もしも昨日まで友達だった子に裏切られたら──?
もしも仲の良い友達がいじめの標的にされてしまったら─?
あなあならどうする─?
第1話「莉子の場合」ー心ー
「莉子ー!」
名前を呼ばれて振り返ると楓、マリ、ゆいみがいた。
「楓!マリ!ゆいみ〜!」
「どうしたの〜?笑」
楓が笑いながらいう。
「嫌なんでもないよ」
「へぇ〜」
マリとゆいみも言う。
なんか、楓やマリといると、疲れる。
私がそう思った時あいみが来た。
あいみは大人しくていつも読書をしているような子。
そんなあいみでも私たちと仲がいい理由はあいなが積極的に入学式の日話しかけてきたから楓たちもあいみをグループに入れたんだ。
「おはよ…」
あいみはちょっとビクビクしている。
「あーいみー!おはよ〜!」
楓とマリ、ゆいみが元気にあいみに挨拶する。
するとあいみは安心したのか、
「うん、おはよー」
と言った。
「ほら莉子も!」
私は楓に強く背中を押されあいみに挨拶をした。
「おはよー」
「うん」
あいみがそう言うと楓たちは
「じゃ、教室行こー!」
「うん!」
そして校舎に入り廊下を歩いているといきなり楓が、
「ねぇ!あそこの先輩!めっちゃかっこよくない!?」
楓が指さした先には男子友達とふざけながら階段を上っている先輩が居た。
「うん、カッコイイよね〜」
「それなー」
「うん…」
「カッコイイ〜」
みんな楓の気が損ねないようにかっこいいと言う。
「だーよね〜!」
やっぱ、楓は疲れるな…
みんなワイワイ話しているが私は中に入っていない。
なんか1人だけ取り残されてるって感じ……
あいみだってちゃんと楓たちの輪に入れてるのに、私だけ。
「ねぇ莉子はあの先輩のこと好き?」
私はいきなりマリに聞かれてびっくりした。
「え、す、好きかな〜」
私がそう答えるとみんなの顔色が変わった気がした。
え、私、なんか変な事言っちゃった…?
そんなことを思っていると
キーンコーンカーンコーン
「あっチャイム鳴っちゃったー!行こー!」
そしてみんなパタパタと走り出す。
私なんか変な事言ったのかな…?
私なんか変な事言ったのかな…?
そして私たちはギリギリセーフで教室に入った。
よかった──…間に合って…
そして日直が前へ出ると
「気をつけーレイ」
日直の声とともにみんな挨拶をする。
「じゃーみなさん教科書を開いてください」
担任がそう言うとみんな教科書を開き始める。
私も一応開いたがやるきになれない。
さっきのみんなの態度がきになっていたから──……
そんなこんなであっという間に授業が終わった。
キーンコーンカーンコーン
みんなザワザワと仲良しグループで盛り上がっている。
私も楓たちの元へ行く。
「楓!ゆいみ!マリ!あいみ!」
私に呼ばれると楓たちは目をそらし、
「トイレ行こー!」
と、楓がみんなに呼びかけた。
するとみんなは
「行こー!」
と言って楓たちと一緒に教室の外へ出ていった。
今私…無視された?
そんなことを思っていると一部の女子グループが私を見てコショコショと話し始めた。
何…?私のこと話してるの…?
私が何したの……?
そして微かに聞こえてきた言葉は
「あのこうざくない?」
という言葉だった。
私がウザイ…?なんで…?私があなた達に何したの…?
私はそのグループの声を聞きたくなくてさっき楓たちが行ったトイレへ走った。
そしてトイレの扉を乱暴にガチャっと開けると楓達はびっくりした顔で私を見ていた。
しばらくの沈黙のあと楓が口を開いた。
「なんか用」
なんか用…って、
「今、なにか話してたの…?」
すると今度はマリが、
「あんたに関係ないから」
は…?何でいきなりそんな態度冷たくなったの…?
私は我慢出来なくて
「楓達に私なにかした!?なにかしたからそんな態度冷たくなったの!?」
「黙れ」
そう言うと楓たちはトイレを出ていこうとした、と私は楓の腕を掴んでいた。
「なんで!?私が何したの!」
楓は私を睨みつけると私の掴んでいた手を振り払った。
「離してっ!アンタなんか親友でも友達でも何でもない!空気も読まずにズバズバ言って!いい加減にしてよ!私たちに付きまとわないで!」
酷い……
そんなこと思ってたなんて……
「マリ達行くよ!」
そう言うと楓達はトイレを出ていった。