死んだって、苦しみは消えない。
だから、私はせめて自分の意思で死にたかった。
ねえ、どうして死んじゃったの、××__
>>002
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やけに気持ち悪い朝だった。
朝は得意な方じゃないけど、今日は特にね。
いつも通り、誰よりも早く学校入った。
誰も居ない学校は、私達だけの世界だから、どんなことも気軽に話せる。
今日も、タイムリミットまでたくさん話すんだ。
教室の前に立った。電気はついてない。
……あれ、まだ来てないのかな。
ドアを開けてみた。
「___?」
目を見張った。
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「なんで」
小さく揺れている脚が、目の前にあった。
細くて、白い脚が。
上履きはその下に落ちていて、靴下も履いていない。
視線を上にすると、そこには思った通りの顔があった。
見覚えのある顔のはずなのに、まるで別人みたいに見えた。
「中川さん……」
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なんで?
「死んだって逃げられるわけじゃないんだよ?」
涙が溢れてきた。
体に力が入らなくて、体を折り曲げながら泣いた。
中川さんの死体なんて見たくないよ。
床を睨んでいたら、近くに紙切れが落ちているのが見えた。
「遺書?」
白井さんへ、って書いてあった。
それを拾って中身を開けてみる。
几帳面な文字の列がずらりと並んでいた。
いつもと変わらない、彼女の字で。
『白井さんへ。
伝えたいことがたくさんあるけど、
本当に伝えたいことを厳選して書きます。
まず、私と友達でいてくれてありがとう。
私がいじめられてからも、ずっと仲良く
してくれたのは、白井さんだけだよ。
それから私が死んでも悲しまないで。
白井さんを悲しませるために死んだんじゃ
ないから。
それから、何度も励ましてくれたよね。
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私は死にたいんじゃなくて、
今の状況から抜け出したいだけだとか、
他人が喜ぶから死ぬとか、他人が悲しむから
死ぬのを我慢するとかじゃなくて、
自分のために生きるか死ぬか決めろって。
私、その言葉があったから、今まで生きてこれた。
でも、もう限界になっちゃった。
状況は変わらないし、今の状況から抜け出せるなら
何でもいいの。
だから、さようなら。
ぽたぽた、と涙が零れた。
私の涙が、中川さんが一所懸命書いた文字を滲ませた。
よく見たら、ところどころ濡れたあとがあった。
中川さんも、泣きながら書いたのかもしれない。
強く、生きて。』
手紙は、それで終わった。
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中川さんを見上げる。
涙のあと…
死ぬ直前まで泣いてたんだ。
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どれだけ苦しんでたんだろう。
『もう限界になっちゃった』
の文字が目に入る。
もしかしたら私の言葉も…。
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ぎゅっと手を握り締めた。
その手で目をつよくこする。
泣いてられない。中川さんは苦しんで死んだんだ。
だけど、私は生きてる。生きてるから、中川さんが出来なくなったことも出来るんだから。
罪滅ぼしだと思うけどね。
中川さんの苦しみ、全部…
あいつらに返してやろう。
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うごメモのまんがをもとに書いてたんですが、見ながら核のめんどくさいので、普通にオリジナルで書こうと思います。
昼休み。
一部のクラスメイト達が、教室から居なくなっていた。
居ない人達には、共通点がある。
「……そういうことか」
私は自分にも聞こえないくらい小さい声で呟いてから、教室を飛び出した。
あの子達が居る場所は何となく予想出来る。
だって、よくあそこで色んな事をやってたんだからね。
✡
「__……」
「__……」
「__……」
やっぱり、思った通りだった。
うさぎ小屋がある学校の裏庭から、話し声が聞こえてきた。
気付かれないようにそっと耳を傾ける。
「中川自殺ってやばくない?」
「しかも教室でしょ……」
「警察とか来たらやばくない?」
「どうしよう……」
「絶対私らに恨みがあるよね」
なんて、勝手に怖がってた。
「てゆーかさぁ」
もう聞き飽きたくらい聞いてる低い声が、直接頭の中に聞こえてきた。
何度もハウリングしながら、小さくなっていく。
「まじ迷惑じゃない?」
__え?
今、何て?
私はそいつらを睨み付けた。
「だよね、死んでも迷惑しか掛けられないんだね」
「元々悪いのはあいつじゃん」
「普通におかしいと思う」
何、何言ってんの、この人たち。
中川さんが、迷惑?
中川さんが、悪い??
中川さんが、おかしい???
私は耐えられなくなって、その場から逃げた。
空を見上げると、青々とした透き通った色の中に、ぽっかりと白い雲が浮かんでいた。
人が死んだっていうのに、空が綺麗なのが憎たらしい。
いっそのこと、濁った血色にでもなればいいのに。