君がいない世界。

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1:あやね(´ω`*:2016/03/30(水) 15:24 ID:pcA

ープロローグー

明日も次の日も、こんな幸せな日々が
続くと思ってたんだ。
ずっと、君といられるって思ってた。

「じゃあ、私の家着いたから…」
「あ、うん!ばいばい菜摘」
「うん…気をつけて帰りなよ?
奏、ただでさえどんくさいんだし」
「確かにそうだけど、大丈夫だよ(笑)
心配しないで。それじゃ、また明日」

それから何十分かして、
私の家に一通の電話が届いた。
「はい、もしもし如月です…え?」
母の声が重くなった事に
違和感を感じたが、気にしなかった。
「菜摘、大変…
奏くんが、交通事故にあって
亡くなったらしいよ…!」

「……え?」

2:あやね(´ω`*:2016/03/30(水) 15:52 ID:pcA

ー1話ー

「菜摘、起きなさーい」
母の声で、朝が来たと分かった。
_こんな日も、変わらず朝は来るんだな。
奏は、死んでしまったのに。
そんな事に腹を立てて、私は布団にくるまって溜め息を吐いた。
そんな事をしていると、また母の声がする。
「菜摘?起きないなら朝ごはん無しだよ。
今日の朝ごはんは、菜摘の好きなアップルパイだよ」
私はその声を耳に、ベッドから立ち上がった。
…別にアップルパイが欲しいんじゃない。
何か食べて、気を紛らわせようとしたのだ。
私は体の向きを変えると階段に向かって歩き出し、手摺を使ってゆっくりと階段を降りた。

キッチンのドアを開けるとアップルパイと母の姿が飛び込んできた。
「…おはよう」
「菜摘、起きてきたの。
アップルパイあるから食べな」
母は満面の笑みでそう言った。
私は何も答えずに、アップルパイを口の中に放り込んだ。
_匂いで気づいていたが、やはり母の手作りだ。
母のアップルパイはどこぞの店のものより美味しく、甘いもの嫌いな私の口にも合う。
だから、母のアップルパイは自慢なのだ。

2、3個食べると、「ご馳走様でした」と手を合わせ、洗面台に向かった。
まず顔を洗う為、適当に髪を一つにまとめて顔を洗い、次にうがいをして歯磨きをする。
次に制服に着替え、髪を束ねて忘れ物チェックをして…。
「…それじゃ、行ってくるね」
家を出る。

私は家を出るなり溜め息を吐いて、とぼとぼと歩き出す。
母がわざわざアップルパイを作ったのは、奏がいなくなり落ち込んでいる私を励ます為。
奏の話をしなかったのも、奏を思い出させない為。
でも_奏を殺したのは、私も同然だ。
奏は飲酒運転のおじさんに突っ込まれて、亡くなった。
…でもそれは奏が昨日私を家まで送ったから。
だから、そのおじさんと時間が合ったんだ。
時間が合ったとしても。
私がやっぱり、と奏の家まで送り返せば、奏は死ななかったかもしれない。
私が、奏を守れていたかもしれない。
なのに、私は_。
考えれば考えるだけ、涙が込み上げて来た。
奏はまだ焼かれていないけれど、奏の部屋は家族しか入れないらしい。
だから、昨日お見舞いに行けなかった。
…奏は、それほど苦しんで死んだんだ。
それに、私は_
そうこうしている間に学校に着いたため、私は校舎に入り教室を目指した。

3:Miku('∀'*◆Dc:2016/04/03(日) 11:49 ID:sLU

名前変えました!!

ー2話ー

「でさ、雨音くん死んじゃったらしいよ」
「嘘、ショック〜!ウチ狙ってたんだけどな」
教室では、そんな声が飛び交っていた。
どこもかしこも、奏の話でもちきりなのだ。

「…何も知らないくせに」
私はそう呟くと、拳を強く握った。
だがそこで、ふと我に返った。
…私、何言ってんの。
奏の事、殺したのは私じゃないか…!

「ねぇ」
そうこうしていると、後ろから声がした。
…いや、でも私に掛けているんじゃない。
大方後ろの席の、小美へのものだ。
小美、人気者だか_
「ねぇ、如月さん」
その声に、私は反射的に振り返った。
小美と私の話になっただけかと思い目をやっても、小美の机には誰も座っていない。
…まだ来ていないのだ。
と、いう事はさっきの声は私へのものになる。

「…何?」
そこに立っていたのは、学校一の美少女として全校生から親しまれている、白滝さんだった。
同じクラスとはいえ話した事もないが、何か用があるのだろうか。

「如月さん、萌と友達になろうよ」
「…はい?」
何を言い出すかと思うと、白滝さんはそんな言葉を口に出した。
「………」
「ダメ、かな」
返事に困っていると、白滝さんが悲しそうに目を伏せた。
「…何で?」
私は白滝さんを見上げて、少しだけ睨みを利かせた。
なんだか、嫌な予感がしたから。
「だって…如月さんって名前も顔もすっごく可愛いんだもん!それに萌、雨音くんの事好きだったから気合うかなぁって」
白滝さんは目を輝かせてそう言った。

「…ごめん。友達には、なれない」
その刹那、白滝さんの表情が凍り付いた。
「…本当ごめんね」
私はそう言うと、鞄を机に置いて席を外した。

明日から、地獄の日々が始まるとも知らずに。


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