────私は闘犬のように、戦いを望んでいる。
血の香りがする、社会でしか生きられないのだ。
そんな手負いの獣が今宵、相手にするのは───
相川野証子。
それが私の名だ。
でも、名前なんてないほうが楽だ。
呼ばれる事もないし、あっても無駄が掛かるだけ。
証子、と呼びかける友すらいない。
私が住んでいるこの血ぬられた世界では、over・bloodというゲームがある。
あると言うか、血ぬられた世界ではこれをするのが日常。
overbloodは、契約を結んで、パートナーと戦ってもいいというルールがあるが、私はパートナーなんかいらない。
パートナーなんか、私の足手まといになるだけ。
それなんかより、一人の方が気楽だ。
話は変わるが、私はクリムゾンが好きだ。
血に似た色は、私に興奮を教え、我慢を吹き飛ばす。
血とクリムゾンは、私がこの世で一番好きなモノだ。