アディオス、   

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1:とくめーさん◆K6:2017/11/10(金) 20:58




   笑ってよ、
   もうこれで “お別れ” なんだからさぁ


 

2:とくめーさん◆K6:2017/11/10(金) 21:05




   プロローグ、



 「ね、 聞いて! 好きな人が出来た! 」

 「私、 ××君が、 好きなんだ...... 」


 
 勿論、 応援するよ。


 

3:とくめーさん◆K6:2017/11/10(金) 21:30




   1、



 ××君...... 恋バナではよく出てくる名前。 
 所謂 “モテ男” だけど、 何がいいのかさっぱり分かんない、 そんな非モテな私。 

 雀も鳴くのを諦めるような五月蝿さの中の教室、 朝休みは唯一の休憩時間だ。

 そんなモテ男の名前が、 まさか友達の口から零れるとは。 

 「彩舞は...... 優君一筋だもんね。 」

 それ、 いつの話...... 優君、 それは名前の通り優しくて可愛い、 そんな子で。



 ああ、 申し遅れました。 宮下彩舞、 中学3年です。
 趣味は...... ありません。 特技は...... やっぱりありません。 特出した所も何もない、 地味で何処にでもいそうなヒトです。

 「××君ってさ、 優しいよね! カッコイイし、 成績優秀だし、 運動神経だっていいし! 」

 優しい? 成績がいい? 運動神経がいい? 
 「そう思わない? だってさぁ...... 」

 認めてあげよう、 仕方ない。 これは、 惚気を聞かないようにするための...... 



 ......



 なんか遥が五月蝿くなりそうだから、 黙っておくのが1番だな。

 「ね、 遥。 ××君って、 そんなに...... 」

 話してる途中なんだけど...... 
 すごい殺気を感じるのは気のせいだよね、 ね!

 「あ、 ××君来た! 」

 そんな機嫌も吹き飛ぶほどの、 格好良さらしい。
 そんなの何処から感じられるのか、 気になって仕方がない。
 
 ××君が教室に入って期限が良くなるのは、 遥だけじゃないみたい...... です。

 「××君! 」
 あ...... 話に行ってる。
 ××君の周り、 女子ばっかり、 飽きないのかな?

 女子なんて...... おもんないよ。



 まあ、 モテ男はね......



 「おはよ。 」

 え...... 私に挨拶した? 今、 さっき......



 しぃん...... と静まり返る教室に、 ××君の声の余韻に浸るヒト。

 挨拶って返した方がいいよね。

 静かな教室にさよならを告げて、 笑顔をつくった。
 「おはよう。 拓海君。 」


 

4:とくめーさん◆K6:2017/11/10(金) 22:17




 あの日から何日も経ったけど......
 相変わらず、 女子の視線が痛い毎日であります......

 「宮下さん! 」
 授業のノートを集める係の私は...... 拓海からの呼びかけに応じる毎日でもあります......



 青いふちの眼鏡の度数は私にぴったりだった。

 突然何かと思ったか? まあ、 そりゃそうなるでしょ。



 なんと...... 席替えで、 席が隣になってしまったのです......
 あ、 勿論拓海とね。

 それで、 視力Bのわてくしは、 黒板の字がギリギリ見えない訳ですわ。 だから拓海から眼鏡を借りてる......
 ああ、 近付きたい理由じゃないからね! 
 


 私の拓海の印象は大分よくなった、 多分。
 結構優しいところとか、 見つけることが出来た。
 けど、 そんなに...... 他の男子と何か変わるわけでもなく。

 むしろ、 他の男子の方が...... 



 遥が怒るから、 ここまでにしとくよ。

 拓海とは特に何も喋らない。
 目を合わせて、 にこって笑い合うだけ。
 ただ、 それだけ。 他の何でもない。



 何でもない、 はず......


 

5:とくめーさん◆w.bAqUAEOfqK6:2017/11/11(土) 22:46




 実は、 拓海と私は同じ小学校。 あんまり話さなかったけど......
 ああ、 他にも同小の人いるよ!?



 ううん、 話してなかった訳じゃない。

 違うんだ。

 拓海は小学校の時からよくモテてて......
 友達も好きだって言ってた。
 応援してた。

 その人とを、 ずっと......



 拓海は元々フレンドリーな人で。
 そうだった。

 こんな私とも、 たくさん話してくれた。
 中学に入って、 なかった事のように接してた。



 こんなの、 駄目だって分かってたのに......


 

6:とくめーさん◆w.bAqUAEOfqK6:2017/11/11(土) 22:55




   2、



 思ってもみなかったものが、 目からこぼれ落ちた。

 それは、 ゆっくり教室の床に落ちて轟く。



 やり直さないか...... って。



 瞬く光に連れられて、 見たことのある光景に目を瞬かせる。 もしかして......

 「おはよ。 」
 そこには、 拓海がいた。



 ......



 え? 



 え? え?



 え......

 「宮下さん? 」

 挨拶って返すもの...... だよね...... 返してなかったから不思議に思われたみたい? 

 待って!

 “中学の” 友達に、 “中学の” 教室...... あれ、 なんか違う?



 「彩舞! 」

 あれ? 小学校の友達? 
 「彩舞、 名札忘れてるよ。 ランドセルの用意もしてないし...... どうしたの? 突っ立って。 」

 ランドセル? 名札? ...... もしかして......



 小学生に戻った!?


 

7:とくめーさん◆w.bAqUAEOfqK6:2017/11/11(土) 23:16




 えっと...... ついていけてない人、 多分殆ど、 というか読まれてるかも怪しまれてるような......
 読まれてる前提で話を進めちゃいますが、 ついていけてない人のための、 まとめといきますか!

 モテ男の拓海に、 非リアの私。
 拓海はなんだかんだ言って、 私に干渉してくるけど、 私は拓海とは話したくない。 
 遥たちにも隠してたけど、 私と拓海は同小。

 話したくない...... そんなのおかしいけど......
 色んな思いがこみ上げてきた涙に乗って、 私は小学生に戻って......

 これって小説の物語中に言う事じゃないよね!?
 まあ、 許してくだはい......



 はい! 小学生に戻った私。 だけど、 色んなことがまだ慣れてない。 小学生の時は......
 拓海呼びな訳ないよね。 拓海くん、 かな。



 「では、 席替えします。 」

 色んなことを考えている内に1時間目が始まった。
 朝の会とか、 全部記憶にないんだけど。 これやばいやつ? アルツハイマーとかそういう系? そんな訳ないよね! こんなことで、 アルツハイマーとか、 世の中のアルツハイマー患者に失礼だね。

 「4班は...... 東さん、 谷川さん、 宮下さん、 富士丘さん。 」

 いつの間にか名前を呼ばれる、 馬鹿氏。 

 待って、 ねえ待って。 拓海...... ごほんごほん...... 拓海くんと同じ班じゃない!?

 あ、 富士丘さん=拓海くん、 だからね。
 
 にこっと笑う拓海くん。 あ、 思い出したんだけど、 拓海くんなんて言ってなかった気がする。 フジさんじゃなかったっけ。 皆そう言ってるし。

 「宮下さん、 何番がいい? 」
 「何番でも! 」

 この番号というのは...... 私のクラスでは班ごとに番号を決めて、 その番号にあった仕事をすることになっている。 例えば、 1がノート配り、 2がノートあつめ、 3が発表、 4がリーダー、 とかね。 仕事は日替わりだよ。

 「じゃあ、 こう、 でどうかな? フジさんが1番で...... 東さんが2、 谷川が3、 私が4。 」
 「いいんじゃない? 」

 みんな、 適当だな。 これ私が言っていいやつか分かんないけど。



 これから、 はちゃめちゃな小学生生活が始まります!? 

 中学生の私はどうなってんだろ......


 

8:とくめーさん◆w.bAqUAEOfqK6:2017/11/12(日) 18:57




 フジさんの隣は東さん。 東さんの好きな人は...... フジさん。 フジさんの好きな人は...... ?

 好きだけど、 話せない。 

 元々仲良くないし。

 東さんとフジさんの関係はきっとこんな感じ。
 フジさんだって、 どんなにフレンドリーでも全く話してこなかった人と話すのは...... きっと気が引けるんだな。

 ...... だからと言って、 そんなに私と話そうとしなくてもねぇ......

 フジさんと私の席は前後の関係。

 フジさんは後ろを向いてくる。

 きっと、 寂しいんだろうな。

 でも、 東さんとだってたくさん話すよね。 勿論。

 

 あれ? 少し、 寂しいって思ってる?

 そんな訳ないよね! 



 絶対、 あるわけない......


 


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