで見たことある。精神病を患って、少しずつ引きこもるようになって、やがて誰とも口を利かなくなり、人間不信になってしまう病気。
いじめが原因とか、大事な人を亡くしたとか、悲しくて辛いことがある人に多く見られる様だ。
私は?私は逆だ。人を傷付けようとした。
本当に愚かだ。哀れだ。
「はすみ…お願い、学校に戻ってきて」
「……学校」
学校。もうあんなところ、行きたくない。どうせ化け物扱いされるだけだ。
「はすみはみんなのこと嫌いなの?違うよね?大好きだよね…?」
「…話したこともないし、存在すら知られてないもん。…そんな人たちのこと、好きなわけないでしょ」
私はわざとゆきなちゃんたちに背を向け、涙を隠した。
「………そんな……」
ゆきなちゃんは絶望したように声を震わせた。
私にはもう、何もない。希望も光も、何も残ってない。
唯一の希望だったゆきなちゃんも、自分から遠ざけてしまったんだ。
「…ゆきな、もういいじゃん、帰ろ………」
さっきから黙っていた渡辺さんがそう言う。
「もういいよ、尾崎さんもショックで疲れてるだろうし……」
私なんかに気を使わなくていいのに。だって私だよ?こんな…こんな何の価値もない私に……。
「じゃあね、尾崎さん。
また来るから…」
「……またね、はすみ……無理しないで…」
二人はそう残すと、カーテンを閉めて出ていった。
また来るのか…逆にそれが、私にとっては負担だ。気を使わせて、自分がそんな程度の人間だって思い知らされる。そんなの、アイスピックで胸を抉られてるようなものだ。
「……もう嫌、私なんて……」
早く、消えて無くなればいいのに。
次の日も、その次の日も、ゆきなちゃんと渡辺さんはやって来た。
県内で一番大きいこの総合病院は、学校から一時間もかかるところにある。毎日来てよく疲れないなあ…。
「はすみ、調子は…どう?」
「………」
私は今日も何も言わずに、閉めきった窓を凝視する。
「ねえ、何とか言ってよ…
言葉、喋れなくなっちゃうよ……?」
私なんかを心配して、ゆきなちゃんって本当に……おせっかいだな。私なんかの心配しても、なんの特にもならないのに。
「……また来るね、」
ゆきなちゃんと渡辺さんはカーテンを閉めた。
そんな日々が、約3ヶ月も続いた。
私は大分回復してきて、学校に行くことも認められた。……私は行きたくないんだけどね。
「よく頑張ったわね。大丈夫、学校のみんなには事情を説明してあるから。」
……そんなの意味ないって。先生は知らないだろうけど、きっとあの頃の私みたいなことを考えている子はたくさん居るんだよ。
世の中はそんなに甘くない。社会の百万分の一も大変じゃない学校でも、そんなことがあるんだよ。
なんて、私が言って言い訳ない。私に選択する権利なんてない。
自分を追い詰めて追い詰めて、限界まで追い詰めたら、崖でつま先立ちするみたいに楽な気持ちになりたい。今までよく頑張ったねって、そのまま落ちていきたい。
「……はい」
明日から、学校生活が再び始まるんだ。……でも、今まで通りの生活になるなんて、…そんな訳なかった。
一睡も出来ないまま、私はカウンセリングの先生に車イスを押されながら校門をくぐった。足の歪みが目立たないように、膝の上には長めのタオルケットをかけている。タイヤに巻き込まれないようにゆっくり進む。
「…はすみ、おはよう…」
ゆきなちゃんの声。聞き慣れた声なのに、どこか懐かしく感じた。
「ああ、おはよう、ゆきなちゃん……」
私が挨拶を返したことで安心したのだろうか、ゆきなちゃんはガーベラみたいな笑顔になって私の横を歩く。
私が挨拶をしただけでも喜んでくれる人がいるんだ…。
「ねえ、はすみ!また一緒に給食食べようよ!今日はね、はすみと私が大好きなベーグルなんだよ!」
ゆきなちゃんは私を元に戻したいのか、声のトーンを上げて喋る。
「………そうなんだ」
私はもう差し歯だから、かたいものは食べられない。学校のベーグルは何故かかなり固いから…。
「私、はすみのこと守るから。
みんながはすみのことを障害者扱いしても、私は今までみたいに仲良くするから…!」
障害者…?私に、障害を持った人達の辛さなんてわからない。
そんなに甘くないんだよ、本当の障害は……。
とってもおもしろいですっ!
頑張ってくださいっ♪
ちなみに私も小説書かせていただいてます笑
うまーい!!
経験してるの?怖っっっ
怖い………
38:かき氷:2016/02/29(月) 18:11 ID:gJQ37>>それな!
39:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/02/29(月) 19:27 ID:W6s レスありがとうございます!**
なんかもう思い付きで書いてるけど…w
とりあえず誰か文力下さいw
私に障害を語ることは出来ない。でも、私より辛いってことは分かる。……でも、分かったところで何になるんだろう。
もう全てが下らない。生きる理由すらも分からない。
ほんの数ヵ月で、人はこんなにも変わるんだね。本当に面白い生き物だ…。
「はすみ、エレベーター使うでしょ?
先生、私も乗っていいかな!?」
「うん、いいよ。」
「やったー、私エレベーター乗るの初めてだ!」
ゆきなちゃん嬉しそう。エレベーターに乗るのってそんなに楽しいこと?学校のエレベーターだってマンションやデパートのとそんなに変わらないのに。
「えーっと、五年生だから…四階だね」
先生が上向きの矢印のボタンを押すと、ドアが開く。
中に入ると、大きな鏡に映る、私の姿があった。
三ヶ月前よりは大分マシになったかな。腕は手術でなんとか動かせるし、傷も目立たなくなった。
腕の傷は、私の後悔の証だ。直視するのが怖いから、封印するように包帯を何重にも巻いている。
やっぱり、まだ怖い。現実を見なくちゃいけないのが…。
エレベーターに乗り込み、先生が四階のボタンを押すと、ドアが閉まった。鏡に映る私が笑っているように見えて不気味だ。目を反らして天井を見た。
間もなく四階にたどり着き、ドアがゆっくりと開く。目線を鏡に戻すと、私の姿はどんどん小さくなり、少しだけ安心した。
教室に着くと、ほとんどの生徒は登校していた。私たちが来たことに気が付き、私を凝視し、静けさが訪れる。
「みんな、おはよう」
ゆきなちゃんが真っ先に口を開いた。
「あ、お、はよ…」
何人かの生徒たちがしどろもどろに返す。きっと変わり果てた私の姿に戸惑いを隠せないのだろう。
……今まで喋ったこともないくせに。
「森川さん、あとは頼めるかしら?」
「はい、大丈夫です!」
先生はゆきなちゃんに車イスの動かし方を念入りに教えた。
ましまろ、小説書くのうまいね。
元にかのむです。
こんなにつらいんだね。
うちは、少し今いじめをされてるから来たよ。
じゃあね。
>>42そっか……
いじめをした人には忘れた頃に罰が下るからね…
>>43
そうなのか…
これからも応援しています!
実はうちもいじめられてるよ……
46:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/01(火) 18:57 ID:W6s もともと成績がいいゆきなちゃんはすぐに覚えた。
「尾崎さん、大丈夫?」
名前どころか顔も知らない女の子が同情するように訪ねる。……顔を見れば分かるよ、表だけの同情だって。
話したこともないのに、…何いい子ぶってるの?
「……大丈夫に見えますか?」
「…ううん………ごめんなさい………」
女の子は罪悪感でもあるのか、とぼとぼと自分の席へ戻っていった。
自分がしたこと、今更分かったんだ。ははは、呑気なものだ。
「ゆきな、ちょっといい?」
岩井さんが、ポニーテールを揺らしながら早足でこちらへ来る。
「……何?」
ゆきなちゃんは真っ直ぐに岩井さんの目を見つめた。
「……話があるんだけど」
「いいよ、場所移す?」
「…うん、お願い…」
「わかった。じゃあはすみ、ちょっと待っててね……」
「私も行く」
ゆきなちゃんを渡したくない。生きる希望すら薄れてきた私でも、やっぱりまだ友達は必要だ。
「…いいよ、勝手にすれば…」
岩井さんは愛想悪く目を反らした。
「…行こ…」
私たち三人は教室から出ていった。
黙って足を進める岩井さん。どこか怒っているようにも見える。……どうせ私が着いてきたことに不満を感じているんだろう。
私たちが校舎裏まで来ると、岩井さんが口を開いた。
「……あのさぁ、ゆきな」
いつもよりトーンが低い声。久しぶりに聞いたから錯覚かもしれないが、何となく暗い気がする。
「なに?」
「……あんたさ、私たちの悪い噂流してきたそうだね。」
「………え?」
私は耳を疑った。
なんで?なんでゆきなちゃんが岩井さんたちの悪い噂を…?
そう言えば、あのとき……渡辺さんが、私のせいで悪い噂が流れてるって言ってた。でもなんで、ゆきなちゃんが……?
「私してないよ?なんでそんなこと……」
「名前は言えないけどさ、ある子が言ってたんだよ。森川さんがみんなに言いふらしてたよーって、さ」
「そんなの…そんなの作り話だよ!第一そんな噂が流れてたこと自体知らないし……」
「名前言ったら絶対逆恨みして仕返しするでしょ!?
それに、その子は嘘なんて吐く子じゃない」
岩井さんはゆきなちゃんを哀れむような目で冷たく見る。
「その子のことは信じるのに、私のことは信じられないって言うの!?
今までずっと一緒にいたのに…」
「ゆきなさ、私たちが話し掛けてもいつも尾崎さんの方に行ってさ、私たちが親しみやすいように軽い感じで話し掛けてもあんたがかばって邪魔するから悪者扱いされるんだよ。
なのになんで自分からわざわざ言いふらすわけ?
そんなの…そんなの……」
岩井さんはゆきなちゃんを冷たくあしらう。
「信じられるわけないでしょ!」
彼女の口から出てきた言葉は、私にとっても、ゆきなちゃんにとっても、衝撃的な言葉だった。
特にゆきなちゃんは、虚ろな目でふらふらとあとづさる。
「……行こう、尾崎さん」
「えっ……ゆきなちゃ……」
「あんなやつもう放っておこ、私が押すから」
岩井さんはゆきなちゃんなんてお構い無しに車イスを押した。____
え、何か意外な展開。
51:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/01(火) 21:16 ID:W6s 「私たち今までさ、ずっと尾崎さんと仲良くしたかったんだよ。ほら、あんたっていつも暗い顔してさ、下ばっかり向いてるから…
それでゆきなと一緒に居るときだけ笑顔になって。その笑顔に何故か引き付けられて…私たち悔しかった。
それにいつも正義ぶってるゆきなに邪魔されて、腹立ってた。」
……そんな。ゆきなちゃんは嫌われてて、私は好かれてたって言うの?私の思い込みと真逆だよ…。
「それであんたがるりに嫌がらせして、るり本当に悲しがってたよ。
あいつ素直じゃないから冷たい態度取ってたけど、あとで泣いてたし。
そのあとにあんたが大怪我して、私たちは決めたんだよ。」
岩井さんは大きく息を吸った。
「私たちはゆきなに思い知らせてやるの。
私たちが味わわされた辛さを。」
な、何という展開。。。ドキドキしてきた
53:にか:2016/03/01(火) 21:26 ID:nJEうわぁ。すごい展開。
54:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/01(火) 21:29 ID:W6s >>52-53なんかもう自分でもなんだこの展開って感じだ…w
本当、感情に任せて行動するのは良くないよ、うん。…*
5,復讐
辛さを……味わわせる……って……。
「駄目だよ岩井さん!一時の感情で行動したら、たくさんの人を、自分を……傷付けちゃうから!
私も、それでこんなことに………」
「……分かってるよ。だからあんたにバラしたの。
それにさ、ゆきなはあんたのことも傷付けてきたんだよ」
「えっ……」
「だって、ゆきなが余計なこと言ってあんたを守らなければ、あんたにもたくさん友達出来てたよ。
なのにゆきなが全部追い払って、あんたを独り占めしようとしてたの」
……そんな。ゆきなちゃんが、そんなこと……。
「あんたにとって嫌だったことも、私たちにとっては全部好意を持った行動だったんだよ。なのにあんたのこと考えなくてごめん。」
「……いいよ、私の思い込みもあったし………」
それより、ゆきなちゃん……ゆきなちゃんのことは……。
「ほら、そうやってすぐにゆきなちゃんゆきなちゃんって。
そうやって自分に頼りっぱなしになるように正義ぶってたんだよ。
自分がもし悪い立場になっても、味方は一人くらい欲しいって」
「でもそんなの、岩井さんの予想でしょ!?本当にそう思ってるかどうかは……」
信じたくない信じたくない信じたくない信じたくない……
そんなの、そんなの嘘だ。ゆきなちゃんは、いつだって私に笑顔を見せてくれた。なのに………
わぁ・・・すっ凄い展開・・・
57:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/02(水) 07:27 ID:W6s 「予想でもさ、当たる確率は0%じゃないんだよ。それならもし間違えてても謝れば済む話」
「ごめんなさいで済む話なの!?岩井さんはもし相手の勘違いで嫌がらせされて、後で勘違いでした、で済まされて………私もそれで渡辺さんを傷付けたんだよ!?きっと岩井さんも後悔するから………」
「あんたも今まで散々弄ばれてたんだよ。まだゆきなを信じるって言うの?」
分からない。自分が何をしたいのかが分からない。でも……。
今なら分かる。感情は必要なんだ。人を守るために、自分を守るために、必要なものなんだ……。
「信じる。私はゆきなちゃんを……大切な友達を信じる!」
「……なんで………。
ゆきなの……ゆきなのこと何も知らないのに何でそんなこと言えるの?
ゆきなは……ゆきなは………」
岩井さんは声を荒げる。
「ずっとあんたのこと、ウザイ、いつもくっついてきてムカつくって悪口言ってたんだよ…?」
「えっ?」
ゆきなちゃん……が?
え、え……?私のことウザイって……。
「嘘だ…だって私のこと信じてるって言ってたのに……」
「いつも付きまとっていい加減疲れた、って言ってたし…」
じゃああの言葉は……嘘だったんだ。
私のこと信じてるっていうのも全部、全部嘘だったんだ。
何それ、私の気持ちなんて考えてなかったんだ…。
「……ない」
許せない。そんなの酷すぎるよ。私がずっと悩んでいたのも知っていたくせに。自分の為だけに私を利用してたんだ。
「ゆきなちゃん、こんなの残酷すぎだよ……」
ぽろぽろと涙が零れる。なんで?私も希望を失いかけたけど、こうやってまた立ち直れたんだよ。
だから本当に感謝してる。大切なことにも気付かせてくれたゆきなちゃんに……。
でも。
全て演技だったんだね。自分に味方を付けるため、私を便利な道具として利用していたんだ。
私の気持ちを踏みにじって…。
「私、ゆきなちゃんのおもちゃじゃないんだよ……」
今度は一時の感情なんかじゃない。
……私は、ゆきなちゃんを許さない。
6,敵
「尾崎さん、大丈夫?」
岩井さんが車イスを止めて私の顔を覗き込む。
「岩井さん、私も……私もゆきなちゃんを許せない。私を便利な道具としか思ってないんでしょ?
もう今までの優しさも演技としか思えないよ……」
人の言葉って怖いよね。ただの作り話だとしても、こんなにも信じ込んじゃうんだもん。私だってきっとそう、また同じことを繰り返すに決まってる。
でも……そう分かっていても、この怒りと悲しみは抑えきれない。
「私、ゆきなちゃんに復讐してやりたい……」
弱い私でも、岩井さんが付いていてくれれば強くなれる。何と言われようと、私は自分の恨みの感情を制御出来ない。
正に虎の威を借る狐、だよ。でもそれが何?人間は怒りのまま立ち向かえばいくらでも強くなれる。
「……尾崎さんは病み上がりだから無理すんなよ。私たちがなんとかするから……」
岩井さんは再び車イスを押し始めた。
私、怨みの感情さえ持てば、きっと今までより何億倍も強くなれるよね…?
教室に戻ると、既に授業が始まっていた。そういえば、校舎裏はチャイムの音が届かないんだっけ…。
「すみません、遅くなりました…!」
岩井さんが息を切らして(演技?)そう叫ぶ。
「おーそーい。まあ仕方ないか。
今回は特別、尾崎と会うの久しぶりだからね〜」
担任は出席簿で肩を叩きながら言う。
「でも、明日からは気を付けなよ。
さ、座って」
私たちは軽くお辞儀をして席に着いた。私の席は廊下側の一番後ろに変えられている。きっと車イスを入れやすくしてくれたんだろう。
私の隣は岩井さんだった。
「これからは私に頼ってよね」
「うん、ありがとう…」
小さな声でそう交わし、くすくす笑う。
「あれ、森川は休みか?」
「朝は来てましたよ」
「岩井たちと一緒にいなかったっけ?」
「岩井、何か知らないか?」
クラス中がざわめき出す。
「いいえ、知りません。
私が入院中の尾崎さんの様子はどうだったのかを訊こうとしたら黙って逃げてしまって……」
岩井さんは嘘を吐いたにも関わらず、何食わぬ顔で座る。
「そうか。きっと具合か何か悪くなって保健室にでも行ったんだろう。
じゃあ、授業始めるぞ」
私たちは国語の教科書をゆっくりと開いた。まるで何かが始まることを告げるように………。
ゆきなちゃん酷い・・・
でも、岩井さんがわざと言ってるって事もあるのかな?
>>61
どうなんだろうね……?
わくわく…*
でも現実でもこういう子いそうだよね……*
二時間目が終わる頃。
急にトイレに行きたくなり、手を挙げる。
「先生、トイレ行きたい……」
「トイレか、えーと…
岩井、連れていってやれ」
「分かりました」
岩井さんはすぐに立ち上がって車イスを押す。きっと前ならすごく気まずかっただろうね…。
「ねえ尾崎さん……私さ、今朝ゆきなの下駄箱に虫の卵入れておいたんだ」
「………えっ?」
虫って……確かゆきなちゃんは虫が苦手だった。それが卵だなんて…小さい虫の子供がわらわらと出てくる様子が目に浮かぶ。集団恐怖症の私には少しキツいな…。
「なんの虫なの?」
「……カマキリ」
っ!!カマキリ…!
ゆきなちゃんが特に苦手な虫だ。小さい頃にカマキリに噛まれたのがトラウマだとか…。
いくらなんでもショックが大きすぎるんじゃない…?
それにカマキリは卵から何百匹もの子供が生まれるとか……きっと上履きを取り出そうとしたゆきなちゃんの身体中にカマキリが湧いてしまうのでは…。
「私、虫は平気なのよね〜。
大丈夫、尾崎さんの上履きは西側の玄関に入れることになってるでしょ。
他のみんなにも後で伝えておく、早く登校するようにって」
なんでそこまで…。ゆきなちゃんを学年全員が虐めることになる。
いくらなんでもやりすぎではないか…?
「明日には生まれるから……ふふふ、楽しみだね、あいつの苦しむ顔を見るの……ふははははは………」
岩井さんは声を殺して不気味に笑う。
なんだかトイレにも行きたくなくなってきた。…
「ごめん岩井さん、やっぱりいいや…」
「そう?いいんだよ、気にすんなって」
岩井さんはUターンして教室に戻った。その時、二時間目の終了と休み時間の始まりを告げるチャイムが鳴った。
「………ぁあああああああああ"あ"あ"あああ"あ"ああ"あ"ああ!!!」
一階から凄まじい叫び声が聞こえた。耳をつんざくような、超音波みたいな声…。掠れていて上手く聞き取れないが、この声……。
「ゆきな、だね」
岩井さんが整った唇の両端を醜くつり上げて笑った。その不気味な笑顔に背筋が凍り付く。
「カマキリ……が…………」
大量に……生まれたんだ。
「いっいやだぁあああああ"あ"あ"あぁっ、こっ、来ないでえぇえええぇぇええ"え"ぇ"!
嫌だ、止めてぇええええ"え"!」
ゆきなちゃん(と思われる)その声は、まるで恐ろしい凶器で襲われた人みたいに必死で今にも喉が潰れそうな声だった。少し心が痛むが、……私のこの怪我よりは大分マシだ。
「はははは………ふはははははははははは……、あはははっ……」
頭上から岩井さんの怪しげな笑い声が降り注いだ。
恐る恐る振り返ると、豹変した岩井さんの姿が目に入った。
え…すごい…面白い…
一瞬で読んでしまった
スーッ っと入りますね!
俺も小説書いてるんですけど
ましまろさんのはとても続きが読みたい!
という気持ちになります!
続きがんばってください!
>>66ありがとうございます**
人間って本当に感情がコロコロ変わって面白いけど怖いですよね…。
真城さんの小説も読んでみたいです!
良かったら題名を教えてくれませんか…??
「でも……これくらいじゃ済まさないわよ……私たちは学校中のみんなから冷たい目で見られてたんだから…それに、あの子が嘘を吐くはずがないもの……」
岩井さんは何かに取り憑かれたようにブツブツと呟いている。
「なに!?」
「下駄箱の方から…どうしたの!?」
「きゃあ、何これ……虫だ!」
「気持ち悪っ!何あの子……」
一階からざわめきがどんどん広がる。
「今のゆきなちゃんだよね?」
「うん……なんで下駄箱にいるんだろ…」
「まさか……サボり!?先生に黙って抜け出す気だったとか!」
「何それ、ズル……意味分からない、何考えてるんだよ」
私たちのクラスからもそんな声が聞こえてくる。
「ゆきなってこんな子だったんだ」
「幻滅〜…」
「実は裏表激しかったり!」
「影で誰かの悪口言いふらしてたり…?」
「ネットの掲示板で悪口書いてたりとか……」
「何それ、性格ひん曲がってるね〜」
こんな風に、どんどん噂は広まっていった。隣の教室から、三階、二階から……。ゆきなちゃんへの批判の声は学校中を覆い尽くしていった。
……人間って本当に愚か。人一人の一言で、他人の印象なんてこんなに変わるんだね。
うちも何回裏切られたか分からないぐらい、言葉で友達がいなくなったよ…
今もクラスの人三人としか親しくなれてないし……
全部嘘の噂なのにね。
>>69嘘の噂も信じ込まれると終わりだからね…
人っていつ裏切るかも分からないしほとんどの人は自分を守ることしか考えてないだろうし…
「ちょっと何事?」
各教室から先生と生徒たちが次々と出てくる。廊下はたちまち先生と生徒たちに埋め尽くされ、ざわめきは一層大きくなった。
「一階に行ってみよう!」
「性悪女を懲らしめてやるんだから!」
「本当うざかったよね、あの正義ぶった言動」
「何、少し言い合いしてただけで割り込んで『喧嘩ダメッ!』って。」
「マジ迷惑だわ」
「お節介すぎるって言うか〜」
ゆきなちゃんへの悪口は私たちのクラスから、他のクラスにまで広がっていった。
「他のクラスに口出してさ…」
「部外者のクセに?」
「それで虫が出たらキャーキャー喚くし。」
「うるさいしキモいわー」
そして…三階、二階、一階にも広がっていった。
「五年生の森川?」
「あいつ、年上にも生意気なんだよね」
「大して良いこと言ってないし」
「いちいちうるさいんだよ」
「五年生のクセに完璧主義とか…ウザァ」
ゆきなちゃんへの批判の声は、先生たちにまでも広がっていった。
「一組の森川さん?」
「去年私のクラスでしたけど、授業に色々と文句を言ってきて…」
「二年の時も授業を妨害してきまして…親御さんも謝っていたのに聞かずに…」
「止めましょ、生徒の悪口なんて」
「そうね…でも掲示板に悪口ってどういうことかしら……」
「とにかくいじめに発展したらまずいわ、学校の立場も無くなってしまうもの」
「みんな、とにかく教室に戻りなさい!」
先生たちは生徒たちを教室に押し込む。私は岩井さんに車イスを押されて車イス専用のトイレに滑り込んで、奥へと進められる。
ドアが音をたてて閉まるが、誰も気が付いていない様子だ。
「何これ……みんな勝手にゆきなを嫌いになった……」
岩井さんは相変わらずくすくす笑いながら喜んでいる様子。
……そんなに嬉しいのか。
「しかも先生まで!あはは、本当に大成功だ!私って天才だ……!」
岩井さんは息を切らしながら必死に笑いを堪えている。
…少し不気味だ…。
「ねえ、すごくない、はすみ!」
…はすみ?……初めて…名前で…!
私は堪らなく嬉しくなった。なんだろう、ゆきなちゃん以外の人に名前で呼ばれたの初めて…!
それがこんなにも嬉しいなんて。もうゆきなちゃんなんて特別でもなんでもないや…!
「すごいよ、流石あいな!」
私も岩井さんの名前を呼んでみる。少し調子に乗っちゃったかな。
「……はすみ、やっと名前で呼んでくれた…!」
「……私も嬉しいよ……!」
ゆきなちゃんのおかげだ。こんなに仲良くなれた。
……そうだ、ゆきなちゃんは今まで私をこんな風に利用してきたんだ。
何これ、すごく清々しい…!
ゆきなちゃんなんてどうでもいいや。
私が気分良ければそれでいい……。
「あれ、岩井と尾崎はまだか?」
教室から担任の声が聞こえる。
「やば、早く戻ろ」
あいなちゃんはドアを開けて車イスを押した。
「すみません、初めて使うもんだからやり方分からなくて〜」
相変わらずの高い演技力で誤魔化すあいな。
「そうか。あと、今の騒ぎ聞いてたか?」
「あー……はい」
あいなちゃんは気まずそうなフリをする。私も一応うつ向いてみた。
……正直どうでもいいんだけどね。
「そうか。とりあえずみんな、森川のことを仲間外れにしたり無視したりしたら駄目だからな。それだけは気を付けるように!いいな!」
「はーい」
あちらこちらから面倒臭そうな返事が上がった。
「じゃあ先生たちは職員会議があるから……三時間目からは自習な。たまに生活指導の田中先生が回りに来るから静かにしてろよ。」
担任はノート等が入った手提げを持って教室から出ていった。
引き戸が閉まる音を確認すると、クラスの空気は一気に緩くなった。
「自習とかだるー…」
「ノート広げておけば田中来てもばれないっしょ!」
「トランプしようよ〜」
生徒たちは楽しそうに談笑している。
あいなちゃんを見ると、面白くなさそうに消しゴムを転がしていた。
「何あれ、調子乗ってんの?
うるさいんだよ…癪に触るわ……」
私は聴力が落ちてきているからそこまで気にならないが…あいなちゃんにとってはかなり耳障りなようだ。
「ちょっとうるさいんだけど?」
一際大きくて特徴のある声が教室に響いた。一瞬でしんと静まりかえる。
「あ、まゆみ」
あいなちゃんが声の主の名を呼んだ。そう、彼女は三人組のリーダー格、上原まゆみだったのだ。
彼女はクラスの中でもかなりの実力者であり、鋭い目付きと優れた頭脳と身体能力の持ち主である。
おまけに背が高くて美人。男子さえも怖がるほどだ。
誰も彼女に口出しなど出来ない。
「お前らさ、森川の悪口言ってたけどさ、お前らも誰かに陰口言われてるんだよ?なに調子こいてんの?
なに、森川を攻め立ててる自分かっこいい〜的な?馬鹿じゃないの」
上原さんは綺麗なショートの髪を優雅に払いながら席に着いた。
今まで騒いでいた人たちは気まずそうにうつ向いて席に着く。
「すごいよね、まゆみは。圧力すごいって言うか〜」
「少し怖いけど、すごく綺麗だよね」
私とあいなちゃんは小声でそう交わした。
「あ、それと……
あいなとるり、尾崎はちょっと来い。話がある」
えええ、私も…?なんだろう、まさかあいなちゃんと仲良くしてるから…?嘘、どうしよ…!
わぁ…クラスだけじゃなくて先生まで…
なんか怖い…
先生……
77:にか:2016/03/03(木) 19:18 ID:nJE 先生もそんなこと言うんだ。
あの先生たち怖いな…
噂って一人がすると一気に広まるものなんですね…
信用されてる人なら違いますけど
悪い噂が少しでもあった人だとその噂も含めて悪化するんですか…
しかも先生まで、ちょっと怖いです
>>67
まだ完全に完成していないので…
完成して見直しとかしてから掲示板にだそうかと思います!
>>75-78先生ェ……教師失格だよこんなの……
みんなひねくれてるなぁ…(著者の私がひねくれてるからか…**)
>>78そうなんですか!
楽しみにしてますね♪
「な、何かな……」
「大丈夫、まゆみは文句言うときは個人個人で呼び出すから」
そっか……そんなことまで知ってるんだ。すごく仲良いんだね。少しだけ羨ましいな、私は何でも知っていると思っていたゆきなちゃんの本当の顔、全然知らなかったもの。今まで笑顔だった私も馬鹿みたい。
「何、まゆみ」
渡辺さんが最初に口を開いた。整った三編みを揺らして私を横目で見る。
「まゆみ不機嫌?」
「少しね。こいつら本当にうるさいし生意気だわ。」
「仕方ないよ、頭の中はまだ餓鬼だもん」
三人は楽しそうに笑っている。……なんか私、邪魔かなあ…。
「…あの、」
「そうそう、尾崎はすみ。」
「は、はいっ!」
名前を呼ばれて驚いてしまい、とっさに出た声が裏返ってしまった。
「森川の本性知って驚いた?」
「……はい………」
驚いたと言うか、傷付いたけどね。
「ははは、タメなんだから敬語やめな?お前はうるさくないし気に入らなくないから。」
「あはは、まゆみはうるさい人大嫌いだもんね〜」
あいなちゃんがクスクス笑ってクラス中を見渡す。みんな気まずそうにノートに顔を向けて鉛筆を走らせる。
「ごめんね〜、私だよ、森川が噂ばらしてるって言ったの」
「………えっ?」
え……?え、えぇ………?
なんで上原さんがそんなこと…。ゆきなちゃんが悪い噂を流してるって…。
まさか!
「じゃあ嘘なの!?」
「嘘じゃないよ。森川は本当に私たちを悪く言ってた。私聞いちゃったんだよね。森川が誰かに陰口言ってたところ。」
……ゆきなちゃん…本当に…?
なんで、どうしてこんなに後悔してるの?ゆきなちゃんなんてどうでもいいはずなのに…。ゆきなちゃんなんて、裏切り者なんて……。
「裏切り者」?
違う。ゆきなちゃんは裏切ってなんかない。どこにそんな証拠がある?実際に裏切ったと言う証拠はないじゃないか。それなのに私は信じ込んで、被害者ぶって。
……目が覚めた。今までの私は何もかも間違っていた。
……私にはゆきなちゃんしか居なくて、ゆきなちゃんが大切で……。
たくさんの幸せをくれた。たくさんの思い出もくれた。
私は、もう間違わない。どんな誘惑にも乗らない。
「私は、もう現実から目を反らさない…!」
「は?何言ってんの?」
上原さんが私を睨み付ける。少しためらうが、それが何だ。
「私はたくさんの笑顔をくれたゆきなちゃんを信じる!もう……もう逃げない!」
私は教壇に立って、思いっきり叫んだ。
「ゆきなちゃんが悪い噂を流した証拠なんてまだない!
証拠がない限り……私はゆきなちゃんを信じる…!」
「……チッ、うるさ……この生意気女が…」
上原さんが、…岩井さんが、渡辺さんが………クラス中のみんなが私を睨む。
……私は一人ででも立ち向かう。
……人を利用して人を貶める人たちに負けてたまるものか。
今までの自分にもサヨナラだ…。
簡単に人を貶める奴らはみんな敵だ。
もう絶対に惑わされない。
7,独りぼっち
「っつ………」
流石に足が痛んで、その場に座り込んだ。ははは、必死で怪我のことなんて忘れてたよ。
「ねえはすみ、何言ってるの…?冗談やめてよね、」
「冗談?ふざけんな!」
私はこちらに歩いてくる岩井さんを軽く睨み付けた。岩井さんは今までになかった私の迫力にためらったのか、肩を落として上原さんの元へ戻っていった。
「ふーん、そう………」
上原さんはにやりと笑った。
「みんなー、尾崎がいじめられたいみたいだよ〜?みんなはどうする〜?」
教室中が静まる。クラスメイトたちは隣同士の顔を伺う。
「あれ、みんなまさかいじめてあげないの!?残念、みんな優しくていい子だと思ってたのにな〜」
……この喋べり方、イラってくる。ふざけてるの?
「……い、いじめ…る……」
クラスメイトの一人が立ち上がる。
「ねえ、みんなはさあぁ、大切なぁ…クラス……メぇ…イトのお願い……聞いィてあげられ…ない……のぉ?……」
顔を引き釣らせて笑顔を作る。そして小刻みに肩を揺らす。
「あはっ…はっ…はっ…はっ…はっ…はっ…はっ…はっ……はっ………ははははははははははは!……」
彼女は天井を仰いで笑い続ける。
「ねえ、尾崎さんのお願い、聞いてあげよーよ!大怪我して大変だろうし!」
「………う…ん…………」
「上原さんも……言ってるしね………」
「いじめ………し…ます………」
教室のあちらこちらから賛成の声が上がる。
……いじめか。とうとう私は自分が正義だと思ってやろうとしていたことをやられるのか。…当然の報いだ。
「……気が済むまでいじめればいいじゃない…」
上等じゃん。私はいじめに負けない。そんな人を操るモノになんか…負けて堪るものか。
全校生徒を敵に回しても、私は絶対に負けない。
「あんただって森川を傷付けたんだよ?今更許してもらえることじゃないし?」
上原さんは私の机の上に足を乗せる。
「もしかしたら森川もあんたをいじめるかもね?」
………そうだね、ゆきなちゃんも私をいじめるかも知れない。……でも。
「ゆきなちゃんの気が晴れるなら、いくらでも殴っても構わない。例え私が死ぬことになっても、私はゆきなちゃんを許す!」
「ふーん、……あっそう」
上原さんは私の机を蹴飛ばした。凄まじい音を立てて、机は廊下に出て、壁に当たる。
「この車イスももう要らないね?」
真っ先にいじめに参戦すると宣言した子が私の車イスを殴った。車イスは少しだけ曲がり、タイヤの付け根が折れる。
………………
「何この音?」
校庭から、何かのサイレンの音が聞こえた。…私はその音に聞き覚えがあった。
「救急車!?」
「まさか……森川さん?」
教室中がざわめき出す。
…………ゆきなちゃん!そうだ、あのあと、先生たちは何も対処してくれてない!
私は歯を食い縛って、四つん這いで廊下に出た。
ゆきなちゃん……ゆきなちゃん……!
私は必死に廊下を進み、エレベーターのボタンに手を伸ばす。
エレベーターのドアが開くと、中から数匹の小さなカマキリが出てきた。
「…っ………」
少しためらうが、今はそんな暇はない。私はエレベーターに乗り込み、一階のボタンを押した。
エレベーターはゆっくりと下がり、やっと一階にたどり着いた。
う、うわぁ、。
みんながいじめちゃうなんて…
ひどいな…。
うわーこわっ…←何が?W
86:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/04(金) 17:39 ID:W6s >>84-85主人公がコロコロ変わりすぎかなあ……(*´^`*)
悪→ちょい明→悪→極悪→明
うわぁ…**
すみません、今すっごい鬱なので鬱がテーマの方を先に書かせて下さい…。
はすみちゃんたちの方はいつか仕上げます…。
あ、良いよ〜
どっちも楽しみにしてるね!
書けそうなのでいじめの方書くね!
90:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/08(火) 22:20 ID:W6s エレベーターから這い出て、私は虫の死骸だらけの玄関を通りすぎ、校庭に出た。
校庭には救急車が停まっており、担架に乗せられたゆきなちゃんが苦しそうに身悶えしている姿が見えた。
私は罪悪感に胸がもやもやしたが、今はそんなのどうでもいい。
ゆきなちゃんを……友達を信じず、傷付けたことを一刻も早く謝りたい。そして、これからはもう間違えないことを約束したい…!
「ゆきなちゃん!」
私は力いっぱい叫んだ。
校庭にいた担任が私に気が付き、駆け足でこちらに来る。
「何やってるの、怪我が悪化するわよ!?」
「そんなのどうでもいいです!私も病院に連れていって下さい!」
私は担任が差しのべた手を軽く払い、キッと意思の強い瞳で睨み付けた。
「でも…森川さん、皮膚を食い破られてショック状態なの。骨も剥き出しの状態だし、きっとずっと一緒だったあなたも大きなショックを受けるわ……」
ゆきなちゃん……そんな………。
…でも、私が今出来ることは……側にいて見守ることと、回復してきたら謝ることだけ。出来ることなら精一杯やりとげたい。
「大丈夫です……どんな姿でも、ゆきなちゃんはゆきなちゃんですから」
私はもう迷わない。怨みや妬みの感情になんて負けない。
……私は、自分自身と戦うんだ…!
ましまろ、文才あるね!
93:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/11(金) 16:46 ID:W6s>>92……ありがとう(//_//)
94:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/11(金) 16:52 ID:W6s 担任は少しの間考え込んでしまう。
その間に、救急車は走り出してしまった。……ゆきなちゃんの命がかかってるんだもん、仕方ないよね。
「分かった。
でもいい?これから先、今まで通りに一緒に過ごせないかも知れないわ。
先生たちのミスのせいで手当てが遅れてしまうせいもあるわ……」
「大丈夫です、ゆきなちゃんを信じましょう……それと、」
私は汗が滲む手をきつく握り締めた。
「私が大怪我したあの日……私が自分で自分を怪我させて、渡辺さんに責任を押し付けようとしていました。
ゆきなちゃんがあんな目に逢ったのも、全部私が悪いんです。」
「……そう。本当のことを言ってくれてありがとう。先生はただ本当の事を知りたかっただけで、怒るつもりはないの。詳しいことは後で聞くわね。
今は何より、あなたが私を信じてくれたのが嬉しいの」
「……はい」
そうか。信じてもられるのはとても嬉しいことなんだ。……信じてもらえなかったゆきなちゃんは、悲しかったよね……ごめんなさい………。
うまっ!!!
私も小説書いてるんだけど、私のより100倍うまいよ!!
続きも楽しみにしてるね!!
>>95誉めすぎじゃい(///д///)
よし、これからもガンバるなり〜*
がんばれ!
98:かき氷:2016/03/12(土) 14:54 ID:Cf6うん、がんばってね!
99:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/12(土) 21:11 ID:W6s>>98ありがとう!
100:あやや◆dA:2016/03/12(土) 21:46 ID:eyU 100!!
ゲット〜!
もう100か〜**
102:苺ましまろ*◆LM せせせせ:2016/03/12(土) 22:24 ID:W6s 「仕方ない、先生が車を出すわ。職員室に行って鍵を持ってくるからちょっと待っててちょうだい」
担任は玄関に戻り、職員室に向かっていった。
数分後、担任が再び姿を現した。
「お待たせ。教頭にも伝えておいたから……行きましょう」
「……はい!」
道路に出るとベージュ色の小さな車が留まっている。毎日見かけているが、これは担任の物だったのか。
私と担任は車に乗り込み、シートベルトを締めた。
「ちゃんとシートベルトした?」
「はい、大丈夫です」
「そう………じゃあいくわよ」
担任はハンドルを握ってアクセルを踏んだ。
車がゆっくりと前進する。窓から見える景色が後ろに流されていく。
ああ、こんな風に時間も巻き戻せればいいのになぁ…。今更だけど。
一時間程たった頃だろうか、大きな建物の前でゆっくりと停車した。
「駐車場は……空いてないわね、」
担任は悔しそうに曇り空に浮かび上がる「満」の文字を見つめた。
「どうしますか?」
「空くまで待つしかないね……」
私たちの前に他の車は無かったが、駐車場の中は見渡す限り車で埋め尽くされていた。
「……雨降ってきたわね………」
窓ガラスに透明の線がいくつもいくつも現れる。次第に雨は強くなり、窓ガラスに当たるアマ音も激しさを増していく。
バチバチと鳴り響くその音は、何故か体が受け付けず、私の白い肌はぷつぷつと鳥肌になっていく。
時折視界がぴかりと光り、雷が落ちる音と振動が伝わってきた。
不気味なその光景に身震いする。
その時、駐車場から一台の車が出てきた。どうやら空いたようだ。
「さてと……」
担任は駐車券を取り、アクセルを踏むと駐車場に入っていく。
空いているスペースに車を停めると、シートベルトを外しドアを開けてくれた。
「雨が酷いわ……早く病院の中に入りましょう」
私も外に出る。激しい雨のせいで二センチ程雨水が溜まっている。雨が頭を打ち付けて、まだ完全に治っていない傷が痛む。
でも、心に負った傷よりは幾分かマシに思える。
先生やさしい!!!
でも満車だったのか・・・
入院前にもこんなの書いてたんだ…*
久しぶりに続き書こうかと思います!*
でもプロットが残ってなかったので結末はどうなるか分かりません…*;
8,朽ち果てた心
「……えーと、受付受付…」
病院の中はとても薄暗くて不気味だった。やっぱりこの天候のせいだろうか。
「ここ、尾崎さんが入院してた病院よ。大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
心の傷が痛んだのか、と心配してくれたのかな。
担任は受付を見つけ、そこに駆けていく。
しばらくして担任は踵を返して戻ってきた。明らかに動揺した表情は、最悪の状態を表している。
ま、まさか………ゆきなちゃんは!?
担任は慌てふためく私を悟ったのか、溜め息を吐いて私の肩を叩いた。
「しゃきっとしなさい。森川さんは亡くなってはないわ。ただ、皮膚の再生には時間がかかるから、長らくは面会は出来ないと思うわ。
医師の許可が下りれば、文通くらいはしても良いんじゃないかしら?」
「そ、うですか……」
涙が溢れ出してきた。今更謝っても、ゆきなちゃんは戻って来ない。むしろ私から離れて行くだろう。学校に復帰しても、きっと皆と一緒にいじめてくるだろうなぁ。
でも良いよ、それが当然の報いなんだから。
それに、ゆきなちゃんを信じてない訳じゃないよ。ちゃんと信じてるけど、多分ダメだなってことで……。
全部私のせいだ。どうして、一番近くにいたゆきなちゃんを信じてあげられたなかったんだろう。
その時の相手の嘘も見破れない。
何て情けないの、バカ。
「何ぼさっとしてるの、早く行くわよ!」
「あ、すみません…」
ボーッとしてて気付かなかったが、いつの間にか担任は歩き出していた。それを慌てて追い掛ける。
__待ってて、ゆきなちゃん。
私と担任は、しばらく廊下のソファに腰を下ろしていた。医師からは何の連絡も無く、ただただ時間が過ぎていくだけ。
「……授業が」
担任は眉間に皺を寄せて呟いた。
「ごめんなさい、今日しなかった分は宿題として家でやりますから」
「……そう」
……沈黙。かと思いきや。
その時だった。
ガラガラガラ、と何かが崩れる音と、狂気に満ちた叫び声が聞こえた。
「っ!?」
担任は反射的に立ち上がり、ゆきなちゃんの病室に向かって走った。
「ちょっと、せんせ」
その時、慌てた様子の男の人が出てきて、小さな箱に入っていった。
次の瞬間、かなり大きな音で放送が流れる。
『コードグリーン!コードグリーン!
場所は_____』
「なっ__!」
ゆきなちゃんの病室だ__!
じゃあ、今の物音と奇声はゆきなちゃんの……!?
「どうされましたかっ!?」
次の瞬間、階段から、エレベーターから___看護師や医師達がゾロゾロと集まってきたのだ。
私はそれを呆然と見つめるしか出来なかった。
こんにちはーかき氷です!!
久しぶりの更新だねー!
ゆきなちゃんどうしたの…!?
>>108めっちゃ久しぶりだよね~*
どんな意思で書いてたのかは退行睡眠してからのお楽しみで…;*
とりあえずなんとなく書いてみようと思った!!*
ゆきなちゃんどうしたんだろうね……;;
「先生、ゆきなちゃんは……!?」
「……暴動ね」
「暴動……?」
「病院ではよくあることなのよ、患者が…帰りたいとか、生きたくないとかの理由で暴れること」
ゆきなちゃんが………?
うーん、ちゃんとあらすじのノートとっておけば良かった……どういう結末にしようとしてたのかよく分からない~…*
「ゆきなちゃんっ!」
「ちょ、尾崎!?」
私は先生が止める声もきかずに、ゆきなちゃんの病室に駆け込んだ。十何人かの医師や看護師が、ベッドの周りに集まっていた。
何やら深刻そうな顔で、一人の偉そうなおじさん医師がはなしていた
。
ベッドには、腕に点滴を刺したゆきなちゃんが横たわっていた。虚ろな目で宙を眺めている。体中にはむ数の穴。
「ゆきなちゃん………!」
私は冷たい床にぺたりと座り込んでしまった。