≪1ー1≫
「おいこらぁ! テメーら勝手に人の土地を使ってさ、いい加減にしろよ? 土地返せよ」
突然、俺の家の目の前で誰かが怒鳴り散らしたのである。全く、朝から煩い奴だ。
「何ですかね? 」
俺は、仕方がないのでその野郎の話を聞いてみようと、外へ出た。
「勝手に人の土地を使うんじゃねーよ。あくその家をぶっ壊して出てけよ」
「……はあ? 」
この馬鹿は何を言っているのだろうか? 俺にはこの土地を使う権原ならあるというのに。
「いや、俺はきちんと権原があって家を建ててるんですけどね? 頭大丈夫? 」
「お前こそバカなんじゃないの? ここは俺様の土地なんだよ。わかる? 俺様の土地なんだからお前に権原なんてあるわけないじゃん。バーカ」
いちいち、ムカつく野郎だな。こいつは。
「家壊せ! 家壊せ! 家壊せ! 家壊せ! 家壊せ! 」
「いちいち、オウムみたいに同じ言葉を連呼するなよ。子供じゃあるまいし」
本当にうざい奴に絡まれたよ。全く。
こいつは自分の土地だと言い張っているが、俺に土地を使用する権原があることとは別の話だってことが分からないのだろう。
「あのね、お前の土地だったとしても俺には土地を使用する権原があるんだよ。もう良いから早くどっか行けよ。どっか行け、どっか行け、どっか行け」
「お前こそ、同じ言葉を連呼してるんじゃねーよ」
ああ、余計なことをしてしまった。何ていうことをしてしまったんだ俺は。
「よし、今から家を壊すことにするわ」
ついにこいつは、実力行使を行おうと考えただしたようだ。とはいえ、こいつに俺の家を壊す権限などない。
「お前に家を壊す権限なんて無いからな? それと、俺は土地を使用する権原がしっかりとあるわけで、お前に出てけと言われる筋合いなんて、そもそもないぞ」
「俺の土地なんだから、お前の家を壊そうが勝手だろ」
そろそろ、警察でも呼ぶか。
そうすれば、この馬鹿みたいなやり取りも終わるはずだ。