佐伯真昼【さえき まひる】(主人公)
高2♀
天真爛漫、瀬戸内くんが苦手だったが…
瀬戸内輝【せとうち てる】
高2♂
大人しい、佐伯さんにちょっかいを出すのが好き
隠れS
ふぁぁ…眠っ。
けたたましく鳴る目覚まし時計に手を伸ばす
あぁっ…!あともう少し…、、うぎゃっぁ!!
手が届きそうなところで、ベットから転がり落ちた
私は今度こそ目覚まし時計を止め、目を向けた。
時計の針は、無念にも朝の7時30分を指していた。
えぇ!?もうこんな時間!!やばい!最強にやばい!
朝ごはんを食べる暇もなく、急いで制服に着替えた
私はスクールバックを片手に慌ただしく家を飛び出した。
私は、通学路の上り坂を全速力で走っていた
と、その横を自転車がシャァーッと
通り過ぎた。乗っていた人は、同じ高校の制服を着た男子だった。
あっ!と咄嗟に出た言葉に反応したのか
男子がこちらに気づき振り向いた。
ふっ…、遅刻かな。
ニヤッと笑ったそいつは、それから
自転車をこいで_見えなくなった。
なんなの?あの人?しかも見たことない人…
首を傾げ、また私は走り出した。
学校に着いたときには、もうすでに遅刻だった。
まずいっ!課長に怒られる!!
そう思うと背筋がゾワーッとした。
ちなみに課長というのは、担任のあだ名だ。
階段を上がって教室の前に来ると、教室の中から
ホームルームをしているのが聞こえる。
私は、怒られるのを覚悟して後ろのドアを開けた。
__ガラッ
お、遅れましたぁ…。
と、こそこそ下を向いて教室に入ると
あ、ぷぷっ…。朝の遅刻の人だ。
話しかけてきたのは紛れもなく先生の声ではなかった。
遅刻…?あぁっ!!!
と思って顔を上げた私の目に映ったのは
朝、上り坂で自転車をこいでた男子だった。
なんか、あいつがいたとはいえ、
とりあえず先生に怒られなかったことにほっと
していると…
佐伯ぃ!お前何時だと思ってるんだ!!あとで
職員室に来い!!
すぐさま課長からのブーメラン説教が飛んできた。
はい…。
とほほ…なんてついてない日なんだ。
まったく、私のポンコツ…!馬鹿!
もう、ふて寝してやろうかな。
そう考えていた私の耳にあいつの自己紹介が
流れこんでくる。
えーっと、名前は瀬戸内輝。アメリカから
引っ越してきました。好きな言葉は、
If you can dream it, you can do it.です。
よろしくお願いしまーす。
なんてムカっとくる、胡散臭い自己紹介なんだろう。
そういうカッコつけいらなくない??
パチパチとまばらな拍手の後、お辞儀したあいつは
何故かこっちに来た
_________私の隣の席に座った。
へ?
素っ頓狂な言葉が口から出た。
ん、お前の隣。よろ。
いや、よろ。って何何何!?なんであんたが隣!?
頭の中の整理が追いつかず、何故という言葉が巡り巡った。
対応に困り私は
そ、その…。よろしく。
とボソッと言う。
やつは、瀬戸内くんは、
ん。と頷きそれから課長の話を聞きだした。
_____キーンコーンカーンコーン。
はぁぁ。教室の掃除なんて聞いてないよぉ…!!
もー!!
遅刻した私は、その後課長から
罰として教室掃除を放課後に行うよう言われた。
窓から教室に入り込む、ひんやりとした風が
心地いい。
校庭では、部活が終わり帰り仕度をする人が見える。
いいなぁ…。私も早く帰りたい…ぐすん。
窓の淵に頬杖をついた。
と、その時。
なぁーんだ、まだいんのか。
誰かに後ろからバカにされたように言われた。
はぁぁっ?別に関係な__。あぁぁっ!!!
さすがにムカッときた私は反論しながら
後ろを振り向いた。誰かしら仲が良い子だろうと予想していたが、そこに立っていたのは瀬戸内くん
だった…
おー。あんた、ちゃんと言い返しが出来るんだ。
ふーん…感心感心。
と、瀬戸内くんはパチパチと手を叩いた。
せ、瀬戸内くんこそ…こんな時間までなんで…、
反論した相手がまさかの瀬戸内くんだと
わかった私には、さっきまでの威勢はなくなって
いた。
んーと、教科書とか資料とかを取りにきた。
そんなとこかな?
瀬戸内くんは右手に紙袋をさげていた。
中から教科書が一部見える。
つーか。遅刻の人、って言ったけど
お前、名前なんていうの??
瀬戸内くんはじっと見つめてきた。
彼はよく見るとかなり整った目鼻立ちをしている。
……何?
じっと見つめ返している私を不審に思ったようだ。
というより…。私、そんなに見つめてたの??
かぁぁっ…////////
そう思うと、だんだんと恥ずかしくなってきて
自分でも顔が熱くなるのがわかる。
咄嗟に目を逸らした。
ぷっ…。顔、超真っ赤。
__笑われた。
んー、と。名前名前…。
あ、あった。これ、お前の名前だろ??
…………佐伯真昼。
瀬戸内くんは教卓に置いてあった名簿を
手に取り、私の名前を読みあげた。
そ、そう。それ…私の名前。
そういえば、瀬戸内くんは何故この時期に転校
してきたの…?もう、3学期終わりなのに。
なんでこんな時期に、うちの学校に来たんだろう…
疑問を感じていた私は勇気を出して聞いてみた。
んー?あー、それね。実はな、俺の前の学校は
通っている病院から遠かったんだよ。
だから、もう潮時かね。と親と相談して
こっちに来た。
しお…どき…??どういう意味なんだろう。
あまり、話しの理解が出来ずに黙っていると
瀬戸内くんは「あぁ」と笑って口を開いた。
俺、余命に迫ってるんだよな。…あ、違うか。
死ぬかもなんだ、俺。
だから、いざとなった時にすぐ
病院に行けるようにって訳。な?
私の頭は真っ白になった。
なんで。なんで瀬戸内くん、笑ってるの…?