初めまして、ぽなです。初心者なので「つまんなっ」と思ってもお許し下さい。
あるところに、名無しの少女が居た。その少女は、吸血鬼ハンターを営んでいる者に引き取られ、一緒に吸血鬼狩りをすることになった。
そんなある夜、仕事が行われた。豪邸に居る吸血鬼を仕留めると言うのだ。中に入り、二、三人程の組になって散った。少女は入口の近くに居た。少女の鼓動が高まっている中、声が聞こえた。仲間の悲鳴であった。あちらこちらから聞こえる悲鳴に少女は怯え、目を瞑り、その場にうずくまってしまった。
悲鳴が聞こえなくなり、目を開けてみるとそこには七色のクリスタルを光らせた少女が立っていた。ハート形の武器のような物を持っている。少女は思わず
「あなたは誰…?」
と聞いた。すると、その少女は不気味な笑みを浮かばせ、手を振り上げた。その瞬間、
「待ちなさい、フラン!お腹がすいたならいくらでもご飯はあるわ!」
その声を聞いた、フランと言う少女は立ち止まり、そして去って行った。
「あなた、あいつらの仲間?名前は何て言うのかしら?」
先ほどの声の主が少女に近づいた。少女は、
「名前…私の名前は……」
そう言って黙ってしまった。
「…ごめんなさいね、変なことを聞いて。」
少女は首を振った。すると、その吸血鬼は、
「…私の世話役になりなさい。どうせ、行く場所が無いでしょう?私が名前を付けてあげるわ。」
吸血鬼は窓の外を見た。紅い満月だった。少女は少し考え、
「…咲夜。あなたの名前は、十六夜咲夜。夜に咲き誇る、という漢字二文字で咲夜よ。あなたを、この紅魔館のメイドに任命するわ。」
少女はきょとんとした顔をした、がすぐに笑顔に変え、
「はい、ありがとうございます」
と、答えた。吸血鬼は少し顔を赤らめた。今日の満月のように―――
メイド服に着替えた咲夜に吸血鬼は、
「そういえば、私の名前を言ってなかったわね。レミリア・スカーレットよ。そして、貴方を襲おうとした子、あの子は私の妹、フランドール・スカーレットと言うの。」
「そうなんですか、じゃあ…お嬢様、妹様と呼ばせて頂いてもよろしいですか?」
「ええ、良いわよ。これからよろしくね。それじゃあ早速、散歩でも行きましょうか。」
「はい!お供します!」
そうして、レミリアと咲夜は散歩に出かけた。非常に日差しの強い日だった。
「よいしょ、っと…うーん…」
咲夜が日傘をさす。だが手が震え、今にも落としそうだった。日差しが少し漏れている。だが、頑張る咲夜を見て、私はクスッと笑った。
「あまり無理しなくて良いのよ。」
「いえっ、大丈夫です。」
日に当たりながら、他人に傘をさすとはどのような感じなのだろうか。そう思いながら歩いた。今日も良い天気だ。
レミリアと咲夜が過ごす初めての夜が来た。
「お休みなさいませ!お嬢様!良い夢を!」
「ええ、お休み、咲夜。」
レミリアがそう言うと、咲夜はゆっくり部屋のドアを閉めた。
(ふう、今日はなんだか短い日だったわ。)
レミリアは心の中で思い、眠りに着いた。
―――深夜、目を覚ました。時計を見ても、まだ午前二時である。
(おかしいわ…いつもなら目が覚めることなんて無いのに…)
レミリアはしばらくベッドの上で寝そべっていた。が、突然咲夜が恋しくなってしまった。
「咲夜…早く来て…」
抱き枕を握る。目が潤ってくる。鼓動が速くなる。そして、そのまま寝てしまった。
「お早うございます!お嬢様!」
咲夜の声でレミリアは目を覚ます。
「…あら咲夜、お早う。よく眠れた?」
「はい、もうバッチリです!…あれ、お嬢様。何故泣いているのですか?」
そう言って咲夜はハンカチを取り出し、レミリアの涙を拭った。
「え…?……ふふ、なんでもないわ。」
人間が一人居るだけでこんなにも生活は変わるものである。部屋のドアを開けながら、レミリアはそう感じた。