この小説は現実ではありえないお話です。
そんなお話が苦手な人には、読むことをお勧めしません。
誤字脱字などは大目に見ていただけるとありがたいです…。
荒らしはなし!コメントやアドバイスなど、いただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
『藍澤莉譜』
昔から変な名前だって、ずっとからかわれたり、虐められたりした。
女の子みたいだなんて周りから笑われ続けた。
あれは、小学校4年生の時。
ずっと名前の事で恨んでた両親と、人気者の2歳年上の兄が交通事故で亡くなった。
頭の中が真っ白でどうしたらいいのかわからなかった。
あれから5年経った今。僕は、ある少女と出会った。
虐められて、ほとんどのものを受け入れられなかった僕を変えてくれたその少女は僕よりも遥かにつらい経験をしたようだった___。
そんな、夢物語みたいな出会いの話、貴方はどこまで信じてくれますか…?
夜空〜!悲しいけど小説更新頑張ってね!
4:志保◆NY:2016/12/04(日) 22:42 引き込まれていくような書き方ですごいです…
迷惑じゃなければ読ませていただきます。m(__)m
これから頑張ってください!
主な登場人物
藍澤莉譜(あいざわ りふ)
10歳の時、家族が交通事故で亡くなり、その頃から家に残ったたくさんのお金で独り暮らしをしてきた。
小学校高学年になると、白髪と碧眼の外見をバケモノ呼ばわりされ、中学校には行っていない。
藍澤美月(あいざわ みづき)
ある日、莉譜の前に現れた不思議な少女。
銀髪で眼は金色。
碧空陸羽(あおぞら りくう)
能天気でいつも元気。頭は悪いがスポーツは得意で絵もうまい。
莉譜と幼馴染。
黒崎涼歌(くろさき りょうか)
父親が会社の社長でお金持ち。両耳にピアスの穴があいている。
莉譜と幼馴染で美月を可愛がるお姉さんタイプ。
坂田氷空(さかた そら)
あまり大声は出さない。静かで勉強もスポーツもできる。
莉譜と幼馴染。
>>3
ありがとう!頑張ります!
>>4
とてもうれしいです!ぜひぜひ、読んでください!
>>6
ぜひぜひ読ませていただきます!
これからが楽しみです。
「お〜い、莉譜!来たよ〜!陸羽だよ!」
朝から声が大きいなぁ・・・。
土曜日、部活が終わる時間帯になるとすぐに碧空陸羽が家にやって来た。
陸羽は幼馴染の一人で、何時でも能天気で元気な奴なんだ。
僕はゆっくりとマイペースに玄関へ向かい陸羽を家に入れる。
「おっはよ〜、莉譜!あ、クロも呼んどいたからね!」
「また勝手に・・・」
「まぁまぁ。幼馴染なんだし!」
クロって言うのは黒崎涼歌のニックネーム。
クロも幼馴染でもう一人の坂田氷空っていう友達と四人で昔はよく遊んだ。
「氷空はバスケで来れないって。残念」
あぁ、氷空はバスケ部のキャプテンだった。
そういえば陸羽とクロ、一緒じゃないんだ。
陸羽とクロは美術部で、よく一緒に帰ってきてるけど・・・。
「今日は何でクロと一緒じゃないの?」
「クロ、また何かやらかしたんじゃない?先生に呼び出されてたよ」
陸羽がソファに座ってスマホをいじりながら言った。
クロは昔から男勝りな所があって、よく教室の窓ガラスを割ったり、校則を破ったりと色々やらかす奴だったっけ。
見た目は長い黒髪に黒い瞳に長い足といった、世間の言う美少女なんだけどね…。
「マニキュアでもしたのかな?」
「多分、その辺。うちの学校、結構校則厳しいからね〜。スカートの長さは膝より下じゃないと怒られるし、ネクタイが曲がってたらすぐに直されるし」
スカートの時点でそれなら、マニキュアなら罰付きかな。
僕がクスッと笑ってソファに座ると、陸羽はテレビのリモコンを掴んだ。
しばらくするとインターフォンが鳴って、クロの声がした。
「莉譜!ただいま〜!ちょっと遅くなっちゃってごめんね!」
『ただいま』って・・・おかしくない?
大声出さないでほしいんだけど・・・。
僕は玄関のドアを開けてクロを中に入れる。
「で、今回は何したの?」
「ん?あぁ、お呼び出し?」
「うん」
クロはニッコリ笑ってリビングに向かいながら言った。
「カラコンしたんだ〜。私、眼悪いじゃん?ちょっとカラコンしてみたくって、母さんが貸してくれたんだ!」
「お母さん・・・」
クロのお母さんはどちらかというとギャルだから、その遺伝子がクロにも移ったのかな。
校則違反だと知ってながら貸すとか・・・甘すぎない?
まぁ、僕とは縁のない世界だし口を出す必要もないかな。
「莉譜、身長伸びた?」
「知らない」
「えぇ、絶対伸びたって!」
二人がどうでもいいことを叫ぶ。
身長なんて全然気にしてないけど…。
二人共テンションが似すぎて、もう性別超えてどっちがどっちから分からないことが多いんだけど。
二人が帰る時間になると、僕は二人を家の前まで送る。
「じゃあ、バイバーイ」
「また明日!」
二人は六時になると門限だと言って家に帰って行った。
家は近所なのに、小学生並みに門限短いなぁ。
ん〜、ちょっと気分転換に散歩でもしようかな。
真冬で少し冷え込んできたのでジャンバーを着て家を出る。
近くの公園の自動販売機でコーヒーでも買おう。
そう思ってゆっくりとその公園まで向かう。
もう冬だな・・・日が落ちるのが早い。
公園はたった1つの街灯で照らされていて暗い。
するとブランコをこぐ音が聞こえた。
あまり大きくこいでる音ではないが鉄と鉄が擦れる音がはっきりと耳の奥で響く。
公園内を覗くと小さい少女が一人で薄着でブランコをこいでいた。
ただ、それだけだった。
あの子、絶対に小学生じゃないな・・・。
俺は自動販売機まで向かわずにその少女の方まで小走りで行った。
「ねぇ…」
「な、なんですか…?」
怯えているのか、少女の体はブルブルと震えている。
大きくて睫毛の長い眼には涙が溜まっていた。
「僕の家に、来ない・・・?」
放っておく事も出来ず、最初に出た言葉がこれだった。
自分でも信じられなかったけど、これで良いと思った。
「家…」
少女は驚く素振りも見せずに少し視線を逸らした。
何処か遠くを見てるみたいで、その眼はとても透き通って見えた。
「うん。その格好じゃ、病気になっちゃうし…」
僕が聞くと少女は気まずそうに少し上目遣いに僕を見つめた。
「…私なんかが行っていいの…?」
僕は頷いた。
その瞬間に、少女が靴を履いていないことに気付いた。
「おいで」
僕は両腕を広げた。
少女は何の躊躇いもなく、僕の腕の中におさまって、ギュッと抱きついてきた。
その体はまだ震えていた。
早く家に帰ろうと思い少女の背中を優しく擦りながら、僕は家へ向かった。
「此処が、お兄さんの家・・・?」
家に入り、玄関のマットの上に降ろすと少女はトコトコと歩き回りながら言った。
可愛いな…。
素直にそう思った。
「そう、此処が僕の家だよ」
「ありがとう、此処に連れてきてくれて。えっと…?」
少女は首を傾げた。
「あ、僕の名前は莉譜。藍澤莉譜!」
「莉譜!」
「君の名前は?」
「美月!」
僕への警戒が解けたのか、元気にそう言ってくれた。
そこで、僕は美月をリビングのソファに座らせて、一つ聞いてみた。
「美月、なんでこんな時間にあんな所にいたの?」
美月は少し俯いてこう言った。
「私、捨てられちゃったの。髪とこの眼が変だから」
「はっ?」
おもわず叫んじゃった。
さっきまで必死であまり気にしてなかったけど、確かに美月の髪は銀髪でよく見ると、眼は金色で、あまり見かけない色をしていた。
変ってことは銀髪も金色の眼も全部、生まれつきって事だよね…?
確かに、変って思うかもしれないけどそれで捨てるってどんな親なの…。
この子を守りたい、傍にいてあげたい。
そんな思いが込み上げてきて、僕はついにこう言った。
「美月、此処に住んでみない?」
「えっ…?」
「やっぱ、駄目かな…?」
「ううん、駄目じゃない!」
美月は首を横に振って笑顔で言った。
「じゃあ、おいで美月。この家の事、教えてあげる」
「やった〜、探険!」
キャッキャッと飛び跳ね、はしゃぐ美月を見てると、心が癒された気がした。
「まず、一階からね。此処がお風呂」
「お風呂!」
美月が指を差して元気に言う。
「お風呂の向かいの此処はトイレね。あ、顔を洗ったり歯磨きをしたりするのは此処ね」
一応、洗面所。
洗面所と廊下の間にはカーテンがあるから、お風呂を使ってるときはカーテンを閉めている。
「あと、さっきの場所がリビングね」
「リビング!」
元気な美月を見てると心が洗われる気がする。
「まぁ、これくらいかな。次、二階」
「階段!」
美月が四足歩行でドタドタと階段を駆け上がっていく。犬みたいだな。
クスッと笑いながら美月のペースに合わせて階段を上がっていく。
「此処が二階のトイレ」
「トイレ!」
「後は、ほとんど全部余ってる部屋だよ」
「へぇ〜。次は?次は?」
元気だなぁ。僕は美月の頭を撫でて三階の屋根裏部屋に向かった。
「此処が僕の部屋だよ」
「莉譜の部屋!」
「美月には二階のどこかの部屋をあげようと思ってるんだけど」
「寝る場所も、その部屋?」
僕は頷いた。
「嫌だ、莉譜と寝るの!」
「えっ?」
「莉譜と一緒がいい…!」
うわぁ…、女子にこんなの言われたの初めてかもしれない。
しかも、こんな小さな子にこんなこと言われるのって懐かれてるってことだよね…?
「じゃあ、いいよ。この部屋で」
「やったぁ〜!莉譜と一緒!」
美月がギュッと抱き着いてくる。
僕達はリビングに戻る。
「ねぇ、一つ聞いていい?」
「なに?」
美月があたりを見回して言った。
「莉譜、お父さんやお母さんは?」
「…僕は、もともと両親と兄さんの4人家族だったんだ」
「もともと?」
美月は少し俯いて言った。
ちょっと暗い話になっちゃうけど、美月は此処に住むんだし、これくらい話しておかないとだめだよね。
僕は頷いて、家族が亡くなった時の事を話した。
「可哀想・・・ごめんなさい」
「な、なんで謝るの?美月は悪くないよ!」
美月は俯いていた顔を上げた。
「じゃあ、今日から私が妹だね!」
「えっ・・・?」
「つらい思いをした莉譜を、今日から私が元気にしてあげる!」
美月が自分の胸に左手を当てて、少し自信満々に言った。
「頼もしい妹だね」
そう言ったのは良いものの、これからどうする?
美月の服もないし、勉強だってしないと駄目だし…。
…まず聞き出せることだけ聞くか。
「美月、苗字は?」
「…知らない」
知らない?
自分の苗字を知らないって…えぇ〜…。
一瞬信じられなかったけど、こんな純粋な子が嘘を吐くわけがないと思って、信じることにした。
「誕生日は?」
「三月九日!」
「何歳?」
「五歳!」
今五歳ってことは、三月には六歳、四月には一年生じゃん…。