あの日、初めて思いが通じ合った
その時、約束したよね…ずっとそばにいる事
でも、そんな約束は……
守ることはできなかった
私、宮野結衣がこの世から消えてから、ちょうど一ヶ月経った。
もう、みんな忘れてる…私のことを
ねぇ、もう私のこと忘れちゃったの?…祐希。
ごめんね、約束守れなくて……
私からした約束なのに、一週間もしないうちに破っちゃって。
私は、祐希と両思いになっって付き合い始めて、すぐに交通事故で死んでしまった。
今は、幽霊となってみんなを見ている。
でも、みんなには見えない。私も触れることはできない。
私の声はみんなに届かない。こんなに近くにいるのに。
何で、私は死んだの?
何で、何で…せっかく祐希と付き合うことができたのに。
初恋が実ったのに
もう私は、祐希に触れることもできないし、話すこともできない。
こんなの儚すぎるよ。
祐希と話したい、祐希に触れたい……
でも、この思いが叶うことは…絶対にない
俺の彼女、結衣が消えてから一ヶ月たった。
結衣が死んだのを知ったのは、友人から電話だった。
「宮野が、病院に運ばれた…」
この一言を聞いた瞬間、俺は凍りついた。
俺は、すぐに病院に駆けつけた。
でも、遅かった。
俺が着いた頃には…もう結衣は…この世にはいなくなっていた。
交通事故だったらしい。トラックが飛び出してきたようだ。
どうして、どうして結衣なんだよ。
もう、結衣はいないんだ。
ずっと俺は結衣が好きで…やっと叶ったていうのに…
幽霊になっても、毎日学校に通った。
みんなを見るために…
でも、辛くなるだけだった。
もう、みんなは私の存在を忘れて、笑って過ごしている。
しょうがないとは思ってる、でも…忘れられたくないよ
祐希も、もう忘れちゃったのかな
ねぇ、祐希……
私が居なくなって悲しい?
それとも、何も思わなかった…?
ねぇ、どうなの祐希……
もう、みんなきっと結衣のこと忘れてる
そんなみんなに俺はイラついていた
結衣が亡くなって約10日ぐらいで、結衣の話はスッと消えてった
みんな、何事もなかったように笑っていつも通りに過ごしている
まるで最初から結衣がいなかったかのように
こうなるのも、仕方ないとは思う
でも、悔しかった。
悲しかった。
結衣の存在がみんなの記憶から消えるのが
俺は今でも結衣のことを思ってる。
きちんと覚えてる
でも、いつか
結衣の顔、結衣の声、結衣の温もり…仕草
全部忘れてしまう日がくるのだろうか…
そろそろ、修学旅行が近くなる
私も、行きたかった
祐希と、友達と楽しい思い出を作りたかったなぁ
もう、幽霊生活にも慣れた。
本当に幽霊って実在するんだね。
死んでから色々知れた。
壁とかすり抜ける事ができるなら…
生きてる人と、話せる機能もつけてくれればいいのに…
そしたら、祐希と…話せるのに
「できるよ」
え?
誰?と思い声のする後ろに振り返る
「! あ、あなたは?」
「んー、人間? 幽霊? どっちでもないかな!」
目の前には、人間の姿をした…なんていうか人間と動物が混ざった感じの人が立っていた。
「え、ええと…心の声が聞こえるの?」
だって、さっき口に出して言わなかったし。
心の声が読めるんだよね? この人
「あぁ、そうだよ! びっくりさせてごめんね?」
「え、あ、いや。大丈夫です。」
「そう?ならよかった」
といいはにかんだ。 この人可愛い。
「あの、名前は?」
「私は、リリっていうの。妖精みたいな名前でしょ? あなたは…結衣ね。」
確かに、リリって妖精みたい。
すごい、名前もわかるんだ。
「よ、よろしくお願いします。」
「でね、結衣。さっき私、できるよって言ったよね?」
「え? あ、うん! そうだよ!」
できるって、祐希とまた話せるって事だよね…?
「ええ、彼とまた話せるようになるわ。」
「! 本当に? どうやって…」
「でも、条件があるの…」
リリは不敵な笑みを浮かべた。
じょ、条件……。