同性愛のお話です
櫻井 わかな Sakurai Wakana
1年3組。
青山 かんな Aoyama Kanna
1年1組担任。1-1,2,3,4の理科担当。
田中 哲 Tanaka Satoshi
1-3担任。1-6担任の笹山先生と…?
笹山 唯 Sasayama Yui
1-6担任。1-3担任の田中先生と…?
美結 Miyu 1-1
沙良 Sara 1-5
真白 Mashiro 1-4
※基本わかな目線で書きます
4月7日ー出会いの日
今日は待ちに待った入学式。
私は朝食を済ませ、ブカブカのセーラー服に袖を通す。
するとますます気分が上がってくる。
そして上機嫌で髪を整えていると
「そろそろいくわよー」
と母の声。
期待半分、不安半分。ドキドキで学校へ。
門をくぐってしばらく歩くと人だかりが見えてきた。
「わか!おはよ〜!」
美結だ。手を振りながらこちらへ向かってくる。
「何組だった?」
「まだ見てないんだー」
「じゃあ一緒に探そ!」
そういいながら、美結と1組から順に探していくと…
あった。3組だ。
残念違ったねーと話しながら階段を登り1年生の教室がある4階へ。
そこで美結と別れ、1-3へ入った。
教室にはもうすでにたくさんの人がいて、それぞれ話していた。
自分の机に荷物を置いてぼーっとしていると、20代くらいの男の人が入ってきた。
「おはようございます。1-3担任の田中です。今から入学式に行くので体育館シューズにはきかえて名簿順に並んでください。」
その声でみんなぞろぞろと廊下へ出る。そして体育館へと向かった。
式はあっという間に終わり、担任紹介。
どんな先生がいるのかなー。
一応見てみる。
「1-1青山かんな、1-2………」
美結のクラス、青山かんな先生、へえ、なんかかわいい名前の先生。
とか、いろいろ考えてたら担任紹介も終わり、教室へ。
教室へ戻ってからは教科書の説明などをされ、すぐに下校した。
明日からいろいろ始まる。
楽しみにしながら母と家に帰った。
4月8日ー可愛らしい
今日は午前授業。
朝は、家が近くの沙良と真白の3人で学校へ行った。
1時間目は学年集会。
先生からの自己紹介や授業説明がされた。
先生たちは自己紹介で、各クラスの先生の担当教科と担当するクラス、好きなもの、ことなどを言っていた。
紹介順はランダムで、最初に自己紹介したのはうちらのクラスの田中先生。
田中先生は私が大嫌いな体育の担当らしい。。。
そして、4組、6組、5組、2組の先生と終わり、最後は1組の青山先生。
「おはようございます!1組担任の青山かんなです。……」
どうやら青山先生の担当教科は理科で、3組も担当してくれるらしい。
あとは、好きなキャラクターと、「かんな」という名前について話していた。
なんだか話し方がすごく可愛らしい先生だなあと思った。
授業のあと美結に会ったのでそれを言うと、
「えぇー、そうか?」
と首をかしげていた。
大体気が合う美結と思うことが違うなんて珍しいなー
なんてことをずっと考えてるうちに、短い午前授業が終了。
午後は沙良と真白と遊んだ。
沙良のクラスの担任は、ちゃんと見てみるとモアイ像に見えるらしい。w
そして学年集会のときも聞いたが滑舌が悪い。w
真白のクラスの担任は厳しい生徒指導の先生で、早くもうるさい男子2、3人が怒られたらしい。
そんな中、私の担任は熱血系イケメン?体育教師。
二人はいいなーと騒いでいたが、このときすでに私は田中先生苦手だなと思っていた。
4月11日ー初授業
学活ばかりの日々が終わり、やっと通常授業が始まってきた。
今日の3限は楽しみにしてた理科。
1限、2限が終わり、15分放課。教室で友達としゃべっていると、青山先生が入ってきた。
青山先生は、自己紹介で好きだと話していたキャラクターが描かれた手提げを教卓に置き、ボーッとしていた。
そんなこんなで授業が始まった。
最初なので主に授業の説明をしていた。
そのとき、先生が黒板に文字を書こうとした瞬間…
「おーっととととと……フゥ、危な〜」
どうやらようかん台から落ちそうになったらしい。
可愛いところがあるんだな。
“ドキン”
あれ、なんだろう。
なんか今、ドキンってした…
【次回予告】
わかなのこの気持ちは何?
そして青山先生、一体何者!?
×そのとき、
○そして、
「ねぇ美結〜」
「んんー?」
「ドキッとするときって、どんなときかなー?」
とりあえず美結に聞いてみることにした。
自分ではよく分からないけど、なんかモヤモヤするし…
「やっぱ、恋してるときっしょ!」
え、美結ゥゥゥ!マジかよ。。。
「そー、そーかい。。。ありがと!」
「うん!でもなんで?まさか、好きな人でもできたのかい??」
「い、いや、違うけど!」
「そ。まぁいーや!じゃあね」
そう、違う、違うに決まってる…!
そもそも私は女、先生も女、その時点で恋なんてありえないでしょ!そんなの「レズ」だあああああ
なーんて、心の中で叫びながら美結に手を振る。
けど。。。
念のため自分で自分に問いかけてみる。
私って、青山先生好きなの?恋してんの?
……
まあ、答えがかえってくるはずもなく…
結局、心のモヤモヤは晴れなかった。
4月14日ー二回目
あれから2日たっても、何も変わらなかった。
好きなのかも、恋なのかも、全くわからない。しかし、私の中では青山先生を恋愛対象として見ることは「不可能」という設定にしている。いろいろ考えて、本当に好きになったりしたら困るから。
途中だけど…時間ない
また今度かこー
そして二度目の授業。
今日は確か植物の観察の話をしてたんだと思う。
なんでこう曖昧な表現なのかというと、
なるべくあのことを考えないように、と思えば思うほど考えちゃって授業は上の空だったから。
「……はい、じゃあ……わかなさんっ」
え、え?私、当てられた?
「え、あ、あぁー」
「え、あ、あぁー?w」
慌てて謎の言葉を発すると先生が面白がって真似してきて、かなーり焦っていると隣の男子が答えを教えてくれた。
「ルーペですー」
「はぃー、ルーペですー。せいかーい」
そういって先生がニコッと笑った瞬間
“ドキン”
あ、まただ。
4月20日ー情けない…
いい加減なんとかしたい。
私はいつまでこのモヤモヤを引きずらなきゃいけないんだ。
今日こそは、スッキリさせてやる!
なんて毎日考えて、一週間が経った。
その間にも何度か理科の授業はあったが、内容は全く頭に入っていない。
ずっと「ドキドキ」してるから。
最初は一瞬の「ドキン」だけだったのに、今じゃ授業中ずっと「ドキドキ」してる。
それはかなりまずい。
このまま放っておくと、授業に全く集中できず、成績に影響することは目に見えている。
勉強ができることだけが取り柄の私にとって、それはかなりの問題。
だから、早急に解決する必要がある。
しかし。。。
そうはいってもどうすれば解決するのか、さっぱり分からない。
とりあえず誰かに聞いてみるにしても、なんて聞けばいいのか分からない。
そんなこと言っても仕方ないので頭の中で文章を組み立てる。
そして文章を組み立てていると大切なことに気づいた。
そう、それは
「ドキドキ」する相手を言ってはいけないということだ。
例えば美結に
「青山先生の授業のとき、すごいドキドキするんだけど、これって何だろう」
なんて尋ねた日には
「レズだ、レズ!」といじられるに決まっている。