ここはどこ……
そして、私は誰……?
Apple teaというものです。
アドバイスや感想は受け付けます。
荒らしは固くお断りします。
もし、僕が世界の果てに行ってしまったら……
きっと、あの子は僕を見つけられないんだろう。
空色の海を探しても。
深碧の森を探しても。
だって。
あの子は、僕が誰なのか、わからないのだから……。
あの人は誰……?
知っているはずなのに、それなのに……
顔も名前もわからない。
私は、私が誰だかわからない。
目を開けると、白い天井。
病院らしかった。
え……私、怪我なんてしたっけ……??
寝る前の記憶を呼び戻すと、1人の男の子がいた。
何かを、叫んでいた━━━━━━━━……。
なんだろう……。
しばらく考えていると、ベットに見知らぬ男女が近づいてきた。
誰?医者かな……。
怪訝そうに見つめる私を見て、その2人は泣き出した。
あっ、目線キツかったかな。
そう思って、あの……と話しかける。
「ごめんなさい、睨んじゃって。お医者さんですか……?」
そう言った途端、女の人がその場に座り込んだ。
「氣晴、お母さんの事、分からないの?」
見知らぬ【氣晴】という名前に、私はん?と首をかしげる。
氣晴?だって私の名前は……、名前は……
なに━━━━━━━━……?
私の名前は、なに━━━━━━━━━━━━?
思い出そうと記憶を探っても、名前らしきものは思い出せない。
きっと、【氣晴】っていうのは、私の名前なんだ。
そして……多分、この男女は私の、両親だと思う。
両親を忘れるなんて……、
自分の名前を忘れるなんて。
何故……?
私の記憶が消える前……
一体、何があったのだろうか……?
「氣晴……っ、氣晴……!」
息を切らしながら、私と同い年くらいの女の子が病室に入ってきた。
「えっと……、どなたですか……?」
私が聞くと、その女の子はさっき入ってきた私の両親らしき人たちと同じように、
「氣晴……ほんとに覚えてないの?私だよ?共喜……、」
といった。
そう言われても、わからないものはわからないのだ。
「共喜、さん?ごめんなさい、知りません……」
私は申し訳なかったのでペコリと頭を下げた。
「嘘…嘘、嘘!ねえ氣晴……思い出して……?」
共喜さんが私のベットにより掛かる。
私、ほんとうに覚えていないんだ。
さっきも思ったことだが、2度感じると余計に現実味が増す。
「あの……」
私は思い切って話し始めた。
私と、かなり親しそうな人だから……、
私の記憶が消える前のこと、 知ってるかもしれない……!
「……私の記憶が消える前のこと、知ってませんか……?」
おそるおそる、聞いてみた。
私が、今できることって、これだけだから。
「知ってる……よ、でも……」
共喜さんはうつむいてから、
「言えない……、ごめんね……?」
えっ……。
言えないようなことがあったの……?
想定外の事態に、私はオロオロ。
そして、ことの重大さを改めて知ることになった。
なにが……、あったの?
「……氣晴。この事は誰にも言えないの。ごめんね」
共喜さんは小さい声で呟いて、病室から出て行った。
氣晴……ごめん、ごめんね。
私は病室を出たあと、ずっとこの言葉を繰り返していた。
だって……あんなこと……絶対に……!
絶対に……言えない。
有寿樹、早く帰ってきてよ……!
逃げてっ……!
有寿樹!!
……はっ。
目を動かすと、そこは、いつもと変わらない病室。
有寿樹……?
あまりにもリアルな夢に少し驚く。
あの女の子、多分、私だ。
逃げてって……何から……?
そして、私は何をしたの……?
夢のはずなのに、なのに、あれはきっと夢じゃないって思う。
きっと、忘れた記憶の一部だ……。
有寿樹。
私はこの名前を忘れないように、サインペンで手のひらにメモした。
Character
米瓦 氣晴 Yonegawara Kiharu
日下部 共喜 kusakabe Tomoki
音海 有寿樹 Otomi Yuzuki