真っ白で何もない病室から、そっと抜け出した。
何もない場所での生活が、暇で暇でしょうがなくて。
病室の窓からずっと見ていた、太陽の光を受けて輝く海を見つめる。
そこには私と同じ、一人佇み海を見つめる…君がいた。
登場人物
徳川 優衣(とくがわ ゆい)
元より体が弱く、入退院を繰り返している少女。高校2年。
好奇心旺盛で明るい性格だが、思考は意外とネガティブだったり。
兎に角他人優先で自分の事は後回しにするところも。
瀬戸 優也(せと ゆうや)
大人っぽく落ち着いた雰囲気を纏っていて、性格もまさに雰囲気の通り。
優衣と海で出会い、仲良くなる。高校2年。
昔妹が目の前で事故に会い亡くなった為か、過保護な一面もある。
徳川 亨(とくがわ とおる)
優衣の双子の兄で優衣の事を溺愛している。
高校でバスケ部に所属しているが妹優先で学校が終わるとすぐ病院へ向かう為、ほぼ幽霊部員。
めんどくさがりで口癖は「だるい、めんどい。」
逢瀬 ひなた(おうせ −)
優也の一つ下の幼馴染。喜怒哀楽がハッキリしている。
明るくよく周囲を見ているお姉さん的存在だが、結構ドジ。
女子バスケ部部長で、実力は全国クラスだが勉強は破壊的。
今日は前回とか違う端末なので多分酉違いますが、本人ですので!
あと、メインは4人で、目線も多分コロコロ変わると思います(..;)
もしかしたらキャラ追加もするかもしれません。ガバガバな設定でごめんなさい…
海で彼女と目があった時、正直目が離せなかった。
彼女の目が、表情が、あまりにも儚く、悲しそうで。
あの時から、分かっていたのかも知れない。彼女へ向ける自分の想いが、特別なものになると。
1.
「それで、また俺泣いちゃってさ〜、」
「ねぇ、そのDVD、今度貸して?退院したら、観てみたいなって思うんだけど…」
「勿論、明日にでも持ってくるよ。」
他愛のない会話、何も変わらない日々。それが俺は幸せだった。
優衣の笑顔を見ると、優衣の声を聞くと、心の底から満たされる。もう、何回も話なんてしてるし、病室にだって何回も通ってる。
それでも、最初の頃からずっと、満たされるような気持ちになる事は変わらなくて。
もっと笑わせたい、もっと喜ばせたいって、そんな風に思ってしまう。
この気持ちに名前を付けるとしたら…きっと、恋、なんだと思う。それは、自覚していた。
ただ、伝える事は許されない。そんな淡い心。
ガラッとスライド式のドアが開く音がした。
そして頬を優しげに緩めた、俺の苦手な人…徳川亨が入ってくる。
「あ、そろそろ家帰るね。明日絶対DVD持ってくるから。」
俺はそれに合わせて、鞄を持つと優衣に手を振った。
病室を出て、住宅街を歩きながら一つ、ため息をつく。
この感情を伝えられない原因であり、俺の苦手な人…徳川亨。
彼は妹を溺愛するあまり、優衣に近づく人間に向けるのは厳しい目ばかり。
一つ年上の俺にでさえ、優衣に近づくな、最初の頃は何度もそう言われた。
寧ろ、今彼が何もいってこなくなったのが不思議なくらいだったりもする。
そんな彼に、告白なんてしたと伝わってしまったら、俺は地獄のどん底まで突き落とされてしまう事だろう。
「優衣…」
住宅街にある自分の家に入れば、俺はまた一つ、ため息をついた。
嬉しそうに入院しているという、女の子の話をする優也。
ねぇ、私から、離れていかないで?
子供の頃からずっとずっと、築いてきた絆が、少しずつ壊れていく。
2.
「優也、私今日は部活ないし一緒に帰ろう?」
「ごめん、俺、今日も病院寄ってくから。」
申し訳なさそうな顔で苦笑いをしては、「また今度、一緒に帰ろうな?」と、頭を優しく撫でる幼馴染。
…こうやって、一緒に帰ることを拒まれるのも、また今度、そう言われるのももう何回目だろう。
あの子が現れる前は、部活がない日は一緒に帰ってた。手を繋いで、恋人と勘違いされるくらい仲良く帰ってた。
「それじゃあさ、途中まででもいいから」
完璧な笑顔を作って、しつこく優也の事を誘う私は周りからどう見えるのだろう。
やっぱり、しつこい、めんどくさい女なのかな。自分でも、滑稽だって思うんだし。
優也をチラッと見れば、予想通りの困った表情。
「…まぁ、途中までなら…いいかな。」
そう言った彼に昔みたいに手を繋ごうとすれば、あっけなくかわされて。
やっぱり、彼女と優也の出会いと同時に、私たちの関係も崩れてる気がした。
悲しい気持ちと同時に、真っ黒な嫉妬心が溢れ出してく。
優也がよく口にする、優衣って子は、私にとっては…大切な人との関係を壊した、悪魔みたいな人。
「ねぇ、その優衣ちゃんって子、紹介してよ。
女の子同士だし、仲良くなれそうな気がするんだ!」
ふと、そんな言葉が口をついて出てきた。
こんな真っ黒な心を抱えたままで、仲良くなんてなれる訳ないのに。自分でもどうしてだかわからなくて。
「確かに、ひなたと優衣が仲良くなるのは俺も嬉しいしな…
今まで、なんでひなたの事紹介するって案が出てこなかったんだろ…。」
なんて、やや驚く優也。
どうしてだか分からない、分からなかった。けど、私は、チャンスだと思ったんだ。
優衣さんと接触すれば、何かが変わってくれる。優也との関係も、もしかしたら戻ってくれるんじゃないか。なんて。
そうとおもえば単純な私は俄然やる気が出てきて、私は無意識のうちに駆け足になっていた。
私の嫌う悪魔みたいな女は、いつも笑顔で、明るくて。
考えていたよりずっと、ずっといい人だった。
私は……この子を、どうしたいのだろう?
3.
「ひなたの事、ちょっと紹介してからの方が優衣も安心すると思うから。ちょっと待ってて。」
そう言っては優衣ちゃんの病室に入る優也。
何やら楽しく会話する声が聞こえて、また嫉妬に近い感情が溢れて来る。
二人は、いつもこんなに幸せそうに会話してるんだって思うと、胸が痛くて。
自分勝手だって分かってるんだ。優衣って子は、ただ優也と会って、仲良くなっただけなのに。
それなのに、こんな黒い感情を向けるのはお門違いだって。
優也がかすかに開いたドアの隙間から私を手招きしているのが見えて、私は深呼吸をすると彼女の病室に一歩、足を踏み入れる。
そして今出来る、ありったけの笑顔を作った。嫉妬心を、悟られないように。
「さっき優也が紹介してくれたと思うけど、本人からも軽く自己紹介するね!
私、逢瀬ひなたって言います!」
「はじめまして。私は徳川優衣って言います。
女の子の友達が出来て、本当に嬉しいです。これからよろしくね!」
偽りの、曇りのない、本当に幸せそうな笑顔で、彼女は笑った。
それは、大輪の花のような笑顔。女の私でも見入ってしまうような、素敵な笑顔。
何気のない雑談をして、時計を見ればもう5時を周っていた。
優衣ちゃんと話すのは思ってた以上に楽しくて。けど、苦しかった。
想像していた様な女の子だったら、少しは痛い目見ればいい、なんて思えてたのに。
優也がよく話す、彼にとっては邪魔者の存在。徳川亨さんがもっと早く来てくれれば、彼女の優しい性格に気づかずに済んだかもしれないのに。
「もう…そろそろ帰ろう?ね、優也。」
彼の服の袖を掴めば、無理やりと言ってもいいほど強引に病院を出る。
優也を奪った優衣ちゃんなんて、痛い目を見ればいい。
――あんなに優しい優衣ちゃんを、傷つける事なんて出来ない。
矛盾した感情の中、私は袖を掴んだ手はそのままに、家路へと歩を進めていた。
いきなり始まっていきますー
※読みきり
俺の名前はレッド!
そうポケモンマスターを目指す男だ!
けど肝心なポケモンがいない…
だからボール持って
草むらに入ろうとした
その瞬間!
オキード博士がやって来た!
そして博士はこう言った
例の物ができたんじゃ!
俺はふと思った、
ポケモン図鑑が出来たんだ!
そして研究所の中へ…
そしたらグリーンが目の前にいた
ようレッド!
オキードは言った
私の体では
149匹のポケモンは捕まえることは
無理 (※作者でも)
だからレッド グリーン
お前らにポケモンと図鑑を授ける
そして俺はヒトカゲと図鑑をもらった
グリーンはゼニガメだ
なあなあレッド!
せっかく、じーさんにポケモン
もらったから勝負しようぜ!
いけ!ヒトカゲ!
いけ!ゼニガメ!
ヒトカゲ!ひっかく!
ゼニガメ!たいあたり!
俺とグリーンの攻防は続いた
はあはあ…
いけっ!ヒトカゲ!もういっかい
ひっかくだー!
バタン
オキード「そこまで!」
グリーン「せっかくいい勝負だったのに」
とにかく回復じゃ
そして一晩あけ…
俺はヒトカゲと冒険にでた…
読みきりなのでここで終わりますー
久しぶりに、兄や優也くん意外と関わった。
その事が嬉しくてたまらなく嬉しくて。少し、私は浮かれていたのかもしれない。
全ては鈍感で、何も気づかなかった私のせいだ。
4.
優也くんとひなたちゃんが帰ると、タイミングを見計らったかのようにお兄ちゃんが部屋のドアを開けた。
いつものように優しげな笑顔じゃなくて、真剣な表情をしたお兄ちゃん。
今まで見たこともないような顔に私は何があったのかと凄く不安になる。
もしも私が原因なら直ぐに謝ろう、なんて決意したりして。
「…あの男と一緒にいた女は?」
開口一番にお兄ちゃんが発した言葉は私にとって意外なもので。
「逢瀬ひなたちゃん、私の新しく出来た友達だよ!」
「…あの男との関係は?何話してた?」
質問攻めにされて、私は眉をひそめながら一つずつ答えようと口を開く。
この兄は真剣な顔して何を聞いてるんだろう、なんてやや呆れながら。
「ひなたちゃんと優也くんは幼馴染だよ。それで話してたのは、ただの雑談!お互いの趣味とかそういうのだよ」
「…そうか。」
質問に答えきればお兄ちゃんが発したのは、ただ一言で。
正直、あれだけ質問しておいて一言で返すのはどうなんだろう、なんて苦笑するしかなかった。
ただ、沈黙の後、兄から発された言葉は先ほどまでの感情なんて簡単になかった事に出来る言葉。
私にとって一番言われたくなかったって、そんな言葉。
反論しようとした。けど…私は、弱いから。兄の真っ直ぐな瞳を見て、何も言い返せなかったんだ。
「今後、あいつらが来ても追い返すからな。
もう、あいつらとは関わるな。」