地球の裏側あたりで勝手に死んでてくれ

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1:ちくわまる体調:2018/04/24(火) 07:10

「俺のことずっと好きでいてね」
うん、いいよ。私は笑顔でそう言ったけれど、でも期待はしないで、そう言葉が続きそうになった。
それをわざわざ言ってやるほど私は残酷ではないし、かつ優しくもなかった。

2:ちくわまる隊長:2018/04/24(火) 07:10

彼は知らない。
世の中には、自分が何を好きで何を嫌いなのか判断できない人間がいること。そして、誰彼構わず優しく接する人気者を好きになれない人間がいること。

あ、なんとなく好き。それが私の彼への第一印象だ。顔は普通。だが、いつだってその表象は優しさを含んだ笑みに満ちていた。周りには彼と同じく笑顔の人間で溢れていて、その中心にはいつも彼がいた。その笑顔を作っているのは他でもないその中心の彼。例外なく、彼は私にも優しかった。誰の口からも良い噂がこぼれる。
同調心理、集団心理とでも言うのだろうか。
あ、この人好きだ。そう感じた。
ただ、それは2度、3度と彼を見るうちに劣等感によく似た嫌悪に変わっていくのだが。

滲み出る生理的嫌悪感。理由のつけられない無数の「なんか嫌だ」。自分に対しても優しく大勢に好かれる人間を嫌いという自身の心の惨めさに何度と劣等感に苛まれた。
そして、何よりも自分を嫌悪の渦に落としたのは、嫌いだと感じる彼に愛想笑いを向ける自分自身。
嫌いならば避ければいい。しかし、私はそうはしなかった。
誰にも彼を嫌いな自分を悟られたくはなかった。自分が惨めな存在であると知られたくなかった。また、自分が大多数の感覚から外れた異端な感情を抱く人間だと思われたくなかった。何よりも自身がそれを認めたがらなかった。

「好き、なんだと思う」
放課後呼び出された私は突然彼に告白を受けた。彼は語尾を濁してそれだけ言うと、照れ笑いを浮かべて頬をかいた。
いや。無理。
拒絶の言葉が嘔気と共に喉を這い上がってくる。何のための愛想、何のための我慢。
いっそ避けていればよかったと後悔が湧き上がり、同時にそれでも私は誰にも嫌われたくないとどこかで自己の選択を肯定し、後悔が泡と消えていく。

「いいよ」
我慢の延長線が少し伸びただけだ。たかが、青春の一時。変わらない平穏とほんの少しの安心感に代わり、犠牲にしてもさして惜しくはない。
彼をフッたその先に見えているのは漠然とした不安。出る杭は打たれる。そんな日本の社会の風潮に溺れるみたいに、鋭い視線や心無い言葉に蹂躙される想像をした。
涙声を押し込むように愛想笑いを作って続けた。
「よろしく、おねがいします……」

3:ボカロ大好き:2018/04/24(火) 18:22

(;>_<;)
小説のストーリー。こういうの大好きです‼
ちくまわる隊長のファンになりました!
応援します‼
これからも、頑張って下さい!小説の続き待ってます‼


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