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1:ルナイト:2016/08/30(火) 16:05

一枚の張り紙に引き寄せられ入った部活はまさかの帰宅部⁉今年の白山中学校新入生のメガネ君はもう戻れない。

2:ルナイト:2016/08/30(火) 16:36

*怪しげな生徒発見⁉白山中学校入学式!

今日も地球は平和なようで、僕は入学式に出る支度をしていた。新品の学ランに袖を通し、心地よい気分に包まれていた。メガネもバッチリ指紋無し!完璧だ。
「…やっぱりメガネ俺には似合わねーな。」
鏡の自分に向かって呟く。本当に似合っていない。何がおかしいというわけでもないのだが、普通に似合っていないのは今日初めてメガネをかけたからなのだろうか。メガネはさておき、階段を下り玄関へ向かう。これもまた新品の靴。そんなピカピカでキラキラの靴を履いて台所にいるであろう母さんに言う。
「んじゃあ、母さん行ってくるから。また後で!」
「んー?行ってらっしゃい。また学校でね〜。」
母さんとは顔…目すら合わせることなく玄関を開けて外に出る。
「うっ…わあっ!」
ドスン!…は言いすぎただろうか。玄関前にいた女の子がいきなり開いたドアに驚いたのか尻餅をつく。
「卯咲?」
「あーもー!いきなり家に来て驚かせようと思ったのに!なんで私が驚かされてるのー!」
女の子は、どうやらお隣の家の卯咲 紅茶[うざき べにさ]だったようだ。卯咲は、立ち上がり制服のスカートをパンパンと払った。俺は卯咲に聞いた。
「卯咲、俺になんか用?」
「あー!みー君今日メガネなの⁉わー、青なんだ!the男の子って感じ!いつから?」
…会話になっていない。
「…今日から。っていうか何の用?」
「みー君、みー君!ちゃんとハンカチ持った?ティッシュは?もしものときのための絆創膏はー⁉」
…質問にに答えて欲しい。
「ハンカチ、ティッシュはもちろん持ってる。絆創膏は必要ない。何か用?」
「あー、そうだったそうだった!今日は初めて中学校に入る日じゃん、だからみー君と一緒に行きたかったの!」
…やっと!
「そーだったのか。早く言え。じゃあ、ほら行くぞー。」
「…!うん!」
今まで通りの騒がしさの卯咲とみー君こと俺は白山中学校へ向かった。

3:ルナイト:2016/08/30(火) 17:38

「いざ校門前までくるとドキドキするね〜!ねっ?みー君…ってあああああああ!」
卯咲の声に人の視線が集まる。やめてくれよ。
「どうした?」
「なな、なんで先に学校入っちゃってるの⁉」
あー、最初の中学校への一歩を一緒に踏み出したかったー、ってことか。バカだな、卯咲も。
「あー、あー…ごめんごめん。今から三歩後ろに下がってやり直すからさ、ほら!」
三歩後ろに下がって卯咲細身な背中をポンポンと叩く。
「じゃあ、このあとアイスおごってね!」
「はあああ⁉今春だぞ!腹壊すって!」
「いーのいーの!はーい!じゃあ初めのいーっぽ!」
トン…。いきなりの初めの一歩に少し出遅れるもほぼ卯咲と同時に門をくぐることができた。
「じゃあ、みー君!クラス見に行こう!ほらほら!ダッシュだよ!みー君も気になるでしょ⁉」
俺はそんなに気にはならないのだが。しかもダッシュしてまで見るようなものでもないだろ。
「あー?面倒くせーよ。クラス表は逃げないから。歩いて行こう…ぜ、ってお前!なんでもう走ってんだよ!」
「えー、早くしないと私に負っけちゃっうよ〜〜!」
とそれだけ言うと卯咲はクラス表めがけて走って行った。ん?負ける?俺が卯咲に?
「うおおおおぉぉぉおお!ざけんな卯咲ィィィイイ!俺がお前なんぞに負けるわけがねえだろおおぉぉぉ!」
「へ?わああああっ!速いってば!私に本気出すなっつーの!」
俺の前を走る卯咲は叫んだ。フッ…!勝負を受けたからには全力で行かせてもらうぜ!俺ら二人はとんでもない騒がしさで走った。人の目が集まり、集まり、集まる。
「ハハハハハハ!卯咲さ〜ん?遅いですねえ〜?」
すぐ後ろまで追いついた俺は爽やかなスマイルを作ることもなくブラックなスマイルで卯咲をからかう。
「む〜!ならっ!これでど〜だ!えいっ!」
視界が揺らいだ。卯咲は俺の今日からの相棒、the男の子って感じの青いメガネを取った。それねえとぼやぼやで顔すら区別つかねえ…あれ、卯…咲?卯咲が視界から消えた。
ドンッ!
「きゃっ!」
「うわっ!ご、ごめんなさい!」
人にぶつかった。俺ってこんなに目、悪かったっけ?
ドンッ!
「わああ、すみません!」
また人にぶつかった。痛えし。なんか俺、迷惑な人…。
「あ、あの〜…。」
か細い女の子の声だ。
「は、いや、すみません!」
「え、なんで謝るんですか?」
「へ、いや、俺がぶつかったのかと…。」
さっきまでずっとそんな感じだし。卯咲め。絶対にぶっ潰してやる。
「わ、私は新入生なんですけれど、どうしたんですか?さっきから人にぶつかったり木に謝ったり…」
「え?いや、卯ざき…じゃなくって友達がクラス表までダッシュだよ!なんて言い出して、その色々ありましてメガネを友達にとられてしまって。」
「私、クラス表まだ見ていないんです。よければ一緒に行きませんか?お友達さんとメガネも見つかるかもしれませんよ?」
「あ、ああ。そうしてもらえると助かる。」
「私、伊馬 凪千佳[いま なぎちか]と言います。あなたは?」
か細い声の女の子は、俺を誘導しつつ自己紹介をした。俺の名も聞いてきた。
「俺は、海月 宮人[うみつき みやと]。よろしくな。」
「海月 宮人くん…」
「ん?何?」
「いっ、いいえ!あ、もうすぐクラス表ですよ。お友達、いるといいですね。」
「ああ、結構勝手なやつだけどどっちが速いか競走中だから多分待っててくれてると思うよ。」
「あー!みー君遅〜い!」
卯咲だ。お前のせいで遅くなったんだろうが。
「あ、卯咲。メガネ返せよ。」
「はーい。」
俺の手にthe男の子って感じの青いメガネが返ってきた。メガネをかける。
「あー、この人、俺をここまで連れてきてくれた伊馬 凪千佳さん。」
「え?どの人?」
「は?」
か細い声の女の子はいなくなっていた。クラス表を見に行ったのだろうか?
「ま、いっか。なんでもない。卯咲、お前何組だった?」
「よくぞ聞いてくれたぞよ!わーたーしーとーみー君は、1組でーす!」
「はあ?卯咲も?」
「うん。そうだけど。」
この白山中学校は、1組から順に頭がいい人が集まる。俺はまあ、頭はそこまで悪くないから当然として、今までのテスト、全て四十点以下の卯咲がなぜ1組⁉
「なんでお前が…。」
「え?知らなかった?今までのテスト、全部四十点以下になるように解いてたんだよ。」
「はあ?なんのために?」


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