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1:愛羅(てぃあら):2016/06/13(月) 16:42 ID:r1Y

「今配ったプリントに目を通しなさい」
担任の高杉晴夫が1年A組の教卓の前に立った。
生徒達は長い文字を目で追った。
『私立森園高校の運動会について 副校長 田中聡志』
『運動会の出場種目は最低1人1種目出る事。その条件を満たしていれば同一人物が何度出場しても良い事にする。』
『学級対抗リレーは他の競技に比べて特に配点が高いので、各クラスの中で短距離走のタイムが速い人から男女共二人ずつ選んで下さい。』
『その他の競技はクラス毎の決め方で決めて良い。』
『クラスの応援団に選出された男女4名は今日の放課後以降毎日被服室で衣装を作る事。』
『競技の種類は、学級対抗リレー・応援団・短距離走・長距離走・二人三脚・台風の目・むかで走の7種類。』
「プリントから目を離しなさい。これより種目決めに移るがそうだな…、まずは学級対抗リレーだが」
高杉は一枚のクラス名簿の様な物を取り出した。
「この紙に書いてある4月に計測したタイムだと、男子が相澤涼、佐藤れおんで女子が有栖川侑希、市川奏音だ」
クラスの女王様、高峰茉里は不機嫌になっていた。
「せんせー、茉里は何番目ですかー?」
高杉は名簿を見て答える。
「えーと、高峰は女子17人中3番目だな。だが、トップの有栖川とは4秒の差がある」
茉里は歯を食いしばった。
― この14秒台の茉里がリレ選じゃないなんて! ―
茉里は侑希の方を睨みつけた。
そこでハッとする。
― 待って、茉里とあいつとで4秒の差があるって事は、あいつのタイムは…10秒台って事? ―
茉里は手を挙げて言った。
「はーい。茉里、女子の応援団やりたいでーす。」
「わかった。他に応援団やる奴はいないか?」
そこで数名の男子生徒が手を挙げる。
「はーい!」
「おっ、お前らやるのか?」
男子生徒は首を振った。
「俺じゃなくて、有栖川さんを推薦しまっす!」
「わかった。女子は有栖川と高峰だな。男子は…、」
茉里にはこの後の話し合いなど聞こえなかった。
ただ、侑希に対する怒りが込み上げてくる。
自分は一番でないと気が済まないのだ。
「あんたの存在を絶対に許さない」
誰にも聞こえない声で彼女は言った。


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