いじめではない。でも、悪巫山戯でもない。
この境界線に立たされたのは、私だった……。
最近、無視されている気がする。
そう思ったのは、今年の10月。
修学旅行が迫っている時期だった。
いつも私たちは一緒の行動。修学旅行も、同じ部屋。
凄く嬉しかったのに……。
今となっては後悔してる。
なんで私が？
*登場人物*
菅縁 無花果 Sugawara itijiku
DATA：・主人公
・雨里とは今年になってから仲良くなった
・【無花果】という名前にコンプレックスを抱いている
・グループ内での役割は準リーダー
ーグループ内ー
米澤 雨里 Yonezawa uri
DATA：・グループのリーダー
・【雨里】という名前にコンプレックスを抱いている
保戸橋 宇宙 Hotobasi sora
DATA：・グループの甘えん坊キャラ
・雨里とは幼なじみ
布瀬 結城 Huse yu-ki
DATA：・雨里、宇宙、無花果とは今年から仲良くなった
薊田 汐 Azamida sio
DATA：・中学入学の時に引っ越してきた
・無花果とは1番仲が良い
ーその他ー
宇治原 春瑠 Ujihara haru
DATA：夏休み前にグループから外される
登美ケ丘 日々 Tomigaoka hikka
DATA：グループから外された春留と仲良くなる
富野 美杏 Tomino Mian
DATA：友達が多いが、影で皆から恐れられている人物
ー百合のグループー
鈴木 百合 Suzuki yuri
DATA：・クラス内のもう一つのグループのリーダー
・無花果のグループとは親しい
谷 真琴 Tani makoto
DATA：・過去に百合からグループを外されているが、今年からまた仲良くなった
尾上 真知子 Onoue matiko
DATA：百合とは幼稚園からの幼なじみ
百合のグループのメンバーはクラスで上から1,2,3番目の成績を誇る。
雨里side
「うーちゃんー！おはよう！」
私が教室に入るなり、汐が私に抱きついてくる。
もう、かわいいなぁ。
汐に続いて、結城も横からひょこっと顔を出した。
「おっはー」
「2人とも、おはようー」
ゆるーく挨拶をして、自分の席につく。
「あっ、うーちゃんー！おはよー」
斜めの席にいる宇宙が私の机の前に来る。
「宿題出してきてあげるー」
宇宙はちっちゃくて、ほんとに可愛い。
「ありがと」
私はパンパンのランドセルの中に手をつっこむ。
うわっ、プリントぐっちゃぐちゃ……
定規を酷使しながら、伸ばしてみる。
なかなか伸ばせないぞ。
私がうーんと唸っていると。
「何してんのー？うっちー」
私の背中をパーンと叩いて、無花果がやって来た。
「いや。なんでもないしっ！」
持っていた定規とプリントをすっと後ろに隠す。
「ん？どしたの？」
無花果が宇宙の顔を見る。
「いっちーに関係ないよー。ちょっとそこどいて？」
宇宙は上手いこと無花果をその場から離す。
無花果はあまり気にしていないようで、すぐに日々の方へ話しにいった。
「無花果なにも気づいてないのかな？うけるー」
ずっと少し離れたところから様子を伺っていた結城がこちらに寄ってくる。
「ほんと。空気読んでほしいなぁ」
宇宙もはぁー……と息をつく。
「もうそろそろ嫌でも空気読むんじゃないの？可哀想に」
私はニヤリ……と笑った。
百合side
「無花果がそっちに来たらよろしくね？」
休み時間になるなり、汐が話しに来た。
無花果？こっちに来る？
私がしばらく考えこんでいると、横にいた結城が口を開く。
「あーっ、突然でごめんね？今無花果ハズされててー」
無花果がハズされてる？！
私は驚きが隠せなかった。
しかもそれが、汐の口から……！
「わかった。でも修学旅行あるよ？いいの？」
私はこのことが一番気がかりだった。
ハズした相手と一緒の部屋なんて、私には無理。
せめて修学旅行が終わってから……だな。
「いいのいいのー、アイツは1人で寝とけばいいんだから ふふ」
「1人とかやっば！うけるぅー」
ま、2人がそう言ってるのならいっか。
無花果、かわいそー。
私は助ける気なんて無いけど。
良心なんて、無いからね。
汐side
特定の人を外すときは、いかに悪巫山戯に見せるかが大事。
いじめ？もってのほか！
せいぜい、無視するくらいだもん。
無花果とは仲が良かったけど、別に親友ってわけでもないし。
最近、遊び相手がいなくて暇だったんだよねぇ〜。
いじめ……ちゃおっかな？
？？？
もう嫌だ……ほんとにハズしちゃうのかな。
無花果はいい子だよ……？
言いたいのに、言えない。
他人をかばうことは、自分を捨てること……
そんな勇気、私にないから━━━━━━━━