甘く切ない青春ラブストーリーだと
思いましたか?
__残念、それは貴方の勘違いです。
*ルール*
荒らし禁止
なりすまし禁止
アドバイスは辛口でなければOK
感想(絡み)OK
*設定*
天宮 泉 【アマミヤ イズミ】 ♀
引きこもりのオタク。
"ネットは友達"思考。
孤霧 悠 【コギリ ユウ】 ♂
泉の片想い相手。
泉曰く"神"。
新垣 香歩 【アラガキ カホ】 ♀
泉の親友。
悠の事はあまり知らない。
池崎 明 【イケザキ メイ】 ♂
泉が大好きで泉のストーカー。
泉には気づかれていないと思ってる。
__日の落ちた夕方。
その部屋には、ただ1人の少女の溜め息が漏れる。
「はぁ……悠様……」
パソコンに釘付けになっている少女__もとい、天宮泉は、頬を赤らめる。
パソコンに映る画像、ではなくゲーム画面。彼女はそれとにらめっこを続けていた。彼女は片想いを続ける……所謂"恋する乙女"、である。
「主の事は、この命に変えてもお守り致します」
ふとパソコンから聞こえる声。
中々に格好いい声と言えよう。
「ムッハァァァァァァ!!イケボ過ぎる!「主の事は、この命に変えてもお守り致します」……ッ!?」
彼女はベッドに倒れこみ、悶える。
__そう、彼女が想いを捧げているのは。
大人気PCゲーム、"舞"のキャラクター……孤霧悠なのだ。
舞 【マイ】
大人気PC乙女ゲーム。
1人相棒の貴族を選び、共に苦難を乗り越え、恋仲に発展させる物語。
狐霧悠は条件が揃いさえすれば現れる隠しキャラ。
因みに一番人気のキャラクターは
麗雅(レイミヤビ)。
「ふふ、ふ……」
部屋に不気味な笑いが轟く中、ガチャリと扉が開く音。
恋に溺れる泉の耳には届く筈も無く。
「……」
足音1つ立てず泉……ではなく、何故かカーテンに歩み寄る人影。
__そして。
サァッ……。
「ッ……ちょ、なんでカーテン開けんの……ってあんたかい」
人影の正体は、泉の親友である新垣香歩。
「あんたがいつまでたっても外に出ないアンドまともな恋の1つもしないから!こうやって来てあげたんです」
ちなみに香歩もまともな恋等したことは無い。
「いいの!私はずっと悠様と__」
「……泉、いい加減怒るよ?」
香歩の眼差しに一瞬怯む泉。
だが泉とて譲れぬ戦いなのである。
好意を抱いている者との時間は、恋する乙女にとって極上のもの。
「かっ……香歩は優しいから、怒ってもどうせ怖くないでしょ」
煽る煽る。
はたから見れば小学生と高校生の喧嘩だが、実は高校生と高校生の喧嘩である。
「……まぁ、私も口だろうが拳だろうが、泉には敵わないよ?でも……」
香歩はそこで言葉を切る。
意味深を通り越して恐怖である。
何しろ顔が恐ろしいのだ、今は。
「口で言っても分からないんでしょ」
そして、パソコンのコードに手を掛ける。
「このコード、全部引っこ抜いて切り刻んであげてもいいんだけど。まぁデータの復元は……知ったこっちゃないけどさ」
瞬間、泉の瞳が濁る。
「ノォォォォォォォォ!!それだけは!それだけはご勘弁を!なんでもしますから!後生ですからァァ!」
必死で香歩を止める泉。
「分かってくれればいいんですゥ」
と言いながら香歩はパソコンから離れる。
「あぁ……おかえり私のパソ子……」
泉は涙目でパソコンに張り付く。
「……キモ……」
ぽつりと毒を吐く女、それが香歩。
「ふぁ……あ、ぁ……」
午前7時46分。
ブレザーの制服の上にグレーのパーカーを羽織り、イヤホンでカップル達の腹立たしい会話をシャットアウト。
言うまでもなく泉である。
ポケットにしまった携帯に繋いだイヤホンからは、孤霧悠の声が。
耳には入らないものの、視界にはチラホラと映るカップルに露骨な嫌悪感が鋭い眼光からは隠し切れていない。
表れまくりである。
猫背からは気だるさがだだ漏れで、ボサボサの紺色のセミロングが揺れるたび、オシャレに気を遣っていないことが分かる。髪を結ぶ途中で諦めたらしい、妙な跡がついている。
「……」
その後ろ姿を見つめる怪しい影が__
「痛ってェ!」
叩かれた。
香歩に、である。
今更ですが
*容姿設定*
天宮 泉
紺色の手入れナッシングセミロング。黄色い瞳で、常に猫背。
狐霧 悠
ストレートとは言えないグレーの髪。
左目は赤、右目は青。狐の擬人化。
新垣 香歩
茶髪のポニーテール。
ピンクのツリ目。
池崎 明
金髪のコッテコテチャラ男。
銀色のピアスと緑の目。