初めまして、こんにちは、こんばんは、スカーレットです。二作目(まだ更新中ですが。)を書ていきたいと思います。
設定
男の子が好きだった女の子が記憶を失くしてしまう。その女の子が男の子の家族の養子になり段々と男の子がもう一度女の子を好きになっていく話です。
注意
この物語はフィクションです。名前などが同じでも関わりはありません。
プロローグ
俺は小6の頃、好きな子がいた。その子は男子からも女子からも人気で狙ってる奴らも多かった。艶のある金髪で青空のように透き通るスカイブルーの瞳。何もかもが綺麗で華麗だった。
俺は馬鹿だった。綺麗のあまり彼女の心の影を見れていなかった。いや、本当は気付いていたのかもしれない。でも、気づきたくなかった。
今、後悔しても遅い。気付いていたら___
君に手を差し伸べられていましたか?
〜1〜
「渓一、明日妹が来るからね。」
「ん、分かってるから。」
俺は神崎渓一。青葉私立の中等部の一年生。母さんは心優しい人だから知らない人に手を差し伸べたりする。___養子まではいかなかったけど…
ー翌朝ー
今日は土曜日で家に養子がくることになっている日だった。俺の家族は三人家族だ。父さんと母さん、そして俺。その中に養子が入るのだから四人家族になる。
「ただいま。渓一、リビングに来なさい。」
「今行く。」
そう言い、俺は母さん達がいるリビングに向かった。
「いい、渓一。あの子には元の家族のことを話さないで、それと貴方と同い年だから仲良くしてね。」
父さんが連れて来たのは______
「朔羅…。」
俺が想いを馳せていた朔羅だった。小3からの付き合いでずっと一緒にいた朔羅だった。
「渓………。」
小さな声でそう言った。
「何で?」
俺が父さんの方をみると…
「渓一、こっちに来い。」
父さんに手招きをされ、行くと小さな声で説明してくれた。
交通事故で頭を強く撃って記憶が失くなり、その前からお母さんが酒をのんで暴力を受けたり、お父さんは彼女を馬鹿にしたりとストレスを溜め込んでいたらしい。
「宏子が言ったことを守れよ。」
「わかった。」
俺が朔羅の方に体を向ける途中で父さんが何かを言った。
『朔羅はお前以外を忘れていたらしいぜ。』
「なんか言った?」
「いいや、お前も挨拶して来い。」
そう父さんに言われ、朔羅と向き合った。
「貴方が渓一ですか?」
「ああ、俺が渓一だ。よろしく、朔羅。」
すると、静かに朔羅が涙を流した。おどおどしていると母さんが部屋に連れて行った。
これが朔羅が俺の家族になったはじめの出来事だった。
〜2〜
「泣き疲れて寝ちゃったわ。安心したのかもね。」
安心か…
「記憶は戻らないのか?」
「戻らない可能性が高いわね。まあ、思い出させない方が彼女にとって幸せかもね。」
母さんはそう言った。正直、思い出して欲しい。俺の思い出だけでもいいからなんて都合がよすぎるか…
母さん達と話し合ったあと俺は部屋に戻った。朔羅の部屋は隣だけど____
「これから一緒なんて…心臓持たない…。」
一人部屋でそう呟いた。
ー月曜日ー
母さん達は色々と朔羅の手続きをして俺の学校に通えるようになった。編入テストがあるけど…
「あのさ、ちょっと離れてくれない?朔羅。」
「怖いから嫌です。」
可愛いけどここ学校だからしかも理事長の前だから…
コホンッと咳払いをしてから話を始めた。
「えっと、神崎朔羅さん。今からテストを受けてもらいます。テストが良ければ渓一さんと同じクラスになれますよ。」
「はい、分かりました。」
「じゃあ、隣の部屋でテストをして下さい。」
そう理事長がいい、朔羅が隣の部屋に入っていった。
「で、神崎君。彼女の事情は口外しないようにと陽一に言われているからそこのところは守るように。」
「はい。」
青葉私立の理事長は俺の父さんと親友同士で仲がいいし俺も息子のように扱ってくれる。
「理事長さん、終わりました。」
「え?まだ30分前半ですよ。もういいんですか?」
「はい。」
理事長兼青葉さんは朔羅の解答を採点する為机に座った。
…数十分後…
「朔羅さん……」
真剣の顔をして朔羅と俺に向き合った。
「おめでとうございます。渓一さんと同じクラスです。」
朔羅は嬉しそうに笑った。このとき見せた笑顔は今まで見た中で一番綺麗だった。