私の両親は「間違ったこと」が大嫌いだった。
どれほど嫌いなのか、そんなのは娘の私でも知らない。
万が一聞こうとするなんてことしたら
「そんなこと聞くだなんて間違ってる」
そう言ってお仕置きするだろう。
でも娘、(というか、私だ。)にコクレットなんて名前つけるくらいだから相当なのは間違いない。
コクレットとは正しいと言う意味だ。ちなみに正しいは英語で3つ程あって、
コクレットはその中でも、テストの回答や、時刻などの人の見解で答えが違わない「正しい」を指す。
ほら、相当でしょ?
両親はこのラルクと言う村ではなかなかの財力を持っているらしく、
わたしは所謂「お嬢様」と言う奴だ。家は青い屋敷で出窓のある一番右の部屋が私の部屋。
でも、部屋の家具を置いているのは私ではなく、両親。教育にいいと両親が思っている物や小説がどんどん置かれて行く。
そんな物に興味なんてないのに。だけど親に逆らえばきっとまた暗い地下室で2〜3日は一人ぼっち。それは嫌。
正しさ好きはどんどんエスカレートしているようで、母は特に両親共に金髪なため、最も美しい私の金髪の髪が大好きなんだとか。
だから、もし金髪に生まれなかったらなんて考えると恐ろしくてたまらないわ。
と、ここまで両親の紹介しかしてなかったわね、私はコクレット・ハーバー。前述のように金髪で、
白のワイシャツに青のスカート。後、三つ編みしてるわ。
この格好も私が好んでしてるわけじゃない。ワイシャツやスカートの丈は両親が
「膝より上のスカートなんて売春婦でもあるまいし、父の顔に泥でも塗ったらどうするんだ」
なんて言われたら膝上のスカートなんて履けないし、三つ編みだって
「方より長い髪なのに結ばないなんてあり得ない」
まで言われたら結ぶしか無い。
結局親には逆らえないのよ。
勿論、いつも完璧で潔白で正しく居なさい、なんて言う両親が私を村に出してくれるわけもなかった。
でも、家の裏で母が趣味で育てている野菜や果物の畑に行くことは許されて居た。なんか、
植物に興味を持つのはいいことだ、とか。理由はそんな覚えてないけど多分そんな感じ。
今日もつまらなくて、家の裏に行こうとしたときだった。何人かの同い年くらいの子供達の声が聞こえた。
「おい、早く来いよ〜、お化け屋敷、もうそこなんだぜ〜?」なんて言う男の子の声と
「待ってよ〜みんな疲れてるわよー?」何て言う女の子の声。それから何人かの男子と女子の声。
「おい、早く来いって、やばいぞ!本当にすげー!」、、、ん?
え?今の女の子の声よね?言葉遣い悪くない?何よ、あの子。と、必死で声の主を探すとやはり女の子だった。
その少女は、髪は茶色、目も私のように青くない、洋服は、白だけど私がきてるようなブラウスとかじゃない、本当にただのワイシャツ。
しかも髪は絶対肩より長いのにそのまま。下なんてスカートどころか、動きやすそうな短いズボン。
きっと両親が見ていたら怒りを通り越して脱力というか、もはや見たくない、そんなこと言わせるのは簡単そうなくらい。
今日は両親は出かけていていなかったからラッキーだったわね。
、、、あれ?ていうかお化け屋敷って言ってた?こんなところにある屋敷なんてウチくらい、、、。
ハッと振り返るとあの、5,6人は私の家の前で立って、すごーとか言ってる。
やっぱりウチかー!どうしよう?特に父はだけど侵入者と言うか、招待してない
人間が家にくることを嫌う。もしこの子達をいれてしまったら?メイドか何かいればいいのに。
なぜ今日に限って誰もいないのよー?
と、そんな少女の願いは叶わず。あの少女たちは古〜とか言ってる。
(古くて悪かったわね、父の趣味よ!)
どうやってお帰り願おうかしら、、、
あ、あの子達肝試しにきたのよね…よし、今日の服装は青だけど模様無しのワンピース。いけるわ!
えと、私の部屋に待機してと、肝試しに乗っかってお化けのふりして追い返したらいいじゃない!
脅かし方は〜やバッもう?仕方ないわね、ガチャ、と言うドアノブの音と同時に私は
「何故いるの!!ここは私の家よ!」て叫んでやった。そしてもう一声。
「私の苦しみを味わいにきたのか!」て叫んだらみんなきゃーー!て行って走って行っちゃった。
、、、やり過ぎ?まぁ、いいか、侵入者だものね。そう言って裏庭に戻ろうとするとさっきの私とは正反対の少女が
立ち尽くしていた。それはもう、ぼ〜として。
仕方なく少女に帰ってもらおうと、
「あ、ここ私の家だから帰ってくれる?お化け屋敷でも何でもないわよ。」確かに、雷雨でも降っていれば見た目は
お化け屋敷そのものだが、生まれてこの方。一回もそんな現象とかに出会ったことなんてない。要は雰囲気だけなのだ。
「てことだから帰って頂戴な。」そういうと少女は
「知ってる、いや、見に来たかったのよね、綺麗な子居るなーと思っててさ、でも一人は嫌じゃん?だからね。」
「ごめんねーまさか一回で会えるとは思わなかったわ〜」
ちょ、待てよ。キム○クも言う程、ちょ、待てよ。
何勝手に話し進んでるのよ?しかも聞いてたら友達どうこう言い出したんですけど!?
なんだか、少女の頭の中ではもう私と友達らしい。わけがわからない。少女は元気に
「あなた、名前は!?」強引すぎる少女に軽く引きながらも、冷静に
「名を聞く時は自分から、ってご存知ない?」
そしたら斜め上なご回答。
「ご存知?あぁ、知ってるってことね、いや、初耳だわね、これでどう?あんたの真似して見たの!」
まね?は、はぁ〜?もう、飽きれた。そんな世間の常識も知らないだなんて。しかも初対面の人のモノマネですって?
喜ばしくは無いわね、、仕方が無く名前を告げる。
「コクレット。コクレット・ハーバーよ、これで満足かしら?」
「コクレット?おかしな名前ね」
可笑しい??私の名前が!?
「コクレットはどんな場合であっても変わらない、そんな正しさを意味するのよ!」
へぇ、とアホらしくいう彼女。なんなの?
「貴女は?」
少女はにいっ、と笑った。
少女は笑顔で
「リベルタよ、」と言った
「リベルタ?」私より可笑しな名前じゃない?確か意味は自由。
「自由か。」そう言って私は自分に自由がないことに気づいた。
少し混乱して居るとリベルタはそろそろ帰るね、またね〜なんて言って帰って行った。
またね?え、父達に知られたら飛んでもない。
私は、すぐに
「待って、木曜日の12時、その日ならいいから!」
私は頭より口が先に出たことなんて無かった。でも、今日に限ってそうではなかった。
可笑しなことしてる、自分でも分かってた。
そんな時、何時間経ったのか、父たちが帰ってきた。
「お帰りなさい、お父様、お母様、今日も何もありませんでした。」
その言葉が父達が出かけた日は日課だった。でも、いつからだろ。
嘘が上手になったのは…
「今日は可笑しな事があってね、お化け屋敷と間違って何人かの村の子供達がきたのよ…」
なんて言ったら「何おかしなこと言ってるんだ、そんな事言うのは可笑しい」きっと…
そう言う。だから何もなかった、そう片付けるのが一番簡単。今日はホントに可笑しい。そればっかりだ。
綺麗にテーブルクロスに引かれたテーブルにはステーキや紅茶が置いてある。そんな食卓を眺めながら、
可笑しい、ただそう思ってる。
木曜日の朝、私は両親に起こされた。休みでも早起きしろですって。
確かにそれは正しいし、リベルタが来るから早起きしなきゃなんだけど…
はぁ、
ただ一言そう言った。
お昼にちょうどリベルタが来た。リベルタは村の事を教えてくれた。でも聞いてるとやっぱり可笑しい。
別に変な話をしていたりするわけでもないし、してはいけない事をしているわけでもない、
でも可笑しいと感じる。それはきっと両親がいたらそう思うから。そして私がその両親に育てられたから。
そう話して居るとガチャ、と屋敷のドアがあく音がした。この部屋に近づいて来る。外をみると
母が腕を組んで不機嫌そうにして居る。
てことは屋敷に帰って来たのは父。ハッとして
リベルタをクローゼットの中に隠した。混乱するリベルタ、焦る私。
父が私の部屋に帰って来た。なんか、母が忘れ物したかららしい。
全く、いい迷惑だわ。友達と遊んでいるというのに。
でも父と母が言うんだから、正しいと感じたんでしょうね。取りに行くことを。
とは言え、急に友達に話してる途中でクローゼットなんかに
閉じ込められたらたまったものじゃないわよね。
父が後少しで部屋から出る、て所でリベルタが出て来ちゃった。
まぁ、仕方ないわよね。てことで私は怒られる事
間違い無し。とね。まぁ、まぁ?予想通りという事で
怒られた。
「何故、私達に言わずに家に招き入れたのか、
親に言えないなんて間違ってる。」だって。