「ここが『都』・・・!」
天皇がいる
「幻宮」から徒歩三分
ここは賑やかな市・・・
どうせここからは出られない・・・。
私は知っていた
ここは遊郭
抜け出す人も多いと聞くが
警備が厳重がここから逃げ出せるわけなどない
「涼花さぁ〜ん」
わたしのなまえはすずか
いま最も勢いのある大見世明月の引込禿
九つで売られ姉女郎の夕木菟姉さんにしごかれて育ってきた
「はぁ〜い」
そろそろ行かなければ
ここはまだ地獄の入り口でござんしょう
「またきていなんし、さびしゅうてかないません」
「おうおうまたくるぞ」
この世一の美人とうたわれる夕木菟姉さん
私もいずれああいう風になる・・・いやならなくちゃいけない
決意を胸に質屋に走り出す
「精一杯愛想よくして、高く買い取ってきなさいよ」
女将さんにそうせかされてしまった
昔から笑うのなんて得意じゃない
どうしよう
そうやって悩んでいるうちに
誰かとぶつかった
「堪忍しておくんなんし」
相手の顔を見ると
顔立ちの整ったザンバラ髪だった
「ごっ、ごろつき・・・」
叫ぼうとしたが声が出ない
その時男は笑ってこう言った
「ふっ、おもしろい」