Iwant to go to the world of the delusion.
2:Belladonna:2017/12/03(日) 13:38Theme✶Harry potter,Tom riddle,Hogwarts,witch…etc.
3:Belladonna:2017/12/03(日) 13:47 T
後のヴォルデモートとされているトムリドルは、ホグワーツ魔法魔術学校教員・ダンブルドアから自分は魔法使いなのだと知らされてから、興奮の毎日だった。
初めて知った日の夜はうまく眠れず、
「やっぱりなにかあった。僕は魔法使い・・・魔法使いだったからだ。」と興奮が抑えきれないでいた。
翌朝目が覚めて、一見いつもと変わらない自分の部屋をみて、夢だったのかと失望したが、昨夜自分でもあきれるほど眺め、大事にしまった袋の中の金貨の塊を発見すると、興奮の波が湧き上がってきた。
嬉しさをとうにこえ、野望に近い感情が彼を侵食していた。
U
部屋のドアを開けると、同じ孤児院に住む孤児、院の職員がせわしなく廊下を行き来している。
朝食を食べるために食堂へ向かう際に、ある女性と出会った。
ダンブルドアを彼の部屋へ案内した女だ、と横目でみて、通り過ぎる。
その女が彼に向ける視線が普段と違うことに彼は気づいた。
おそらく、あの女は僕の事情を知っている。いや、知ったのだ、ダンブルドアとかいう男のおかげで。
怒りに少し似ている感情を抱きながら、朝食をとる。
・・・もし、あの男が僕の事をホグワーツとかいう学校のいるであろう他の職員に喋っていたら?
ふと、そんな考えが浮かんだ。
そうだとしたら、僕の立場はどうなるんだ。
ああ、しまった。
後悔の念が湧き上がってきた。つい、喋り過ぎた。普段、表に出せない僕の自慢、秘密、僕は特別であること・・・・。
食べ終わると早速、昨日ダンブルドアから教えてもらった「漏れ鍋」という店へ向かうため準備を始めた。
だが、彼の全財産は質素なクローゼットの中のものなので、、昨日新しく加入した金貨達をポケットに入れるだけだったが。
V
いつも一人で歩き、見慣れたはずの商店街。
だがいつもとは違い、新鮮さが感じられる。
いつも、とは違う感情を抱きながら、目的地へ少し早歩きで進んでいく。
『漏れ鍋』
看板にそう書いてある。かなり目立たないところにあった。いや、目立たないのではなく、人々には見えないのではないか。そんな考えが浮かんだ。
近づいて、巡り湧き上がってくる感情とともにドアを開ける。
まだ午前であるにもかかわらず中はとても賑やかだった。
笑い声、注文する声が飛び交い、客で席が埋まっていた。
「やあ、いらっしゃい、初めて来た子だね?」
気さくそうな、男が話しかけてきた。
「あ、はい。」
「注文はどうするかね、君の年齢にいいのはこの店にあまりないが・・・」
「いえ、注文は大丈夫です。あの、ホグワーツの用事があって、伺ったのですが、この店の店主でいらっしゃるトムさんはいらっしゃいませんか?」
ダンブルドアが言っていた。店主のトムに聞けばよいと。
「トム?それは私の事だ!ホグワーツの用事で来たんだってね」
「はい、そうです」
「それなら、ついてきて、教えてあげよう」
「有り難うございます」
にぎやかな声の中を、彼はトムの後ろについてゆく。
この人がトム・・・。僕と同じ名前の・・・。
「君、一人で来たんだね、迷わなかったかい?」
「いえ、大丈夫でした。いつもロンドンを歩いておりましたので」
「そうか、勇敢な冒険者なのだな」
彼は微笑してその言葉に応える。
二人はパブを通り抜け、壁に囲まれた小さな中庭に着いた。そこは、草が二、三本生えているだけの庭だった。
ゴミ箱の上の壁のレンガの前に立つと、トムはポケットから杖を取り出した。
「ここが、ダイアゴン横丁の入り口となる」今からやることを覚えておいて、と振り返って彼を見た後、
杖で縦に上方向へレンガをたたいた後、横に二つ叩いた。そして、適当に三度叩くと、少し後ろに下がり、レンガが震え始めた。次にくねくねと揺れた。
彼は面白そうにしていた。トムリドルは黙って食い入るようにその光景を見つめていた。
真ん中に小さな穴が現れた。と思うと、それはどんどん広がり、次の瞬間目の前に、巨人でも通れそうな、大きなアーチ型の入り口ができた。
その向こうには石畳の通りが曲がりくねって先が見えなくなるまで続いている。
「ダイアゴン横丁にようこそ」
トムリドルが驚いているのをみて、トムがニコーッと笑った。
「一緒に行こうか?」
トムリドルは首を控えめに振り、「大丈夫です。」といった。
「そうか、じゃあ、人生初めてのダイアゴン横丁を楽しんできなさい!」
W
トムリドルは再び湧き上がってきた興奮を抑えながら、アーチをくぐり抜けた。
彼が急いで振り返った時には、アーチはみるみる縮んで、固いレンガ壁に戻るところだった。
そばの店の外に積み上げられた大なべに日の光がキラキラと反射している。上には看板がぶら下がっていた。
【鍋屋―大小いろいろあります―銅、真鍮、錫、銀―児童かき混ぜ鍋―折り畳み式】
トムリドルは金貨のほかにダンブルドアからもらった羊皮紙の封筒を取り出した。そして、中から、必要なもののリストを取り出した。
そこには、
制服
一年生は次の物が必要です。
一、普段着のローブ 三着 (黒)
二、普段着の三角帽 (黒) 一個 昼用
三、安全手袋 (ドラゴンの革またはそれに類するもの)一組
四、冬用マント 一着 (黒。銀ボタン)
衣類にはすべて名前をつけておくこと。
教科書
全生徒は次の本を各一冊準備すること。
「基本呪文集(一学年用)」 ミランダ・ゴズホーク著
「魔法史」 バチルダ・バグショット著
「魔法論」 アドルバート・ワフリング著
「変身術入門」 エメリック・スィッチ著
「薬草ときのこ1000種」 フィリダ・スポア著
「魔法薬調合法」 アージニウス・ジガ―著
「幻の動物とその生息地」 ニュート・スキャマンダー著
「闇の力―護身術入門」 クエンティン・トリンブル著
その他学用品
杖(一)
大鍋(錫製、標準2型)(一)
ガラス製またはクリスタル製の薬瓶(一組)
望遠鏡(一)
真鍮製ものさし(一組)
ふくろう、または猫、またはヒキガエルを持ってきてもよい。
一年生は個人用箒の持参は許されていないことを、保護者はご確認ください。
と書いてあった。
12:Belladonna:2017/12/03(日) 15:03 トムリドルはキョロキョロしながら横丁を歩いていた。
今までに見たことのない服装をした魔女や魔法使いがいる。
【イーロップのふくろう百貨店―森ふくろう、このはずく、めんふくろう、茶ふくろう、白ふくろう】
という看板がかかった薄暗い店から、低い、静かなホーホーという鳴き声が聞こえてきた。
ダイアゴン横丁の雰囲気に浸りながら、まずは制服を買うことにした。
ダンブルドアも言っていたように、中古の品でしか買えない魔法界の金額でしかもっていない。
新しいものがほしかったが、そんなのは物を見るたび一瞬は思いをしたがそれぞれの魅力にひかれ、少し、どうでもよくなった。
トムリドルは必要なものを買い、会計をすませると、手元は買ったものでいっぱいになった。
あとは杖か・・・。
そう思ったとき、店員が話しかけてきた。
「ぼっちゃん、あと何を買うんだい?」
「杖です」
「おお、杖かい、とっておきの店を教えてあげるよ、【オリバンダーの店】、あそこはいいよ〜」
オリバンダーの店・・・。
「有り難うございます」
「いやいや、それより、今年が初めてかい、ホグワーツにいくのは」
「はい、そうです」
「そうかい、君は礼儀正しいし、利口そうな顔をしてるからさぞトップクラスの成績になれそうだねえ、さ さ、引き留めて悪かったね、いってらっしゃい」
「はい、本当に有り難うございました」
店を出る手前、トムリドルは、天井まで本がぎっしり積み上げられている本のうち、ちょうど目についた本を手に取った。
どうやら俗にいう闇の魔術に関連するような内容だった。
といってもそこまで邪悪なものではなく、トムリドルは僕に意地悪してきたものにかけたらいいだろうな、と妄想していると、先程とはちがう店員から声を掛けられた。
「まだあなたには無理よ、呪いなんて。そのレベルになるにはもっとたくさん勉強しなきゃね」
やっと今度こそ店を出ると、教えてもらった【オリバンダーの店】へ向かった。
16:Belladonna:2017/12/03(日) 15:37 剥がれかかった金色の文字で、扉に【オリバンダーの店―紀元前三八二年創業 高級杖メーカー】と書いてある、狭くてみすぼらしい店だった。
ショーウィンドウには紫色のクッションに杖が一本だけ置かれている。
本当にいい店なのだろうか、と予想外な外観に訝しげにしながら、店の中に入った。
入ると、どこか奥の方で、チリンチリンとベルが鳴った。小さな店内に少し古い椅子が一つだけ置かれていて、そこに荷物を置き、天井近くまで整然と積み重ねられた何千という細長い箱の山をみながら、トムリドルはカウンターに近づいていく。あの箱の中に杖が入っているのだろうか。そんなことを考えていると、
「いらっしゃいませ」柔らかな声がした。